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平成30年11月20日(火曜日)
県庁24階 教育委員会会議室
笠原寛教育長、藤原重紀教育長職務代理者、平田郁美委員、青木章子委員、武居朋子委員、益田裕充委員
北爪清教育次長、山口政夫教育次長(指導担当)、野村晃男総合教育センター所長、飯塚裕之総務課長、岩瀬春男管理課長、津久井裕美福利課長、上原永次学校人事課長、鈴木佳子義務教育課長、村山義久高校教育課長、上原篤彦特別支援教育課長、船引忠雄生涯学習課長、古澤勝幸文化財保護課長、小林信二健康体育課長、阿部誠総務課次長、根岸政彦総務課補佐(行政係長)、宇津木牧子総務課副主幹
午前11時00分、笠原教育長、教育委員会会議の開会を宣す。
傍聴人は2名、取材者は1名であることを報告。
笠原教育長が今回の会議録署名人に青木委員を指名。
議案審議に先立ち、笠原教育長から、第30号議案から第31号議案は県議会に提出する案件であるため、第32号議案は教育委員会の表彰に関する案件であることから、審議は非公開で行いたい旨の発議があり、全員賛成で議決した。
教育委員会の主要行事日程及び次回定例会議の日程について、総務課長が説明。
(笠原教育長)
最初に私から前回の教育委員会以降の主な行事について報告する。
10月23日に教育関連施設訪問として、藤原委員、青木委員、益田委員が県立ぐんま天文台を訪問した。
10月25日に文部科学省主催の平成30年度都道府県・指定都市教育委員研究協議会が開催され、益田委員が出席した。
11月1日には、群馬県功労者表彰の表彰式が行われ、教育委員会の関係では文化財保護指導員の大島史郎様、日本ボーイスカウト群馬県連盟副理事長の河内正美様が受賞された。
11月6日には、教育事務所長との意見交換会を開催した。全委員が出席し、現在策定作業中である第3期群馬県教育振興基本計画の生涯学習関連施策について、意見交換を行った。
11月8日には、今年度2回目となる県市町村教育長協議会を開催した。会議では、教職員の多忙化解消に向けた協議会からの提言を受けた県教委並びに市町村教委の今後の取組の方向性や、小・中学校と特別支援学校との交流及び共同学習の推進について協議するとともに、障害者雇用の拡大などの連絡事項について情報共有を図った。
11月12日には、今年度2回目の教育委員による学校訪問を実施し、伊勢崎市立赤堀小学校及び県立伊勢崎興陽高校を訪問した。両校の児童生徒の授業を視察するとともに、校長先生等の学校関係者と意見交換を行った。
県立学校の記念式典では、11月15日の県立勢多農林高等学校創立110周年記念式典に武居委員が、11月16日の渋川特別支援学校創立40周年記念式典に平田委員がそれぞれ出席した。
それでは、委員から出席いただいた行事について感想等をいただきたい。
(藤原委員)
私から、県立ぐんま天文台の視察、教育事務所長との意見交換会、学校訪問について、それぞれ概要と感想を述べる。
県立ぐんま天文台の視察では、午後2時~4時までという短い時間であったが、台長から概要の説明を受けた後、施設内を見学した。天文台には150センチメートル体望遠鏡を始め、見るべき場所が多くあった。訪問した日は曇時々雨という、天文台の視察にはあまりふさわしくない天候であったが、晴天・雨天といった、その時の天候に併せた施設見学ルートや、児童生徒に対する学習指導のパターンについて詳しく聞くことができた。その中で、職員が行っている学習サポート計画について報告したい。天文台では、学校等の訪問の予定が入ると、時期や天候、学校が希望する学習の具体的な狙いなどに応じた計画をオーダーメイドで作成しているとのことであった。きめ細やかな対応がなされていることに感心した。交代制勤務で職員がフル稼働する中、ボランティアの力をお借りしながら、子どもの好奇心に応える学習が行われていた。天文台に行った方はご存じかもしれないが、天文台の辺りはこの時期でも大変に寒い。職員も寒さに苦労していると思い、寒冷地手当のようなものは支給されているのか気になった。職員の苦労は多いと思うが、子どもたちの学習意欲の高まる指導をこれからも期待したい。
次に教育事務所長との意見交換について報告する。今回は第3期群馬県教育振興基本計画における家庭の教育支援と生涯学習関連の取組について意見交換を行った。教育事務所長は各学校の現状についてよく把握しており、各地域の課題や問題点がよく分かった。
次に学校訪問だが、赤堀小学校と伊勢崎興陽高校を視察した。赤堀小学校では英語の授業を中心に視察したが、他にも1年生と6年生の算数の授業も見ることができた。1年生は元気に学ぶ姿が印象的であった。また6年生は習熟度に分かれた授業を行っており、小学校でもきめ細かい指導が行われていることを知ることができた。英語の授業では、3年生はイングリッシュサポーターが加わり、カードを利用した子どもたちの興味を引く授業が行われていた。子どもたちから自然に大きな声が出ていた。4年生は担任の他、ALT(外国語指導助手)とEAT(英語教育アドバイザー教員)が加わっての授業だった。担任は社会が専門の先生とのことだったが、先生自身もきちんと英語を使った授業を行っていた。当初、英語教育が始まることに専門でない教員がどのような授業を行えるのか心配していたが、今回、先生が自信を持って教えている姿を見て、考えていたよりもスムーズに取組が始まっているという印象を受けた。
