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令和3年2月12日(金曜日)
県庁24階 教育委員会会議室
笠原寛教育長、武居朋子委員、益田裕充委員、竹内健委員、平田郁美委員、代田秋子委員
加藤隆志教育次長、村山義久教育次長(指導担当)、神成賢一管理課次長、鈴木佳子学校人事課長、栗本郁夫義務教育課長、小林智宏高校教育課長、町田英之特別支援教育課長、内田善規生涯学習課長、上原克之総務課長、齊藤克博総務課補佐(行政係長)、宇津木牧子総務課主幹
午後1時00分、笠原教育長、教育委員会会議の開会を宣す。
傍聴人は2名、報道1名であることを報告。
笠原教育長が今回の会議の会議録署名人に平田委員を指名
議案審議に先立ち、笠原教育長から、第53号議案から第57号議案は議会に提出する案件であるため、第58号議案は附属機関の委員の委嘱に関する案件であるため、第59号議案及び第60号議案は教職員の人事に関する事案であるため、審議は非公開で行いたい旨の発議があり、全員賛成で議決した。
教育委員会の主要行事日程及び次回定例会議の日程について、総務課長が説明。
(笠原教育長)
最初に私から報告する。
まず、新型コロナウイルス感染症対策について報告する。国の状況だが、2月2日に政府の新型コロナウイルス感染症対策本部において、感染状況に落ち着きが見られる栃木県を除いた10都府県について、3月7日までの1ヶ月間、緊急事態宣言の延長が決定された。
本県では、4日に開催された新型コロナウイルス感染症対策本部会議において、本県独自の警戒度について、引き続き、群馬県内全域で最高レベルの「4」を維持することを決定した。
本県教育委員会の対応についてだが、学校では、これまでも感染防止対策の徹底を図ってきたところではあるが、学校に関係して、複数の学校において、これも複数の感染者が確認された事案が発生している。こうしたことから、入学試験のシーズンであることなどを踏まえ、学校での感染リスクを更に抑えるため、県立学校では、部活動を2月8日から1週間停止することとした。加えて、2月22日までは、部活動の内容や練習メニュー等が感染リスクの高いものは活動を控えることとした。各学校にはすでに通知し、対応を開始している。
なお、各市町村教育委員会に対しても、県の取組を周知し、協力をお願いしたところである。
次に、令和3年度の組織改正及び予算案について報告する。
まず、組織改正だが、2月8日に知事から記者発表が行われた。県教育委員会では、教育DX(デジタルトランスフォーメーション)施策推進のため、総務課に「デジタル教育推進室」を設置する。この新しい室を中心に、県内全体でICTを活用した教育が一層充実したものとなるよう、県立学校だけではなく、小中学校も含めて、ICTの活用をしっかりと進めることで、教育の質を高めていく取組を進めたい。
続いて、来年度の県の予算について報告する。令和3年度の県予算は総額が7,650億7,700万円と、今年度と比べて102.7%となった。コロナ対策経費の大幅な増加により、平成20年度以降最大の予算規模である。この中で、教育委員会関係予算は1,579億6,516万円となり、今年度の当初予算と比べると96.6%と微減した。
教育委員会の来年度の主要事業は、これまで実施してきた「さくら・わかばプラン」を大きく前進させるため、小中学校の全学年で少人数学級編制を可能とする「ニューノーマル GUNMA CLASS PJ(プロジェクト)」を実施する。同時に、ICTを活用した教育イノベーション・プロジェクトも、より内容を充実させながら継続発展させる。特に来年度は、各教育事務所に「教育DXコーディネーター」を配置し、先ほど紹介した総務課の「デジタル教育推進室」と一体となって教育DXを推進する。
また、課題である「障害者雇用の促進」を引き続き実施する。全校への「スクールカウンセラー配置」に取り組んでいくほか、新たに「スクールロイヤーの体制整備」に取り組む。複雑困難化する学校現場、特に義務教育段階の小中学校での課題に対し、法的な対応を含めた相談体制整備を進めるため、県弁護士会と連携して取り組む。
このほか、新たに、伊勢崎特別支援学校整備を実施する。教室不足や老朽化が大きな課題であったが、来年度予算案の中では、これからの環境整備のため、用地測量等を実施する予算を計上した。特別支援教育については、未設置地域の解消が図られたところであるが、伊勢崎地区は児童生徒数が多い中で、施設の老朽化が進んでいることから、解決に向けた取組を進めたい。また、新型コロナ感染症対策のため「特別支援学校スクールバス運行」についても増便を実施する。
