1 日時
令和5年9月11日(月曜日)13時30分から16時10分
2 場所
群馬県立前橋商業高等学校
3 出席委員
10名 (加藤委員(会長)、飯野委員(副会長)、後藤委員、山口委員、細谷委員、作能委員、大嶋委員、簑輪委員、金田委員、時田委員)
※欠席委員 2名(鷲澤委員、田中委員)
4 次第
- 開会
- 群馬県教育委員会教育長挨拶
- 委員及び幹事自己紹介
- 会長・副会長選出
- 群馬県産業教育審議会長挨拶
- 学校概要説明(群馬県立前橋商業高等学校長)
- 生徒活動発表「商業高校生の私たちができること ~学びを生かした地域活性化~」
- 授業・施設・設備等視察
- 審議
「地域や産業界と連携した実践的な職業教育の在り方について
~持続可能な社会の創り手の育成に向けて~」
- 閉会
5 議事概要
会長
・ 「地域や産業界と連携した実践的な職業教育の在り方について~持続可能な社会の創り手の育成に向けて~」というテーマでの審議となる。専門高校の学習内容に必要なこと、インターンシップや外部講師の派遣など産業界として協力や連携できること、持続可能な社会の創り手の育成について、職業教育の推進に係るICTや実験・実習のための環境整備などの視点から、本日の学校紹介等を踏まえて、各委員の皆様方の御意見をいただきたい。
委員
- 学校が広く、きれいなことに驚くとともに、生徒の心構えも立派だと感じた。授業を拝見して、生徒たちの個性を考えながら教育していることを実感した。
- 体育の授業では、真剣に運動している様子が伺えた。英語については、我々も「これからの時代、英語が一番重要である」と言われてきた。私も外国人のスタッフと仕事をしているが、驚くほど日本語が上手であり、英語も話せる。世界に通じるためには英語が必要だと感じているところであり、今回、生徒たちが学ぶ様子を本当に嬉しく拝見した。プログラミングについては、売上から原価計算まで行っており、すごい授業をしていると感じた。
- 「起業実践」の授業は、年間どのくらい行っているのか。大学進学者、就職者両方にとって、起業実践の話は大変有意義であると思う。講師はどのように選定しているか。教えていただきたい。
- ぜひ、サービス業等にも声をかけていただき、生徒たちが色々な話を聞き、進路を考える上での選択肢となるようにしていただきたい。
学校職員
・「起業実践」については、週2時間である。なるべく本物に触れさせたいという思いから、1・2か月に1回程度、外部講師を招へいしている。また、選定については、今回、新聞社に相談して紹介いただいた。そのほか、様々なネットワークを活用して依頼している。
委員
- 私の勤務する大学にも、本校の卒業生が入学している。自分の目標設定を高く持ち、規律正しい、他者に協力することができる学生であることを実感している。こうした学生を育てるために、生徒を主体に置き、文武両道で肉体と精神にしっかりと目を向けて教育をされていることが分かり、大変感心した。
- 「これからの地域や産業界における持続可能な社会の作り手」というテーマに沿って、今後の視点として申し上げる。例えば、ユネスコが2015年に勧告を出したが、職業教育については、個人にエンパワーする(力を与える)こと、人間らしい仕事に就いていけること、生涯学習、この3点が非常に重要だと言われている。本校ではコースを3つに分けており、それぞれに必要となる職業能力は異なるが、今行っている教育がどのような力と結び付き、将来にどのように関わっていくのか、更に見える化し、生徒が意識できるようにすると、より持続可能な社会作りに貢献していけるのではないかと感じた。
- 生徒主体で学ぶということは、生涯教育において、就職後も技術革新等に対応するために再度、大学に行くなどの視点を持たせることにもつながる。こうした点に更に注力してもらえると、今行っている主体性やコミュニケーション力、コラボレーション力等の育成を、より発展させられるのではないかと感じた。
委員
- 先生が補助しながら、生徒同士が教え合い、かつ、異学年の交流などにより先輩の姿や進路等を明確に提示し、更に上を行こうとする生徒たちを応援している先生方とその環境が整っていることに感銘を受けた。更に、外部人材を先生方が積極的に発掘し、本当に生徒たちにとってよい学びの場を提供している。地域との繋がりを大切にしつつ、先生方が主体的に行動している姿を生徒に日々見せていることが、言葉では伝わらない一番の学びではないか。そこで、2つ質問したい。
