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平成31年2月7日(木曜日)午後6時00分から7時34分まで
県庁24階 教育委員会会議室
小磯正康委員長、福田正人委員、横田正夫委員、横倉美香委員
笠原寛教育長、北爪清教育次長、山口政夫教育次長(指導担当)、飯塚裕之総務課長、鈴木佳子義務教育課長、村山義久高校教育課長、上原篤彦特別支援教育課長、阿部誠総務課次長、根岸政彦総務課補佐(行政係長)、酒井暁彦義務教育課生徒指導係長、高橋章高校教育課生徒指導係長、小野純一特別支援教育課補佐(企画係長)、宇津木牧子総務課副主幹
午後6時00分、平成31年度群馬県いじめ問題等対策委員会を開会
本日は、大変お忙しい中、平成30年度第1回いじめ問題等対策委員会にお集まりいただき、感謝申し上げる。
いじめの報道がない日が無いほど、各地でいじめが問題となっている。本県でも重大な事態には至らないものの、いじめは各学校で日常的に発生しているものと考えている。いじめは、児童生徒の心身の健全な発達に重大な影響を及ぼすものである。不登校や、最悪のケースでは自ら命を絶ってしまうような深刻な事態になりかねない大きな問題であると考えている。
平成25年にいじめ防止対策推進法が施行され、いじめの定義なども見直される中、初期のいじめも見逃さず、しっかり対処することが求められている。昨今では、SNSなどインターネットを介したネット上のいじめが増加している。実態が見えにくいネットいじめへの対処も非常に大きな問題であると考えている。
県では、こうしたいじめの問題に対処するため、国の「いじめ防止対策推進法」や「いじめ防止等のための基本方針」、さらには「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」等を踏まえて、「群馬県いじめ防止基本方針」を策定している。国の方針を踏まえて見直しを行いながら、本県におけるいじめ防止のための対策を、総合的かつ効果的に進めていなかければならないと考えている。現在、新年度からが計画期間となる「第3期群馬県教育振興基本計画」においても、「いじめ防止に努め、良好な人間関係を築く力を育成する」ことを、施策の大きな柱の一つとして掲げ、学校の教員によるいじめの正確な認知に基づく適切な対処、あるいは、児童生徒自らがいじめを許さない心を育むための取組を進めていく考えである。
本日の委員会では、調査審議を行う重大事態は発生していないが、本県のいじめ防止の取組について説明する。
委員の皆様には、それぞれの専門的な観点から、本県のいじめ防止について御指導いただきたい。是非忌憚のない御意見をいただき、今後のいじめ防止対策にしっかりとつなげていきたい。
平成25年に「いじめ防止対策推進法」が施行されて以来、全国の教育委員会や学校においては、いじめ防止の対策に真摯に取り組んでいることと思う。
しかしながら、テレビや新聞では、連日のようにいじめによる重大事態に関する報道がなされている。法施行から5年が経過した今尚、重篤ないじめにいたるケースは後を絶たないところである。
児童や生徒の問題行動に関する文部科学省の調査では、平成29年度の全国のいじめ認知件数が約41万4,000件と過去最多となった。法の施行をきっかけに、これまで見過ごされてきたいじめが早い段階で認知されるようになった。しかし、それにも関わらず、生命や心身に関わる重大事態はなくならないのが現状である。また、他県で発生したいじめによる重大事態について、第三者委員会の調査の結果に対して、被害者あるいはその保護者から「納得できない」「受け入れられない」とマスコミを通じて表明したケースも報道されている。
本県ではこれまで重大事態の調査に至る事案は発生していないが、全国で憂慮すべき事態が発生している状況を鑑みるに、本県でも予断を許さない状況であると考えている。
