本文
令和3年12月20日(月曜日)
県庁24階 教育委員会会議室
平田郁美教育長、益田裕充教育長職務代理者、竹内健委員、代田秋子委員、沼田翔二朗委員、河添和子委員
加藤隆志教育次長、村山義久教育次長(指導担当)、竹之内篤総合教育センター所長、内田善規総務課長、堀和行管理課次長、塩谷聡福利課長、鈴木佳子学校人事課長、栗本郁夫義務教育課長、天野正明高校教育課長、町田英之特別支援教育課長、侭田浩一生涯学習課長、橋憲市健康体育課長、佐鳥秋彦総務課デジタル教育推進室長、吉澤隆雄総務課次長、齊藤克博総務課補佐(行政係長)、佐俣瑞穂総務課主幹
午後1時00分、平田教育長、教育委員会会議の開会を宣す。
取材者は1名であることを報告。
平田教育長が今回の会議の会議録署名人に河添委員を指名。
議案審議に先立ち、平田教育長から、第43号議案は教職員の表彰に関する案件であるため、第44号議案から第46号議案は教職員の人事に関する案件であるため、審議は非公開で行いたい旨の発議があり、全員賛成で議決した。
教育委員会の主要行事日程及び次回定例会議の日程について、総務課長が説明。
(平田教育長)
始めに私から一言申し上げる。
県では12月2日に「社会経済活動再開に向けたガイドライン」を改訂し、これまで4段階としてきた「警戒度」を、国に合わせる形で5段階の「警戒レベル」に変更した。また、12月4日からは新たな警戒レベルで「1」とされている。
これによる県立学校の対応についてであるが、部活動においては、これまで宿泊を伴う対外試合等については、ガイドライン等に基づく感染防止対策を講じている宿泊施設を利用する場合に限り可としていたが、4日からはこの制限を緩和して、校内の合宿所などでも可としたことを報告する。
次に、令和3年度第3回後期定例県議会について報告する。議会は12月16日に閉会した。一般質問では、通学路の危険箇所対策の進捗についての質疑をはじめとして、高校生のヘルメット着用の状況や取組、伊勢崎特別支援学校の整備の状況、夜間中学の設置に関する協議の進捗状況、学校におけるヤングケアラーの支援についてなどの質疑があった。
また、12月6日に開催された文教警察常任委員会では、妙義青少年自然の家の廃止後の方向性、群馬県の公立通信制高校の現状、学校における働き方改革、また、制服選択制の状況などについての質疑がなされた。
前回の教育委員会会議以降の主な行事としては、11月24日に1都9県教育委員会全委員協議会に全委員に出席いただいたほか、11月26日の下仁田小学校・下仁田中学校でのICT活用促進プロジェクト(モデル校事業)公開授業に代田委員に出席いただいた。
私からは以上である。続いて、教育委員から意見や報告をお願いする。
(益田委員)
私は、1都9県教育委員会全委員協議会にオンラインで参加した。協議会の前に、事務局の皆様から様々な情報提供をいただいたことを改めて御礼申し上げたい。
協議会では、様々な話があったが、男女共同参画社会の中で、これからの管理職養成、特に女性の社会進出をどう進めていくべきかということを改めて考えさせられた。
(竹内委員)
私も、1都9県教育委員会全委員協議会に参加したが、講演の中で「無意識の偏見」ということを伺った。あやしい人が近づいてきたときに「あやしい」と心の中で思ってしまうのは、「無意識の偏見」なのか、その人に対する偏見なのか、あるいは自分を守るための防衛本能なのか、いろいろ考えられるので、この「無意識の偏見」をどう解釈するか、頭の中で迷いながら聞いていた。偏見は良くない、平等でなければならないということが盛んに言われていたが、私自身は「人間は平等でない」とずっと思ってきた。学校の先生と生徒が平等であったら、教えたり教わったりはありえなくなる。人間にはそれぞれ個人の尊厳があり、足らざるところを補うという意味で、「公平」ならいいだろうと思う。全部平等にしてしまうと、理屈が先にいってしまうのではないかという気がする。
