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福祉(中央児童相談所・江原 昇汰)
中央児童相談所 江原 昇汰
掲載内容については、令和2年3月現在の情報です。
1 現在の仕事
中央児童相談所の家庭支援係において、日常生活で問題を抱える児童やその家庭の支援に係る相談に対応しています。
児童に関する養育上の相談は、例えば、親子間の問題や児童虐待、障害のある児童の育児のほか、児童の家出や非行など、多種多様です。そのような相談を保護者等から受け、学校や病院、警察などの関係機関との情報共有や協議によって密な連携を図り、児童と保護者がともに円滑な家庭生活が送れるよう家庭環境の援助を行っています。
2 職務経歴
年度 | 所属 | 説明 |
---|---|---|
平成29年度 | 現所属 | 「1現在の仕事」のとおり |
3 職員の仕事の魅力・やりがい
福祉職は県民の福祉の増進に携わります。一つひとつの問題に全く同じケースは存在せず、問題解決のために個々の児童にとって何が最善の選択となるのかを常に考えながら仕事をしています。
子育ての方針について保護者と意見の不一致が発生し、話を聞き入れてもらえないなど困難なことも多くありますが、児童が健やかに育っていけるよう十分な説明を粘り強く続け、最終的に保護者との話し合いが上手くまとまったときには非常に大きなやりがいを感じることができます。
4 これまでの仕事で印象に残った業務やエピソード等
1.他機関との連携の重要性
産み落としの可能性がある妊婦の方のケースを担当したことがありました。あらゆる関係機関からその方に関する詳細な情報を収集し、今後懸念される点などについて、いち早く産院に丁寧に説明しました。それにより、産院の職員の方には迅速に早期入院の措置をしてもらえ、無事に出産をむかえることができました。他機関との丁寧なやりとりがその後の迅速な支援に繋がり、小さな生命を守ることができたという今回の経験から、他機関との連携の重要さを再認識することができました。
2.援助による親子の関係改善
金銭トラブルを起こした児童とその母親に通所してもらったことがあります。児童心理司と連携して、児童の生い立ちや家庭状況などを確認し、児童本人がなぜそのような行動に走るのかを児童と保護者に真剣に考えてもらいました。最後には児童が心にため込んだ自分の気持ちを面と向かって母親に吐き出す場面を目の当たりにし、その後母と子の関係が改善していきました。我々職員の援助によって家族史のターニングポイントに二人を導くことができたのは、やりがいを感じるとともに、感動を覚えました。
3.援助による児童の問題行動の解消
保護者からの様々な相談に対し、家庭の状況や児童本人の気持ちを踏まえながら、援助方針について、児童心理司や職場の上司・先輩と何度も協議を重ねています。色々な対応策があるなかで、その末に見出した援助方針が家庭及び児童本人にばっちりとはまり、児童本人の家庭内外での問題行動がぱたりと収まった時にはやりがいを感じます。
5 採用前と採用後のギャップ
大学で児童福祉に関する知識と公務員の福祉職の業務についてはある程度学んできたため、入庁前と入庁後の印象に大きな違いはありませんでした。しかし、県の福祉職は、児童福祉にのみ精通していれば良いというわけではなく、県や市町村単位で福祉分野における行政サービスの内容は異なるため、それにより相談者に対する援助方針も変わってきます。このため、県の仕事では、行政知識全般はもちろん、国・市町村との連携の仕方、福祉全般の知識等、幅広い知識やスキルが必要だということを実感しています。
6 今後の目標、これから挑戦したいこと
県福祉職は2012年に設置され、まだ歴史が浅いですが、年々複雑・多様化する県民からの福祉相談やニーズに対応できる、より高度な専門性を身につけられるように、日々の業務を通して他の福祉職職員と切磋琢磨していきたいです。そして、群馬県における福祉行政のプロとして、「県福祉職」の礎を築いていきたいです。
7 群馬県職員を志望した理由
私は幼少期から子どもに携わる仕事をしたいと感じていました。就職活動時に教育と福祉で悩んだ際には、福祉分野の方が、身近な日常生活の場面に関わるものであり、日常の悩み事などについて、「教える」という立場ではなく、子どもと同じ視点に立ってそれらの問題への支援をしていけると感じて児童福祉分野に進むことに決めました。
また、児童福祉には直接児童と接する民間の福祉施設で働くという選択肢もありましたが、児童やその周囲を取り巻く問題の根本解決に携わりたいという気持ちから、児童相談所で働きたいと感じ、現職を希望しました。
8 受験時に心がけたこと
専門試験については大学で勉強をしてきたことの復習に取り組み、教養試験では、例題や市販の問題集に目を通し、解き方のポイントを抑えられるように準備をしました。
面接試験では、自分が学生生活でやってきたことや福祉行政の各種施策などについて感じたことに自信を持って、自分の熱意を感じてもらえるような受け答えができるように準備をしました。
9 未来の後輩へ
福祉職という仕事柄、やりがいを感じられるようなことばかりではなく、辛いこともあります。しかし、援助方針など担当業務のなかで判断に迷うことがあっても、福祉職の先輩をはじめ、職場の方々の温かい指導や励ましをいただいているなと感じることが多いです。県福祉職の業務でわからないこと、不安なこともあるかと思いますが、子どものために「なんとかしたい」という熱意と覚悟さえあれば、福祉職を目指してほしいです。
やる気にあふれる皆さんと一緒に「県福祉職」を築いていけることを楽しみにしています。
相談しやすい雰囲気づくりに努めています