- 1つ目に、社会人講師による講義後、どのような振り返りをするのか。イノベーションアワードとのつながりもあるかと思い、質問する。2つ目は、英語の授業では、かなり高度な内容を勉強していた。高校生の場合、海外への留学や海外研修等に意欲的に参加する生徒が多いのではないか。学校として海外への留学や研修は実施しているか。
- 最後に提案である。「継続性」という話があった。学校として、商品開発等、地域に繋がる活動を継続していただきたい。また、生徒一人一人の一生の中での学びの継続性についても、今の学びがどのような形で将来につながるのかなどを、知る機会があると素晴らしいと思う。そして、地域社会との継続性である。生徒は、瞬発力やエネルギー、アイデアなど、私たち社会人も学ばなければならないことをたくさん持っているが、地域社会の事業者は、本当にそれを生かせるような場になっているのか、視察のたびに自問自答している。私たち地域社会にいる事業者が、高校生・大学生とともに学ぶ機会があるとよいと思う。
- 群馬県農政部が事務局をしている群馬ローカルフードプロジェクトというプロジェクトがある。地域の農産物を活用した商品開発を行うプロジェクトであり、1年間だけのプロジェクトではなく、ゆるく、細く、長く地域のつながりを作っていこうと取り組んでいる。農林水産省の補助事業であり、高校生もたくさんのアイデアを持っているため、参加してもらい、大人に喝を入れていただけると有り難い。
委員
- 自ら主体的に動き、答えを教えるのではなく、答えを導き出したり、作り出したりすることができる教育が行われており、持続可能な社会の創り手の育成という目標に近い教育をされているというのが実感である。
- 席を立って教え合うという動きが多く見られたが、非常に良いことだと思う。今、企業内では、正解を教える教育ではなく、自ら気づき、感じ、考えて答えを作り出していく、という教育をしなければならない状況に変わってきている。また、教わるだけでなく、時に教える側に回ることで成長できることが多々ある。学校内でも先生方だけが教えるのではなく、生徒同士で教え合うことで、人が育つのだと感じた。
- 社会を作る人材を育成するに当たって、地域との双方向の連携ができると良いと感じた。企業実践の授業は、私たち大人もしくは企業人が聞いても、とても素晴らしい研修になるレベルと感じた。また、学校紹介の生徒の皆さんの発表を聴いていると、社会人としても大変勉強になることが多いと気づいた。学生の皆さんが企業に出向いて発表をするというような、双方向の学びの場があっても良いのではと思った。
- 社会に出ると、ほとんどの会社でデジタル機器(パソコンやタブレット等)を使って仕事をすることになる。しっかりと使えるようになっておくことは、とても大切なことである。
- 体育の授業で、自分で目標を立てて、自分で実行して、振り返りをする話を聞いた。とても良いことだと感じたので、他の授業でも、同様の方法を取り入れているのか教えていただきたい。
委員
- 教育の現場を直接見たところ、自由でクリエイティブな教育を受けて成長してきた高校生たちが、会社にて逆に制約され、その能力が制限されているのではないかと反省した。
- 新型コロナウイルス感染症の発生から4年が経過し、多くの人々が多大な困難に直面しており、今後は社員一人ひとりが一丸となって戦っていく力、生きる力や逆境を乗り越える力が求められる時代が到来している。そのような力を培う実践的な教育は、非常に価値があると感じる。
- 体を鍛えることや、きちんとした返事をすることは当然のことと思っており、そのような基本的な態度等を習慣化していることは、非常に良いことだと感じた。
- 社会人講師による授業は、実践的であるとともに、理論よりも経験に基づいて語られていた。外部講師は高校生に包み隠さず本当のことを話してくれると思う。高校生にとって、将来、何らかの形で役立つ瞬間が来る。興味を持っているかどうかに関わらず、様々な分野の講師から話を聞くことは推奨される。
- 現代は、単に就職するという時代ではなく、自分自身でどのように人と関わり、どのような職を選択するかが重要である。本校では、この点をしっかりと理解され、教育を実践されていると感じた。
委員
- 先生方や学校全体が、日本一の商業高校を目指して、専門的な学習や進路目標の実現に向けての取組を行っていることがよく分かった。特に強く感じたのは、生徒活動の発表であり、商業高校の今後を考える上で、非常に価値あるものである。学校内だけの学習で得た知識や技術が実際に役立つのかということが、学びの過程で最も重要な要点である。生徒たちは実際に社会に出て、その学びがどれほど役に立つのかを検証し、その先には地域活性化という大きな課題がある。このような活動は、継続した取組が必要であるということが、まとめからも伺える。