私は、行動することの方が大事であるので、平等論を述べる前に、少しでも足らないところを補って公平に持っていくというような形のものはどうだろうかと考えた。例えば、トイレに、男子用・女子用と置かないでエックス用を置けば、男子も女子もないということを、トイレを使う度に子どもたちはわかっていくだろうと思う。そのように具体的な行動をやっていかないと、いくら理屈を述べ合っても、この問題は解決しないだろうと思いながら講演を聞いていた。ただ、新しく知る部分もあったし、自分がそういうことに気がつかずにいたことは、今まで失礼なことをしてきたのだろうという反省もあった。
(代田委員)
私は、1都9県教育委員会全委員協議会と、下仁田小学校・中学校のICT活用促進プロジェクト公開授業に参加した。
協議会では、私が参加したグループディスカッションの中で、埼玉県の教育委員から、LGBTQの生徒が、授業の中で講演を行い、その中で気持ちを伝えたことで、みんなが共有でき、理解力が高まったという話があった。グループの中で、「本人から申し出ることも大事だと思う。」と言っていたことが印象的だった。
下仁田小学校・中学校の公開授業では、教育委員会をはじめ、地域の皆様のご協力があって、この公開授業が行われたということを感じた。先生方が共有している部分もあり、教科ごとに表現の仕方が違っている部分もあった。いちばん印象に残っていることは、子どもたちのルールである。一人が発表するときには、必ずタブレットを下に向けて、画面に目がいかないように指導されており、とても良いと思った。参加できて、良かったと思う。
(沼田委員)
私は1都9県教育委員会全委員協議会に参加した。先程皆さんがお話しされていたとおり、ジェンダー平等を実現するための教育という話で、竹内委員がおっしゃっていたように「無意識の偏見」がジェンダー平等を阻害する大きな要因であるということが示されていた。
「無意識の偏見」が子どもたちにどのように浸透していくのかと考えると、学校の中では、見えるカリキュラムと見えないカリキュラムがある。見えるカリキュラムは明文化されている教育活動を指し、見えないカリキュラムは教育側が意図しないにもかかわらず、子どもたちが学びとっていく事柄すべてを指す。「無意識の偏見」は、この見えないカリキュラムの部分で育ってしまう環境があるのではないかと思っている。具体的にいうと、一つ目は、名簿が男女別であることである。男子が先で女子が後ということも、まだまだ学校の中には存在している。二つ目は、制服選択制である。性的マイノリティの方々に配慮して、スカートかスラックスかを選択できるようになりつつある状況にあり、それは素晴らしいことであるが、例えば、式典のときには、女子はスカートを履かなければならないという学校がまだあるかもしれない。スラックスを認めるのであれば、式典であってもスラックスを認めるということも、見えないカリキュラムの中に考えていかなければならないと思う。私自身、非常に勉強になった。
(河添委員)
私も同じく1都9県教育委員会全委員協議会に参加した。まず本当に恵まれた研修の機会をいただき、感謝する。
先程から出ている「無意識の偏見」について私が感じ取ったことは、「無意識の偏見」が続いていかないための取組を、ある程度強く意識してやっていかなければならない段階に、今、日本が置かれているということである。
自分も女性管理職であったが、そのあたりも大分話題に出ていた。例を挙げると、校長室に掲げられている校長の写真が全員男性であり、校長室に来る小学生が「校長先生は何で男の人ばかりなんだろう。」と素朴な疑問を抱いていた。今となってみると、そうしたもの、例えば政治家や管理職に男性が多いということを、ニュースや学校等で自然と見ていることが「無意識の偏見」を生み出しているのだとすれば、意識的にでも数値目標を挙げて、女性管理職を増やしていくことが必要ではないかと考えた。ジェンダーギャップ解消の先進県になれるように、教育委員や事務局の皆さんと取組を推進していきたいと思う。他県の皆さんとのワークや意見交換はとても嬉しい経験になった。
(平田教育長)
「無意識の偏見」という点で、多くの委員から意見をいただいた。また、きちんと行動に移すことや、どういうところが「無意識の偏見」につながるかということを、その都度洗い出して、目標を決めてやっていくことが大事であると、報告を聞いて感じた。