本委員会による調査審議が必要となった折に、速やかに調査に着手するとともに、被害者やその保護者の心情に寄り添った対応をするためにも、平常時の情報共有も重要なことであることから、本日ここに、平成30年度第1回群馬県いじめ問題等対策委員会を開催することとなったものである。
委員の皆様におかれては、本日の委員会で、本県のいじめ問題の現状を把握し、広く意見を交わしていただくとともに、県の取組について意見をお聞かせいただきたい。
各委員及び事務局出席者が自己紹介を行った。
進行を議長である小磯委員長に交替した。
【議事の一部を非公開】
議事に先立ち、小磯委員長から報告「5 報告(3)いじめ防止対策推進法の見直しについて」は、公にすることにより意思決定の中立性が失われる恐れがある案件であるため、「(4)重大事態の動向について」は、個人の権利利益を害する恐れがある案件であるため、「6 その他(1)意見交換」については、先の2件に関する内容を含めた意見交換を行う予定であるため、群馬県いじめ問題等対策委員会運営要綱第3条第2号の規定に基づき非公開で行いたい旨の発議があり、全委員賛成で決定した。
義務教育課生徒指導係長が資料1に基づき説明した。
【質疑】
(横倉委員)
ネットいじめが6%(153件)あったと説明があったが、この件数は、どこで、どのようにネットいじめと判断してカウントしたものか。
(義務教育課生徒指導係長)
教育委員会では、小・中学校から毎月いじめの報告を受けている。その中で、子どもや保護者から先生に対して「LINEを外された」等の訴えがあったものをネットいじめと認知している。LINEやTwitterは他者からは見えない部分なので、子どもたちから訴えがないと認知できない状況である。認知できているのはごく一部であると説明したのはそのためである。教員は子どもの日頃の表情や行動の変化を見ていく必要がある。
(福田委員)
「資料1(3)いじめの日常的な状態把握のための具体的な方法」についてお聞きしたい。アンケート調査の実施について、虐待事件に関連してアンケート調査の守秘のことが最近問題となっている。いじめのアンケート調査について、回答の守秘にどのように取り組んでいるか。
(義務教育課長)
小中学校で実施しているアンケート調査については、アンケートの方法を具体的に示して行っているわけではなく、それぞれの学校が、それぞれの実態に応じて、やりやすい方法で調査を行っているのが実状である。
以前勤務していた学校では、「いじめられたことがありますか?」という質問ではなく、「生活の中で心配なことがありますか?」「何か相談したいことがありますか?」など、具体的にあるか、ないか、ということだけを聞くようになっていた。「ある」に○を付けた子どもに対しては、先生が個別に話を聞き、心配ごとの具体的な中身を把握するというやり方であった。
アンケートの結果について、最初から「誰にも言いません」とはっきり書いている学校もあるかもしれないが、子どもと相談をしながら、家の人にも言った方がいいかなどを決めている。一概に「こうしている」とは言えない状況にある。
(福田委員)
今回の報道を目にした子ども、特に中学生や高校生はとても気にするだろうと思う。今後、対応をよく検討して欲しい。
(小磯委員長)
学校が行ったアンケート結果そのものは、特別なことがなければ教育委員会には報告されないということでよいか。
(義務教育課長)
アンケートにより認知したいじめの件数などは報告を受けているが、アンケート用紙そのものが提出されることは通常はない。
(小磯委員長)
認知件数のことだが、過去の推移などから、いじめが減っているかどうか判断する手掛かりのようなものはないのか。いじめの定義を広げたこともあり認知件数は増えている。一方で、いじめの防止のために先生たちが一生懸命頑張っても重大事態は減らない。こうした状況で、果たしていじめは減りつつあるのか、そうではないのか。それを判断するには時期尚早なのか。どのようにお考えか。
(義務教育課長)
