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計画に掲げる16施策(83個別事業)のうち、危機管理体制及び危機対応に係る2施策(7個別事業)を除いた14施策(76個別事業)を対象として、総合的な視点で評価をしました。
設定した数値目標の達成状況について、年次目標をどの程度達成したかを4段階により、事業所管課が評価をしました。また、個別事業実績を中心に、それ以外の成果や外部要因を加味し、事業実績についても4段階により、事業所管課が評価をしました。
評価区分 | 達成率 |
---|---|
A | 95%≦達成率 |
B | 75%≦達成率<95% |
C | 50%≦達成率<75% |
D | 達成率<50% |
評価困難 | 評価困難 |
評価区分 | 考え方 |
---|---|
十分 | 十分な実績をあげている |
概ね良好 | 概ね良好な実績をあげている |
やや不十分 | 実績がやや不十分である |
厳しい状況 | 実績が厳しい状況 |
評価困難 | 評価困難 |
一次評価の結果を踏まえ、計画全体の進捗状況等を総合的に分析・検証し、各施策について4段階で総合評価をしました。
評価区分 | 考え方 |
---|---|
順調 | 順調に進捗している |
概ね順調 | 概ね順調に進捗している |
やや遅れ | 進捗状況がやや遅れている |
遅れ | 進捗状況が遅れている |
評価困難 | 評価困難 |
二次評価の結果をもとに、群馬県食品安全審議会等で意見交換を行いました。
食品安全審議会等からの意見を踏まえて、最終的な評価をしました。
76個別事業のうち、数値目標を掲げている25項目を評価した結果、18項目(72%)がA評価、3項目(12%)がB評価、3項目(12%)がC評価、1項目(4%)がD評価でした。
一次評価(数値目標達成状況評価)(PDFファイル:50KB)
担当課室別の個別事業の総数は85事業で、実績評価の結果、85事業中36事業(42.4%)が「十分」、46事業(54.1%)が「概ね良好」、2事業(2.4%)が「やや不十分」、1事業(1.2%)が「評価困難」でした。
一次評価の個別事業に関連する指標データ等を含め、各施策を総合的に評価した結果、14施策中6施策(42.9%)が「順調」、8施策(57.1%)が「概ね順調」であり、令和元年度の計画全体の評価結果は、概ね計画どおり進展しているものと考えられました。
一次評価(個別事業実績評価)及び二次評価(施策評価)(PDFファイル:83KB)
平成28年度から令和元年度の4年間の取組について、一次評価(数値目標達成状況評価)、一次評価(個別事業実績評価)、二次評価(施策評価)及び成果目標の達成状況評価を実施しました。
数値目標を掲げている25項目の達成状況を評価しました。A評価(達成率95%以上)は平成28年度から平成30年度までに20項目から22項目に増加しましたが、令和元年度は18項目に減少しました。B評価(達成率75%以上95%未満)は、2項目から4項目の間で推移しました。C評価(達成率50%以上75%未満)は、平成28年度から平成30年度まで1項目でしたが、令和元年度は3項目に増加しました。D評価(達成率50%未満)は、平成28年度から平成30年度までありませんでしたが、令和元年度は1項目に増加しました。
4年間の一次評価(数値目標達成状況評価)(PDFファイル:70KB)
B評価以下の年度があった9項目についての評価は、以下のとおりです。
平成28年度においてB評価又はC評価であったものの、その後改善してA評価になったものは、2項目ありました。「20 出前なんでも講座の実施回数」は、平成28年度にC評価でしたが、その後に積極的な広報等により実施回数は増加しました。「22 「ぐんま食の安全・安心インフォメーション」(ホームページ)年間閲覧数」は、平成28年度にB評価でした。これは、平成29年2月に集計方法が変更されたことが原因です。その後、数値目標の見直し及びインターネットを活用した情報発信を積極的に実施し、以降は目標を達成しています。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、令和元年度の達成状況がC評価となったものは、「12 消費者を対象とした食品表示セミナー開催数」です。感染症の流行がなければ目標を達成する見込みでした。今後も感染拡大の防止に留意しつつ、新しい生活様式に沿ったセミナー開催を検討し、実施していく必要があります。
食品安全検査において、気象条件等の検体採取側の条件によりB評価となる年度があったものは、「5 農薬適正使用条例に基づく農産物等安全検査検体数」及び「6 食品安全検査センターにおける食品安全検査検体数」の2項目です。食品の安全確保のため、今後も引き続き計画的に検査を実施していく必要があります。
