1 日時
令和元年11月18日(月曜日)13時30分から16時00分
2 場所
群馬県立吾妻中央高等学校
3 出席委員
8名(小堀委員(会長)、小林委員、齋藤委員、茂木創委員、細谷委員、茂木三委員、大嶋委員、堀口委員)
※欠席委員 4名(風間委員、栗原委員、古賀委員(副会長)、須田委員)
4 次第
- 開会
- 群馬県教育委員会教育長挨拶
- 委員及び幹事自己紹介
- 会長・副会長選出
- 群馬県産業教育審議会長挨拶
- 学校概要説明(群馬県立吾妻中央高等学校長)
- 授業・施設・設備等視察
「生活支援技術」、「介護総合演習」、「こころとからだの理解」、「測量」、「草花」
- 活動発表
介護技術コンテスト実演
- 審議
「地域や産業界と連携した実践的な職業教育の在り方について」
- 閉会
5 議事概要
会長
- 本日の授業、施設や設備等を見学しての御意見、また、地域や産業界と連携した実践的な職業教育の在り方について、どのようなことでもよいので、気付いたことや質問等をいただきたい。
- 様々な見方、それぞれの立場からの御意見もあると思うので、よろしくお願いしたい。
委員
- どれも実践的な取組であった。特に、最後の介護技術の実演では、資料の8ページに「左肩まひの方への支援である」と書いてあるとおり、実演している生徒は健常者であるが、ケアしている人の支援の在り方から左肩が麻痺しているように見えた。正に実践的なことをやっているからそう見えるのであろう。
- 点字ブロックの実演もそうである。本来は目が見えている訳であるが、介護される者の立場に立って考えている。目隠しをした生徒に話を聞いたところ、しきりに「怖い」と話していた。それを隣の生徒が支援したところ、「安心だ」と話していた。実践的な取組をしているという強い印象を受けた。
会長
- 今、実践的という話があったが、測量も含めてそうであると感じている。既に測量士の免許を持つ者が6人、その前の段階の測量士補が2年生に19人いる。
- 測量の関係では、地域の企業からの求人が殺到していると聞いた。これも実践的な指導の成果であると思う。
委員
- とても良いと感じたのは、地元を大切にしているということである。先ほどのカレーもそうであるが、もともとあるものを大事にしながら、生徒たちが自分の力でいろいろ見出していることが良い。
- どんなにロボットや技術が進んだとしても、生きるベースである力を子供たちが持ってくれると良いと感じた。
委員
- 授業を拝見させていただいて、実践的な内容をアクティブラーニングで、単に教師の話を座って聞いているのではなく、生徒たちが参加して授業を進めているところを見て、非常に意欲が高まると感じた。
- 資料「本県の専門高校の現状と各種取組計画等について」を拝見して、専門高校の生徒が各種大会で顕著な成績を収めていることが分かった。実は、こういった大会やコンテストというものは、日々の学びの積み重ねの結果となるものである。
- コンクールや大会に出るまでに、生徒たちは実践的な学びを身に付けていると思う。是非、こういったコンクールも利用しながら、授業を組み立てていただくとよいと思う。
- 実は大学も同様のことを考えており、例えば、英語であれば全日本英語プレゼンテーションコンテストがあり、学生がそれに応募している。応募して、その資格を取るために自分たちなりに練習することに非常に大きな意味があり、なおかつそこで表彰されることに大きな価値がある。どちらかというと、先生方の手間もかかる上、指導がないと動かないところもあるため、先生方の仕事を増やすことにつながることにもなるが、是非これからも、このような大会への出場は生徒たちの大きな学び、実践的な学びになるため続けていただきたい。
- 一点質問である。地域や産業界との連携した実践的な職業教育というと、やはりインターンシップがあると思う。高校でもインターンシップの取組が進んでいると思うので、後ほど聞かせていただければと思う。
会長
- 個人的にはインターンシップは大好きである。答申を検討する際にも皆さんから意見をいただいたところである。事務局より説明をお願いする。
課長
- 高校のインターンシップについては、教育振興基本計画の中でも目標値を定めて重点的に取り組んでおり、キャリア教育の一番の核となる取組であると考えている。
- 3年間で1回は参加した生徒の割合について、専門高校は、76%程度であるが、全体の割合は、普通科がなかなか伸びていないところがあって41%となっている。普通科高校は、現在21%程度である。
- 普通科高校は専門高校と違い、具体的な大会や資格などの中期的な目標が持ちにくいところがある。子供たちの自己有用感やモチベーションを高めるという観点からすると、インターンシップを1日でもいいからやってもらうことを重視している。
- そのような観点から有識者や産業関係の方を招いたインターンシップ推進委員会で、昨年度モデルプログラムを作り、今年度は普通科もしっかりとインターンシップに参加できるように取り組んでいる。
会長
校長
- 農業と福祉は100%となっている。普通科は行ける機会が少なく、看護体験で何名かが参加している状況である。
- 普通科がこのような状況なので、私の構想であるが、普通科1年生の総合的な探究の時間において、農業科や福祉科の3年生に協力してもらい、本校の中で専門学科の体験をしてもらったら、考え方や生徒同士の人間関係が変わるのではないかと考えている。何人かの先生に話をしている段階である。