平成25年に施行されたいじめ防止対策推進法の中で、行為を受けた側が心身の苦痛を感じていればいじめであると定義された。しかし、これまでの歴史の中で、一般的に人が考える「いじめ」のイメージは、「継続的である」「一方的である」「一対多数である」といったものである。長年、社会の中で培われてきたイメージはなかなか変えることが難しく、古いイメージから脱却し、新しい定義に基づくいじめの認知につなげるには、まだ壁がある状況にある。そのような状況だが、仲間はずれにする、無視するといったようなタイプのいじめは基本的には減っていると感じている。ただし、新しい定義で認知すれば、些細なトラブルであっても、心身の苦痛を感じればいじめと考えるので、いじめは増えていることになる。現在はまだ過渡期にあり、増減の傾向についてはっきりと言うことは難しい状況にある。
(小磯委員長)
典型的ないじめは減ってきていると考えているとのことだが、いじめに関する調査結果からは、そのことを読み解くことができない。新しい定義で行われた調査の結果として全体の数値だけがある。こういう種類のいじめは減っているとか、内容や程度が統計に絡んでくれば学校や教育委員会でも対応が検討できるし、頑張った成果も見える。そういう分析ができないままなので、歯がゆく感じる。過渡期ということもあり、また、文部科学省の統計の取り方の問題なので、難しいところだと思う。
(笠原教育長)
調査に対して、いじめが0件と報告している学校もある。改めて本当にそうなのかどうかよく考えてもらうことが重要であると考えている。目立たない、ノーマークな子どもが、実は心身に重大な影響を及ぼすような苦痛を受けていたとしたら、痛ましい結果につながるような事態が起きかねない。教職員の、子どもたちのSOSへの感度を高めてもらうことが、今の時点でしっかりと取り組まなければいけないことである。「減った、増えた」よりも、それぞれの学校でいじめは本当にないのか、しっかり考えてもらう取組を重点的に進めたい。
(小磯委員長)
見逃さないことに重点を置いていく考えということでよいか。
他に質問がなければ本件は以上とする。
義務教育課生徒指導係長が資料2-1に基づき説明した。
高校教育課生徒指導係長が資料2-2に基づき説明した。
【質疑】
(福田委員)
いじめ防止フォーラムで使用した「人間関係づくりプログラム」のリーフレットは、教育委員会のホームページなどで公開されているのか。
(義務教育課生徒指導係長)
公開していない。著作権等の問題もあるが、紙ベースで全ての学校に配付していることから、ホームページへの掲載は行っていない。
(福田委員)
著作権など問題もあると思うが、可能であればPDFの公開を検討してほしい。
もう一点、高校生LINE相談についてお聞きしたい。LINE相談に取り組まれたことは非常に画期的なことである。発展途上の取組であり、実施にはさまざまな苦労があったことと思う。しかしながら、実施結果を見て、相談件数が少ないと感じた。私の事前の予想では、相談が殺到して対応しきれなくなるのではないかと心配していた。アクセス数を見ると、閲覧が生徒数の約8%程度、相談に至ったケースは更に少ないのではないか。私の想定が誤っていたのだと思うが、あるいは、生徒が匿名であってもそこから自分が割り出されるのと心配して相談を控えたようなケースもあるのではないか。結果に対する県の考えをお聞きしたい。
(高校教育課生徒指導係長)
お友達登録件数は、相談対象の1.2%であった。事業実施に当たり視察した長野県など、他県の状況を聞いたところ、高いところで3%程度であったので、群馬県は低いという印象である。考えられる理由として、一つには周知の問題がある。カードを作成し全ての学校に配付したが、夏休み直前であったこともあり、周知が徹底できなかったことが影響していると考えている。また、「相談者が特定されるのでは」との相談もあったが、相談員からそういった心配はないと伝えた。なんでも思っていることを言って欲しいと伝えるなど、相手の心情に寄り添った丁寧な対応を取っていただいた。相談内容を見る限り、むしろLINE相談の匿名性が生かされる結果になったと考えている。
