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群馬県学校保健審議会(平成23年度)議事録
1 日時 平成24年3月12日(月曜日)15時00分~16時30分
2 場所 群馬県庁舎 7階 審議会室
3 出席者
(1)委員(17名中12名出席)
鶴谷 嘉武 群馬県医師会長
今泉 友一 群馬県医師会副会長
天谷 太郎 前橋積善会厩橋病院長
村山 利之 群馬県歯科医師会長
鈴木 實 群馬県薬剤師会長
佐藤 博之 群馬県市町村教育委員会連絡協議会代議員
児玉太郎彦 群馬県高等学校PTA連合会副会長
新井 久幸 群馬県小学校長会副会長
片山 哲也 群馬県中学校長会副会長
吉野 勉 群馬県高等学校長協会長
常木 英明 群馬県特別支援学校長会長
市川 陽子 群馬県養護教諭会長
※欠席委員
山田 浩史 群馬県小中学校PTA連合会長
野中 慈子 群馬県学校保健主事会長
阿藤 恵子 群馬県学校栄養士会長
荒川 浩一 群馬大学大学院医学系研究科教授
野島 美久 群馬大学医学部附属病院長
(2)幹事
福利課長
学校人事課長
義務教育課長
高校教育課長
特別支援教育室長
健康福祉部保健予防課長
健康福祉部衛生食品課長
東部県民局東部保健福祉事務所長
群馬県こころの健康センター所長
県教育委員会スポーツ健康課長
(3)事務局
県教育委員会教育長、スポーツ健康課、福利課
4 配付資料
5 報告事項
(1)学校における感染症対策について
(2)学校における放射線対応について
(3)教職員精神保健審査会について
(4)その他
6 協議事項
(1)児童生徒の健康課題の解決に向けた取組について
内容(意見等)
報告事項
(1)学校における感染症対策について
事務局説明
学校における感染症対策の基本方針と公立学校におけるインフルエンザ様疾患による臨時休業状況である。
麻しん対策としての麻しん風しん定期予防接種状況は、平成23年12月31日までの状況において第3期(中学校1年生)が86%、第4期(高校3年生)が76.8%の接種率であった。平成24年度で第3期、第4期の定期予防接種措置は終了となるため、今年度からすでに生徒や保護者に啓発を行っている。
感染症情報収集システムを健康福祉部保健予防課とも検討し、導入する。
学校保健安全法施行規則の一部改正案についてである。現在、文部科学省がパブリックコメントを求めている。
別冊の新型インフルエンザ対策行動マニュアル(教育委員会)を作成した。
熱中症対策についてである。
(2)学校における放射線対応について
事務局説明
学校における放射線対応として、県立県民健康科学大学診療放射線学科の専門家の指導のもと、5台の線量計を購入し、県内5教育事務所管内の5小学校で定点測定し、現在継続中である。
6月から7月に抽出で学校プールの放射性物質の濃度を測定し、全て不検出という結果であった。
1月に特別措置法が施行されたことから、県立学校においては学校の敷地内を複数カ所測定し、結果は国の基準を超えるところは無かった。小中学校においては、現在、設置者である市町村が測定及び除染を行っている。
学校給食食材の放射性物質の検査は、平成23年度の国の第3次補正予算による文部科学省の新規補助事業である「学校給食検査設備費補助金」を活用し、学校給食用食材の放射性物質検査機を5台購入し、各教育事務所に設置するものである。市町村が給食用食材を持ち寄り事前検査をおこなうことにより、保護者等に安心をもたらすことができる。検査は平成24年度から実施する。
学校給食モニタリング事業は、平成24年度の文部科学省の新規委託事業である「学校給食モニタリング事業」により学校給食一食全体について、提供後に検査を行い、放射性物質の有無を継続して確認するものである。市町村から希望をとり実施校を選定し、1週間分をまとめて検査機関に依頼し検査するものである。
