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福祉(ぐんま学園・長谷川 実祐)
ぐんま学園 長谷川 実祐
掲載内容については、令和6年2月現在の情報です。
1 現在の仕事
ぐんま学園という児童自立支援施設の男子年長児寮の職員として、児童と一緒に生活しながら働いています。児童が寮にいるときは、一緒に作業や勉強をしたり、児童との面接を行ったり、児童が分校に行っている間は、自立支援計画の作成、行事やイベントの企画、児童相談所等の関係機関との連絡調整等を行っています。
ぐんま学園には様々な事情や課題を抱えた児童が入園しており、時には不適切な行動に対して、毅然とした態度で指導することもありますが、生活の中で児童の成長を感じる機会も多いです。個々の児童の状況に応じた適切な指導内容を職員全体で考え、児童の自立の支援のために日々取り組んでいます。
2 職務経歴
年度 | 所属 | 説明 |
---|---|---|
令和元年度 | 中央児童相談所 | 児童虐待をした保護者への指導や再発防止に向けた支援を行いました。 |
令和4年度 | 現所属 | 「1現在の仕事」のとおり |
3 県職員の仕事の魅力・やりがい
直接県民とやり取りできることが福祉職の魅力の一つであると思います。対人援助の仕事は正解がなく、ご家族と意見が合わないことや、児童とのかかわり方にとても悩むこともあります。その中で、「子どものために」という考えを保護者と共有しながら、子どもの安心・安全を作っていけたときや、入所児童の日々の小さな成長にやりがいや喜びを感じます。
また、直接県民とやり取りする仕事だけでなく、現場経験を活かして福祉行政全体に携わる仕事を経験できることも県福祉職の魅力だと思います。
4 これまでの仕事で印象に残った業務やエピソード等
(1)面接の工夫
虐待を受けている疑いがある場合、事実確認や子どもの気持ちを確認するために、子どもと面接をします。その際、誘導にならないよう聞き取りを工夫する必要がありました。「はい」か「いいえ」で答えられないオープンクエスチョンで聞くのは幼い子ほど難しいですが、こちらが「お腹をグーで殴られたの?」という聞き方をしてしまうと、子どもは「そうだったかもしれない」と記憶が上書きされてしまうことがあります。そのため、子どもが語った言葉を大切にしながら面接をするよう心掛けました。また、何度も同じことを繰り返し聞くことは、子どもにとって心理的な負担が大きいため、1度の面接で事実確認を終えられるようにしていました。
これらのことを意識して取り組んでいても、1、2年目は難しさを感じることの方が多かったのですが、面接の研修を受け、面接後に先輩職員との振り返りを繰り返すことで、3年目には自信を持って面接に臨めるようになりました。
(2)乳幼児とのかかわり
児童相談所では、乳幼児を一時保護することもあります。乳幼児は自分で何があったのかを説明できないため、事実の確認が非常に難しく、保護者や関係機関と繰り返し面接を重ねて対応しました。
また、3歳未満の場合、乳児院へ一時保護委託をしていますが、職員が乳幼児を抱っこして移送することがあります。入庁前に実習やアルバイト等で関わってきたのは小学生以上の子どもたちでしたので、抱っこの仕方から先輩職員に教わり、生まれて初めて乳幼児を抱っこしました。担当した乳幼児は会うたびにできることが増えており、その発達スピードに驚くこともあり、乳幼児を担当する仕事の難しさと幅広さを実感しました。
(3)環境設定の大切さ
ぐんま学園には、個々の児童が、それぞれの課題を抱えて入所しているので、大なり小なりほぼ毎日トラブルが起きています。職員は、児童が穏やかに過ごすためにどうすればよいかを日々試行錯誤しています。例えば、小さな刺激(音や目線等)にもすぐに反応してしまう児童は、刺激を減らすために一人で過ごす時間を作りました。また、児童だけでやり取りする時間が増えると、コミュニケーションの齟齬が起こりトラブルに発展するおそれがあるため、個々で過ごす時間を増やしました。どういう環境設定がその児童にとって最適なのか、決まった正解がない中で寮内でも毎週話し合いながら、児童への対応をしています。
先輩職員の考え方を聞いたり指導の仕方を見たりしながら、知識や経験を増やして児童が穏やかに生活でき、自分自身の課題を振り返ることができるよう、手助けしていきたいです。
5 入庁前と入庁後の印象
入庁前に児童相談所での勤務経験がある大学の先生から話を聞いていたため、入庁後に大きく印象が変わることはありませんでした。
しかし、入庁後に勤務した児童相談所で、虐待対応案件の家族へ指導・支援を提供していくことの難しさ、家族が求めている支援が提供できないことへのもどかしさを肌で感じました。それとともに、市町村や学校、保育園等子どもに関わる機関や、保護者へ支援を行っている機関など、様々な方たちと協力しながら支援をしていくことの大切さを感じました。
6 今後の目標、これから挑戦したいこと
「福祉」と一言で表されますが、児童、高齢者、障害者、生活保護等、県で担っている福祉分野は多岐に渡ります。児童相談所やぐんま学園などの児童福祉分野で経験を積んで、群馬県の福祉全般に携わっていきたいです。
7 群馬県職員を志望した理由
大学では社会福祉を専攻していましたが、教育分野にも関心があり、大学に入学した頃から漠然と児童分野での就職を考えていました。大学3年時のしろがね学園での実習をきっかけに、児童相談所で働いてみたいと思うようになりました。また、大学での学びを通して、福祉行政にも関心を持ち、現場と福祉行政の両方に携わることができる群馬県職員を志望しました。
8 受験時に心がけたこと
筆記試験の専門科目は、大学時に取得を目指していた社会福祉士国家試験の勉強と並行して行い、教養科目は問題集を購入し、なるべくたくさんの問題に触れるようにしました。
面接試験は、大学の先生や公務員試験を受ける友人に協力してもらい、何度も受け答えの練習をしました。そのおかげで、受験当日は「準備してきたから落ち着いてやれば大丈夫」と自分に言い聞かせ、落ち着いて面接に臨めました。
9 未来の後輩へ
福祉職や児童福祉の現場で働いている人たちは温かい人ばかりです。子どもや保護者とのやり取りに悩むことはたくさんありますが、先輩や同期に話を聞いてもらったり、時には後輩と他愛のない話をしたり、日頃からコミュニケーションがしっかり取れているため、支えあって仕事をすることができます。
福祉職として群馬県の福祉を盛り上げていきましょう!一緒に働くことを楽しみにしています。
子どもたちと一緒に食事の準備をしています