1 日時
令和3年2月22日(月曜日)10時00分から12時00分
2 場所
群馬県庁 審議会室
3 出席委員
10名(加藤委員(会長)、風間委員、小林委員、鷲澤委員、齋藤委員、茂木創委員、古賀委員、大嶋委員、中田委員、須田委員)
※欠席委員 2名(細谷委員、茂木三枝委員)
4 次第
- 開会
- 群馬県教育委員会教育長挨拶
- 委員及び幹事自己紹介
- 会長選出
- 群馬県産業教育審議会長挨拶
- 学校概要説明及び生徒活動発表(動画視聴)
- 群馬県立勢多農林高等学校
- 概要説明 勢多農林高等学校長
- 生徒活動発表 グリーンライフ科生徒5名
「農業の魅力を子どもたちに ~るなぱあくと連携した稲作プロジェクト~」
- 群馬県立高崎工業高等学校
- 概要説明 高崎工業高等学校長
- 生徒活動発表 機械科生徒6名
「群馬県立高崎特別支援学校との共同研究による技術交流会」学校概要説明学校概要説明及び生徒活動発表(動画視聴)
- 審議
「地域や産業界と連携した実践的な職業教育の在り方について~新しい時代に対応した職業教育に向けて~」
- 閉会
5 議事概要
会長
- 学校概要説明及び生徒の活動発表の動画を視聴しての御意見・御質問等があればお願いする。
(特になし)
会長
- 「地域や産業界と連携した実践的な職業教育の在り方」について、どのような取組が必要であるか御意見をお願いする。
委員
- 勢多農林高校と高崎工業高校、素晴らしい取組をされていた。食の安全などを考えた内容で、感心しながら見させていただいた。
- 今後もコロナ禍が続くことが考えられ、産業教育をどのように進めていくのかということがキーワードになると思う。新型コロナウイルス感染症が下火になってくれればよいが、このまま続くようだと、発信も、現場に行っての研修も、難しい状況だと思う。
- ネット社会が進んできたので、勢多農林高校が現場実習しているお米の育て方などを動画で配信し、それを元に質問をするなど、ネット上でコミュニケーションができるようなかたちにすることもよいのではないかと思う。
- 高崎工業高校では、現場実習ができないと難しいという面があると思うが、コロナと共存しながら、乗り越えることができればよいと思う。
委員
- 両校共に実践的な教育をされているということが、よく分かった。特に地域社会とのつながりを重視した、実践的な教育ということには感銘を受けた。
- コロナ禍においては、オンラインを活用するとよいと思う。生徒達が動画を撮影して、それを発信していくことができるとよい。
- インターンシップを行うことは非常に難しい状況であると思う。しかし、高校生や大学生は実態が分からないので、例えば、勢多農林高校であれば農業に携わっている方や、高崎工業高校であれば社員の方と、オンラインでつながり懇談会を行い、生徒達から質問をするなど、直に聞くことで収穫があると思う。
- 両校ともに、これから激変する社会では、科学的技術の発展というのが、今まで以上に加速度を上げてくるのではないか。今は、デジタルトランスフォーメーション時代とも言われている。高校時代に学んだことを社会に出ても、学び続けていかなければならない。
- 工業高校の生徒だけでなく、農業高校の生徒も同じである。様々な学びをした後に就農したとしても、学び続けるということが、これからの社会では重要になるのではないか。調べ学習をしたりすることは両校とも行っているが、将来的に学び続けなければならないという気持ち、意欲、学ぶスキルというものを、高校時代に少しでも身に付けることができたらよいと思う。
会長
- デジタルトランスフォーメーションを活用した技術を身に付けることや、学び続けなければならないという御意見をいただいた。
委員
- 両校の活動を見させていただいたが、どちらの学校も、コロナ禍の状況の中、できる範囲で活動していたようである。
- 先ほどの御意見にもオンラインの話が出ていたが、同意見である。オンラインはこの先必要になってくると思う。
- しかし、コミュニケーションを図りながら実際に活動するということも捨てきれないと思う。両校とも、できる範囲ということになると思うが、活動そのものは、継続していっていただきたい。