高校生LINE相談については、今年度の結果を踏まえて、来年度も引き続き事業を実施し、調査研究を進める予定である。今年度の課題として、期間を限定して行ったため、相談者と相談員の信頼関係が深まらなかった点があったと考えている。有識者からも意見をいただきながら検討を進めているところであるが、来年度は相談日を週1回のペースで長期間設定し、自殺のリスクが高まる夏季休業、冬季休業の前後には数日間連続稼働させることを予定している。
(横田委員)
高校生LINE相談は非常に面白い取組だと思う。資料の表8資料2-2(5)時間帯別相談件数を見ると、18時台の相談が多い。その時間帯が一番相談しやすいということと思う。一方で、22時以降の深夜帯に相談してくるのは、それだけ相談しづらい深刻な悩みである可能性も考えられる。深夜帯は限られた期間(8月25日~9月3日)のみの受付であったということだが、全日で深夜帯まで受け付けることが望ましいと思う。それは難しいことか。
もう一点、相談件数は金曜日が一番少ないという説明であったが、平均対応時間は金曜日が一番長い。他の曜日はそれほど差がないのに、金曜日だけは対応時間が長いという点には何かしら重要な意味があるのではないか。時間が長いということは、それだけ相談に時間を要する複雑な相談内容であるということか。相談を受けた側から見て、どのような感触であったか。
(高校教育課生徒指導係長)
今年度、文部科学省の補助金を使用して全国30自治体が事業を行った。その中で22時から24時の深夜帯にも相談時間を設けた自治体は群馬県のみである。費用の問題や、相談員の帰宅の時間の問題もある中での試行であった。
次に、曜日別の相談件数について、傾向として金曜日が最も少なく、土日にかけて増加し、月曜日に最も多くなった。LINE相談は、時間中ずっと会話をしている訳ではなく、食事や入浴などでやり取りが20分以上中断することもある。金曜日の相談時間が長いことについては、翌日が休日であることも影響していると考えている。
(小磯委員長)
基本的なことで申し訳ないが、まずQRコードからLINEにお友達登録したあと、やり取りはずっとメールになるのか。
(高校教育課生徒指導係長)
そのとおりである。お友達登録をするとLINE相談の画面が表示される。そこから「相談する」とのボタンを押すと、相談員につながるシステムである。
(小磯委員長)
相談員はスーパーバイザーを含めて5人と説明があったが、相談は5人が同時に行うことが可能なのか。
(高校教育課生徒指導係長)
相談には4人の相談員で対応している。スーパーバイザーは、相談員の指導助言や相談の内容が深刻なケースの相談に当たっている。相談員はパソコン上で会話をしており、同時に2人まで対応できるシステムである。相談者8人まで、同時に対応できる体制であった。
(小磯委員長)
相談者は、相談員が4人のうち誰かということを特定できるのか。相談は1回で終わるものだけではないと思う。2回目以降は、前回アドバイスしてくれた相談員を指名することはできるのか。
(高校教育課生徒指導係長)
相談員は20数名がシフト制で対応していた。したがって、同じ相談者からの同じ相談であっても、違う相談員が対応に当たるというケースもあった。そうした時のために、相談者には番号が振られており、「昨日相談した者ですが…」などの書き込みがあった場合は、少し待ってもらい、前回の相談記録を確認し、悩みの内容を把握してから相談を受けた。
(小磯委員長)
他に質問がなければ本件は以上とする。
【非公開審議】
ここで、小磯委員長から、これからの審議は非公開で行う旨の発言があり、傍聴人は退室した。
総務課長が資料3に基づいて説明した。
高校教育課生徒指導係長が資料4に基づいて説明した。
高校教育課長が本県の県立高校における重大事態の発生状況を報告した。
義務教育課長が本県の公立小中学校の重大事態発生状況を説明した。
小磯委員長から、本日の議論にかかわらず、いじめ問題全般、委員会の進め方、県の取組状況などについて自由に発言してほしい旨の提案があり、各委員が発言した。
その他報告事項なし
午後7時34分、閉会した。