獣医師1（食肉衛生検査所・後藤　愛美）

食肉衛生検査所　後藤 愛美

​掲載内容については、令和2年3月現在の情報です。

1　現在の仕事

　群馬県内の食肉処理施設や食鳥処理施設に赴き、検査員として、家畜（牛・豚）及び家きん（鶏）が食用に適しているか否かを1頭、1羽ごとに検査するほか、衛生的に作業が行われているかを監視・検証する業務にも携わっています。
　また、対米等輸出食肉認定施設においては、施設構造や作業手順が輸出相手国との取り決めに適合しているかの監視・指導や、食肉輸出に必要な書類（衛生証明書）の発行業務等を行っています。

2　職務経歴

3　県職員の仕事の魅力・やりがい

　現在携わっている、と畜検査業務では、検査対象が生体から解体後の頭や内臓、枝肉と幅広く、様々な症例があることから、自分一人では判断に迷う時もあります。そのような時は、上司や先輩職員にアドバイスをもらいながら対処しますが、その都度、新たな知識が身につきます。経験を積むほど知識が蓄積され、自分自身の成長につながることが、この仕事の魅力だと思います。
　また、私達が検査して合格した食肉は、店頭に並び、皆さんの食卓へと届きます。食の安全を確保する上で、重大な判断を任されているため、大きな責任とやりがいを感じる仕事です。

4　これまでの仕事で印象に残った業務やエピソード等

1．と畜検査業務

　群馬県は関東有数の畜産県であり、と畜場で1日に処理される家畜の数も多いため、1頭当たりに掛けられる検査時間は長くありません。検査員は、瞬時に適切な判断を下さなければならないほか、検査の過程で商品価値を落とさないよう、肉の切り方などにも気を遣う必要があります。最初の頃はスピードに慣れるのに精一杯で、的確な検査ができるか不安でしたが、職場の支援体制が整っており、困った時には周りの上司や先輩職員が助けてくれるので、今では安心して検査に臨めるようになりました。

2．対米等輸出食肉認定施設の監視・検証業務

　群馬県には、全国でも数少ない対米等輸出食肉認定施設があり、この施設では、約20年も前から独自のＨＡＣＣＰプランに基づいた厳格な衛生管理を行っています。そうした施設での監視・検証業務を行うに当たっては、ＨＡＣＣＰプランを熟知しておく必要があります。また、指導を行う上では、大きな緊張感を伴いますが、公務員獣医師に求められる衛生に関する基本的な考え方を形成する上で、とても貴重な経験になっています。

3．牛肉の輸出

　群馬県にある対米等輸出食肉認定施設では、アメリカ、カナダ、香港、EU、シンガポール、メキシコ、ベトナム、タイ等、多くの国に対して牛肉の輸出を行っています。輸出国によって、と畜解体作業や衛生証明書発行の際に異なる決まり事が設けられており、国ごとの考え方の違いが分かるので興味深いです。

5　採用前と採用後のギャップ

　公務員は、マニュアルどおりの仕事を淡々とこなす、というイメージを持っていましたが、実際には、社会情勢の変化に応じた根拠法令・要綱の改正に柔軟に対応したり、自分自身で考えて行動したりする場面が思った以上に多く、やりがいがあると感じています。

6　今後の目標、これから挑戦したいこと

　食肉衛生検査所では、自分の担当する業務以外にも興味のある分野があれば、他の担当者の業務を見学したり、自分で研究テーマを設定して調査研究を行ったりと、知見を広げるための体制が整っています。そうした環境を活かして、今後は担当以外の業務についても勉強し、広い視野を持った職員になりたいと考えています。

7　群馬県職員を志望した理由

　日々の仕事をしながら、担当する業務に関連した分野の調査研究にも取り組める県獣医師は魅力的だと考えました。また、私は埼玉県出身ですが、より畜産の盛んな県で働きたいと思い、関東圏で海外への輸出実績がある群馬県を志望しました。

8　受験時に心がけたこと

　筆記試験対策では、市販の参考書を活用して勉強しました。
　また、面接試験では、多岐に及ぶ公務員獣医師の業務の中で、自分が群馬県職員としてやりたいと思っていることを、具体的に伝えるよう心がけました。

9　未来の後輩へ

　獣医師の仕事というと、小動物や大動物の臨床獣医師が真っ先に浮かぶと思いますが、県獣医師も人々の生活に欠かすことができない、重要な仕事を担っています。みなさんも群馬県職員として一緒に働いてみませんか。

食の安全を守るため、日々検査業務に取り組んでいます

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