- 企業見学など現場の見学が行えない状況であるが、県内の企業でも、企業紹介の動画を作って配信しているということも聞く。なかなか現場に出向いて見学することはできないと思うが、そういったものを見ながら現場を知るのも一つの方法かと思うので、紹介させていただいた。
委員
- 動画やインターネット上でのコミュニケーションが、これからも重要になっていくと思う。今、Lineなどでも動画で通話できる時代になっており、コミュニケーション力を磨いて欲しいと思う。
- 今は、皆マスクをしているため、目から上しか見えていない状況である。表情が酌み取りにくく、言葉を選んで話すということを子供たちには身に付けて欲しいと思う。メールだと傷つけるような言葉を使うこともある。言葉の選び方、会話や表情、表現力を磨くようなことができるとよいと思う。
- 両校の取組はとても素晴らしかった。実際に会うことができない分、その間に自分自身の中味を磨くことはできると思う。これからも学校で学んでいく中で、そのようなスキルも身に付けて欲しいと思う。
会長
- コミュニケーションの手段と、その能力を高めるということについて伺った。
委員
- 勢多農林高校と高崎工業高校の取組について拝見させていただいたが、「学ぶ」ということだけでなく、その一つ上の「伝える」ことにも取り組まれていた。「伝える」ということは大変難しく、「学ぶ」だけではなかなかそのレベルには到達しない。非常によく御指導されているという印象を受けた。
- 勢多農林高校には中長期的な期待になるが、一種のエバンジェリスト(伝道師)として、農業の楽しさを若い世代に伝えていくオピニオンリーダーを育ててもらいたい。自ら実践するだけではなく「伝えていく」という部分についても、さらに進めていただけるとよいと思う。
- 高崎工業高校については、「学ぶ」ことから「作る」ということを行っているが、できた「モノ」をギフトとして子供たちに与えるだけでなく、協働を通して、「コト体験」させている。これは、これまでのものづくりの観点ではあまりなかった視点だと思う。例えば、今は観光においても「コト消費」が注目されているが、このように「コト体験」をPRできることは非常に素晴らしいと思う。
- 両校とも、実践的な活動を行っており、また、PDCAサイクルについてもきちんと指導されている印象を受けた。両校には、県内の農業・工業についての若者の関心を高める拠点になってもらいたいと思う。
委員
- 社会・世界が大きく変化する時期に来ている。環境破壊が進み、これからの将来がどうなっていくのか、テレビ等で盛んに報道されている。これからの社会を担っていく若い人たち、我々の世代から見ると、子供や孫たちの時代が、今のままだと大変なことになってしまうため、環境を変えていこうという話が出ている。これからの時代は、農業、林業がすごく大切な時代になってくると思う。
- 勢多農林高校の話を伺ったが、林業に関わるという部分が少しだけ足りないのではないかと思う。人間は食べていかなければならないため、農業を活性化することは大変大切なことである。
- 林業を活性化させると、農業を活性化させることにつながる。木は、炭酸ガスを吸って酸素を出す。木を張り合わせるとねじりや曲げに強い部材ができ、6階建てぐらいの建物ができてしまう。コンクリート等を使った何十階建てという建物は、人口が減少傾向にある今、それほど必要ないのではないかと思う。京都や奈良を見ても分かるが、木を使った建築物は何百年も持っている。木材を使って5、6階建ての建築物ができるので、そうしたものに変えていく時代が来ているのではないか。そういう意味で、林業は非常に大切だと思うので、もっと目を向けていただきたいと思う。
- 農業についてであるが、人間は食べなければならないため、「農業をしっかりとやる」ということはとてもよいことだと思う。かつて、「消費は美徳」だと盛んに言っていた時代もあったが、食べ物や農作物の余ったものをどんどん捨てている。食べ残さず、しっかりと全部食べることが大切である。林業と農業を活性化させれば、緑豊かな自然豊かな社会が戻ってくる。