- 少子化が進行する中、専門高校として生徒募集が難しい状況にある。今までのような考え方で、多くの生徒を引き寄せることができるのか。本校でも7割の生徒が大学に進学しており、普通高校との差別化を図るためには、商業高校の独自性や実践的な学習を重視する方向性が求められる。
- 地域の産業界から様々な社会人講師を招くなど地域社会との連携や、実際に商品を売る経験を通し、社会貢献につながる実践的な学びが必要である。地域からのニーズを踏まえつつ、生徒個々の進路実現を考慮しながら、地域社会に貢献できる人材の育成が目標であり、人と人を繋ぐのは商業の役割である。
- 商業教育はキャリア教育と深く関わっている。今後は地域との連携や継続した取組が最も重要であると考える。
委員
- これまで地域のことについて考えていなかった中学生が、高校に進学し、自然と地域のことを考えるようになるために、どのような教育プログラムを工夫されているのか教えていただきたい。
- 商業分野では電卓というイメージが強かったが、そのイメージが大きく変わった。生徒の発表であった商業で学んだことを企業連携等で生かそうという取組が素晴らしいと感じた。視察では、ICTを活用した授業が率先して行われている事が分かった。ICTを使う前と比べ、学力等がどれだけ向上したのかを可視化できるとよい。
委員
・生徒の活動発表について、地域の課題を解決するために具体的に行動されており、商業高校らしい取組であった。前商ではプログラミングの授業で生徒同士が教え合う様子が見られた。高校時代の仲間は一生の仲間になり得る。それがこういう場所で培われていると感じた。社会人であっても職種が合わないからやめる、職種を変更するということがよくある。高校だと3年程度だが、コースが合わないといった生徒に対して先生方はどのような工夫をされているのか、教えていただきたい。
委員
・課題研究と企業実践の授業について、生徒たちの職業意識の形成は大事であるので、社会の方たちと触れ合う、学ぶといった機会を引き続き設けていただきたい。企業実践の授業は1・2ヶ月に1回の頻度で行われており、非常に力を入れている取組と思う。多種多様な業界の事業主を呼ぶことは生徒に非常にプラスになるものと思われるので、引き続きよろしくお願いしたい。
学校長
- 審議の中であった質問に回答する。
- 振り返りについては、インプットとアウトプットが必要であり、発表会を行ったり、生徒が相互に評価し合ったりする活動を通じて、その学びを定着させ、お互いに理解していくことができる。そのため、授業の終わりに、「今日の授業を自己評価しよう」、「今日の学びは何だったのか」のような振り返りを取り入れている教員は数多くいる。
- 海外への留学については、今現在は本校から留学をしている生徒はいない。これから先、チャレンジする生徒も出てくると思う。専門高校から留学等にチャレンジしていくことは、とても良いことだと思う。後押ししていきたい。
- 地域との連携について、大人と子供など異年齢が一緒に学び合うということは非常に大事なことだと思う。本校は、他にも様々なところで、学校の教員以外の方から学ぶ機会を作っており、そのような取組を多く作っていくことで、非認知能力やコミュニケーション能力等を育てていく。商業高校の持っている良さを生かし、地域との連携に取り組んでいきたい。
- 学びの中で地域のことを考えるようになる工夫はあるのかという質問について、「企業実践」等の授業を行うなど、学年毎に段階別に作り上げている。これを膠着化しないようにすることが我々教員側の仕事である。本日のアドバイスを生かしながら、本校で3年間学んだ後には、社会で通用する生徒に育てる姿勢を持ち続けられるプログラムの改善に取り組んでいく。その中で、どのように変容を明確化するか、フィードバックするのか検討を重ねていきたい。
- また、コースが合わない生徒等がいた場合、どのような対応をされているかということについては、例えば、担任は二者面談、三者面談、部活動等の教員においても個別に相談に乗っている。その中で、生徒の変容や悩みがあるときには、学校のスクールカウンセラー等とも連携し、できるだけ生徒の悩みを早めに解消し、学校生活を全うしていけるようにサポートしている。
会長
・以上で審議を終了する。
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