1 日時
令和6年6月18日(火曜日)13時30分から16時00分
2 場所
群馬県立藤岡北高等学校
3 出席委員
10名 (加藤委員(会長)、飯野委員(副会長)、後藤委員、田中委員、山口委員、細谷委員、大嶋委員、簑輪委員、金田委員、時田委員)
※欠席委員 2名(村山委員、作能委員)
4 次第
- 開会
- 群馬県産業教育審議会長挨拶
- 群馬県教育委員会教育長挨拶
- 委員及び幹事自己紹介
- 学校概要説明(群馬県立藤岡北高等学校長)
- 生徒活動発表
「明日の公園をDesignする」ガーデニングコース ガーデニング部
「小川の未来を考える」環境工学コース 環境工学部
- 授業・施設・設備等視察
- 審議
「地域や産業界と連携した実践的な職業教育の在り方について
~持続可能な社会の創り手の育成に向けて~」
- 閉会
5 議事概要
会長
「地域や産業界と連携した実践的な職業教育の在り方について~持続可能な社会の創り手の育成に向けて~」というテーマでの審議をお願いする。
専門学校の学習内容に必要なこと、インターンシップや外部講師の派遣など産業界として協力や連携できること、持続可能な社会の創り手の育成について、職業教育の推進に係るICTや実験・実習のための環境整備などの視点から、本日の学校紹介等を踏まえて、委員の皆様方の御意見をいただきたい。
委員
- 生徒が皆明るい。楽しく活動している姿を拝見した。
- 卒業後、就職するにせよ進学するにせよ、手に職を持つことの素晴らしさを教えてくれていると感じた。本校の生徒は、将来職に就いたとき、すぐに第一線で動けるのではないかと思う。
- どのコースの生徒も頼もしく見えた。社会に出たときに、「あなたはもう責任を持ってできるね」と言われるくらい、子供たちは成長できているのではないか。こうしたところを大事にして生徒を育てていることに大変感動した。
- 本校は校地が大変広い。奥に入ると、車が走るところや人が歩いているところも見えず、生徒はのびのびとしている。こうした環境の良さも最高である。
委員
- 生徒の発表は大変素晴らしかった。学んだことが活用され、自分の言葉で表現する、正に学習指導要領が求めている資質・能力を上手に連携させて実践した内容であった。
- 人間が知識を蓄積し活用するプロセスでは、知識として理解することももちろん必要であるが、そのためには自分たちの体験に基づいて、自分なりに知識を体系化していく、そのプロセスに実習がうまく組み込まれていることを実感し、大変素晴らしいと思った。
- これだけの素晴らしい教育を行っているが、もったいないと感じたことが一つある。教育目標について、もっと魅力的に書けるのではないかと思う。それぞれのコースによって学びは違うが、身に付いていく資質・能力は同じように表現できると思う。今は学習成果の可視化と言われるが、学習成果指標としてどういう資質・能力をここで高めているのかをピンポイントで表現すると、より本校の教育の魅力や中身を示せるのではないか。現在ももちろん素晴らしい表現ではあるが、授業の中身とリンクさせ、具体的に育てる力を表現していただけると、より魅力が伝わりやすいのではないか。素晴らしいからこそ、そこを表現していただければよいと感じた。
委員
- 視察を通して「学び方」の重要性を感じた。私は、自分が学ぶときはワクワク、ドキドキしたいと常に思っているが、本日、会話をした生徒は全員常に笑顔であった。生徒たちは、楽しく、ワクワク、ドキドキしながら毎日過ごしているのではないかと拝察した。学び方がすごく上手な生徒なのだと感じた。
- 生徒は全てを自分事として捉えているのではないか。それは、これからの教育で必要であると思う。他人事である人が多い世の中で、自分事として楽しめる時間を過ごすことができる学校があるのはすごく大事である。
- 市の教育委員会にも携わっているが、こういう高校生がいることを、下の世代にも伝えていただきたい。「こんな楽しい時間がある」という希望を持たせてもらえると大変嬉しい。
委員
- 一つ目は、このように地域とつながるきっかけを、先生方がたくさんの場面で作っていると思う。是非、先生方の取組をこれまで以上に、校長先生はじめ、他の先生方や教育委員会の方々にも認識していただき、さらに広がるように支援いただければと思う。
- 二つ目は、現在、国を挙げて、みどりの食料戦略等で有機農業の推進を図っている段階である。群馬県としても有機農業を進めており、我々有機農家を応援いただいているので、是非とも農業高校も有機農業についての知見や、我々有機農家との交流の場を作っていただけると嬉しい。
- 最後に、有機農業に限らず、農業の楽しさを農家として、若手の皆さんと共有する場をどんどん作っていきたいと感じた。農業というのは、農作物を作って出荷するだけではなく、経営をするという楽しさもある。ブランディングをしながらビジネスとして農業をどのように成り立たせていくのか知ってもらい、若い生徒の知見と経験、そして素晴らしいアイデアを学び合える機会を一緒に作っていきたい。
委員
- 大学のゼミの発表で見られるような素晴らしい発表内容であり、活動も素晴らしかったと感じた。生態系について考えることはとても大切で、私たち大人ももっと見習わなければならないと反省した。
- 知識を詰め込むだけで大学に進学するような教育が本当に効果的なのか疑問に思うことがある。本校の教育は、知識だけではなく活動を通じてそれを活用できるようにしており、とても素晴らしいと感じた。
- 地域社会や企業との連携についても活動が実っていると感じている。造園会社様の応援や協力が生徒の皆さんにとってとても良い経験と結果につながっていると感じた。
