進歩する精神科医療のなかで、薬物療法は治療に欠かせないものとなっています。薬剤部では、病院の理念・基本方針に従い、チーム医療の一員として患者さんがより安心して医療を受けることが出来るように業務に取り組んでいます。
当センターでは平成16年度から院外処方せんを発行しており、令和3年度の院外処方せんの発行率は99.3%となっています。
また、平成24年5月から、一部の医薬品については院外処方せんの「一般名処方」を行っています。これにより調剤薬局で患者さんが自分の意思で薬を選択できるようになりました。
私たち薬剤師は、患者さんが疾病から回復して病院から退院できるように、そして服薬を継続して地域において安定した生活を送ることができるように、お手伝いをしています。
主な業務は次のとおりです。
調剤業務
- 処方された薬の用法・用量、相互作用、併用禁忌、処方日数等のチェックを行っています。
- 服用方法(「朝食後」「昼食後」「夕食後」「寝る前」等)毎に薬をまとめて包装(一包化)しています。
- 一包化した薬の分包紙に患者さんの名前と服用方法を印字して、正しく服薬できるように工夫しています。
- この他に注射薬の払い出し、持参薬管理等の業務を行っています。
医薬品安全使用に関する業務
- 薬事委員会を年4回開催し、医薬品の院内での採用及び削除等について審議、決定をしています。
- 院内におけるすべての医薬品の管理を行っています。特に病棟配置薬については、数量、期限チェック等を行い、適正な在庫管理に努めています。
- 新薬については、新しい知識と正しい使用法等を習得してもらうため、医療スタッフ向けに院内研修会を開催しています。
医薬品情報管理業務
- 良質で適正な治療を実践するための基本となる業務です。
- 医薬品安全対策情報、安全性速報、出荷状況、添付文書改訂や使用上の注意・副作用等の医薬品に関するあらゆる情報を迅速かつ正確に収集・整理・評価し、医療スタッフや患者さんに提供しています。
- 「Di News」を月1回発行し、必要な医薬品情報を医療スタッフにお知らせしています。
- 適正に医薬品が使用されたにもかかわらず、重大な副作用が発生してしまった場合には、詳細を調査し、国に報告を行います。
薬剤管理指導業務
- 医師から依頼のあった入院中の患者さんを対象に個人指導を行っています。
- 患者さんに処方されたお薬に関して、薬の効果、副作用、飲み心地等の確認を行います。また、服薬自己管理のお手伝いを行うこともあります。
- 服薬継続は患者さんが安定した生活を送るために非常に重要です。患者さんがお薬に関する正しい知識を持ち、退院後も服薬を継続することができるように、患者さんの個々の状態に応じた支援を行っています。
チーム医療への参加
- 入院中の患者さんとそのご家族に対して、病気とうまくつきあっていくために多職種チームによる「疾病教育プログラム」を行っています。この中で薬剤部は、服薬意義や服薬継続のための工夫に関する集団指導を行っています。
- 医療観察法医療においては、多職種チームの一員として治療に参加し、薬剤の処方支援や効果の確認、薬物治療に関する様々な情報提供を行っています。
- 難治性統合失調症治療薬であるクロザピンを用いた治療は、平成23年9月から開始し、平成26年3月からは院外処方せんの発行を開始しました。これまで90人以上の患者さんが当院で治療を行っています。
- この他に院内感染防止対策や褥瘡対策の体制整備などの業務にも取り組んでいます。