課長
- 我々がインターンシップを推進している理由の一つは、職員も生徒も群馬県の地元の企業をあまり知らないことから、地元にも素晴らしい企業が多くあることを、職員にも生徒にも知ってもらいたいということがある。
委員
- 2年前に学校の視察に参加してその時も思ったことだが、専門教育が素晴らしく立派に行われていて、非常に大切なことだと思った。普通科も大切なことはあるが、専門的なことを高校から学べることもあって、実習などは楽しそうにやっている。
- 私は、普通高校で机上の授業しか受けてこなかったので、学校に行く楽しさはあったが、勉強の楽しさは少なかったと思う。これからは、実習を取り入れていくと良いのではないかと感じた。また、福祉はとても大事だと感じた。
- 先ほど見せていただいて、素人で考えると、「何でもお手伝いしてしまおう」と考えてしまうが、状況に応じた対応方法や声掛けとか細かいところまで全て学んでいると違うのだと感じた。施設等と連携をとって、実際の現場で経験していることもとても素晴らしい。
- 大変学ぶことも多かったし、私たちも一企業として、何か学校の取組を手伝うことができらたと思う。皆さんの苦労を分かったつもりでしかないのかもしれないが、経験できて感謝している。
会長
委員
- 実践的な指導をされていると感じた。
- 福祉科についての要望だが、私は、仕事で介護関係の訪問看護ステーション、老人ホーム、デイサービス、相談支援事業所などの支援をしている。経営計画を立てて、それを実現するための支援をして、福祉関係の色々な業種に行くのだが、福祉関係の人材育成が一番難しい。
- 提供するサービスはそれぞれ素晴らしいが、その方たちが管理職やマネージャーになるとき、その意識が他の業種より低いと感じる。経営やビジネスなどの経営組織に属しているのに、会社から期待されていることや果たすべき役割について、少し薄いように感じている。
- 福祉科の中で、大学や専門学校に行く人もいるが、就職する生徒もいると思うので、ビジネスや経営というものも少し触れて欲しい。
会長
委員
- 福祉のサービスを提供する老人ホームでも、デイサービスでも、福祉関係でも私は経営だと思っている。最高のサービスを提供するためのサービス業だと思っている。皆さんは「利用者」と言うが「お客様」である。お客様に良くするだけではなく、将来的にはビジネスとして経営幹部になるための経営センスやビジネス面も知っていてもらいたい。
委員
- 本日は吾妻中央高校の授業を見させていただき感謝する。吾妻地区の2校の伝統校が統合し、素晴らしい内容の授業、先生方の指導であったと感じた。
- 校長先生から指導の重点等をお伺いしたが、地域の期待に応える学校を目指しているということで、「地域と共にある学校」であると感じた。それぞれの学科の教育活動の中にも、「地域」という言葉がとても多く入っているように、「地域で生徒たちを育てる」、そんな位置付けの学校であると思った。
- 少子化の中で、都市部へ生徒たちが流出してしまっている状況である。この地域の方々に本校をより知ってもらうためには、先生方が、「生徒たちは福祉科でこんなことをやっている」とか、「普通科、生物生産科ではこんな取組をしている」ということを中学校などへ情報発信していくことで、本校を目指そうとする生徒が増えるのではないかと感じた。
- 福祉の授業を見ていて、現在の2年生は男子が1名、1年生では男子が7名と聞いた。統合前は女子生徒のみであったが、男子が入学することで、いろいろな面でより活気が出てくるのではないかと思う。是非ともこの生徒たちを、福祉の仕事も含めながら地域で育てていってもらえれば大変有り難い。
- 大学へ進む生徒が53.7%の時代の中、福祉科では7名が就職となっている。大学、短大、専門学校へ進んだ生徒たちが、福祉の関係で地域に戻ってきて、地域を活性化するような手立てをしていただければ大変有り難い。そのためには、先程から出ているようにインターンシップ等にしっかりと取り組んで、職業観・勤労観を育んでいかないと大変かと思う。
- 今、私は大学で指導しているが、大学生のインターンシップは、就活に結び付くためのインターンシップとなってしまっているところがある。経団連からの申合せも含めて、2年生から活動している学生もたくさんいる。本当にそれでいいのかと感じている。そのような中で、中学校とも違うインターンシップを高校では是非ともやってもらいたいと思う。そのためには、デュアルシステムとまではいかないが、やはり期間は少し長くやっていただき、事前・事後の指導をしっかりと行い、体験したことに対して、発表などをすることによって生徒たちはどんどん力が付いてくると思う。
- また、生徒たちは群馬の企業を知らない。是非ともインターンシップを通じて「こんな企業もあるんだ」ということを、気付かせてもらいたい。
- 福祉科の「介護技術コンテスト」の発表の内容がとても良かった。お年寄りに対しての声掛けや、コミュニケーションの取り方などの力がこれからはとても重要である。このような実践的で、実学の学べる授業であることが分かった。これからも内容を深めていってもらえればと思う。
委員
- 本日は大変貴重な内容を見させていただき、有り難うございました。
