1 日時
平成29年9月8日(金曜日)9時30分から12時00分
2 場所
群馬県立勢多農林高等学校
3 出席委員
11名(小堀良夫委員(会長)、古賀義朗委員(副会長)、遠藤秀子委員、眞保智子委員、田村英樹委員、齋藤ゆかり委員、茂木創委員、細谷可祝委員、茂木三枝委員、太田和雄委員、根岸誠委員)
※欠席委員1名(堀口美奈子委員)
4 次第
- 開会
- 群馬県教育委員会教育長挨拶
- 委員及び幹事自己紹介
- 会長・副会長選出
- 群馬県産業教育審議会長挨拶
- 学校概要説明(群馬県立勢多農林高等学校長)
- 授業・施設・設備等視察
授業「食品製造」、「バイテクスペシャリスト3」、「造園技術」、「フラワーデザイン」、「草花」
- 上泉農場概要説明
- 活動発表
「国の名勝及び天然記念物「冬桜」の保全に関する研究」
- 審議
「産業界と教育界が連携した産業教育の在り方について」
- 閉会
5 議事概要
会長
- 「産業界と教育界が連携した産業教育の在り方について」ということで、視察の感想も含め協議をお願いする。
- 私が石材屋を営んでいることもあり、「造園技術」の視察では、最後に生徒にアドバイスをした。今後に期待したい。
委員
- 視察をして、勉強ができて自分が専攻する分野で力が発揮できるところが良いと感じた。
- 会議室に飾られた、生徒が作成した花がきれいであり、普段身近にある猫じゃらしも利用して、一つの作品としてでき上がっている。
- 「フラワーデザイン」の授業では、生け花をしていて、縦長や横に広がった花の生け方に、人それぞれの個性が出ていると思った。
- 「草花」の授業で視察をしたシクラメンについて、我々は出荷された物を買うだけであるが、葉組の作業を見て、途中の苦労がたくさんあることを感じた。
- 「造園技術」の視察では、今後大会があるとのことだが、時間や使用する物が決められている中で、頭や自分の手と体を使って時間内に仕上げることは良い勉強になる。また、卒業後にそのような道に進めるのは良いと思う。
委員
- 高崎経済大学に地域づくり学科があるが、それと似たような授業を選択している学生や、農業に興味を持っている学生がおり、今日はとても勉強になった。
- 生徒活動発表にあった「冬桜」が危ないことは、NHKのニュースで知っていたが、高校生が課題解決に尽力していることは初めて知った。解決するために、生徒が多方向に考え、解決策を見出し、実践している様子が発表された。
- 審議のテーマである産業界との連携について、課題解決の取組を継続するために基金を作るという、資金力まで考えていることがすばらしい。農業の授業で、育てるだけでなく経営まで学ぶことができ、学校教育の全てが課題解決実践力として結実していて素晴らしいと思う。
- 子どもたちが提案したことにどれだけ社会の大人が応えていけるのか、また、子どもたちに期待するだけではなく、大人も実践力を出していかなければいけないと、大きな課題をいただいたように感じた。
会長
- 委員の意見のとおり、生徒が主体的なだけでは取組が続かないと思う。取組が続くためには地域が動かないといけない。次のステップとして、生徒が何をできるか期待をしたい。
委員
- 毎年5月に開催している「ふれあいフェスティバル」で、本校には犬を連れてきての「ふれあいコーナー」を数年担当してもらっており、御礼を申し上げる。
- 授業を視察して、生徒が楽しそうに実習していることが最も印象に残っている。今日の視察で、農業高校のイメージが大きく変わった。
- 様々な学科やコースがあり、学習した技術を生かして、県内で就職できれば良いと考える。県外に進学して、県内に帰ってこないこともある。学んだ技術を県内で就職して生かす仕組み作りや、生徒への意識付けを行うことで、県内の産業が活性化できれば良いと思った。
- 試食した梨がおいしく、牛乳も普段のものとは違う感じがした。毎日の搾乳や日々の生徒の努力が、群馬県の産業の活性化につながれば良いと思う。
委員
- 生徒たちは生き生きと楽しそうに活動していた。3年間で得られる仲間や、技術や資格の取得において、一人一人に個性があることを踏まえて大事に伸ばしてもらいたい。
- 技術は大変な速さで変わっており、食品の法律についても変わってきているため、アンテナを多方向に生徒たちが持ち続け、世の中の情勢の中で、それらを受け入れ、変化していく必要があることを、今後も指導していただきたい。
- インターンシップについては、地域と共に何かをやることや、学生の視点だから見えることなどもあり、学生のときから社会体験できる良い機会であると思う。
- 「草花」の視察で、自然の中では見通せない部分がある中で、いつまでに仕上げるかといった目標を、明確に持って取り組んでいたことが良いと感じた。
- 大学生等と加工について試行錯誤しながら取り組むことがあるが、生産はできても、販売までたどり着かないことがある。メンタルを強くすることや、途中で何かあってもくじけないで最後まで完成させることを、地域を含めて産業界が支援する体制ができればよいと考える。
委員
- 前橋市の馬場川において、6月に生徒の育てたプランターが落とされるという事件あったが、すぐにプランターを設置し直したと聞いた。このように、本校が地域社会と普段から連携を行っていることは知っていたが、本日の草花の栽培の視察や生徒の話から、どれだけ丹精込めて育てているかを理解し、このような活動が地域社会を豊かにしていく取組になることを、興味深く、また感心して視察をした。
- 農業については、6次産業化が話題になって久しいが、なかなかその実現が難しい。一番重要なのは、後継の人材だと思う。今までの「狭い意味での農業」ではなく、関連する全ての場面で、消費者のニーズを見極め、付加価値の高い商品化を行っていくことが「広い意味での農業」を支えていくことであると感じている。このような人材育成について、本校の取組はますます重要になってくるという印象を受けた。
