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群馬県では、精神科救急情報センター(こころの健康センター内)を中心に、警察及び県内精神科病院等の連携・協力のもと、全国に誇る精神科救急システムが整備されています。当センターは、このシステムの基幹病院として、移送体制を支えるとともに、通報等による入院患者について県内緊急全体の約6割を受け入れています。民間病院では受入れが難しい精神障害者の措置入院等に対応しています。
精神科救急システムの円滑な稼働が図られるよう、平成15年に全国に先駆け、精神科救急専門病棟を導入し、現在、2病棟85床を整備しています。そして、この病棟と重症治療、リハビリや思春期対応などの病棟機能が連携するとともに、多職種によるチーム医療を展開し、入院治療から退院・地域移行支援、さらには、退院後の地域ケアまで一貫した医療モデルを構築しています。
当センターでは、医師、看護師、薬剤師、臨床心理技術者、作業療法士、精神保健福祉士、栄養士等で構成する多職種によるチーム医療を展開しています。入院から退院・地域移行までを見据えて、多職種が患者情報を共有し、そのステージに応じた各種の治療プログラムを実施するとともに、生活・経済面などの個別援助を行っています。
一貫した医療モデルと多職種チームによる取組みにより、平均在院日数(主要実績について:群馬県立精神医療センターページ)は、平成3年度には2年程度であったものが、現在ではほぼ3ヶ月程度になってきており、早期の社会復帰を支援しています。
当センターは、平成17年に施行された医療観察法に基づき、鑑定入院・指定入院・指定通院の機能を担った医療機関として、検察庁、裁判所や保護観察所等と連携し、対象者の受入れを行っています。入院については、21年6月から併設型の小規格病棟6床を開設した後、24年3月には、独立型の小規模病棟17床を新たに整備しました
精神科救急情報センターを中心とする全国に誇る3次救急システムとこれを支える当センターの機能や医療に加え、司法精神医療に取組み、司法関係機関との連携推進が図られることは、精神医療分野に留まらず、医療現場と行政・司法等の関係機関とが一体となった「社会の安全・安心と人権を守る」ための先進的な取組み(群馬モデル)であると考えています。
児童・思春期から青年期は成人と共通の精神障害に加え、多動障害や情緒障害など特有の精神疾患が出現する時期であり、専門的医療を行う必要性があることから、平成19年度から思春期の方も入院受け入れを積極的に行っています。
自然災害や犯罪事件・航空機・列車事故等の集団災害が発生した場合、被災地域の精神保健医療機能が一時的に低下し、さらに災害ストレス等により新たに精神的問題が生じる等、精神保健医療への需要が拡大することに対し、当センターは精神医療支援を目的にDPATチームを編成しています。