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獣医師1(食品・生活衛生課・福田 茂彬)
食品・生活衛生課 福田 茂彬
掲載内容については、令和5年2月現在の情報です。
1 現在の仕事
動物愛護に関する業務を担当しています。具体的には、ペットショップなどの動物取扱事業所を対象とした本県独自の登録制度である「ぐんま犬猫パートナーシップ制度」を実施し、県と登録店舗が連携して広報紙の配布や飼い主へ飼育の助言などを行うことで適正飼養などの普及啓発を推進しており、私は登録申請があった店舗の調査業務を行っています。
また、飼い主のいない猫対策支援事業も担当し、環境保全のために自治会等が野良猫の糞尿・餌の管理や不妊去勢手術を行う地域猫活動を支援しています。
そのほか、県獣医師会と連携し、県内の幼稚園や保育園、小学校等を対象とした「動物ふれあい教室」を開催しています。動物とのふれあいを通して、子供たちに動物の生態や飼い方を知ってもらい、動物愛護の精神の普及を図っています。
さらに、人と動物が共生できる豊かな社会の実現を目標として策定された「群馬県動物愛護管理推進計画」の達成状況の把握のため、統計資料のとりまとめや関係機関を集めた会議の開催などを行っています。
2 職務経歴
年度 | 所属 | 説明 |
---|---|---|
平成24年度 | 食肉衛生検査所 | と畜検査や精密検査(細菌・病理・理化学)を担当しました。 |
平成27年度 | 利根沼田保健福祉事務所保健課 | 地域の食品営業施設及び生活衛生営業施設の許可業務や監視指導を担当しました。 |
平成30年度 | 動物愛護センター | 保護収容動物の健康管理や譲渡業務を担当しました。 |
令和2年度 |
現所属 |
「1現在の仕事」のとおり |
3 県職員の仕事の魅力・やりがい
公務員獣医師の業務は幅広く、所属ごとに異なる専門知識が求められます。そのため、臨床の知識をはじめ、公衆衛生学や微生物学など大学で学んだ様々な知識を最大限に活かすことができると思います。
また、県民と密接に関わる業務もあり、地域への貢献を実感できる機会もたくさんあります。
さらに、県民の健康や動物の命に関わる業務では、プレッシャーを感じることもありますが、公務員獣医師にしかできない重要な業務であり、大きなやりがいがあります。
4 これまでの仕事で印象に残った業務やエピソード等
(1)と畜検査業務
食肉衛生検査所において、農場から食肉処理場に運ばれてきた家畜(牛や豚)の生体の検査、解体後の内臓検査、枝肉検査を担当していました。この職場で特に印象に残っているのは、周囲のサポートがとても手厚かったことです。検査における異常の有無や異常があった場合の食用不可についての判断は、基本的に各検査員が法令に基づいて行います。毎日多くの家畜が搬入されるため、1頭にかけられる検査時間は限られており、慣れないうちは素早い判断をするのに苦労しましたが、先輩職員が常にサポートしてくださったので、やり遂げることができました。また、新規採用で配属された職場でしたが、先輩職員は皆、食肉の安全や消費者の健康を守るという使命感を持って業務に取り組んでおり、そうした群馬県職員としての基本姿勢も学ぶことができました。
(2)尾瀬の山小屋監視
利根沼田保健福祉事務所において、飲食店や宿泊施設の監視及び衛生指導による食中毒の発生防止業務を担当していました。管轄する利根沼田地域は観光地が多く、食中毒の集団発生リスクが高まる観光シーズンに、重点的に監視を行いました。特に印象に残っているのは、尾瀬の山小屋監視に行ったことです。山道を歩きながら複数の山小屋を見回り、食品衛生法に基づく施設基準の逸脱がないか、食品の保管や飲用水の消毒等の管理方法、従業員の健康管理に問題がないかなどをチェックしました。体力も必要な業務でしたが、多くの登山客が食事や宿泊を楽しんでいる様子を見て、食の安全を通じて人々の役に立っていることを実感しました。
(3)犬猫の譲渡事業
動物愛護センターにおいて、犬猫の譲渡事業を担当しました。具体的には、動物愛護センターに保護・収容された犬猫の健康状態の確認や応急処置、散歩や給餌などの世話を行うとともに、譲渡に向けて、対象となる犬猫のホームページへの情報掲載や、譲渡希望者に対する講習会を行いました。また、講習会を受講し終えた譲渡希望者は譲渡動物とのお見合いに進みますが、その際には、円滑に譲渡が成立するよう、希望を聞きつつ、その家庭に合った個性を持つ犬猫を積極的に紹介しました。その結果、譲渡が成立し、引き取られていく動物の後ろ姿を見送った時には、とても嬉しく、職員としてのやりがいを感じました。譲渡後に、ご家庭から写真が届くこともあり、幸せそうに暮らしている動物たちの姿に、温かい気持ちになりました。
(4)動物愛護管理推進計画の見直し業務
県では、「群馬県動物愛護管理推進計画」という計画を策定し、これに基づき動物愛護に関する各種施策を推進しています。私が食品・生活衛生課に配属となった令和2年度は、平成25年度に策定した第2次計画の見直し時期に当たっており、改定業務を担当することになりました。見直しに当たっては、関係法令や県の統計資料、これまでの計画について理解を深める必要があり、大変なこともありましたが、計画ができあがった時には大きな達成感を感じられました。また、この業務を通して、これまでとは異なる視点から県の現状や課題を把握し、より良くしていくにはどうするべきかを考えることができました。
5 入庁前と入庁後の印象
獣医師は専門職のため、入庁前は、現場での作業が中心になると思っていましたが、実際に働いてみると業務内容は様々で、デスクワークが多い所属もありました。また、一般の方からの問い合わせへの対応や窓口対応が想像よりも多く、コミュニケーション能力が求められると感じています。
6 今後の目標、これから挑戦したいこと
県獣医師の業務は多岐にわたり、入庁前には考えもつかなかった業務もあります。そうした新しい業務の経験が自分自身の成長にもつながっていると実感しているので、今後も色々な職場を経験し、更なる成長につなげていきたいです。また、経験を積むことで、広い視野から群馬県をより良くすることを考えられる群馬県職員になれたらと思っています。
7 群馬県職員を志望した理由
群馬県を就職先として考えるようになったきっかけは、大学で行われた公務員就職説明会で、群馬県の先輩獣医師から直接話を聞いたことでした。特に、県の課題解決に向けて取り組む調査研究に関する話が印象に残り、私も群馬県職員として調査研究業務に携わってみたいと思いました。また、動物の健康管理を行う職場もあると知り、大学の研究室で学んできた臨床の知識が活かせるのではないかと考えました。
さらに、出身地である群馬県に貢献したい気持ちもあり、志望しました。
8 受験時に心がけたこと
筆記試験については、市販の参考書で対策を行いました。研究室の活動や卒業論文の作成などで忙しい時期もありましたが、そうした合間を縫って地道に勉強しました。
また、面接試験では、事前に自分が伝えたいことを整理しておき、きちんと自分の言葉で説明できるよう準備しました。
9 未来の後輩へ
獣医師の業務には、食品衛生の分野から県民の健康を守ったり、動物愛護を推進して人と動物が共生できる社会の実現に貢献したりと大きなやりがいを感じられる業務がたくさんあります。
また、組織として仕事をしており、周囲のサポートも手厚いです。仕事以外の時間を充実させている職員も多く、出産や子育てを考えている人にとっても働きやすい職場だと思います。
皆さんと一緒に働ける日を楽しみにしています。
「ぐんま犬猫パートナーシップ制度」の申請店舗を調査しています