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「そうざい」の衛生確保対策として、国は「弁当及びそうざいの衛生規範」(昭和54年6月29日、最終改正:平成7年10月12日)(以下、「衛生規範」という。)を製造(調理)及び販売の全過程における営業者による衛生的な取扱い等の指針として定めている。
この背景として、弁当やそうざいに関し、次の特徴がある。
衛生規範では、製造(調理)の衛生管理方法を重点に示されている一方、販売時の衛生管理方法については、具体的に示されていない。
平成29年8月に県内で発生したそうざい店におけるO157食中毒の事例に鑑み、その再発防止対策として、そうざい等を露出陳列して販売する場合の衛生管理のポイントを衛生管理指針にまとめ、食品営業者に示すこととした。
なお、指針の作成にあたっては、第一線で食品衛生業務を担当している食品衛生監視員の観点で、HACCPによる衛生管理の考え方に立脚した、微生物学的危害の分析に基づく衛生管理の具体的方法を示す。
露出陳列販売食品については、次の危害要因が考えられる。
ア 利用客の手指による汚染の防止
利用客の手指の洗浄消毒が必要であることから、消毒液を備えた手洗い設備を出入り口等の容易に使用できる場所に設置するとともに、その活用を促すための掲示又は場内アナウンスを行う。また、使い捨て手袋やアルコール消毒器等を設置し、活用を促す。
イ 利用客が利用するトング等の器具からの汚染の防止
衛生対策として次のことを実施する。
ウ 持ち帰り容器からの汚染の防止
持ち帰り容器の衛生的保管及び使用に際しては、容器を目視チェックして汚染の有無を確認し、汚染された又はその可能性のある容器は使用しない。
ア 陳列場所の室温の管理
エアコンなどにより常時25度以下の室温に保つ。
この場合、エアコンの吹き出し口の清掃を定期的に行うとともに、温度計を設置して、定時的に室温を確認する。
イ 食品の温度管理
サラダ等の未加熱食品については、冷蔵ショーケース内等で、10度以下に保つ。この場合、冷蔵ショーケースの温度を始業前、始業後のほか、営業中にも定時的に測定する。
なお、温蔵品の場合は、65度以上に保ち、適宜温度確認を行う。
ア 食品の長時間室温放置の防止
食品の陳列時間は、原則として調理後4時間を限度とするよう管理する。
ただし、冷蔵(10度以下)や温蔵(65度以上)の場合はこの限りではない。
イ 製造(調理)時間の異なるものの混在の防止
製造(調理)時間の異なるものは混在させず、必ず別容器に分けて、原則として調理後4時間を限度に陳列するよう管理を行う。
なお、陳列場所での掲示又はアナウンスにより、購入後の食品の速やかな冷蔵又は早めの喫食を促す。
1日の営業を始める前、営業中及び営業終了後に実施する。
なお、営業中においては、適宜頻度を定めて複数回実施する。
「3 衛生対策」に記載したもののほか、各施設で必要とする事項を点検者(食品衛生責任者等)を定め、点検表(チェックリスト)等を活用して実施する。
(1)「3 衛生対策」において行う温度確認やトング等の交換確認等の衛生管理の点検事項は、記録する。
(2)記録は、一定期間保存し、これにより衛生管理の検証を行う。
なお、日常的にチェックしている記録を利用客と共有することで衛生管理の見える化を図る。
(1)本衛生管理指針を参考に、各施設に最も適した実効性のある衛生管理マニュアルを作成する。
(2)作成したマニュアルは、衛生管理担当者だけでなく、必ず従事者全員に周知し、理解を促す。
(1)従事者の健康チェックは毎日行い、その記録を保存する。
(2)少量で食中毒を起こすとされている腸管出血性大腸菌O157、サルモネラ属菌及び赤痢菌を含む定期検便を年1回以上行い、その結果を保存する。
利用客の意識や行動の多様性を踏まえ、衛生的な利用を啓発する。
(1)この衛生管理指針は、露出陳列販売を行う場合の衛生管理について述べたものであるが、食品衛生の観点から、販売形態としては容器内に包装したもの、又は陳列ケース内に入れたものが原則である。特にサラダ等の未加熱食品は、衛生管理に注意を要する。
(2)露出陳列販売形態の抜本的衛生対策である蓋付き容器の活用を行う場合の衛生管理における留意事項は次のとおりである。