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令和5年7月教育委員会会議定例会の会議録

更新日:2023年8月21日 印刷ページ表示

1 期日

 令和5年7月21日(金曜日)

2 場所

 県庁24階 教育委員会会議室

3 出席者

 平田郁美教育長、沼田翔二朗委員、河添和子委員、日置英彰委員、小島秀薫委員

4 事務局出席者

 柿沼輝信教育次長、栗本郁夫教育次長(指導担当)、古市功総合教育センター所長、田中俊行総務課長、高林和彦管理課長、下山裕子福利課長、西村琢巳学校人事課長、春田晋義務教育課長、天野正明高校教育課長、近藤千香子特別支援教育課長、松本佳祝生涯学習課長、橋憲市健康体育課長、角田毅弘総務課学びのイノベーション戦略室長、飯嶌幸義務教育課夜間中学準備室長、上原崇臣総務課次長、井澤悟志総務課行政係長、河内皐総務課主事

5 開会

 午後1時00分、平田教育長、教育委員会会議の開会を宣す。

 傍聴人は1名、取材者は2名であることを報告。

6 委員の欠席届について

 平田教育長が、代田委員から欠席の届出があったことを報告。

7 会議録署名人の指名

 平田教育長が今回の会議の会議録署名人に河添委員を指名。

8 議案審議等の一部を非公開で行うことについて

 議案審議に先立ち、平田教育長から第20号議案及び第21号議案は附属機関の委員の任免に関する案件であるため、審議は非公開で行いたい旨の発議があり、全員賛成で議決した。

9 傍聴人への資料配付

 傍聴人に対し、以下の資料を配付。

 傍聴人配付資料 (PDF:1.64MB)

10 教育委員会の行事日程

 教育委員会の主要行事日程及び次回定例会議の日程について、総務課長が説明。

11 教育長事務報告

(平田教育長)

 まず、私から一言申し上げる。

 前回の教育委員会会議以降の主な行事について報告する。

 7月3日の学校訪問については、お忙しい中、各委員にご参加いただき、感謝を申し上げる。尾瀬高校や沼田特別支援学校の現状や取り組みを直接見ることができ、非常に参考になった。コロナ禍でこういった学校訪問等の活動が制限されていたところだが、5類移行に伴い、今後は現場に負担をかけない範囲で、活動を充実させていきたいと感じた。

 7月10日、11日の2日間は、全国都道府県教育委員会連合会の総会が長野県で開催され、沼田委員と私が参加した。1日目の総会では令和4年度の歳入歳出決算の認定や事業報告等が行われた。2日目の分科会では、私は「公立高等学校における小規模校のあり方」と「いじめ・不登校対応の推進」をテーマに、各都道府県の教育長と意見交換をした。特に、小規模校のあり方については、各都道府県とも問題意識をもって、具体的な取組を行っていたり、検討したりしているものの、それぞれの事情を抱え、一様でないということが感じられた。また、先進的な取組を行っている都道府県に対しては、参考となる資料を入手するなどして、今後もこの問題に取り組んでいきたいと考えている。

 次に、生成AIの利用について報告したい。

 7月4日付で文部科学省から、生成AIの利用に関する暫定的なガイドラインが公表された。県教育委員会としても、国のガイドラインを踏まえ、夏季休業中の課題等における利用も含めて、適切に対応するよう、各県立学校長あて通知をした。なお、今後、教職員、児童生徒及び保護者向けに生成AIの利用に係る解説動画を作成することとしているので、ご承知おきいただきたい。

 最後に注意しなくてはいけないこととして、先日、若い著名な芸能人の方の自殺が疑われる事案の報道があった。

 こういった報道を受けて、児童生徒たちが影響を受けるということが十分に考えられる。そうしたことから、7月13日付で県立学校長あて、見守りを強化するよう通知をした。これから夏季休業を迎える。18歳以下の自殺等の事案というものは、学校の長期休業明けにかけて増加する傾向がある。今後も児童生徒一人一人を注意深く見守るとともに、子供たちの命を守る取り組みをより一層充実させていただきたいと考えている。私からは以上である。