(竹内委員)
先程「平等でない」という発言をしたが、「平等」という言葉を安易に使うと、おかしくなってしまうという危険性を感じたからである。例えば、憲法26条第1項には「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」とあるが、「その能力に応じて」ということは、差があるということを憲法が認めているということである。いわゆる運動会で順位をつけることや、入学試験で不合格にすること、スポーツの試合で勝ち負けを決めることは不平等である。しかし、それで生徒は育つし、向上心も生まれるし、訓練もするとなると、安易に「平等」を打ち出すべきではないと思う。「平等」の部分も必要であるし、「公平」な部分も必要である。学校で、すべて「平等である」と教えてしまうと、社会に出てからまごつく人が出てくると思う。
私は、自分の会社では、頑張った者は頑張ったように、頑張らない者は頑張らないように、「公平」に扱うと言ってきた。簡単に「平等」を振りかざすと大変だと思う。決して差別主義ではないが、現実を見てきた人間として、そう思っている。
(平田教育長)
それでは、関係所属長から報告をお願いする。
高校教育課長、令和4年3月に県内の国公私立中学校及び特別支援学校中等部を卒業する見込みである者の進路希望調査結果(令和3年12月1日現在)について、資料1により報告。
高校教育課長、令和4年3月に高等学校を卒業する予定の者の就職内定状況について、資料2により報告。
(平田教育長)
ただいまの報告について、委員から質問等があるか。
(益田委員)
資料1の進路希望調査結果について、高校教育課長の考えを伺いたい。今回の結果では、全体の倍率は1.01倍ということで、年々下がってきている状況である。先程、昨年に比べて卒業生の数が多いという話があったが、それならば少し倍率が上がってもよいのではないかと思う。高校再編を進めてきている中で、どうしてこのような結果になったのか、高校教育課ではどのように分析しているか。
(高校教育課長)
中学生の進路希望が多様化しているということだと思う。公立高校の倍率は減っているが、私立高校や、この表の「その他」が増えている状況である。「その他」については、内訳は公表していないが、専修・各種学校、就職、通信制高校などが含まれている。
私立高校の希望が増えた理由については、もちろん学校が特色を出してきていることもあるが、就学支援金制度が充実してきていることや、早く進路を確定させたいという意識もあると思う。
(益田委員)
学校再編だけではなく、一つ一つの公立高校がどのような特色を出して進むのかということについて、特に、子どもたちや保護者に一層伝えていく必要があるのではないか。1.01という倍率は、危機的な水準ではないかと思う。このあたりを高校の校長先生方がどう捉えて、どのような特色が出していけるのかということを、様々な議論をして考えていかなければならない時代になっていると感じた。
(平田教育長)
普通科と専門科では倍率が違うが、高校教育課ではどのように分析しているか。
(高校教育課長)
前回の調査結果でも、専門科の倍率が低かった理由について、夏に説明会が行えなかったことで、専門高校の実態を理解してもらえなかったという説明をした。秋に体験入学等を再開して、前回よりも倍率が上がったという学校もある。しかし、まだ1倍に届かないということで、先程益田委員がおっしゃったように、学校のそれぞれの特色を出していくこと、もちろん学校は努力しているが、それがしっかり中学生に伝わるようにしていくことが大事であると思う。
(平田教育長)
普通科は昨年より倍率が上がっているが、専門科では下がっている状況にある。群馬県の専門科の高校は、他県と比べて相当にレベルの高い素晴らしい教育をしていると思う。益田委員のご指摘のように、中学生になかなか伝わらないので、いかに伝えていくかということが大切だと思う。