別冊の「災害発生後の保健管理について」は、昨年3月11日に発生した大震災により被災した子どもたちを本県でも受け入れたが、その子どもたちを対象にした健康管理の進め方をまとめ、震災後間もない3月中に各県立学校及び市町村教育委員会に送付した。
(3)教職員精神保健審査会について
事務局説明
教職員精神保健審査会は、平成21年度から福利課が担当し、平成22年度には、実施方法の検討や要綱等の整備を行い、今年度から新たな体制で実施している。
教職員精神保健審査会については、精神疾患による長期病気休暇等を取得した教職員の復職及び職場復帰訓練の可否について、県教育長からの諮問を受けて、専門的な見地から審査し、任命権者が復職等の判断を行う上での参考意見、判断材料として、審査結果を教育長に答申している。
平成23年度は、年6回審査会を開催した。委員は、精神神経科専門医師が3名、公立学校長の代表が4名、行政医師が1名の計8名となっている。審査件数は、資料に5回分までの結果を記載している。制度の見直しにより、対象者を精神疾患で30日を越える病気休暇等を取得した人とし、復職に際しては職場復帰訓練を必ず実施することとし、職場復帰訓練の実施期間は短くしたが、内容的に濃いものとなるように体制等を整えている。合わせて審査会においては、復職審査に重きをおき、該当校の管理職の方等にも出席を求めている。全体としては、新制度に移行して一年だが、教職員精神保健審査会及び職場復帰体制等について円滑に実施できている。
(4)その他
事務局説明
学校保健統計調査(群馬県結果)は、県統計課が発表した。
第76回全国学校歯科保健研究大会(群馬大会)が、平成24年10月25・26日(木・金)に高崎市を会場に開かれる。全国の学校歯科保健関係者が一同に会し、研究協議を行う大規模な大会である。主な内容は、学校歯科保健優良校表彰、基調講演、シンポジウム、領域別研究協議会等である。
他の資料は参考のため配布した。後でご覧いただきたい。
(質疑)
委員発言
感染症情報収集システムは今年の4月から導入されるのか。他県では、どの程度導入されているのか。
事務局説明
平成24年度4月から全ての学校が入力する予定である。全国では、約17県で導入されている。さらに、市や町で単独で導入しているところもある。
委員発言
どこで学級閉鎖や学校閉鎖を行っているか瞬時に分かることは、感染症に対する身構えや対策がとれるのでよい取組である。
委員発言
このサーベイランスはとてもよいと思う。医師にはパスワードの配付がはじまっている。学校から学校医にパスワードの配付が始まるときに、それを契機に学校と学校医が連携をとるチャンスになる。このシステムを利用しながら密なる連携をとっていただきたい。麻しん対策、予防接種対策では、去年に比べると極めて良い結果である。2期、3期、4期も全国でベスト5に入っている。努力の賜。更なる接種率の向上に向けて平成24年1月からの新たな試みは行っているか。
事務局説明
保護者の協力を得られるように資料を配付している。
委員発言
肥満や小児生活習慣病が問題になっている。糖尿病が増えてきたり、高脂血症が増えてきたり、県医師会もモデル事業として10校の小学校の児童を経時的に2年間追ってデータを出した。群馬県は全国より肥満児が多いが、理由や対策はあるか。
事務局説明
全体としては、肥満については減少傾向がみられる。家庭の指導に、学校を通して取り組んでいきたい。
委員発言
群馬県で保護者に配付する資料が実に良くできている。子ども達よりむしろ両親に啓発していくのがよい。子どもの時期からしっかりした食事をとるよう指導をお願いしたい。
委員発言
災害に実際にあった子ども達が本県で生活していて、PTSDとか外傷後ストレス障害などにより学校現場で実際に悩んでいた子どもはいたか。
幹事説明
震災で群馬に避難している児童生徒に対しては、1校に3名以上受け入れている学校にはスクールカウンセラーを配置している。そこでは、心に傷を負った子ども達がいたという話は聞いているが、現在はだいぶ回復している。
協議事項
(1)児童生徒の健康課題の解決に向けた取組について
委員発言