 それでは、教育委員からご意見、ご報告があればお願いしたい。

(沼田委員)

 私は総合教育会議、学校訪問と、全国都道府県教育委員会連合会にそれぞれ出席した。

 すべてを報告すると長くなってしまうので、7月10日、11日に開催された全国都道府県教育委員会連合会第1回総会についてご報告をさせていただきたい。

 先ほど教育長からご説明があったとおり、小規模校の公立高校のあり方について議論するとともに、私は分科会で「個別最適な学びについて」というテーマで意見交換をさせていただいた。様々な内容を議論していた中で大きく3点、皆様にご報告する。
 1点目は、長野県の教育長から説明していただいたことについて共有する。長野県では教育振興基本計画を今年度から5年間の計画として策定したとのご説明があった。最上位の目標として「個人と社会のウェルビーイングの実現」、長野県が目指す姿として「一人ひとりの『好き』や『楽しい』、『なぜ』をとことん追求できる『探究県』長野の学び」というものを打ち出し、コンセプトブックを発行することで、広く県民の皆様にお知らせしているというお話であった。

 この最上位の目的、目標、そして目指す姿に対して、具体的には四つの政策の柱を作っているということで、一つ目は、「一人ひとりが主体的に学び他者と協働する学校を作る」ということ。二つ目は、「一人の子供も取り残されない『多様性を包み込む』学びの環境を作る」ということ。三つ目は「生涯にわたり誰もが学び合える地域の拠点を作る」ということ。そして四つ目が「文化芸術・スポーツの身近な環境を整え、共感と交流が生まれる機会を作る」ということである。四つの政策の柱を軸にしながら、目指す姿を実現し、具体的な施策はこの四つの政策の柱に基づいて取り組んでいるという話があった。

 この中で私がとても素晴らしいと思ったのは、このようなコンセプトブックを作りながら、広く教職員の皆さん、県民の皆さん、保護者の皆さんに周知をしているということだ。

 加えて、目指す姿に対して政策の柱が四つあると申し上げたが、「子どもたちがどうなって欲しい」というような理想像というより、「教育委員会が何をするのか」という政策の柱が打ち出されているところがとても素晴らしいと思っている。どうしても教育となると、子どもたちに「こういうふうに育って欲しい」という願いをベースにしながら施策を作ることが非常に多いと思う。しかし、長野県はどちらかというとそうではなく、「大人側が何をするのか」ということをしっかり捉えた政策の柱としている点がとても素晴らしいと思った。

 2点目は、公立高等学校における小規模校のあり方について。分科会の行政レクにおいて文部科学省の方から小規模校に関して説明があった。説明の中で興味深かったのは、平成2年度から令和元年度の30年間で、公立高等学校が1校のみ設置されていた日本全国の1,197の市町村のうち、245の市町村で廃校が行われたということである。この30年間で、1,197の市町村のうち、約2割の市町村で公立高等学校が消滅したというデータが示された。廃校数として最も多かった年度は平成22年度で、全国で38校の学校がなくなったということである。

 それらに対し、文部科学省がどのように捉えているのかということについての話があった。中央教育審議会においても、公立高等学校の小規模校に関するあり方の特別部会が設置されているとのことである。現状では、平成22年度とは違う学校の統廃合の問題が起きていて、それらに対してどういうあり方が必要なのかということを、文部科学省の中でも審議をしているということであった。

 これは私見になるが、おそらく高等学校は当然小学校や中学校に比べて科目数がとても多いから、単純に公立高等学校を存続させようと思っても、教員の配置は小中学校に比べるととても難しいと思う。そういう状況の中で、遠隔教育のあり方を模索していくだとか、新たな選択肢を作らなければ、なかなか存続が難しいのではないかと思っている。群馬県においても、すでに様々な取組をしていると思うが、今後ますます研究、あるいは実践をしていかなければならないと考える。