- 私は、介護福祉士として「群馬県高校生介護技術コンテスト」の審査員をさせていただいているのだが、本校がいつも優勝校、又は上位校である。「だからこそ」ということを改めて感じさせていただいた。
- 見せていただいた実演について、ギャッチアップの仕方で、足から上げて、頭を上げて、足を上げてという風に貧血を防ぐ方策を取っていたり、毛布をはぐときに、蛇腹折りで折っていくこと、また麻痺側からカーディガンを着ていただくとき、相手の方に向き合った生徒は、自分の左腕に袖を通して介助しており、患側を不用意に動かさないようにしていた。先ほど、言葉掛けという話があったが、それ以外にも介護技術の場合、ポイントとなることがしっかりと守られているということを実感を持って感じた。先生方の指導の仕方が、どういうところをポイントにしながら教えているかということが、的確に表れていた。
- 生徒が実習を行う実際の現場では、資格を持っていない方や、3年間の実務経験を積んで実務者研修を受けて資格を取る方など多様な背景を持つ方々が働いている。そうした現場と、実際に介護福祉を学んでいる高校生との知識や考え方の差が過分にあると感じている。高校生介護技術コンテストでは、生徒の家族の方は見に来ているが、一般の方に開放されているという印象はあまりないので、もったいないと思っている。
- 今実演した2年生の内容だけでも先のポイントの他、この場でお伝えしていないがボディメカニクスや安定座位の作り方などいろいろなことを行っているので、そういうことも考えると一般の方や現場の方々に見ていただき、高校生の学びを伝えていっていただくことで、高校生の力を借りての産業界の活性化にもつながるのではないかと思った。介護福祉士会としても動かなければいけないと改めて認識をした。是非、一緒にできればと思う。
- 先ほど他の委員から、「ビジネス的なところを」という話があったが、介護福祉職はどうしても「利用者のために」という考えになりがちになってしまう。しかし、その「利用者のために」ということは、組織の理念に基づきやっているという前提があり、そのためにはビジネスマナーとか、組織の中の一員として自分は何ができるかなどの概念が必要となってくると改めて気付いた。教育の中でそういった点も取り入れていく必要があると感じた。
会長
- 私の周りにも介護に携わっている人がいるが、現場は非常に厳しい。技術やテクニックを勉強するだけでなく、コミュニケーションや優しさ、例えば言葉一つで相手を傷つけてしまうこともあることを子供たちに知ってもらうような場面も必要だと思う。そのようなことについてはどうか。
委員
- 二つのことが考えられる。一つは、社会人講師を招聘した際、その職の魅力について語ってもらうだけではなく、くじけたり、辛かったり、申し訳ないと思ったりした経験を語ってもらい、そうした話を生徒に聞いてもらうことが大切だと思う。それでも仕事を続けているということにより、生徒はその仕事の意味についても感じ取ることができるのではないか。実際の現場に行くと、「思っていたのと違う」「自分はそんなに聖人になれない」といったこともあると思う。そういったときに、先輩方にもそうした経験があったということを伝えてあげられたらと思う。
- もう一つは、実習で経験して感じたことを、「介護総合演習」等の中で振り返り、お互いの経験を話し合う場面を設けられるとよいと思う。また、そうした経験について、先生方から助言をいただいたり、現場の方も交えて話し合ったりしてもよいのではないか。これは、福祉に限ったことではないが、人はいつまでも良い状態ではいられず、心も揺れ動くため、揺れ動く中でも生き続けていけるようにしていただけるとよいと思う。
会長
- 介護される側も、なかなか言うことを聞かない場合もある。きつい面もあるだろうが、子供たちに現実を知ってもらったり、体験してもらったりする場面を設けられるとよい。他はどうか。
委員
- 本日配付していただいた資料を拝見すると、県産業教育フェアについては所期の目的が達成され、役割を終えたとのことであるが、なくなったことによる高校への影響の有無と、代替されるような取組の有無について教えていただきたい。
課長
- 県産業教育フェアについてであるが、これまで25回開催し、昨年度をもって終了させていただいた。これまで様々な形で開催しており、例えば会場についても、県内を巡回していたこともあれば、県庁で開催していたこともある。終了については色々な面があるが、一番見てほしい中学生の集客が難しいという側面や、また、一番大きなものとして、各専門高校の色々な催し、これは学校ごとの催しもあるし、各部会で行う催しもあるが、こうした催しが充実してきたという側面がある。
- 例えば農業では、農業部会での様々な催しや、各学校で主に春と秋に行う販売会などがあるが、こうした取組が増えることにより、負担も増しているという面もある。そうしたことを総合的に勘案し、各学校や各部会の取組を更に充実させていくために、第25回をもって発展的に解消させていただいたという状況である。
会長
- 本日の視察では、挨拶もしっかりしており、学校全体の雰囲気が明るく、子供たちが自信を持っているように見受けられた。校長先生をはじめとする先生方の日頃の教育の賜物であり、先生方の思いが伝わっているのだと思う。本日はありがとうございました。
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