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スーパーマーケット等の冷凍ショーケースに陳列されている食品、すべてが冷凍食品だと思っていませんか。加熱調理済みであったり、生であったり、包装形態がしっかりしているものや簡易なもの、よく見てみると様々なものが見受けられます。一口に冷凍食品といっても、種類は様々ですし、冷凍ショーケースの中には「そうざい半製品」といって、冷凍食品とは分類が別の食品も混在しています。それぞれの特徴をよく理解して、家庭での食中毒を起こさないように注意しましょう。
新鮮な原材料を洗浄するなど、あらかじめ下処理されています。
組織が壊れて品質が変わらないよう、低温で急速に凍結されています。
流通過程における汚染や乾燥、酸化から食品を守るために包装(清潔で衛生的な合成樹脂、アルミニウム箔または耐水性の加工紙等)されています。
生産から販売まで一貫して、-15度以下(冷凍食品協会の自主的取扱基準では-18度以下)に保たれています。
冷凍前の加熱調理の有無、摂取前の加熱調理の必要性で分類されています。
食品衛生法により、製品として細菌数等の細かい基準が設定されています。この基準を満たしていない冷凍食品は販売等が禁止されています。
冷凍食品の分類 | 成分規格 | ||||
---|---|---|---|---|---|
細菌数(/g) | 大腸菌群 ※注1 |
E.coli ※注2 |
腸炎ビブリオ最確数※注3 | ||
無加熱摂取冷凍食品 | 10万以下 | 陰性 | |||
生食用冷凍鮮魚介類 | 10万以下 | 陰性 | 100以下 | ||
加熱後摂取 冷凍食品 |
凍結前未加熱 | 300万以下 | 陰性 | ||
凍結前加熱済 | 10万以下 | 陰性 |
※注1 ヒトや動物の腸管内の他、自然界に広く生息し、汚染の指標として用いられるもので、これが検出された場合、加熱工程や製品の取扱い、保存等に不備があったことが示唆されます。
※注2 ヒトや動物の糞便に由来する細菌で、これが検出された場合、糞便汚染が示唆されます。
※注3 海水中に生息する菌で、これが一定数以上検出された場合、食中毒を起こす可能性があります。
消費者自身が「煮る・焼く・蒸す」などの調理を行うことで、そうざいとして完成するもので、冷凍食品のような製造や管理に関する基準や成分規格等もなく、ほぼ生に近い状態のため、表示されている温度、加熱時間をきちんと守って調理を行わないと、食中毒を起こす危険性があります。
平成28年11月に静岡県の食肉加工業者が製造した冷凍メンチカツを原因として、腸管出血性大腸菌O157の食中毒が各地で相次いで発生しましたが、この冷凍メンチカツもそうざい半製品でした。
【表示例】
1.食品表示の枠外に冷凍食品の記載はありません。
2.名称欄に「そうざい半製品」または「メンチカツ」等、社会一般に通用する名称の記載があります。
【表示例】
3.食品表示の枠外に細かい調理方法が記載されています。
4.衣をつけただけのメンチカツ、エビフライ、カキフライ、加熱調理前のグラタン、ハンバーグ、餃子などの商品が販売されています。
メンチカツ
エビフライ
グラタン
(1)それぞれの食品の調理方法をよく守って、調理するようにしましょう。
(2)冷凍食品の多くは加熱調理されたものですが、凍結前に加熱調理されていないものもあるので、表示をよく確認して調理するようにしましょう。
(3)そうざい半製品は内部がほぼ生に近い状態なので、十分な加熱調理が必要になります。
(4)生の製品の場合、加熱調理の一般的な目安は75度以上で1分以上の加熱、ノロウイルス対策では85度以上で90秒以上の加熱が有効です。
(5)熱が中まで通っているか、中心部の状態を確認するのも有効です。
(参考)ステーキ肉とハンバーグの中心温度の差による火の通り具合
内閣府食品安全委員会リスクアナリシス講座「食品のリスクマネジメント@キッチン」より引用
肉や魚などの食材に付着している食中毒菌が、手指や調理器具を介して他の食品を汚染して、食中毒になる場合があります。手指や調理器具は十分に洗浄・消毒を行うようにしましょう。
食品に付着した菌は時間の経過とともに増殖するので、迅速に調理して、調理後は速やかに食べるようにしましょう。
一般的に食中毒菌は熱に弱いため、十分な加熱工程が有効な殺菌方法です。また、調理器具も洗浄後に熱湯や塩素系漂白剤などにより、消毒することも大切です。