 最後に3点目は、2日目の教育視察で、長野県立稲荷山養護学校を視察させていただいたことについてご報告したい。

 稲荷山養護学校は、今は約300人の児童生徒が所属しており、職員数は200人程度である。知的と身体に障がいのある子どもたちが一緒に学んでいるという学校を訪問させていただいた。素晴らしい部分が様々あったが、その中でも特に素晴らしいと思ったことが二つある。
一つ目は、自治を大切にした学校運営についてである。子どもたちが自分の暮らしや生活に対して自治をしていく、あるいは友達と自治をしていく。そういったことを、先生方がとても大切にしながら、学校運営をされていたというところが素晴らしいと感じた。

 二つ目は、ICT教育に関するとても先進的な取組について。例えば、言葉を発することができなかったり、コミュニケーションを取るのがなかなか難しかったりする子どもが、眼球の動きで文字を入力できる機器を使い、モニターを見て自分の伝えたい言葉を目の動きで表現するような教育を推進しているとのことで、実際に見させていただいた。その中で先生方がおっしゃっていたのは、そういったICT教育、あるいはICTツールを使って、子どもたちが自分のことを表現できるようになり、コミュニケーションが格段に取りやすくなったということだ。今までは先生方の子どもたちに対するコミュニケーションは一方通行でしかなかったものが、子どもたちがちゃんと「ありがとう」って思ってくれているだとか、「こういうことをしたい」と思ってくれているだとか、双方向のやりとりができるになったとのことである。ICTツールを使うことでできるようになったことが、ある意味で教育の本質であり、先生たちの仕事のやりがいや満足度に繋がっていたことがとても印象に残った。

 いずれにしても、とても素晴らしい連合会の総会に参加させていただいた。そして、事前に事務局の皆さんにレクをしていただいて、群馬県の教育がいかに素晴らしいかということをしっかり説明できるようにしていただいたことに、改めて感謝を申し上げたい。

(河添委員)

 私は総合教育会議、それから学校訪問の二つの行事に参加をさせていただいた。時間が限られているので、それぞれ手短に、感想のようになってしまうが、お話をさせていただきたい。

 まず、総合教育会議でのぐんま国際アカデミーの視察と知事との意見交換会についてお話をさせていただく。今回のテーマの一つであった非認知能力の育成は、私自身の教員生活においても、認知能力の育成と両輪で育むものとして、とても大切にしてきたテーマである。そのなかで、授業視察と意見交換ができ、大変ありがたく思った。

 また、現在検討されている非認知能力の育成については、中学校・高等学校といった比較的ゴールに近い段階を対象としてきているが、今後は小学校や幼児教育段階、子育てや家庭での教育といったはじまりや基盤に近い段階も意識していく、そして応援していける「群馬モデル」になっていけたら良いと会議を通じて感じた。

 続いて、学校訪問について報告したい。まず、尾瀬高校の自然環境科における環境教育等の取り組みは素晴らしく、地域の特色を生かした、まさに尾瀬高校だからこそできる、非常に必然性のあるテーマで授業が行われていた。先生方のサポートもとても素晴らしく、外部講師の方との調整や連携がしっかりと図られていることが見て取れた。先生が意見交換を途中で一旦止めたときに、生徒の皆さんが「もっと意見交換を続けたい、もっと意見を聞きたい」ということを本気で伝えている姿を見て、本当に自分事として学びに取り組もうという姿勢を肌で感じた。非常に嬉しくなるような授業を視察でき、感謝している。

 また、沼田特別支援学校では、沼田東小学校との交流がごく自然な形で展開されている点がとても素晴らしいと感じた。

 最後に、ぐんま天文台は本当に時間が足りないほど充実した施設であり、施設の整備であるとか、展示の工夫を視察することができ、非常にありがたく思った。

 今後、私自身でも群馬県の教育について、さらに盛り上げていくことができたらと強く思っている。

(日置委員)