- 工業についても、今は振動力発電の装置ができている。例えば、道路の下に振動力発電の装置を設置すれば、車が通ったり、人が歩いたりすると、その振動で発電を行う。線路の下に設置すれば、電車の振動で発電する。自動車に装置を載せれば、走りながら振動してバッテリーに蓄電することができる。そうすれば、ガソリンを使うのはわずかでよいということになる。原子力発電ではなく、そうした装置をもっと広げていく必要があると思う。「自然豊かな中からエネルギーを取り出す」ということを真剣に考えていく、これからを担う若い人たちに、そのような意識を強く持ってもらいたい。
- これからの時代を担う高校生に、「社会に出て、何をやろうか。」という思いをしっかりと持っていただきたいと思う。
会長
- 群馬県は、食物の廃棄や林業の保全の面では、全国的に見てよい方ではない。
委員
- 学校概要、生徒発表については、それぞれの学校教育目標に則った教育内容がよく分かる素晴らしい発表だった。
- 勢多農林高校の生徒発表は、単発ではなく5年間という長期間に渡って取り組んでいる研究内容の発表であった。地域を学びのフィールドとするなど、今後考えていかなければならない「学校を核とした地域づくり」を実践しており、次世代の人材育成、また、地域との連携についてよく考えられた取組であった。「るなぱあく」での活動をとおして、ものづくりや農業の魅力を子供たちに伝え、将来について考えさせる、キャリア教育も含めた教育がなされていた。また、小学生や幼稚園児、高齢者の方々とのコミュニケーションも図っており、学校の持っている資源を地域に還元し、活性化も図られる、すばらしい取組であると思う。
- 高崎工業高校においては、日本一の工業高校を目指すという素晴らしい目標を立て、現場での実体験等も含めながらの教育活動が行われており、本県産業教育審議会の答申に沿った内容の発表であった。交流活動については、ややもすると一方的に行われてしまうことがあるが、本発表では、生徒主体による工程計画が作られ、事前に特別支援学校の生徒がデザイン等を行い、それを加工し、組み立てるという一連の流れの中で実施され、最後には反省を行う、まさに学びのPDCAサイクルに沿って行われていた。ものづくりをとおして、特別支援学校と工業高校それぞれの学校のよさを生かした交流、そして素晴らしい工業教育が行われているということを感じた。
- 今般、新型コロナウイルス感染症という新たな問題が出てきた。このような世の中を想定した学びは、産業教育の中ではなかなか考えられてこなかった。私自身も今、大学で授業をしている立場であるが、大学での授業形態が全く変わってしまった。オンラインでの授業となり対面での授業ではなくなってしまった。オンラインでの授業と対面での授業それぞれにメリットとデメリットがあるが、これからは、オンラインを使った授業や取組をしなければならないということをつくづく感じた。
- GIGAスクール構想の中で、小学校からプログラミングの授業が行われる。来年度以降の取組になるが、実体験も伴いながら、どのように授業を行っていくのか。特に、情報の授業や産業教育におけるパソコンを使った授業はどのように考えていくのか、パソコンが配布されるだけではなく、配布されるものをどのように活用していくのかということが、今後の課題であると思う。
- インターンシップの実施が難しくなってしまったとのことであるが、先ほどの交流事業の発表を見ていると、そこにヒントがあるのではないかと思う。商業高校では、インターンシップに行って企業の方からのレクチャーを受けて、商品の陳列などをしているが、まだまだ職場体験の域である。大学生では、例えば、企業の方からある回路のプログラミングの課題が出され、電気系の学生やプログラマーや情報系の学生が一つのチームとなって課題に取り組み、最後は、企業の方が実際にそれを動かしてみるというようなインターンシップを行っている。同じように、高校でもオンラインを通じて、企業の方々といろいろな課題に取り組んでいくようなインターンシップもできるのではないかと思う。チームで取り組んだり、積極性やコミュニケーション力を身に付けたりする、社会人基礎力を養うようなインターンシップを行っていくことも必要なのではないか。