小学校4年生の頃、小学校1年生から3年たった時点というのは一番心臓の症状を起こしやすいし、活動量もかなり増えるということで、その点を逃さずに検診をおこなったほうがよいと考えているがいかがか。
委員発言
心臓検診と腎臓検診は、群馬県では40年近く取り組んでいる。そのために、群馬県は子ども達の突然死が非常に少ない県である。しかし、小学校4年生というのは、子どもの時期から大人の時期に移行する一番大切な時期であるが、その取組についていかがか。
事務局説明
専門家の先生方が必要ということについては、真剣に受け止めている。群馬県の市町村教育長の集まりである市町村教育委員会連絡協議会で話題として提供し、具体的な進め方や、どういう財政的なやり方でやるのかということも含めて話題提供し、具体的に進められるような方向で検討を進められればと考える。
委員発言
他県ではやっているところがあるが、どうか。
事務局説明
しっかり調べた上で、改善する方向で取り組みたい。
委員発言
教職員の精神保健審査会は役に立っている。審査会は治療するわけではないので、よくなるということはないが、不幸にして病気になった教職員が職場に復帰する判断が必要とされるときに、審査会が関係してくる。この会がないと、それぞれ担当の主治医の判断で行うことになり、主治医はあくまでも診察室でしか診ることができない。実際に学校現場でどうなっているかとか、そこでその人がどのように動くかということは十分に見えていない中での判断になる。それが、訓練期間とか設けることで、診察室だけでなく、実際に学校で動いてみるなど、現状に即して分かるようになってきており、その上で答申が出されるのでかなり役に立っていると考える。
委員発言
熱中症関係の対応について、40度を超えるような異常高温の中での運動会の練習であったり、実施だったり、学校経営上の大きな課題であると考えている。今年取り組んだことは、グリーンカーテンということで植物を育てたり、扇風機を設置したりした。運動会当日は、待機している児童や参観者のためにテントの増設をした。設備面の他にも、指導の内容も見直し、練習の中では必ず休憩時間を設ける、かつ水分補給をしていくということに配慮した。水分補給については登下校時についても配慮した方がよいということで、水筒を持参させた。また、運動禁止の時間帯についてもしっかり位置付けて先生方に理解してもらい、その間は無理な指導はしないということを共通理解しながら、小中学校で対応した。開催日時は、本来であれば10月が妥当であると思うが、地域での行事の関係で9月開催がどうしても多い。だんだん前倒しになってきて、保育園の運動会との絡まりがあったり、地域の運動会や体育大会等との兼ね合いを考えたりしながらできるだけ10月くらいに開催できるようにしている。
大震災の発生に伴って、防災教育が今後の学校の大きな課題と考えている。防災教育ということで、子どもに危険を予測できるような能力とか、回避できる能力も当然考えていかなければならない。危機管理マニュアルを作っているが、その見直しが必要不可欠であると考えている。避難訓練をしっかり見直すことが必要と考えている。回数、内容共に見直すことが必要と感じている。震災で学んだことは、連絡がつかないということ。親への連絡、関係機関との連絡がつかないことが課題であった。事前に受け渡しに誰がくるか、連絡が取れない場合の対応について加えた緊急連絡カードを作成した。
また、学校が避難場所になっているということを頭の中に入れながら、訓練をする必要がある。地域住民の受け入れも視野に入れながら来年度は実施していきたい。まず、授業参観日を上手に活用して実施できたらよいと考えている。防災教育が来年度の大きな課題であると考えている。小学校の校長会の中の活動方針の中に、防災教育を掲げていきたい。
委員発言
危機管理は本当に大切である。東北地方でも避難するときに、100%全員助かったという学校もあった。日頃の訓練は絶対に必要である。
委員発言
