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温度と湿度が高い夏は、食中毒を起こす細菌が増殖しやすいだけではなく、カビが発生しやすい季節でもあります。
カビは食品の品質を劣化させるだけでなく、中には毒素を産生し、人に健康被害をもたらすものもあります。食品の取扱いに注意し、カビの発生を防止しましょう。
カビは、酵母、キノコと同じ「真菌」と呼ばれる微生物の一種で、空気中に浮遊して、栄養素となる食品に付着し、発育する条件がそろうと菌糸を伸ばして成長し、胞子を空気中に放出して増殖していきます。
カビが発育するには主に栄養、水分、温度、酸素が必要ですが、特に梅雨時は温度(10~30度)、湿度(70%以上)ともにカビの発生に最適な時期です。
特にパンや餅、菓子類など、でんぷんや糖分を含んだ食品に発生しやすく、その他にもカビの種類によっては、野菜や果物、米や麦、ナッツ類などの食品にも発生します。
食品の品質を劣化させるだけでなく、中にはカビ毒を発生するものもあり、人に健康被害をもたらす可能性があります。
カビ毒は、種類によって汚染される食品や毒性が異なります。食品衛生上、注意が必要な主なものは次のとおりです。
カビ毒の種類 | 検出された食品例 | 毒性 |
---|---|---|
アフラトキシン類 | 落花生、ナッツ類(ピスタチオ)、穀類(とうもろこし、ハト麦)、香辛料(ナツメグ)、ナチュラルチーズ | カビ毒の中で最も毒性が強い 急性毒性…肝臓細胞の壊死、腎障害 慢性毒性…肝臓がん |
オクラトキシンA | 穀類、豆類(コーヒー、ココア)、乾燥果実、ビール、ワイン | 動物実験による肝臓毒性、腎臓への発がん性 |
デオキシバレノール、 ニバレノール |
小麦・大麦、とうもろこし | 急性毒性…おう吐、食欲不振 慢性毒性…免疫障害 |
パツリン | リンゴジュース | 消化管の充血や出血、潰瘍(かいよう) |
(注)急性毒性とは、摂取直後から摂取後数日以内に現れる毒性
慢性毒性とは、半年から1年程度の長期間にわたり連続または繰り返し摂取することにより現れる毒性
カビがないように見える部分にも、カビの菌糸や胞子によって汚染されている場合があります。また、カビ毒は熱に強く、一般的な調理では完全に分解することができません(100度~210度で60分以上加熱しても安定)。