食品衛生法の改正が関連するものは2項目ありました。「18 HACCP導入支援のための講習会開催数」は、対象事業者に民間認証のHACCPの導入が進んだため、令和元年度は実施回数を減らしたことに加え、開催時期が新型コロナウイルスの感染拡大時期にあたり、感染拡大防止のため講習会を中止したことが大きく影響しています。「17 群馬県食品自主衛生管理認証制度施設数」については、4年間B評価が継続していましたが、法改正により本制度の役割が終了したことによるもので、令和3年5月31日に本制度を終了することとしています。
「1 農産物直売所巡回調査数」については、平成28年度までの調査で特に改善事項の多かった施設等を調査対象としたため、B評価が2回、C評価が2回でした。農薬の適正使用推進のため、今後も引き続き改善の必要な直売所を中心に巡回指導を実施する必要があります。
「3 大規模食品取扱施設等に対する監視指導件数」については、対象施設数の減少やHACCPによる衛生管理を行っている施設の監視頻度を見直したことなどから、指導件数が目標値よりも少なくなり、B評価が2回、C評価が2回でした。大規模な食中毒や食品事故防止のため、対象施設に対して今後も引き続き計画的に監視指導を行っていく必要があります。
担当課室別の個別事業のうち、評価対象となっているものは85事業で、これらについて「十分」、「概ね良好」、「やや不十分」及び「厳しい状況」の4段階で評価しました。「十分」という評価は、平成28年度には25項目でしたが、令和元年度には36項目に増加しました。「概ね良好」という評価と合わせると、個別事業のうち9割以上は「十分」又は「概ね良好」でした。「やや不十分」という評価は、1項目から4項目の間で推移しました。「厳しい状況」と評価した事業は、計画期間を通じてありませんでした。令和元年度には、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため事業を中止し、「評価困難」としたものが1事業ありました。
4年間の一次評価(個別事業実績評価)(PDFファイル:82KB)
「やや不十分」と評価した事業は、以下のとおりでした。
「群馬県食品自主衛生管理認証制度の推進」は、平成28年度から平成30年度まで「やや不十分」であり、令和元年度は「概ね良好」でした。この事業の状況及び今後の方針は、前述の1.「17 群馬県食品自主衛生管理認証制度施設数」のとおりです。数値目標は達成できませんでしたが、県独自の施策として、義務化されたHACCP導入の基礎を築く支援に繋がり、一定の成果がありました。
「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理方式の導入促進」は、令和元年度に「やや不十分」でした。この事業の状況及び今後の方針は、前述の1.「18 HACCP導入支援のための講習会開催数」のとおりです。
「出前なんでも講座」、「原木きのこの栽培管理に関する指導」、「原木きのこの栽培管理に関する指導指針の策定」及び「学校、保育所等関係者に対する研修の実施」については、平成28年度又は平成29年度に「やや不十分」となりましたが、次の年度には「十分」又は「概ね良好」の評価となり、改善されました。
16の基本施策のうち、評価対象となっている14施策について二次評価を実施しました。「順調」と評価される施策は増加傾向にあり、平成28年度に4施策(28.6%)でしたが、令和元年度には6施策(42.9%)でした。一方、「概ね順調」と評価される施策は減少傾向にあり、平成28年度に10施策(71.4%)でしたが、令和元年度には8施策(57.1%)でした。「やや遅れ」、「遅れ」又は「評価困難」という評価は計画期間を通じてありませんでした。
重点施策である5項目のうち、「輸入食品安全対策の推進」及び「食物アレルギー対策の推進」については、4年間「順調」と評価されました。また、「適切な食品表示の確保」は、令和元年度は「概ね順調」でしたが、平成28~30年度は「順調」を維持しており、「製造・加工・流通段階における自主衛生管理の推進」及び「食品表示の適正化の推進」は4年間「概ね順調」であったことなどから、重点施策に対する取組は、ほぼ順調に実施することができたと評価できます。
さらに、重点以外の施策でも「消費者・生産者・事業者・行政の相互理解の促進」は4年間「順調」であり、その他の施策も4年間のうちで「概ね順調」から「順調」に転じるものや4年間「概ね順調」を維持している状況から、計画全体を通しても施策をほぼ順調に実施することができたと評価できます。
成果目標は、各種施策の結果として達成されるものであり、6つの成果目標の達成状況は、表のとおりでした。なお、「生産者・事業者の取組を「信頼できる」と回答した県民の割合」、「「食中毒予防」に関する基礎的な知識を持っている県民の割合」、「食品の安全性に不安を感じている県民の割合」及び「「リスクコミュニケーション」の認知度」の4項目は、平成30年度に実施した「食品の安全等に関する県民意識調査」の結果で評価しました。
成果目標 | 平成26年度(基準) | 平成28年度(実績) | 平成29年度(実績) | 平成30年度(実績) | 令和元年度(実績) | 達成状況 | 令和元年度(目標) |