日常の子どもたちの怪我の対応が心配である。しかし、今は、学校医の方々の対応おかげで子どもの怪我の回復が以前より早くなったと感じる。そういう中で、一番心配と感じているのは、心の健康状態である。教職員でも、多くの先生が心の問題で悩んでいる現状がある中で、中学生の表に見える課題、非行、不登校、いじめなど、どれも心の健康という意味で問題があると感じる。心の健康について、まわりの我々も、社会も家族も気を配る必要があると感じる。
昨年の12月に多野藤岡地区の学校保健委員会で発表を行ったが、心の健康に焦点を当てて子どもにアンケート調査等を行った。多くの子ども達がストレスをもっていることがわかった。勉強、部活動、友人関係等が多いが、そういうものがだんだん発展していって、悪い方に向いて、いじめ問題になったり、不登校になったりしていると思う。心の健康についてもみなさんが関心を持って、子ども達の心をしっかりと受け止めるような環境を作っていきたいと考えている。専門の先生方に力を借りて、子どもたちの心の健康についても、健康な子ども達が育っていくことを望んでいる。
委員発言
学校では、よりよい生活習慣の形成や食育、歯と口の健康づくり、性に関する指導、喫煙・飲酒・薬物乱用防止教育等、子どもたちの健康に関して様々な角度から指導を行っている。担任と養護教諭のティームティーチングによる指導等も計画的に行われるようになってきた。
しかし、子どもたちの健康は、時代や社会、経済状態などの影響を受けやすく、今、特に問題と感じているのは、生活習慣の乱れと心の健康問題である。
まず、生活習慣についてだが、ゲーム、テレビ、パソコン、携帯電話等に長時間接している子どもが増加している。視力の低下や運動不足等の問題が生じている他、家族との触れ合いの時間は減少し、夜遅くまでメディアに接している結果、朝起きられず、朝食を食べられない、授業にも集中できない、その結果、学習が進まないといった状況も生まれている。また、無気力、イライラ、キレやすいなど心の状態への悪影響が懸念されている。
一度身に付いてしまった習慣を改善することは、なかなか難しいのが現状である。
このようなことから、最近ではアウトメディアに取り組んでいる学校もある。テレビやゲーム、パソコンなどとかかわる時間を減らし、そこで生じた時間を外遊びや読書、家族との団らんに使うようにする。メディアとの付き合い方を学習したり、生活の仕方を見直したりする取組。通信や学校保健委員会等の場を活用し、家庭と連携した指導に取り組んでいる。
次に、心の健康。不登校、保健室登校等の問題やその他心に何かしらの問題を抱える子どもへ支援が課題になっている。学校では、子どもが安心して、楽しく学校生活を送ることができるよう、自分や相手を大切にする指導や自分の気持ちを相手に適切に伝えることができるようコミュニケーション能力を高める指導や自尊感情を高める指導等、子どもの発達段階や実態に応じて様々な指導を行っている。
また、スクールカウンセラーや関係機関とも連携して個々に応じた支援に努めている。子どもたちの健康課題を解決するためには、まず家庭との連携が必要だが、各家庭の状況は異なり、親の意識や教育力には差が見られる。学校や家庭を指導したり、バックアップしたりできる地域、関係機関との連携が重要と考える。関係の皆様には、今後とも御指導・御協力をいただければと思う。
委員発言
ゲームに熱中してしまうと、ほとんど勉強もしないし、夜遅くまでしている。我々の時代とはまるで違う時代になってきた。我々の頃は、テレビもないし、遊ぶとすれば外で遊ぶしかなかった。そういう時代とは違って、今は情報化の時代。テレビゲームとかばかりやっているから、おそらく体力も落ちているのではないかと思う。また、細かいものをずっと見続けると、網膜を痛めてしまうので、視力障害も問題になってくると思われる。そういう面でも、日頃の先生方の努力も必要だが、保護者の教育も必要と考えている。
委員発言