伊勢崎興陽高校では6つの系列からなる総合学科の取組について話を聞いていた。各系列の授業を視察したが、このうち「福祉と人間を学ぶ系列」では、生徒が介護技術の発表を行っていた。ベッドに横たわる人を隣のテーブルまで移動させてお茶を飲ませるという場面設定であったが、実演する生徒は、自分もこういう人に介護してもらいたいと思えるような、素晴らしい技術だった。動作ごとに声を掛ける姿にも感心したが、驚くことにその生徒は社会人や大学生も参加する第1回群馬県介護技術コンテストで最優秀賞になったという。もちろん本人の資質も大きいと思うが、そんな結果を出せる生徒を育成した学校の教育の素晴らしさを改めて感じたところである。
(平田委員)
私からは、赤堀小学校の学校訪問と、渋川特別支援学校の記念式典について報告する。
今回、赤堀小学校では、藤原委員から報告のあったとおり英語の授業を中心とした視察を行った。伊勢崎市では、小学1年から英語を教科化し、45分の授業を行っている。この取組には市としての覚悟のようなものを感じた。伊勢崎市は外国籍の児童生徒が多い地域であり、群馬県の中でもグローバル化が進んでいることも影響しているのだろうと思う。伊勢崎市では、小学1年から中学3年までの連続した市独自カリキュラムを作っているだけでなく、小学校の担任教員と中学校の英語教員のサポートも行うなど、市全体をひとつにする指導が行われていた。EATも、先生の英語指導力に応じたアドバイスを、個々の力量に応じて丁寧に指導されていることが感じられた。視察した授業では、3年生は担任とイングリッシュサポーター、4年生は担任とALT、それぞれ役割分担ができており、掛け合いもまとまっていた。子どもたちが楽しく英語を学んでいる姿が印象的であった。市の取組は、学習指導要領の範囲をそれるものではなく、むしろ、範囲の中でたくさんの発音を聴かせたり、子どもが話そうとする力を伸ばしたりする仕組みになっていた。とても素敵なカリキュラムであると思った。伊勢崎市の取組を是非、積極的に県内に発信していただき、伊勢崎の小学校で力を付けた先生が、EATとして他の地域で指導にあたるなど、他の教員の学びにもつながると良いと思った。
次に渋川特別支援学校創立40周年記念式典について報告する。渋川特別支援学校は、寄宿舎のある養護学校としてスタートし、県内の広い範囲から特別な支援を必要とする子どもたちが通っている。校長の挨拶では、スクールバスの配置など、子どもたちの進学や通学の面でも手厚い支援を行えることに感謝していると話があった。子どもたちはとても明るく伸び伸びとしていた。一人一人に合わせた丁寧な指導が行われていることが、児童生徒の自信につながっていると感じた。
(青木委員)
県立ぐんま天文台を初めて訪問した。昼間なので星が観られるわけではなかったが、外には広場もあり、星を観るだけの場所ではなかった。いろいろ遊べる場所だということを、もっとアピールできれば良いと思った。
教育事務所長との意見交換会では、ファシリテーターの養成が話題となった。群馬県PTA連合会の中には、年に1回、家庭教育研究集会を開催する委員会がある。委員は日頃から家庭教育を勉強されていると思うので、ファシリテーターとしても協力していただけるのではないか。
学校訪問では、赤堀小学校を訪問した際、下駄箱の靴がキレイに並べられていた。整理整頓が行き届いている様子にとても気持ちの良い印象を受けた。伊勢崎興陽高校は、1年生で各系列の授業を体験し、2年生になると系列から自由に学べるようになるということは、子どもの成長にとってとても良いことだと感じた。
(武居委員)
まず学校訪問について報告する。赤堀小学校の英語教育についてだが、伊勢崎市では、これまで取り組んで来たパワーアップタイムの時間を英語のモジュール授業に変換したと説明を受けた。子どもにとっては、無理なく英語学習の時間を増やすことができて良かったと思う。その反面、それまでパワーアップタイムで行っていた繰り返し学習など、基礎学力の定着のための学習に取り組めなくなったということだと思う。変換による課題について、これから検証していく必要があると感じた。校長先生からは、これから家庭学習に力を入れるとの話があった。算数の習熟度別少人数授業を視察したが、内容も充実していた。こうしたところも力を入れて補っていくのだろうと思った。モジュールの英語学習は伊勢崎市全体で行っていることなので、今後、1時間の授業とモジュールではどちらがより効果的かなどを検証し、その成果と課題を発信していただきたい。