 私も総合教育会議と、学校訪問について報告させていただく。

 まず、総合教育会議ではぐんま国際アカデミーの授業を視察させていただいた。子どもたちが主体的に学ぶ授業で、教師は場の構築に徹底していると感じた。その中で、子供たちはコミュニケーションスキルなどのいわゆる「非認知能力」を上げていくという仕組みが非常によくできていると思った。具体的にはATL(Approach to Learning)という、「学ぶ方法を学ぶ」という授業であり、コミュニケーションスキルや、情動スキル、うまく失敗する方法など、様々な細かいカテゴリーを学ぶものである。これらは学力の三本柱の一つである、「学びに向かう力」と非常に密接に関連していて、その力の評価はこのATLのカテゴリーを参考にすると良いのではないかと、視察を通じて感じた。

 それから、学校訪問について、まずは尾瀬高校を訪問した。視察した授業では実社会・実生活と関連させながら、主体的で協働的な学びを実現するために、ぐんま国際アカデミー同様、やはり教師は場の構築に徹底しているように感じた。子供たちはその中で積極的にディスカッションをするという様子を見させていただいた。尾瀬高校は1学年64人と少数だが、数々の賞を取っていて、校内にはたくさんの盾や賞状などが飾られていたのが印象的だった。

 また、地域との連携が非常に密接で、地域を盛り上げるために、尾瀬高校の生徒たちは道の駅などでのイベントに積極的に参加しているということであった。自分の中では、学校で困ったことがあった場合に地域の力を借りるというようなイメージを持っていたが、尾瀬高校では学校と地域が連携しながら、お互いが盛り上がるような仕組みづくりが非常に良くできていた。これは他の地域にとって大変参考になると思った。

 それから、小規模校特有の部活動の問題や、授業の問題についてお話したい。部活動については、近隣の中学校と一緒に部活動を行うことで、人数不足等の部分をカバーしているとのことであった。授業については、渋川高校と遠隔で連携しているということであった。この取組も、これから小規模校でどのように主体的で多様な学びを実現させるかという問題に対して、大変参考になると感じた。

 次に、沼田特別支援学校を訪問した。小学部と中学部の子どもたちは生き生き、伸び伸びとしていて、「明るく強く伸び伸びと」という学校目標が本当に実践されていると感じた。

 高等部では作業実習を見学させていただいたが、小・中学部とは一転して、凜とした、真剣な雰囲気を感じた。実習では生徒たちが非常に集中して作業に向き合っていた。就労後の仕事場でのコミュニケーションスキルを得るために、例えば生徒が作業中の他の生徒の後ろを通るときには、きちんと声をかけるなど、実践的な学びの場面を目にして、子どもたちが先生方の支援のもと、着実に成長しているということを感じることができた視察となった。

 また特別支援教育の教材は、非常にICTとの相性が良いというお話であった。特別支援教育においては、よくある教材では使いにくい場合が多いということで、先生方はそれぞれの子どもたちに合うよう、カスタマイズしながら使用しているとのことであった。そしてカスタマイズした教材を、他の特別支援学校にも紹介できるようなシステムになっているというお話もあった。

 最後に、ぐんま天文台については、30cm、65cm、150cm望遠鏡など、たくさんの素晴らしい設備を見せていただいた。
コロナ禍では入場者数を制限していたが、今年度からはその制限が撤廃されたことで来館者数が増えているとのお話があった。150cm望遠鏡については某テーマパークではないが、並ばないと見ることができないほどの人気が出てきているということであった。

 青少年自然の家などに子どもたちが来ると、天文台の職員が出張で講義をすることもあるそうで、ぐんま天文台は群馬県の専門教育になくてはならない存在になっていると感じた。

(小島委員)