県内高等学校には、普通科、農業科、工業科、商業科等の専門高校、通信制、単位制、定時制いろいろなパターンがあって、地域もまちまちだが、どの校長に聞いても一番気がかりなのは心の問題であり、それが結果として不登校、あるいは長期欠席ではないけれども、学校に来ても普通教室で授業を受けられない、いわゆる保健室登校的な者、集団の中で同じような行動がとれない、授業を受けられない子が年々増えているというのがどの学校でも多い。それぞれの学校で、スクールカウンセラーなどの専門の方をお願いして、その生徒本人の対応はもちろん、その保護者とスクールカウンセラーが会う、あるいは、担任なり学年団が助言を受けるとか、色々な形で対応してきている。県教育委員会でもそのような各学校の様子を十分把握していて、年々スクールカウンセラーの配置を増やしてもらっていて、この4月からは高校全校にスクールカウンセラーを配置するよう動いてもらっておりありがたい。スクールカウンセラーの絶対数が多くないので、貴重な来てくれる時に必要な部分をきちんと聞くことのできる準備を、我々教職員もきちんと行って、効率的に指導助言を仰げるように、また子ども達の反応がどう変わったときに連絡をとればいいのか、チームとしてやっていこうと考えている。担任が苦労するだけでなくて、担任を補佐する副担任、学年集団、教育相談という分掌のチームをつくって、いろんな複数の目で対応しているが、不登校、心の問題を抱えている生徒の増加が一番大きいと感じている。
また、発達障害、あるいは特別支援を必要とするような高校生も増えてきている。県教育委員会の特別支援教育室等とも連携をとりながら、高校の教員も特別支援のあり方や、どういう手立て、どういう接触の仕方をすればいいのかという研修の機会等もできるだけ増やしていろいろな事例研究等もしながら取り組んでいる。せっかくあずかった子ども達なので、きちんと高校生活を送って、それぞれの進路に送り出したい、そういう努力をしている。
委員発言
特別支援学校だが、生活習慣の乱れからくる色々な症状が出てきている状況がある。そういう中でも、肥満の子が多い。そこからいろいろな所に波及していると感じている。保護者と協力して食生活を含めて指導してきたが、やればやるほど休み明けに子どもの体重が増えていることがある。それが気になる。長期休業になると給食がないので普通やせると思うが、実際はそうでない。保護者と協力して取り組んでいるが、夜遅く起きてきてとか、朝早く起きてきて食べるなど、食の習慣化ができていない。今後は、食に関することを保護者にもきちんと理解してもらって、指導を進めて必要があると感じている。
学校教育の中で子ども達の給食の食べ方を見ていると、かむことなく、飲む状況が見られる。そこが心配である。給食の指導の中で、食の取り方を指導していかなければならないと感じている。
また、一例だが、障害を持っているが、ゲームをやる。ゲームをやっていると、幻覚というか、わからなくなってしまう、その中に入り込んでしまう。現実的なことと、現実でないことの整理できなくなってしまう。その後どういう行動をとったかというと、ゲームの世界と同じように実際に行動してしまう。ゲームがその子に与える影響は大きい。我々と離れたところで起きているので、ゲームを与えることについても、保護者と協力していかなければならないと感じている。ゲームをしている中でいろいろいろな障害が生まれてきている。保護者にゲームを与えることについてしっかりととらえてもらい、我々と一緒に取り組んでいきたいと感じている。
委員発言
教育委員会関係でいろいろ話が出る話題を2つしたい。ひとつは教員の健康管理にもかかわって、我々が一番問題にしているのが学校の現場の多忙さである。色々話があった子ども達の健康管理、熱中症、肥満児対応、非行問題とかいろいろあるが、そうした問題に最終的に対応しているのは学校。もう少し言うと担任。小学校の担任の一日を追いかけてみると、子どもに宿題を出せば、休み時間に宿題のまるつけをしながら、昼休みは子ども達の作文を見る。そういう生活を毎日するなかで、子ども達に実際に手をかけるべき時間がなかなか見いだせない。また同じようにして、教員自身がゆとりをもっていろいろなことを考えたり、準備をしたりする時間が見いだせない。それは、先生方の精神衛生面の管理もあるし、子ども達の様々な指導の面で非常に難しいものになっているのかと思っている。そのために、様々な対応が考えられると思うが、一つ一つこなしながら学校現場のシステム、我々教育委員会が行わなければならないことについて今後も考えなければならないと思っている。最終的には、そのことが子ども達と学校の先生方の保健衛生に関わってくるかと思っている。