- 生徒の多様なニーズに応えられるコース制を、優秀な教職員が支えていると感じた。産業教育については、このような取組の発信を強めて、県の方に良い成果が伝わればと思う。
委員
- ハローワークで、ある人事担当者が、「今の学生は優秀で、1+1=2という決まりきったことは分かっている。ただし企業というものは、1+1を3にも5にも10にもしなければならないことが多くあるが、今の学生はそのようなことがなかなか分からない。」と話していた。
- 今日の視察の中では、答えのない中で、自分たちで工夫して作り上げていくという教育を中心に行っており、社会の貴重な人材として育っていくことを感じた。
- 今年は高校生の求人が多く、7月末で昨年度を越えている状況である。
- 企業は、若い人を求める中で、配慮や改革等を実施しているが、高校生を受け入れていく中での地域とのマッチングについて、群馬労働局として支援していくとともに、高校教育課と連携して進めていきたい。
委員
- 産業界は、知らない人とうまく協働して何かを作り、サービスによる対価として給料をもらい、家族を支えていくという営みとなっている。
- 勢多農林高校をはじめ専門高校の場合は、社会につながっているため、お客様の反応等その成果が見えるという状況があり、改めて素晴らしい教育により成果を上げていると感じている。
- なお、「コスト意識」と「命をいただく」ということについて、生徒にどのように伝えているのかをお伺いしたい。
委員
- 産業界と教育界との連携であるが、冬桜の発表を聞かせていただき、このような連携が行われていることを初めて知った。
- 本校は、12コースそれぞれでこのような連携が行われていることは素晴らしいが、このような取組を私ども中小企業経営者や従業員は、知らない方が多いのではないかと思っている。
- 連携という視点であるが、冬桜の課題をはじめ、さまざまな課題に対して、より一層発信に留意していただけると、産業界としても有り難いと感じている。
委員
- 本日、学校での取組を拝見し、生徒が本当に生き生きと楽しそうに学習に臨んでおり、素晴らしいと感じた。
- 長年に渡り、ものづくりの製造業に携わってきたが、現在は薄利多売の熾烈な競争下にあり、デジタル技術を駆使し、効率性を追求してきた。このことにより、直接的ではないにせよ地球環境の破壊が進み、グローバル化の波も相まって、深刻な状況となっている。
- これからの時代は、農業や林業の重要性がますます高まることから、この勢多農林高校での教育を通して、生徒の意識を醸成し農林業の活性化を図っていただくことが大切である。
- 大気中の二酸化炭素の増加による温暖化が問題となっているが、緑豊かな社会を築くことは、酸素の供給にもつながり、農林業は食をも支えている。このように農林業は大切な産業であるが、一方、工業化の波による森林伐採の加速化、担い手の減少等多くの課題も抱えている。
- 勢多農林高校で一生懸命勉強している生徒には、農林業に対してしっかりとした考えを持った大人としての成長を期待している。
委員
- 御質問いただいた「コスト意識」に対する取組であるが、農業教育においては、経営感覚の育成は大変重要であり、栽培技術に偏りがちな中で、その先を見据えた教育が必要であると考える。
- 昨今、GAPの認証とこれによる食材提供が注目を集めているが、本校でも野菜等、栽培系の学習を進めている部門において、国際的に通用するGAPの認証を目指し取り組んでいる。
- GAP教育においては、生産工程管理の中で「コスト意識」や「環境」等について学んでおり、農業学習の重要な取組と位置付け、現在、進めているところである。
- 次に、「命をいただく」についてであるが、「産業動物」として教育の中でしっかりと位置付けている。この前提の下に、子供たちは、一生懸命飼育等の学習に取り組んでいる。
会長
- コース制に関心を持った。これを更に充実させて、専門性を高めることが大切である。生徒が今後就職し、実際の職場に入った時に、「学校生活で学んできたことと違う」というギャップをできるだけなくすために、学校での教育内容をより現場に近いものにする必要があると感じている。
- 先日、9月4日の朝日新聞の教育面に掲載された「Uターン就職」の記事についての話である。自治体が、少子高齢化を見据え、面接試験に交通費を支給したり、保護者へ企業が魅力をPRしたりするという内容である。最後に、地元を離れて進学した学生が、「地元での就職を希望する割合」が35%であるとあり、この中で、東京に就職する理由に、「都会の便利さ」と並んで「地元に志望する企業がない」という回答が多く見られた。ここから、地元に世界的企業があっても地元の産業について知らない学生が多いという状況が見え、自治体や企業は、学生が高校生の頃から地場産業を知る機会を増やした方が良いと解説している。
- 私も同意見であり、インターンシップを更に推進するとともに、企業経営者等が、今回のように学校を訪問し見せていただく機会を拡大することで、情報を共有し、お互い理解し合うことが必要であり、大変重要であると考えている。
- あわせて、先生方にも企業を積極的に訪問いただき、知っていただきたい。そこで得た企業経営者や企業幹部等との人脈が、生徒が色々な企業を知る機会となり、更に就職を円滑に進める足掛かりとなる。こうしたつながりは、学校側だけではなく、企業側にとっても有り難く、しっかりと築き上げていきたい。
- インターンシップ及び外部講師派遣については、是非、積極的に推進していただきたい。特に、インターンシップにおいては、就職希望者だけではなく、進学希望者に対しても必要である。進学してもいずれは職業に就き仕事に従事していくのであり、就職、進学問わず、全員を対象とする必要がある。是非、充実した対応をお願いしたい。
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