1 SSESの概要
(1)社会情動的スキルに関する調査(Survey on Social and Emotional Skills)
- 児童生徒の社会情動的スキルの形成及び発達に関する要因を評価する国際的調査
- 今回が2回目(Round2)。1回目(Round1)は2019年に実施
(2)Round2(第2回調査)
1.参加国・都市【16か国・都市】
ブルガリア、ボゴタ(コロンビア)(※注1)、ボローニャ(イタリア)、チリ、デリー(インド)、ドバイ(UAE)、群馬(日本)、済南(中国)、ヘルシンキ(フィンランド)(※注1)、クドゥス(インドネシア)、メキシコ、ペルー、サンパウロ(ブラジル)、トリノ(イタリア)、スペイン、ウクライナ
(※注1)2都市がRound1からの継続参加
2.調査方法
- 社会情動的スキルに関する質問、家庭環境や健康状態、学校生活の状況、キャリアやジェンダーへの意識等について、1人1台端末を用いてオンライン上の回答フォームから回答
- 回答者個人が特定される情報は一切収集されていない
3.群馬県でのMain Survey(本調査)の実施状況
- 実施時期:令和5年5月9日~6月30日
- 対象校:公立・私立高校全校(79校)
- 回答者:生徒3,528名(※注)、教員608名、校長79名
(※注)本調査は15歳3か月~16歳2か月を対象に各校50人を無作為に抽出
4.調査結果の公表スケジュール
国際報告書(第1弾)令和6年4月26日公表【今回】
全体傾向のみ:社会情動的スキルと、個人・家庭・学校の特徴との関連性
国際報向書(第2弾)令和6年10月までに公表
全体傾向のみ:内容未定
参加国・都市別報告書 令和6年12月までに公表
国・都市ごとの特徴分析
ショートレポート 令和7年3月までに公表
調査結果の全体総括
2 SSES Round2 国際報告書(第1弾)
(1)題名
「Social and emotional skills for better lives
~Findings from the OECD Survey on Social and Emotional Skills 2023~」
(2)内容
- 社会情動的スキルと、個人・家庭・学校の様々な状況との関連性について、相関関係を国際比較等により分析
- 今回の報告書では、社会情動的スキル自体の国際比較(各参加国・都市のスキルレベル評価等)は、Round1とRound2の結果比較を除き、行われていない
(3)分析結果(社会情動的スキルと、個人・家庭・学校の様々な状況との関連性)
1.参加国・都市全体の主な傾向
- 生徒の年齢、性差、家族の背景によって社会的情動的スキルに格差がある。
- 社会情動的スキルが低い生徒は、Well-being(幸福)の結果が悪い傾向がある。
- 目標達成のための動機、粘り強さ、好奇心が高い生徒は、より大きな学業的成功を収める傾向がある。また、広い心をもち、柔軟な思考ができる生徒は、将来の教育やキャリアに対して準備ができており、より成功を求める傾向がある。
- 生徒の中には、社会経済的に恵まれていない生徒を含め、成功したいという強い思いがある。
- 生徒たちは、自分の社会情動的スキルに合ったキャリアパスを見つけつつある。
- 女子は、男子よりも健康的な行動が少なく、人生の満足度や心理的幸福感も低い傾向があるが、一方でより成功を求める傾向がある。
- Round1、Round2の両方とも参加したのは2つの地域(コロンビア・ボゴタ、フィンランド・ヘルシンキ)だけであるが、いずれの地域も2019年より2023年は、ほとんどの社会情動的スキルのレベルが低かった。
- 睡眠は心理的なWell-beingや生活満足度と強い関係性があるが、15歳のほとんどが十分な睡眠をとっていない。
2.群馬県の主な特徴(全体と異なる傾向だったもの)
今回の報告書では、スキルレベルを都市間で比較した分析は行われていないが、全体の傾向を分析する中で、特異な傾向が見られた都市が言及されている。群馬県の特徴的な傾向として挙げられていた主な項目は次のとおりである。
ア 参加国・都市全体よりも良い傾向のもの
- 社会情動的スキル全体として極端な性差がない。
- 共感する力、楽観主義、粘り強さ、責任感に社会経済的な差がない。
- 自分の生活や人間関係に対する満足度に社会経済的な差がない。
- 食事習慣について、多くの生徒が毎日朝食を食べていると回答している。
(群馬県:8割 ↔ 参加国・都市全体:約半数)
- 健康的な行動をとる傾向が、参加都市の中で2番目に高い。
- 遅刻がほとんどない。
(参加国・都市全体:2週間に少なくとも1度が約半数)
イ 参加国・都市全体よりも悪い傾向のもの
- 「自分の見た目が気に入っている」とする生徒の割合が少ない。
(群馬県:1/3 ↔ 参加国・都市全体:2/3)
- 起業する可能性があると回答した生徒が非常に少ない。
(群馬県:1/5未満 ↔ 参加国・都市全体:約半数)
- 管理職や専門職に就くことへの希望に性差がない。
(↔ 参加国・都市全体:女子のほうが多い)
- テストや悪い成績への不安を感じる生徒が、参加国・都市の中で最も多い。
- 8時間睡眠が週1回未満の生徒が多い。
(群馬県:半数以上 ↔ 参加都市全体:1/3)
以上
SSES Round2 国際報告書(第1弾)の概要 (PDF:667KB)
SSES国際報告書(第1弾)公式発表(英語)(SSESのトップページ)<外部リンク>