最後に、前回の教育委員会会議以降の主な行事についてだが、2月4日に総合教育センターで開催された「ぐんま教育フェスタ」に、わたしと全委員が出席した。例年とは違う方法での開催となったが、研修員の先生方の発表を聞くことができた。これからの教育施策の大きな課題についての発表もあり、研修員の成果も踏まえて、教育委員会全体で取り組む必要があると感じたところである。私からの報告は以上である。
各委員から、教育フェスタについて報告してほしい。
(武居委員)
2月4日に教育フェスタのミニ成果発表会に参加した。今年はオンラインのみで、実際に見ることはできないのかと残念に思っていた。このような機会を設けていただいたことに感謝したい。オンラインだけではく、やはり実際に見てみないと興味が湧きづらい。発表会で実際に見ると、いろいろな発表を覗いてみたくなり、結果、4つの発表を見た。帰宅後も、土曜日からのオンラインでいろいろなところを見せてもらった。例年よりも勉強させてもらった気がする。
どの発表も、今の教育課題をしっかり捉えて、目の前の子供たちの実態をしっかり受け入れた上で、解決策を考えているように思えて、とても温かい気持ちがした。
いくつか例を挙げると、知的な障害のある生徒の思っていることを十分に汲んだ「自分らしさ発見シート」を使って、キャリア教育を行う発表や、伝統的な遊びを体育の授業の導入に取り入れることで、子どもが楽しく準備運動できるようになり、それが運動の習慣化につながるという発表があった。子どもが楽しく遊ぶことで運動習慣が身につくなんて、すごく素晴らしいことだと思い、家に帰ってからオンラインでもう一度よく見せてもらった。
また、外国人の児童生徒のための「ぐんまのぐんぐんガイド」を作っているところを見た。現場の先生たちは本当にすぐにでも使いたいだろうと思える内容だった。その発表がオンラインで発信されているので、ぜひ多くの方に見ていただきたい。実際に手に取るまでに、いろいろ考えていただけると良いと思った。
最初にも申し上げたが、実際に見る機会があったことがやはりよかった。来年度以降、また、大勢の方が参加できる教育フェスタを開催してほしい。
(益田委員)
私は、理科におけるICTの活用をはじめとする発表を見せてもらった。ICTをどういう場面で活用するのかというところが、今後、様々なところで課題になるだろうと私は思っている。その中で、やはり学習指導要領改訂の趣旨を踏まえて、ICTを活用していくのだなというところが大変よくわかった。今回の学習指導要領は学習過程という概念がすべての教科で出ていると思う。その学習過程を踏まえたICTの活用を進めるのだということがよく考えられていた。
研修員と指導された指導主事の皆さん、送り出してくれた各学校の先生方が一丸となって取り組んできた成果であることを感じた。この発表会などが県教育界の人材育成の大変重要な機会になっていることを改めて感じた。
(竹内委員)
自分はプログラミング教育の発表を中心に2コマ見学した。子どもたちに、興味を持たせたり、魅力を感じさせたりするための仕掛けづくりに、先生方がかなり工夫をしていた。子供たちがグッとのめり込むような装置を作るなど、先生方の熱意と工夫に感心した。よくやってくれていると思う。
これから、1人1台パソコンというICTの時代を迎える。今、簡単に言うとバスに乗り遅れないようにと、みんなが一斉にそちらの方向に進んでいる。しかし、コンピューターの便利さの裏側には影の部分がある。学校は大事な個人情報をたくさんもっている。サイバー犯罪の被害にあう可能性もしっかりと留意する必要がある。先生方にも、そのことをしっかりと意識してもらいたい。苦言というわけではないが、そんなこともつけ足して発言させてもらった。
(平田委員)
それぞれの委員の発言のとおりだが、付け加えさせてほしい。私は3コマの発表をそれぞれ半分ずつ、計6つの発表を見せてもらった。
それらの研究内容は、いずれも先生方が、すぐに現場で生かせるような工夫がされていた。例えば教材なら、開発したアプリあるいはワークシート等の教材を、オンラインですぐ使える仕組みになっていた。これからDX化が進んでいく中で、他の先生方と情報共有をすることがすごく大事になると思うが、そのことがとても意識されていた。先生方は、自分たちの発表がどうしたら現場で生かしてもらえるかということも意識して研究されていることが伝わってきた。この研究員の先生方が中核となって、群馬の教育がどんどん進んでいくのだなと、明るい気持ちになった。
(代田委員)
私は小学校の算数と中学校の国語、プログラミングの3つを見た。特に算数と国語は、振り返りシートを用いることで、子どもたちが主役になるような授業スタイルを考えてくれていた。子どもたちの学習の遅れを見逃さないという、研修員の皆さんの考えがすごく伝わってきた。研究成果をいろいろな方に伝わる取組になっているところがとてもよいと思った。これからも群馬県の教育がもっともっと進んで、子どもたちの笑顔が見られるようになることを期待したい。
