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【10月4日】令和3年度 群馬県立病院におけるヒヤリ・ハット事例等の発生状況についてー患者さんが安心して安全な医療を受けられる県立病院を目指しますー(病院局経営戦略課)

更新日:2022年10月4日 印刷ページ表示

 群馬県病院局では、4つの県立病院(心臓血管センター、がんセンター、精神医療センター、小児医療センター)において、患者さんが安心して安全な医療を受けられるよう、医療の安全を確保するための取組を行っています。

 さらに、医療の透明性を高め、医療や県立病院に対する県民との信頼関係を築くことを目的に、毎年度、県立病院におけるヒヤリ・ハット事例等の発生状況について公表を行っています。

令和3年度の概況

 県立4病院全体の報告件数は4,145件(前年度比707件減少)で、レベル0~3aのヒヤリ・ハット事例が4,121件(前年度比715件減少)、レベル3b~5の医療事故が24件(前年度比8件増加)でした。全体の報告数の減少は、入院患者数の減少(前年度比12,505人減少)等が原因と考えています。
引き続き、職員には些細なこと、軽微なことでも積極的に報告することを求め、事故等の実態や潜在的なリスクの把握に役立てていきます。

1 レベル別報告件数

レベル別報告件数一覧(単位:件)
区分 レベル 4病院合計 心臓血管センター がんセンター 精神医療センター 小児医療センター
令和3年度 令和2年度 増減 令和3年度 令和2年度 増減 令和3年度 令和2年度 増減 令和3年度 令和2年度 増減 令和3年度 令和2年度 増減
ヒヤリ・ハット
事例
0 1,207 1,435 -228 148 165 -17 307 441 -134 400 455 -55 352 374 -22
1 1,838 2,171 -333 569 713 -144 629 759 -130 228 258 -30 412 441 -29
2 982 1,121 -139 261 357 -96 509 442 67 107 145 -38 105 177 -72
3a 94 109 -15 14 32 -18 23 42 -19 19 16 3 38 19 19
小計 4,121 4,836 715 992 1,267 -275 1,468 1,684 -216 754 874 -120 907 1,011 -104
医療事故 3b 24 16 8 4 2 2 15 9 6 1 1 0 4 4 0
4a 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
4b 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
5 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
小計 24 16 8 4 2 2 15 9 6 1 1 0 4 4 0
合計 4,145 4,852 -707 996 1,269 -273 1,483 1,693 -210 755 875 -120 911 1,015 -104
<参考>県立4病院の報告件数の推移(単位:件)
事故レベル 令和元年度 令和2年度 令和3年度
0 1,605 1,435 1,207
1 2,116 2,171 1,838
2 1,061 1,121 982
3a 81 109 94
3b 5 16 24
4a 0 0 0
4b 2 0 0
5 0 0 0
合計 4,870 4,852 4,145

県立4病院の報告件数の推移の画像

2 医療事故等のレベル区分及び公表基準

医療事故等のレベル区分及び公表基準一覧
区分 レベル 継続性 程度 内容 公表基準
重大事案(※注) 重大事案以外
ヒヤリ・ハット事例 0     エラーや医薬品・医療用具の不具合が見られたが、患者等には実施されなかった   包括公表
1 なし   患者等への実害はなかった(何らかの影響を与えた可能性は否定できない)   包括公表
2 (一過性) 軽度 処置や治療は行わなかった(観察の強化、バイタルサインの軽度変化、安全確認のための検査などの必要性は生じた)   包括公表
3a (一過性) 軽度 軽微な(簡単な)処置や治療を要した(消毒、湿布、鎮痛剤の投与など)   包括公表
医療事故 3b (一過性) 中等度~高度 濃厚な処置や治療を要した(バイタルサインの高度変化、人工呼吸器の装着、手術、入院日数の延長、外来患者の入院、骨折など)   包括公表
4a (永続的) 軽度~中等度 永続的な障害や後遺症が残ったが、有意な機能障害や美容上の問題は伴わない   包括公表
4b (永続的) 中等度~高度 永続的な障害や後遺症が残り、有意な機能障害や美容上の問題を伴う 個別公表 包括公表
5 死亡   死亡(原疾患の自然経過によるものを除く) 個別公表 包括公表

(※注)明らかに誤った医療行為が原因となって発生した場合など

包括公表

 対象事例について、当該年度1年分を一括して翌年度に公表する。

個別公表

 対象事例について、群馬県立病院医療事故等公表基準により個別に公表する。

ヒヤリ・ハット事例及び医療事故の定義

  • ヒヤリ・ハット事例(レベル0~3a):日常の診療過程で患者に影響を及ぼすことはないもの又は軽度な影響にとどまるが、医療従事者がヒヤリとしたり、ハッとした事例
  • 医療事故(レベル3b~5):疾病そのものではなく、医療に関わる場所で、医療の過程において患者に影響を及ぼした事象(医療行為や管理上の過失の有無を問わない)