- 今後、ICTを用いた授業研究がなされていくことや、生徒一人一台のパソコンが小中高等学校に導入される中、現場の先生方全員が授業で活用できるのかなどの課題がある。しかし、このコロナ禍が、子供たちに新しい考え方を学ぶことのできるよい機会となるのではないかと思う。特に専門高校では、実体験等を含めながら、新たなオンラインを使った授業が行われるよい機会になる。是非、来年度のこの審議会で、「このような取組をした。」などの発表が聞けるととてもうれしい。
- 先生方には大変な負担がかかると思うが、新しい時代に合った、一歩進めた教育をしていただければと思う。
委員
- 両校の動画を拝見させていただき、生徒一人ひとりの学びに対する意欲のもち方、また陰で支えている先生方の指導力を感じ取ることができた。それらを踏まえての意見を、2点ほどお話しさせていただく。
- 1点目は、勢多農林高校の発表にあった、地域とのつながりについてである。先ほど、校長先生からも御説明があったように、生徒が意欲的に取り組むという様子が、様々な活動を通して見受けられる発表であると感じた。また、コロナ禍において、計画を立てても、感染拡大状況によっては活動自粛になってしまうこともある中で、生徒達でその時にできる活動を柔軟に考え、対応しているということが見える発表であった。私は非常勤として、専門学校や高等特別支援学校などで福祉系の授業をさせていただいているが、やはり子供たちは様々な制限の中でも柔軟な対応力を見せてくれる。大人がオンラインなどのデジタル機器に四苦八苦している中、すぐに覚えて対応してしまうところなどもその一つである。勢多農林高校の生徒達も同様に、対応力と共に自分たちが主体的に動くという主体性の部分があるからこその活動が分かる発表であった。生徒達の力を更に伸ばしてもらえるとよいと感じた。
- 2点目は、資格の取得についてである。両校とも、ものづくりを通して知識と技術を習得し、それが資格取得につながることは、学ぶことの楽しさややる気などのモチベーションの向上につながり、社会に出てからもそれが自信となる。その学びは卒業して完結ではなく、社会に出ても継続して学び続けられることで、更なる技術の向上へとつながる。その環境づくりを私達が整えることは重要であると考える。2校の発表を見て、これまでの学習の成果を止めずに、学び続けられるとよいと感じた。
- 今年度は、コロナ禍の中、デジタル化がより一層進んでくる状況だが、人と人との直接の関りでしか学べない対人援助については、デジタルだと限界もある。学外実習に制限がある中、コミュニケーション力を身に付ける場は、学校に頼らざるを得ないのが現状である。人間関係の基本であるコミュニケーション能力については、是非ともお願いできればと思う。
委員
- コロナの中で行政としても、思うような取組ができず、難しい年度を過ごしている。就職面接会については、群馬県内で実施したものについてはなんとか対面型で実施することができた。他県では直前になって中止になったという話も聞いている。また、ハイブリット型で対面とオンラインを組み合わせた面接会を実施している県もある。来年度も今年度のような状況が続くのであれば、そのような形での対応の必要性を感じている。
- インターシップについては、オンラインのインターンシップが大分行われるようになってきたと学校側から伺っている。ただ、生徒が初めての対応で慣れていない部分があり、対面型とオンライン型のやり方について対応する必要がある。パソコンの導入の話もあったが、そのような部分についても並行して進めていただきたい。
- 両校の取組については、非常に興味深く聞かせていただいた。人間形成の部分で地域の方や特別支援学校との交流は非常に重要な部分であると思う。
- 勢多農林高校では、子供からお年寄りまでどのように伝えたらよいのか考える過程で生徒の成長が見られたとの発表があり、そのような部分は継続していただきたい。
- 高崎工業高校では、ものづくりマイスターなどの外部人材を積極的に活用していた。勢多農林高校も外部人材の指導を通常の授業で受けることで、生徒のやりがいにつながるのではないかと考えている。また、特別支援学校との交流については、社会から多様な人材が求められているので、重要な取組だと思う。
会長
- 本日は、熱心な協議をいただき、ありがとうございます。これで、本日の審議を終了する。
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