また、学校別倍率を見ると、上位5校に今年度新設の桐生高校と桐生清桜高校が入っている。これは、新設高校の校長をはじめ先生方、生徒たち、それから教育委員会が頑張ったしるしだと思う。それから、沼田高校と沼田女子高校も倍率が上がっている。
自分たちの学校は、どういう生徒を育てていくのかということを、それぞれの教職員が意識をして、子どもたちに徹底をして、そして中学生にわかるように伝えていくということが大事であり、これ以外の部分でも地道な努力を続けていくことが、今こそ大切だという益田委員の意見である。
(沼田委員)
資料1の進路希望調査結果では、私立高校が前年度調査から228人増えているが、私立高校を希望する生徒は普通科が多いのか。
(高校教育課長)
私立高校については普通科が多い。
(沼田委員)
どの私立高校を目指しているのか内訳はわからないが、公立高校として魅力を打ち出していくことは間違いなく重要だと思っている。一方で、地理的なネガティブ要素があるのではないかと思っている。例えば、ある地域には大学進学を前提とする塾がないとすると、保護者の立場として経済的な負担を考え、その地域の公立高校に通わせるより、遠くても私立高校に通わせ、さらに放課後に塾を併設している私立高校に行かせた方がよいという判断をし始めているように思う。一概に公立高校に魅力がないから行かないということでは決してないだろうと想像している。
(代田委員)
私立高校になぜ行くかということであるが、附属高校である場合は卒業後の大学進学という面から高校を選ぶと思う。県立高校の方でも、その高校によって進学だったり就職に有利だったり特色を掲げていると思うが、どのような形で教育をするのか、保護者や生徒へのアピールを強くしてもよいのではないかと思った。
(平田教育長)
お二人から大学進学というキーワードをもとに私立学校の希望が増えていることについて分析いただいた。
(河添委員)
私も桐生に住んでおり、知り合いの保護者が近くにたくさんいる。桐生の高校の倍率が高くなったと言う声もあるが、角度を変えると誇らしいことだとも感じる。
資料2の就職内定状況について質問したい。群馬県の就職内定率が80%とあるが、内定先は、群馬県内か県外かという情報はあるか。
(高校教育課長)
県内に就職を希望している生徒が2,570人、県外に就職を希望している生徒が243人であり、近県と比べて県内志向が高い。就職内定者数は県内が2,080人、県外が169人となっている。県外の就職内定率が69.5%となっており、割合としては低い。
(平田教育長)
群馬県は男子の内定率が高いが、このあたりの分析はしているか。
(高校教育課長)
全体で見ると男子と女子に少し差があるが、学校ごとに見ると、例えば、商業高校では同じか女子の方が高い。女子の就職率が低い学校に問い合わせてみたところ、職に対する女子のこだわりが強く、求人の少ないところに志願し、なかなか受からないという状況だと聞いている。
(平田教育長)
以上で教育長事務報告を終了する。
高校教育課長、原案について説明
(益田委員)
桐生高校と桐生女子高校が統合して桐生高校になり、今回の進路希望調査では高い倍率という結果が出た。高校教育課長の話から、沼田高校・沼田女子高校に対する地元からの期待の声が上がっていることがわかった。教育長から話があったように、沼田高校・沼田女子高校の倍率も昨年より高くなったということであるが、やはりそういうことが中学三年生の判断に影響を与えたということがわかった。是非これを一つの方向性として進めていくとよいと思う。
(竹内委員)
新高校名は決まっているのか。
(高校教育課長)
新高校開設準備会で決定する。
以上の審議の後、異議なく原案のとおり決定
ここで、平田教育長から、これからの審議は非公開で行う旨の発言があり、取材者及び関係課長以外の課長は退室した。
学校人事課長、原案について説明
異議なく、原案のとおり決定
学校人事課長、原案について説明
異議なく、原案のとおり決定
学校人事課長、原案について説明
異議なく、原案のとおり決定
学校人事課長、原案について説明
異議なく、原案のとおり決定
教育委員会記者会見資料について、総務課長が説明。
午後2時10分、平田教育長、教育委員会会議の閉会を宣す。