(笠原教育長)
委員から教育フェスタについて意見をもらった。この教育フェスタでは、新しい指導要領に基づいた指導をどう進めていくかを具体的に考えていく上で、研修員の方々が1年をかけて学校現場に足を運びながらしっかりと考えてくれた。この後の実践に向けて、いい発表をしてもらえたと思っている。研修員の活動は、県教育委員会が今後取り組むべき課題をしっかりと考えてもらう貴重な場でもある。委員にも間近で成果発表を見てもらえたことは、研修員にとっても大きな励みになったことと思う。
また、当日は市町村の教育長も何名か出席されていた。総合教育センターには、学校と事務局や、県教育委員会と市町村教育委員会がさまざまな連携した取組を進めていく上で、現場の声を届ける役割を担ってもらっている。総合教育センターと課題意識を共有しながら、よりよい研修ができるよう来年度に向けた検討を進めていきたい。
続いて事務局の各所属からの報告をお願いする。
義務教育課長、令和2年度「小中学校等ICT教育推進研究協議会」及び令和3年度ICT教育促進総合対策事業の実施について、資料1により報告。
義務教育課長、スクールロイヤー体制整備について、資料2により報告。
高校教育課長、令和2年度の県立学校の卒業式の期日について、資料3により報告。
令和3年1月23日に行われた令和3年度公立中等教育学校入学者選抜の結果等について、資料4により報告。
高校教育課長、令和3年度県立学校入学者選抜の日程等について、資料5により報告。
(笠原教育長)
各所属長からの報告は以上である。委員から質問や意見があるか。
(武居委員)
資料1のICT教育促進総合対策事業についてだが、この4月には1人1台端末になる。やはり最初が大変だろうと思う。これを支援するため、小中学校に教育DX推進スタッフを232人配置するということだが、これは具体的にはどのように配置するのか。また、子どもたちに対して、どのような対応をするのか教えてほしい。
(義務教育課長)
国の内示によるので、人数は多少前後するが、大体2校から3校に1人くらいの配置になる。ICTの専門的な知識に長けた人ばかりという訳ではないので、ICTの操作で子どもたちが分からないことを教えるなど、補助ができる人をイメージしている。
(武居委員)
やはり導入の最初が肝心だと思う。教職員が、自分がいままでやってきた授業の方がいいのではないかと思ってしまうと、なかなか進んでいかなくなる。ぜひ良いものだと思える取り入れ方ができるとよい。
(益田委員)
質問というよりは、感想になるが2点ほど述べたい。
1点目は、同じくICT教育促進総合対策事業についてだが、構想(資料1の別紙2)の3にある、地域差なく、個人差なくということが強調されている。これがまさにICTを進めていく上で大変重要な視点だろうと私は思う。地域差なく、個人差のないように、すべての方策を練っているということなので、スタートにあたっての構想は大変しっかりしている。今後の取り組みが楽しみである。
2点目は、スクールロイヤー体制整備についてである。スクールロイヤーの体制整備の取組を、予算をつけて前進させることができたことは大変素晴らしいことである。資料2別紙の「期待される効果」の中にある、「初期対応の段階から、予防的に弁護士に関わってもらうことで速やかな問題解決につなげる」というところが重要だと思う。複雑化する教育の課題がさまざまある中で、問題がこじれてからではなく、やはり初期対応の段階からの活用が必要である。各学校には、初期段階から弁護士を活用することが可能であることをよく周知し、よりよく活用してもらえたらと思う。
(平田委員)
私も同じくICTとスクールロイヤーについて質問したい。いずれも益田委員の指摘のとおり、大事なポイントを押さえた設計がされていると思った。スクールロイヤーについては、顧問弁護士という形ではなく、学校の中に入って一緒に子どもたちをサポートしていこうという、「チーム学校」の思想が色濃く反映されている点がすばらしいと思う。この制度は、市町村教育委員会を通してということなので、基本は小中学校を想定しているものと思うが、県立の高校や特別支援学校にも対応しているのか。
またICTについて、県立高校で生徒1人1台端末を導入するというのは、他の都道府県にはない取組だと思うが、先ほど義務教育課から説明のあったような支援は、高校や特別支援学校でも行われるのか。
(高校教育課長)
ICTについて、県立高校では、今年度から検討協議会を設けて、各学校が共通で使えるベーシックなモデルを現在作成中である。義務教育では、市町村と連携した取組が必要であるため、ICT教育推進研究協議会を設置している。そのベースの上に、高校の取組を行っていこうという見通しである。
(平田委員)
高校でも4月から、例えばDX支援員を配置するなどの取組が可能なのか。