 私もほかの教育委員と同じように、総合教育会議と学校訪問に参加させていただいた。

 参加を通じて、現代の教育を受けた卒業生たちを受け入れる、組織のあり方について考えていたので、私からは少しその話をさせていただきたい。

 私が教育を受けていた頃はもう昔のことで、黒板の前で授業を受けただけであったが、現代の授業はぐんま国際アカデミーを筆頭に、児童生徒が自発的に自分の意見を言うような、素晴らしい教育をしていると思いながら視察させてもらった。

 私としては、そういった非認知教育を受けた子どもたちが社会人になったときに、就職した先の組織自体が、非認知能力の高い人間を受け入れるだけの準備ができているのかということが少し気になるところである。

 具体的には、例えば私の会社に非認知教育を受けた人間が入ってきたとする。その人間が工事現場などに配置され、その現場を見たときに、おそらく先輩に対して「この現場のこういうところがおかしい」と言うだろう。そのときに現場の先輩や上司が、その意見を虚心坦懐に聞いて「君の言うとおりだな」と言うことができるかというとそうではなく、「新人は黙っていろ」と言うと思う。

 同じように、非認知教育を受けた人たちが、学校の先生になったり、PTAの役員になったりしたときに、実際に学校現場を見て、「この学校のこの校則はおかしい」など、自由に物を言うだろうと思う。そういう意見を虚心坦懐に受け入れられる学校組織になっているのだろうか。また、非認知教育を受けた人たちが群馬県庁の職員として入ってきた場合でも、その職員に「今やっていることがおかしい」と指摘されたとき、指摘が正しい場合でも素直に聞けるのかどうか。「こういうやり方にしたらどうか」と提案されても、「前例がない」とか「判例がない」とか言いそうに思える。

 要するに、今は自由な頭で物事を考えることがとても大事で、それは企業としても、そういった新しいものの考え方をしていかないと存続できないということである。企業にしても、学校にしても、行政機関にしても、非認知教育を受け、新しい発想で意見を言う人間を、しっかり受け入れる準備が必要ではないだろうか。自由に物事を考え、自由に発言できる人間を大事にして、育てていける組織がないと、せっかく今行われている素晴らしい教育自体が、役に立たなくなってしまうのではないか。非認知能力の高い人間は、そういった準備のできていない組織を辞めざるを得ないのではないかということを、少し危惧している。

 私は今の職場の前には建設省(現・国土交通省)というところで働いていた。そのときに帰国子女の同僚がいたのだが、世界銀行や、国際連合などの国際機関に転職してしまった。私はその当時は、語学力や強みを生かすために転職したのかと思ったが、もしかしたらそうではなく、自分の意見を自由に言えないという窮屈さのようなものを感じて、辞めてしまったのではないかと、今となれば思える。

 つまり、そういった観点から考えると、自由に発想できる教育をしたのならば、その能力を十分に生かせるだけの組織を、我々大人が作っていかないと、日本の将来が危ぶまれるのではないかという印象を持った。この話で、報告に代えさせていただきたい。

(平田教育長)

 4名の委員の皆様それぞれ、本当に深いご発言であったと思う。感謝申し上げたい。

 皆さんのご意見はすべて、本当に深いことを教えていただいたが、特に最後の小島委員のご意見は大変重要である。教育が先か、社会が先かという考え方がある。ある意味、社会の縮図が学校であると思う。社会が変わると、当然学校は変わる。学校が変わると社会も変わっていくのだと思う。

 学校での教育が変わって、新しい時代を切り拓いていく人が外に出て行った先がどうか、というお話であった。学校側の改革と同時に、社会側の改革も必要であるということだ。それはどのように進めていけば良いか、小島委員からご意見をいただきたい。

(小島委員)

 一つはやはり、経営者自身が考え方を変えていかないと難しいだろうと思う。新しいもの取り入れようとするような考え方の経営者にならないと、企業そのものは変わっていかないと感じる。

