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産業廃棄物処理業者は排出事業者と同様に、産業廃棄物処理基準に従い産業廃棄物の処理を行わなければなりません。産業廃棄物処理基準に適合しない産業廃棄物の処理が行われた場合は、廃棄物処理法の規定により改善命令の対象となります。
産業廃棄物処理基準の詳細について
特別管理産業廃棄物処理基準の詳細について
産業廃棄物の処理を排出事業者から受託できる者は、産業廃棄物処理業者等であって、受託する産業廃棄物の処理が許可を受けている「事業の範囲」に含まれていなければなりません。
産業廃棄物処理業者の方々は次の事項に十分注意し、産業廃棄物処理の依頼があったときは、委託基準に従った適正な処理が行われるよう、産業廃棄物処理業者の方からも排出事業者の方に積極的に働きかけてください。
収集運搬の委託については排出事業者と収集運搬業者の間で、処分の委託については排出事業者と処分業者の間で、それぞれ直接契約を締結しなければなりません(二者間契約の遵守)。
例えば、次のような契約は排出事業者、A、Bが三者で締結することになるのですが、この場合、排出事業者はBが本当に中間処理ができるのかどうかもきちんと確認せず契約することになり、委託基準に違反しています(いわゆる三者契約)。
産業廃棄物の処理の再委託は、産業廃棄物の処理に関する責任の所在が不明確になる懸念があるため原則として禁止されています。
産業廃棄物処理業者は、自己の名義をもって、他人に産業廃棄物の処理を業として行わせてはなりません。
例えば、「うちの名前を使って運べばいいよ。」と言って、産業廃棄物収集運搬業許可証の写しを無許可の業者に渡し、体裁だけ整えさせて、本来収集運搬を受託できない業者に業を行わせるような場合です。無許可で運んだ業者はもちろん、許可証の写しを渡した収集運搬業者も違反になります。
排出事業者から交付される産業廃棄物管理票(マニフェスト伝票)について、産業廃棄物処理業者も守らなければならない事項があります。
処理終了後、必要な記載事項を記載しましょう。
受託者の区分 | 記載事項 |
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運搬受託者 | 氏名又は名称 運搬担当者の氏名 運搬を終了した年月日 有価物拾集量 |
処分受託者 | 氏名又は名称 処分担当者の氏名 処分を終了した年月日 委託された処分が最終処分である場合は、最終処分を行った場所の所在地 |
決められた期限までに、排出事業者に写しを返送しましょう。
マニフェスト伝票の写しは、運搬又は処分が終了した日から10日以内に排出事業者に返送しなければなりません。
マニフェスト伝票の写しを決められた期間保管しましょう。
産業廃棄物の処理を受託した処理業者についても、マニフェスト伝票の写しを5年間保存しておかなければなりません。
記載事項等、マニフェスト伝票は適正に運用しましょう。
実際には運搬又は処分を受託していないのに、あたかも受託したかのように必要事項を記載したマニフェスト伝票を交付してはいけません(いわゆる空伝票)。
実際には運搬又は処分が終了していないのに、日付を勝手に入れて、排出事業者に写しを返送してはいけません(虚偽記載)。
排出事業者から管理票の交付を受けていないにもかかわらず、産業廃棄物の引渡しを受けてはいけません(未交付による引渡し)。
産業廃棄物処理業者は産業廃棄物の処理に関する帳簿を事業場ごとに備えて、決められた事項を、決められた期限内に記載しなければなりません。また、帳簿は1年ごとに閉鎖し、閉鎖後5年間保存しておかなければなりません。
特に中間処理業者は、中間処理後の産業廃棄物の委託処理が行われることがありますので、最低限「処分に関する帳簿」、「処分の委託に関する帳簿」を備える必要があります。更に委託先の処分業者までの運搬も委託する場合には「運搬の委託に関する帳簿」も備えることになります。
帳簿はマニフェスト伝票の適正な管理、運用を助けてくれるものです。中間処理後の産業廃棄物の処理にあたり二次マニフェスト伝票が発生した場合、帳簿を適切に付けていれば一次マニフェストとの関係を正確に管理することができます。