(高校教育課長)
人的体制について、高校の場合は、教科として「情報」があり、それぞれその担当の教員がついている。そういう意味では、義務教育で行うような支援的な配置をする必要が特段ない。ICTの先生も含めて、推進がなされるという状況である。
(平田委員)
1人1台端末は、例えば探求の授業などで生徒が有効に使えると思う。そうした時、情報の先生のところに質問が集中すると大変ではないか。将来的には人員を整備することなども考えているか。
(高校教育課長)
現状では、情報専門の教員が担当になっている。基本的に校内の組織的な取り組みが必要となるが、それについてはすでに情報担当の教員を中心としながらも、特に組織的な活動の推進という意味で教務主任も当然その軸として関わっている。特に探求的な学びの推進という意味では、各教科の連携が必要となるため、そのための体制づくりは始まっているところである。
(笠原教育長)
義務教育の現場では、慣れている子と、慣れてない子との間で差が出るのも困るということで、操作も含めたいろいろな支援を行うDX推進スタッフが必要になってくる。一方、高校では、ある程度の操作はできることが前提になる。もちろん、使ったことがないという生徒も中にはいると思うが、それでも基本的な操作は問題ないと考えている。むしろ、それぞれの教科の中でどういう活用ができるのか、学校によって専門性が異なる中で、専門性なりの特色を深めるためにICTがどう活用できるのかという方が重要になる。協議会では、たくさんの先生方の協力を得て、いろいろな取組を検討している。県立高校では、まずはその取組をベースにやっていきたいと考えている。
(平田委員)
子供たちは、いわゆるデジタル・ネイティブなので、おそらく端末の使い方は割とすぐに慣れると思う。問題なのは先生の方で、それは義務でも高校でも、あまり変わらないのではないか。
(笠原教育長)
総合教育センターの研修など、先生方の意識や考えをしっかり持ってもらうような取組が必要になる。今、考えているDX推進スタッフは、義務の現場で、子供たちが操作に手間取ることなく進めようというのが一番の狙いである。
(平田委員)
スクールロイヤーは、高校でも使えるのか。
(義務教育課長)
県立学校については、すでに顧問弁護士が相談に乗ってくれている。今後、必要であれば、県立高校でも使えるよう検討していきたい。
(笠原教育長)
研修などは、義務と高校で違う話ではないので、一緒に受けられるのではないか。具体的な事案への対応については、現在の顧問弁護士には学校現場の相談も受けていただいている。義務では、市町村によって体制がしっかりできているところもあれば、専門家のアドバイスを受けることが難しいところもある。県と市町村の役割分担の問題もあり、予算要求の際には、県が対応することなのか、それぞれの市町村が考えるべきではないのかという指摘もあった。県教育委員会とすれば、県内全体でしっかりと対応できる体制を整備するには、今の段階では、県が整備を進める必要があると説明したところである。
(竹内委員)
プログラミング教育について、今、使用しようとしているプログラム言語は何か。もし、決まっていないようなら、決まっていないでよい。
(義務教育課長)
承知していない。
(竹内委員)
事務系、商業系、工業系では、それぞれ使用する言語が違う。どの言語を取り上げるかで学びが違ってくる。ただ、どの言語を使っても、手順を組むという点では違いがない。手順を示したフローチャートの作成は、コンピューターがなくてもできる頭の鍛錬である。できるだけフローチャートを学習とすることで、漏れの無い考え方ができる生徒を育ててほしい。言語はその後でよい。コンピューターがなくてもプログラミングの学習はできるし、フローチャートを徹底的にやる方が後々に有益である。
(笠原教育長)
他に意見があるか。なければ、教育長事務報告は以上とする。
ここで、笠原教育長から、ここからの審議は非公開で行う旨の発言があり、傍聴人は退室した。
総務課長、原案について説明
異議なく、原案のとおり承認
総務課長、原案について説明
異議なく、原案のとおり承認
総務課長、原案について説明
異議なく、原案のとおり承認
学校人事課長、原案について説明
異議なく、原案のとおり承認
生涯学習課長、原案について説明
異議なく、原案のとおり承認
生涯学習課長、原案について説明
異議なく、原案のとおり決定
ここで、笠原教育長から、ここからの審議は教職員の人事等に関する案件である旨の発言があり、関係課長以外の課長は退室した。
学校人事課長、原案について説明
異議なく、原案のとおり決定
学校人事課長、原案について説明
異議なく、原案のとおり決定
教育委員会記者会見資料について、総務課長が説明。
午後2時54分、笠原教育長、教育委員会会議の閉会を宣す。