 「企業は30年経ったら駄目になる」ということがよく言われるが、存続させるための経営者の考え方は二つに別けられる。まず、常に新しいものを取り入れるという考え方、それから、頑なに一つのものを変えないという考え方である。100年間同じものを作り続けるとか、自分の強い信念を持って経営を続けていくということは、当然大事なことなのだろうと思う。

 そういった考え方もある中で、今では非認知教育をはじめ、自由に考え、発言するような教育が進んでいるという話を、商工会議所などの場で披露し、中小企業全体で認識する必要があるように思う。

 もちろん私自身はその話をしようと思っている。経営者のグループに、考え方を切り替えないといけないという話をして、理解をしてもらう必要があるように感じる。

(平田教育長)

 まさにその通りである。教育委員会としても、もう少し広く、様々な団体に対して群馬県の教育を周知していく必要があると思う。経営者の皆様方に、こういうことを教育して、こういうことを目指して、こういう方法でやっているということをお伝えしたい。同時に、社会や企業でどういう人が求められているかについての情報共有、意見交換が必要である。ぜひ小島委員にも、様々なところでお話しいただければありがたく思う。

 私もできる限りのことをしていきたい。また、各委員の皆様にもできる限りのご協力をお願いしたいと思う。

 ほかに何かご意見はあるか。

(沼田委員)

 最後に大変申し上げづらいことだが、総合教育会議のあり方についてお話をしたい。

 私は教育委員を拝命して2回、総合教育会議に参加させていただいた。各学校の視察をし、その後知事と意見交換をするという形となっている。それはそれでとても素晴らしく、充実しているとは思う。しかしながら、総合教育会議のあり方という意味で、果たして本来の目的と合致した会議になっているのかということに疑問を持っている。

 今週中教審から発出された文書の中にも、教育委員会制度のあり方について、改めて問い直さなければならないというような趣旨が記載されていた。その文章を見て、私自身が教育委員として、教育委員会制度に基づきながら委員活動をさせていただき、本当に果たすべき役割を果たしているのかという、自分に対する疑問が生じた。

 そのなかで、総合教育会議のあり方についても、中教審から出された文書の内容と比較すると、視察を中心とした会議だけでは少し違っているのではないかと、私自身が疑問に思った。

 もちろん色々なやり方があり、中教審が出している総合教育会議のあり方にすべて準ずる必要はなく、フォーマット通りにやる必要はないと思う。しかし、今後考えていかなければならないことでもあると考える。

(平田教育長)

 総合教育会議については、知事部局の関係部署と共同で行っていることである。今のご発言は本当にそのとおりだと思う。今後、知事部局とも相談をしていきたい。貴重なご意見、感謝する。

 ほかに委員から意見等があるか。なければ、関係所属長から報告をお願いする。

(1)令和5年度第58回群馬県中学校総合体育大会について (PDF:147KB)

 健康体育課長、令和5年度第58回群馬県中学校総合体育大会の実施について、資料1により報告。

(平田教育長)

 ただいまの報告について、委員から質問等があるか。今回の大会は地域クラブの参加を認めた競技があることが画期的な点である。

(河添委員)

 地域クラブの参加については非常に興味がある。10競技で参加があるとのご説明であったが、具体的にはどの競技か。

(健康体育課長)

 バドミントン、ソフトテニス、軟式野球、水泳、陸上競技、剣道、柔道、体操競技、新体操と冬期種目のスケートの10競技で地域クラブが出場する。

(日置委員)

 地域クラブが群馬県大会に出場するとのことだが、関東大会や全国大会にも問題なく出場できるということか。

(健康体育課長)

 クラブチームが勝ち上がった場合についても、全国大会まで出場可能である。日本中学校体育連盟で規約等が改定され、全国、関東に準じて群馬県でも同様の対応とした。

(平田教育長)