もう一つは、震災に関わって防災、減災というか、一番最初に考えたのは、学校の耐震をどうしようかということ。学校の校舎、体育館など、避難所にもなる学校のあり方が非常に緊急で、大切な話と考えている。そうしたインフラ整備と関わって、先ほどから出ている熱中症の予防とか放射線対応とかいろいろなことを考えていくべき段階に来ていると思っている。
放射線の問題について、各地域で、それぞれその地域に応じた対応を練っているところであるが、子ども達が行く場所については、できる限り放射線の心配がないようにしようということで、測定をしたり、減災したりしていくことが必要である。県立の施設で子ども達が行く場所があるが、県で適切に対応していただいて必要な科学的なデータをきちんと公開してここは大丈夫という話をしてくれると聞いているので、非常にありがたい。来年度、子ども達の活動に関わる部分なので、今後も是非よろしくお願いしたいと思っている。
委員発言
一番の関心事はインフルエンザにかからないようにすること。うがい、手洗いには非常に力を入れた。
先日、関東高等学校PTA連合会の集まりがあり、その中の進路対策委員会のある委員から、次のような話があった。大学入試センター試験が1月、多くの大学が2月に試験を行っているが、どうして一年で一番厳しい季節にやるのか。健康面においてもそうだが、インフルエンザはいつも大学入試とかかわって問題になるが、直接的な面以外にも雪で交通機関が乱れるとか、1月、2月の大学入試というのは非常に厳しい時期であると思う。例えば、これが4月とか5月であれば、インフルエンザの可能性もかなり下がると思うし、気候的にも雪や台風等の心配もないので、4月、5月に大学入試ができたらと思う。しかし、現状、入学が4月ということであると不可能。最近、大学9月入学という話があるが、国際的に9月入学が主流なので、それに合わせての発想だと思うが、受験生の健康面ということで考えても9月入学はよいと感じている。
委員発言
新型インフルエンザのことに関して、情報は上から指示があるというマニュアル型ではなくて、一人一人が常に最新の情報を得るような意識でいたほうがよい。H1N1は弱毒性だったが、H5N1が流行すると、ワクチンができあがるのに半年かかるという話もあり、その間はうがい、手洗いでしのぐしかない。鳥インフルエンザの情報等を、常に学校関係者も気を配るととともに、自分が発生源にならないように気をつけてほしい。外国に行くときは食事等にも気をつけてほしい。
熱中症は、地球温暖化の問題なので、毎年ひどくなってくることが考えられる。運動会の開催時期を考えてほしい。
首都直下型大規模地震の件であるが、文部科学省等とも連絡が取れなくなることが考えられるので、地震が来たときの対応を考えて行った方がよいと思う。
学校の耐震性の話が出たが、早急に対策を考えておいたほうがよいと考えている。
教職員の精神保健審査会についてだが、学校の先生方は大変な時代だと思う。ティーム・ティーチングとか、色々な人と色々な授業をすることが有効であると考える。
生活の乱れという話があったが、私が校医をしている学校の子ども達からは、親と一家団らんしたいという声が出ていた。テレビを見ながらの食事はよくない。テレビを消して一家団らんで、夜親の帰りが遅いなら朝一緒に食べるとか、徹底するのは難しいかもしれないが、推奨するのがよい。そのことによって、精神的にも子ども達も安定するという話もでていた。子ども達の側からでていた。