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食品安全検査における食品の規格基準等適合率 | 99.9% | 99.6% | 99.8% | 99.9% | 99.8% | 未達成 | 99.9%以上 |
人口10万人あたりの食中毒患者数(過去10年間の平均値) | 22.9人 | 15.2人 | 20.1人 | 17.7人 | 16.6人 | 概ね達成 | 20人以下 |
生産者・事業者の取組を「信頼できる」と回答した県民の割合 | 58.7% | 調査なし | 調査なし | 64.9% | 調査なし | 達成 | 60%以上 |
「食中毒予防」に関する基礎的な知識を持っている県民の割合 | 62.3% | 調査なし | 調査なし | 59.6% | 調査なし | 未達成 | 70%以上 |
食品の安全性に不安を感じている県民の割合 | 48.9% | 調査なし | 調査なし | 34.2% | 調査なし | 達成 | 40%以下 |
「リスクコミュニケーション」の認知度 | 11.4% | 調査なし | 調査なし | 6.9% | 調査なし | 未達成 | 20%以上 |
流通食品の安全性を評価する指標であり、目標値を99.9%以上とは、不適合率が0.1%以下であり、この数値であれば食品の安全性はほぼ確保されている状態です。各年度の実績は、99.6%から99.9%の間で推移しました。食品安全検査により規格基準等違反が判明する件数が多い年度があり、4年間のうち目標に到達したのは平成30年度の1年だけでした。引き続き、生産者及び食品関係事業者の法令遵守、衛生的な食品の取扱い及び適正な食品表示等、監視指導を徹底して行く必要があります。
食中毒対策の最終目標は食中毒発生ゼロです。現状は毎年食中毒が発生していることから、大規模食中毒防止に努めるものであり、目標は20人以下でした。事業者の自主的な取組や行政指導等により、計画期間中は15.2人から20.1人の間で推移しました。目標を達成したのは4年間のうち3年間であり、未達成の年でも目標値に近い水準であったことから、計画期間を通じて概ね目標を達成したと評価できました。
目標の60%以上に対して、平成30年度の実績で64.9%であり、目標を達成しました。県民意識調査では、近年、食品関係の法改正などもあり、生産者や食品事業者の自主衛生管理や適正表示の取組が進展し、食品事故等の発生が減少していること。また、行政による食品検査や監視指導を行っていることが理由としてあげられています。さらに、事故発生時の事業者の自主回収等適切な対応、消費者に対する迅速な情報提供により、事業者の取組に対する信頼性の向上も考えられました。
食中毒予防の基礎的な知識である「食中毒予防の三原則」を知っている県民の割合は、平成30年度は59.6%であり、70%以上という目標を達成できませんでした。次期計画でも、食中毒予防のため、「「食中毒予防の三原則」を知っている県民の割合」70%以上を目標に掲げて、さらなる県民への啓発に取り組む必要があります。
目標値を40%以下としていたところ、県民意識調査では34.2%となり目標を達成しました。近年、大規模な食品事故等の発生が減少しており、食の安全への不安が低下したためと考えられます。また、生産者や事業者の取組の信頼性の向上が、不安の低下(安心の向上)に関連していると考えられます。
目標値は20%以上でしたが、平成30年度の実績は6.9%であり、目標を達成しませんでした。基準年(平成26年度)の11.4%と比較しても認知度は低下しました。リスクコミュニケーション事業は、「リスクコミュニケーション」という用語の認知ではなく、リスクコミュニケーション事業に参加して内容の理解が得られることが重要です。そのため、より適切な指標として、次期計画では「リスクコミュニケーション事業参加者の理解度」としており、新しい生活様式に沿ったリスクコミュニケーションを実施し、県民への安心の提供に取り組む必要があります。
計画全体としては、一次評価及び二次評価のとおり、食の安全・安心の確保に向けた各種施策について、ほぼ順調に取り組むことができました。また、各施策の取組の効果の指標となる成果目標については、6項目中3項目について「達成」、「概ね達成」と評価でき、一定の成果を得ることができました。
当計画の4年間の取組の成果を踏まえ、今後も食の安全を確保し、これまで以上に「県民の誰もが安心できる食生活の実現」に向けて、食品の安全確保や県民への安心の提供などに取り組む必要があります。
また、法改正への対応や食を取り巻く社会情勢の変化を注視し、その変化に対応した新たな視点を加えるとともに、当計画において数値目標として未達成であった項目は、達成に向けて改善や目標の見直しを行い、目標を達成した項目は、より高い目標に向けて引き続き関係課室が取り組む必要があります。
なお、これらの課題については、新計画である「群馬県食品安全基本計画2020-2024」において既に対応しているところではありますが、さらに、今後は、昨今の新型コロナウイルス感染症拡大対策のための「新しい生活様式」など、社会情勢の変化を踏まえた食の安全・安心に関する取組が必要です。