 他に何かあるか。なければ、以上で教育長事務報告を終了する。

12 議案審議

第17号議案 臨時代理の承認について(学校部活動の地域連携及び地域クラブ活動への移行に向けた推進計画の策定について) (PDF:1.29MB)

 健康体育課長、原案について説明

(日置委員)

 地域によって実情が違うので、一律に地域移行というのはなかなか難しいと思う。今まで邑楽郡千代田町や前橋市などで実証研究をされていたかと思うが、そこで出てきた課題や、難しかった点などを教えていただきたい。

(健康体育課長)

 今年度は四つの市町村で実証事業を行っている。昨年度から継続していただいたのは前橋市、吉岡町、それから玉村町。千代田町は今年度実証事業をしておらず、新たに榛東村で参加を検討していただいているところである。

 実際に地域移行して活動していた生徒たちのアンケートからは、やはり専門の方に教えていただけることがとてもありがたいというような意見が多く出ている。また、保護者の方からも比較的肯定的な意見や考えが出ていた。

 反面、課題とすると、想定されていることではあったが、実証事業では主に休日の部活動について地域移行しているため、指導する立場の人が、平日は学校の先生、休日は地域の指導者となり、指導方法の若干食い違いが生じるケースがあることだ。この点はアンケートでも課題として意見があった。しかし、学校の中で、顧問の先生と地域指導者との指導法の共有を行うことで改善を図っており、大きな課題としては捉えていない。

 また、一番の課題としては、費用面であったり、活動の場所が遠くなったりすることなど、保護者の負担が挙げられる。

 ただ、全般的には肯定的な意見が多かったと認識している。

(河添委員)

 これだけの分量を形にするというのは、ものすごく大変なご苦労があったと思う。この推進計画ができて、7月13日に発出し、報道提供やホームページに掲載をしていると思うが、学校現場や受け入れる側の地域等に対して、どのような形で発出の工夫をされているか教えていただきたい。

(健康体育課長)

 今回は7月13日付で、通知という形で発出させていただいた。

 それより前に、6月から7月にかけ、中学校校長会の理事研修会で、その時点では案となるが、あらかじめ校長先生方に対してご説明をさせていただいた。また、7月の高等学校校長会でも案をお示しして、校長先生方にご説明をさせていただいた。事前に各校の校長先生に概要をお伝えし、確定版については、市町村教育委員会や各県立学校に向け通知を発出することで、丁寧な各学校への周知を図った。

 また県のホームページにも先日掲載させていただき、インターネット等も活用しながら、広く周知を図っているところである。

(河添委員)

 学校関係者には本当に良く伝わっていると理解した。

 受け入れ側の地域等がこの情報を得るには、新聞報道やニュース、ホームページを見るという方法になるのか。

(健康体育課長)

 こちらからは市町村教育委員会に展開をお願いしているが、知事部局の地域創生部スポーツ振興課から地域団体等に対して同様に通知を発出している。

 また、市町村教育委員会からも情報共有という形で、市町村のスポーツ部局などにも展開するようお願いをしているので、そちらのルートからも受け入れ先の地域や団体の方に周知をさせていただいている。

 さらには、スポーツ協会等にも、周知をしている。

(平田教育長)

 資料の2ページ目を見ていただくと、教育委員会だけではなく、群馬県地域創生部との連名になっている。このように、決して教育委員会だけでやっていることではなく、地域側の地域創生部と一緒になって作り上げたものということであり、これもまたすごく大事な前提だと思う。

(河添委員)

 最後に、保護者にはどのように伝えていくのか、見通しを教えていただきたい。

(健康体育課長)

 現在は保護者向けのリーフレットのようなものを作ろうということで、原案を考えているところである。本計画については報道機関から出されている情報で広がっていくとは思うが、やはり何らかの形で保護者の方にも周知した方が良いと考え、準備を進めている。