学校保健委員会の回数が非常に減っている。高崎は、学校保健委員会を以前10回おこなっていたが、今は5回くらい。児童生徒と保健部の保護者にきてもらって、一緒にディスカッションする場が大事だと思う。そこで、建前どおりの会議で終わっては意味がないので、そういう意見が出やすいような環境を整えることが大事である。
歯科保健の推進という点で、第76回全国学校歯科保健研究大会について、平成24年10月25、26日、高崎市で行う。県内の教育関係者の方をはじめ、ぜひたくさんの方に参加してほしい。
委員発言
学校薬剤師では、学校環境衛生の維持管理は大きな仕事。1月、2月に教室内の一酸化炭素、一酸化窒素の検査を行ったが、暖房器具により大きな差がでている。特別教室とか職員室とかで使用している開放型の暖房器具が多い。普通の教室は換気さえすれば問題ない。らん間をあけるとか、授業終了後開けるとかの方法をとってほしい。県内12支部でおこなったが、問題なかった。
ホルムアルデヒドの件について、建物やパソコン等の電子器具から出ているが、これも換気さえすれば基準値を下がっているので、できるだけ授業後、換気をする習慣をお願いしたい。職員室は、開放式暖房器具を使っていることがあり、中に入ったとたんに検査器具の色が変わるほど状態が悪いこともあるので、改善の必要性がある。平成21年に学校保健安全法になり、法制化され、環境衛生の基準値もできて、それにのっとって行っている。教育委員会と綿密に相談しながら改善できるところは改善してほしいと考えている。
また、プールの検査については、夏には、毎日残留塩素の測定をしてもらっている。放射線に関しては、水道水をプールに利用しているので、現在は飲料水は毎日検査をしているので心配ないと思う。しかし、井戸水を使用しているところについては、検査したほうがよいと思っている。
これは薬剤師会のことであるが、12支部あるが、支部によって薬剤師の数が少なく、3校に1人という状態。薬剤師会としてもなんとか一人1校の体制にしていきたい。
新しい学習指導要領に改正され、平成24年の4月から中学校に薬の教育が入ってきた。薬に対する勉強は、保健体育の先生とティームティーチングで行うということで、1単元の目安でやってもらうということで通知が来ている。4月1日からということで、学校薬剤師会から話があると思う。薬剤師会は、養護教諭を窓口にしたいと思っているので、よろしくお願いしたい。
問題になっている薬物乱用について、学校では、飲酒、喫煙、シンナーなど色々学習しているが、麻薬等も低年齢化しており、大麻等もインターネットで簡単に買えるような時代となっている。注意深く行政と取り組んでいる。
スポーツファーマシスト(アンチドーピング)について、健全なスポーツを育成するために、うっかりドーピング、市販の薬、例えば風邪ぐすりなどでもひっかかるような薬も処方されているので、競技者が失格になることもある。薬剤会では、質問をうけるホットラインを設けているので、群馬県の薬剤師会に連絡してほしい。
(質疑)
委員発言
学校の耐震化について、県の補助というか、耐震に対する県の考えはあるか。
事務局説明
平成27年までには全校耐震化ができるように計画がつくられているので、平成27年までには全部耐震化ができる形になる。
委員発言
いろいろな話を聞くと、学校の先生にはストレスがかなりあると思う。そういうストレスによって、先生方がうつ病になってしまうこともある。うつ病に対して、どうしたらいいか我々も研究しているし、心の問題に関して、県医師会も取り組んでいる。しかし、専門性のある医師が少ない。精神科の先生、神経内科の先生はごくごく少数なので、学校の先生方も対応に苦慮する。我々としても、群馬大学等々に働きかけて、また県の医師会を通じて専門家の医師に協力してもらう体制をつくりたいと思うので、県の教育委員会とタイアップして問題に取り組んでいきたいと考えている。
教育委員会は、本日話し合われた意見を参考にして、取り組んでほしい。