伊勢崎興陽高校では、6つの系列の授業を視察したが、どの教室の生徒も生き生きとしており、学習したことに自信を持って発表する姿が見られた。自己肯定感がある生徒が育っていると実感が持てた。自己肯定感が持てる理由について、教務主任によれば、伊勢崎興陽高校の生徒は学びの選択肢が広く自由度が高いこと、また、地域の社会福祉施設や保育所などとの交流が非常に盛んで、そうした地域での活動が自己肯定感の育成につながっているのではないかとのことであった。校長からも、弱い子がいるとその子に寄り添ってくれる子も必ずいて、中学校で不登校であった生徒が、伊勢崎興陽高校では登校できるようになるという話があったが、生徒の様子を見ると頷ける。非常に頼もしく、また温かい気持ちになった。
最後に、勢多農林高校の創立110周年記念式典について報告する。式典にはOBの方々や地域の関係者など、大勢の方が参加していた。そのそうそうたる顔ぶれからも長い歴史を積み重ねてきた学校の伝統と、群馬県の農業の中心校として誇りを強く感じた。記念誌には110年の歴史が詳しく書かれており、明治・大正・昭和・平成、それぞれの時代の農業の変遷とともに、その時代特有の苦労、そして常に新しい時代を切り拓いていこうとする力強さが記されていた。感動した。記念誌の取りまとめは大変な作業であったと思うが、意義のあることだと思う。今、農業は成長産業として期待されているが、次代の農業を担う中心校としての役割を、これまでの長い歴史を基に、これからも果たしていってほしい。
(益田委員)
最初に、県立ぐんま天文台について報告する。他の委員から話のあったとおり、普及事業に各学校まで足を延ばして努められていて、天文学の裾野拡大に努力されていることが大変よく理解できた。
次に、文部科学省で行われた都道府県・指定都市教育委員研究協議会に参加した。最初に、初等中等教育局教育企画課の望月課長から行政説明があった。協議会では、学校における働き方改革について、間もなく中教審の答申が出る動きがあると報告があった。また、高校教育改革について、AI社会の到来を踏まえた新しい教育の展開が必要とされるだろうとのことであった。説明に続いて座談会が行われ、山形県教育委員会の涌井委員、三重県教育委員会の森脇委員、福岡市教育委員会の町委員が登壇された。涌井委員は保護者委員としての在り方について、森脇委員は総合教育会議の意義について、町委員からは日本のICT教育が立ち後れていることについて意見があった。午後の研究分科会は、「学校における働き方改革について」に参加した。各都道府県でも対応が進められていること、先の行政説明で報告があったように中教審の答申が予定されていることなどについて、文部科学省から改めて説明を受けた。
教育事務所長との意見交換会では、家庭教育支援と生涯学習について意見交換を行った。学校と地域との連携について、教育事務所からコミュニティスクールの取組などについて報告を受けた。今後の動きに着目する必要があると感じた。
学校訪問では、赤堀小学校と伊勢崎興陽高校を訪問した。各委員から報告があったとおりである。伊勢崎興陽高校では、視察の最後にブックカバーづくりを体験させていただいた。生徒たちは教え方がとても上手で、学校が人を育てることにも尽力されていると感じた。
(笠原教育長)
委員にはたくさんの行事に出席いただいた。それぞれの感想や意見を今後に生かしていきたい。学校訪問では、どちらの学校も、子どもたちが明るく元気に学校生活を送っていた。学校の取組によって、子どもたちが変わることを感じた。これからも市町村教育委員会や学校としっかり連携していきたい。
それでは引き続き所属長から関係の報告をお願いする。
総務課長、障害者雇用率の再点検結果(平成30年6月1日時点)について、資料1により報告。
(笠原教育長)
この件について委員にも改めて報告したい。ご覧いただいたように、法定雇用率の達成には、115人という非常に大きな人数が不足している。簡単に達成できる数ではないと考えている。教育委員会としての取組について改めて検討する必要があると考えている。委員からも意見をいただきながら、しっかりと検討していきたい。
管理課長、学生寮上毛学舎の平成31年度入寮者の募集について、資料2により報告。
管理課長、文部科学省が行った調査のうち、群馬県における公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況調査の結果について、資料3により報告。
健康体育課長、平成32年度全国高等学校総合体育大会(北関東総体)群馬県高校生活動推進委員会の知事表敬訪問について、資料4により報告。
(笠原教育長)
それでは教育長事務報告については以上とする。
ここで、笠原教育長から、これからの審議は非公開で行う旨の発議があり、傍聴人及び取材者は退室した。
総務課長、原案について説明
異議なく原案のとおり承認
学校人事課長、原案について説明
異議なく原案のとおり承認
生涯学習課長、原案について説明
異議なく原案のとおり決定
教育委員会記者会見資料について、総務課長が説明。
午前11時56分、笠原教育長、教育委員会会議の閉会を宣す。