3 内容別報告件数

※報告のあった内容のうち、構成比における上位3位の内容を掲載。

内容 県立病院合計 心臓血管センター がんセンター 精神医療センター 小児医療センター 具体例
件数 構成比 件数 構成比 件数 構成比 件数 構成比 件数 構成比
与薬(内服・外用) 459件 11.1% 110件 11.0% 171件 11.5% 101件 13.4% 77件 8.5% 薬の飲み忘れ、指示と違う量を投与した等
処置 253件 6.1% 112件 11.2% 114件 7.7% 4件 0.5% 23件 2.5% 処置後の出血、テープを剥がす際に皮膚が傷んだ等
検査 473件 11.4% 100件 10.0% 261件 17.6% 18件 2.4% 94件 10.3% 食事を控える指示を患者が忘れ検査が遅れた、検査を受けずに帰った等
ドレーン・チューブ類の使用・管理 519件 12.5% 159件 16.0% 178件 12.0% 8件 1.1% 174件 19.1% 点滴治療の際に血管の外に薬が漏れた、患者が自分でチューブ類を抜いた等
観察 490件 11.8% 64件 6.4% 110件 7.4% 253件 33.5% 63件 6.9% 皮膚の損傷・発赤・床ずれ等を発見した、患者の暴力行為や器物損壊があった等
食事と栄養 183件 4.4% 13件 1.3% 34件 2.3% 37件 4.9% 99件 10.9% ミルクの濃度や種類等の調乳間違い、配膳部署の誤り等
転倒・転落 373件 9.0% 74件 7.4% 154件 10.4% 95件 12.6% 50件 5.5% ベッドから落ちた、トイレに行こうとして転んだ等

<参考> 各病院における医療安全対策の取組事例

 県立4病院では、ゼネラルリスクマネージャーを中心に、院内医療安全管理委員会や下部組織の各種委員会において事例分析や対策の立案を行い、日々、医療安全対策を実施しています。令和3年度の活動事例は次のとおりです。

(1)心臓血管センター

医療安全ラウンドの取組

 病院で働く様々な職種(医療局、看護部、薬剤部、検査課、臨床工学課、リハビリ課、栄養調理課、健康指導局、事務職)の代表者が一つのグループとなり、月に一回、医療安全ラウンドを実施している。
 医療安全ラウンドを通して他の職種の仕事の状況を理解し、安全への配慮がどのようにされているかを確認している。医療安全ラウンドの結果はリスクマネジメント委員会で報告、共有される。更に委員会に出席している各部署の代表であるリスクマネージャーが職場に伝達し、問題点についての改善方法を検討する。医療安全ラウンドを継続して実施する目的には、検討した対策が現場に浸透し継続されているか確認することが含まれる。この一連のサイクルを病院職員が一丸となって継続することで安全な環境づくりを行っている。

(2)がんセンター

Team STEPPS(R)導入の取組

 医療事故の要因は半数以上が非医療技術によって発生しているといわれている。TeamSTEPPS(R)(チームステップス)は、ヒューマンスキルの向上をチームとして取り組むことができるものであると同時に、チーム自体がパフォーマンスを向上させることができる有益なツールである。
 全職種を対象にチームステップスマスタートレーナーのWEB研修を行った。「チェックバック」「CUS(カス)」「2 チャレンジルール」等のツールが意識的に使われ始めており、全職種でチームステップスに取り組み安全文化の醸成とチームで取り組む医療安全を目指していく。

(3)精神医療センター

医療安全推進週間 ImSAFERの取組

 ImSAFER(アイエムセイファー)とは、ヒューマンエラーに関係した事象分析手法のひとつである。その目的は、何が起こったのか、どのように起こったのか、そして、なぜそれが起こったのかを明らかにして、二度と事故が発生しないように、具体的に有効な対策を導き出すことにある。
 各部署で実際に発生した事案について、ImSAFERの手法を用いて分析を行い、具体的で有効な対策を導き出して、まとめたものを11月の医療安全推進週間を利用して掲示した。

(4)小児医療センター

KYT 定着に向けた取組

 組織における安全管理の一環として、危険を予知する能力を高めるための危険予知トレーニング(KYT)を日常業務内に取り入れ、医療現場にあるリスクに対する気づきを増やすことを目的として、定着化に向けた取り組みを行った。
 各部署の看護師長が中心となり実践計画を立案し、日々の業務にKYTを取り入れ訓練を繰り返し行うことができた。スタッフ間で気づいたリスクを共有することが医療安全においては重要であるため、今後もリスク軽減に繋げられるようKYTの定着に向けた活動を継続していく。

(5)病院局共通

患者確認の定着に向けた取組

 医療事故につながる「患者誤認」を防ぐためには、患者確認を一人一人の職員が徹底する必要がある。そこで、県立4病院の患者に関わる全ての職員を対象に、平成28年度から毎年期間を定めて「患者確認に係る自己評価」を行い、患者確認行動の定着を図っている。