 以上の審議の後、異議なく原案のとおり承認

第18号議案 群馬県教育委員会傍聴規則の一部を改正する規則について (PDF:335KB)

 総務課長、原案について説明

 異議なく原案のとおり決定

第19号議案 沼田・利根地区「新高校の校名」及び「新高等学校の基本構想」について (PDF:904KB)

 高校教育課長、原案について説明

(平田教育長)

 本議案については、今後の方針を決める特に重要なものであると捉えている。校名については、沼田高校、沼田女子高校の生徒を含め、相当丁寧に意見を聞いている。7月6日の意見交換会にて、ほとんど満場一致で「沼田高校」という校名で、皆様からご同意をいただいたということだ。

 委員から意見や質問等はあるか。

(日置委員)

 教育課程編成のことで一つお伺いしたい。今までは数理科学コース(沼田高校)や英数コース(沼田女子高校)があり、その受け皿となるのが「ハイレベルコース(仮称)」ということであると認識している。

 それらのコースは、沼田高校も沼田女子高校も別枠で募集されていたと思うが、ハイレベルコースはどのように募集するかは決まっているか。

(高校教育課長)

 今のところは、別枠で募集する予定である。

(日置委員)

 全体の募集に対し、どの程度の数をハイレベルコースで募集するのか。

(高校教育課長)

 今のところは、1クラスを募集する予定である。

(沼田委員)

 校名に関しては、意見交換会等の取組をされていると思うが、教育目標や教育課程に関しても、地域の方々に対して意見聴取等の取組を行ってきたのか。

(高校教育課長)

 教育課程、カリキュラム等も含め、校名とセットで意見聴取会や意見交換会を開催してお諮りをした。

(沼田委員)

 実際にこの教育目標を実現するためには、地域の皆さんの協力が相当必要になってくる。だからこそ、地域の皆さんとも丁寧に合意形成を図ってきたという過程について理解した。

​(平田教育長)

 これらのカリキュラムは新高校の最初の入学生から適用となる。新高校が開校となったときの2、3年生は、沼田高校、沼田女子高校からそれぞれ転入という形になる。

 先日の意見交換会では、転入となる生徒たちにも配慮し、この素晴らしいカリキュラムを適用して欲しいというようなご意見をいただいた。また、1年生だけではなく、2、3年生も、新しい高校に希望を持って進むことができるようにして欲しいというようなご意見もあった。新高校の入学生と2、3年生とでは卒業認定が違うため、残念ながら、新カリキュラムを全部適用するというわけにはいかないが、できる限りの配慮をしたいとお答えをしたところだ。同時に、そういったご意見が出るということは、地域の方々から新高校の新カリキュラムが受け入れられているのではないかという印象を持った次第である。

 現在は沼田高校、沼田女子高校の生徒たちが相当前向きに検討を進めているとのことである。この点について、高校教育課からお話があれば伺いたい。

(高校教育課長)

 沼田高校及び沼田女子高校において、生徒委員会という形で組織されており、新高校についての様々なことを議論している。新高校の制服についても、すでに検討を始めている。

 それから、先ほど教育長からお話があったが、生徒委員会として活動している生徒たちからは、「後輩たちのために良い学校を作ろう」という雰囲気が伝わってくる。​

 以上の審議の後、異議なく原案のとおり決定​

13 議案審議(非公開)

 ここで、平田教育長から、これからの審議は非公開で行う旨の発言があり、傍聴人及び取材者は退室した。

第20号議案 臨時代理の承認について(群馬県産業教育審議会委員の任命について)

 高校教育課長、原案について説明

 異議なく、原案のとおり承認

第21号議案 臨時代理の承認について(群馬県社会教育委員の解嘱について)

 生涯学習課長、原案について説明

 異議なく、原案のとおり承認

14 教育委員会記者会見資料について

 教育委員会記者会見資料について、総務課長が説明。

15 閉会

 午後2時7分、平田教育長、教育委員会会議の閉会を宣す。


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