- ただ、就職や進学においては、せっかくの学び、経験が未来につながっている生徒が少ないと感じた。良き学びと経験が彼らの未来につながっていけるような形になることを願っている。
委員
- 教育課程が特徴的であり、生徒一人一人の能力や個性を伸ばす学科・コースが実施されている。特に課題研究では、ガーデニングや環境工学など地域行政と連携し、学習指導要領に則った実践的な活動を行っており、科学的な根拠に基づいた研究が重要視されていた。
- 現在、農業を学んでいるが、農業高校の重要性を認識しており、担い手不足や耕作放棄地の問題を解決するためには、教育と地域産業の連携が不可欠と考えている。生徒の現場実習や技術研修、企業との共同研究等、地域の企業との連携を通じて、学校の教育内容が充実し、生徒の活動の幅が広がっている。
- 農業高校の使命は、担い手の育成にあり、地域に人材を還元することも重要である。今後も地域との連携を強化し、農業を支える人材を育成してほしい。
委員
- 生徒たちが幅広い分野に関わりを持ちながら学んでいる姿を見させていただき、自分の中の考えを改める良い機会であった。地域連携をしている生徒の発表などを聞いて、未来をしっかり見せているというところに感銘を受けた。
- 教育活動の中で、先のつながりを、生徒たちにすごく考えさせていると感じた。このような活動は、もっと世間にアピールしてよいと思う。
- 生徒の成長の裏には、先生方のものすごい支援があったと思う。先生方は生徒のためだと時間はどうでもよいとなってしまいがちであるが、先生方の働き方について心配される部分がある。このような教育実践を続けるためにも、先生方の働き方をもう少し見直ししてもらい、頑張り過ぎない働き方も検討してもらいたい。参考までに、先生方の働き方改革について、最後に教えていただきたい。
委員
- 委員の皆様の話にあるように、生徒が楽しみながら活動し、先生方も熱心に教えており、地域との連携もよくできている。
- このような活動が学校でなされている一方、農業に関して国の対応に課題を感じている。最近あった農業基本法改正に当たっては、食料安全確保が議論された。東大の鈴木宣弘先生の講演では、現在の稲作農家の時給は極端に低く、また、有事の際の食糧安全確保の観点でも問題が多いとの指摘があった。農業に対して、国のもっと手厚い対策が必要であると感じている。
- 外国人労働者に対する育成就労制度が創設されたが、日本語教育を含む外国人労働者の受入れについても課題があると感じている。
- 少子高齢化の時代が進行していく中で、農業を始めとする産業界に危機感を感じており、これから社会に出て行く子どもたちのためにも、解決していくべき課題として共有させていただいた。
委員
- 藤岡北高校の教育活動に関する説明と生徒の皆さんの発表はたいへん素晴らしかった。
- 特にヤリタナゴの生息、環境整備の関係について、モニタリングの時間を取って、科学的なデータに基づいて運用しているという点が素晴らしい。更に、専門家の意見や知見も取り入れながら、軌道修正を図り、3年間継続して取り組んできたというところは、素晴らしい教育だと思う。また、NPO法人につながるような取組をされており、まさに実践的な職業教育であると感じた。
- 将来、更に専門性を高めるために、農業系の大学等に進む生徒や、学んだ専門とは異なる、キャリアチェンジを図るという生徒もいるが、より専門性を高めていくためにも、このような教育活動を続けていただきたい。
会長
- 平成26年に藤岡北高校で本審議会が開催された際は、六次産業化を行うことにより、生徒が地域とのつながりを強め、社会を知るために非常に役立ったという審議があった。
- 国や県がデジタルトランスフォーメーション(DX)やデータ管理を推進しているが、本日見学したハウスでは、生物育成環境を集中管理できるようなシステムが整っていないと感じた。教育委員会が農業のイメージを変えるような環境管理ができる場を創出し、農業の生産性を向上させることで、より魅力的な産業になるだろう。
- 学校が産学官に渡る広いネットワークを活用し、生徒が視野を広げ、将来この地域に住みたいと思えるような取組をしている。校長や教員が中心となり、様々な協力を仰いでいるが、それは学校にとって大きな負担になることもあると感じる。生徒のために努力していることは理解しているが、その点についてどう感じているかを知りたい。
- 外国人労働者の受入れについては、今後ますます推進する必要があると考えている。その上で重要になるのは日本語教育であるが、これについては受入企業がかなりの費用を負担している現状がある。国の政策としても外国人労働者を受け入れないと成り立たない状況にあり、県や国が積極的に取り組むべき課題だと考えている。この点については、会議所の会頭として様々な場面で訴えていきたい。
学校長
- 研究活動については、多くの時間を費やし休日も返上して取り組んでいる。教員が指導しながらも、生徒たちは多様な発想を出し、その発想に基づいて実際に試みるという広がりがある。これは素晴らしいことであり、地域の協力もあって評価が高まり、その分負担が増えている点は否めない。
- 地域に開かれた学校として地域との連携も重視している。特にコロナ禍以降、新たな連携活動の構築を進めている。生徒の成長を見える形にする活動を優先し、教育活動を精選しながら地域との連携を通じて教育効果を高めたい。
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