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平成30年5月22日(火曜日)
県庁24階 教育委員会会議室
笠原寛教育長、小池啓一教育長職務代理者、藤原重紀委員、平田郁美委員、青木章子委員、武居朋子委員
北爪清教育次長、野村晃男総合教育センター所長、飯塚裕之総務課長、岩瀬春男管理課長、津久井裕美福利課長、上原永次学校人事課長、鈴木佳子義務教育課長、村山義久高校教育課長、上原篤彦特別支援教育課長、船引忠雄生涯学習課長、古澤勝幸文化財保護課長、小林信二健康体育課長、阿部誠総務課次長、宇津木牧子総務課副主幹
午後1時00分、笠原教育長、教育委員会会議の開会を宣す。
傍聴人は1名であることを報告。
笠原教育長が、小池教育長職務代理者から欠席の届出があったことを報告。
笠原教育長が今回の会議の会議録署名人に平田委員を指名
議案審議に先立ち、笠原教育長から、第5号議案及び第6号議案は議会に提出すべき案件であることから、審議は非公開で行いたい旨の発議があり、全員賛成で議決した。
教育委員会の主要行事日程及び次回定例会議の日程について、総務課長が説明。
(笠原教育長)
まず一点目は、新潟市で発生した小学2年生の女子児童が被害者となった事件についてである。5月7日に新潟市内に住む小学2年生の女子児童が、帰宅途中に殺害をされ、自宅近くの線路に遺棄されるという大変痛ましい事案が発生した。改めて亡くなられた児童の御冥福をお祈りするとともに、御遺族の皆様に対して心よりお悔やみを申し上げる。警察関係の皆様の捜査により、14日に被害児童の自宅の近くに住む被疑者が警察に逮捕されたが、まだ捜査が行われており、明らかになっていない部分もある。無限の可能性を持つお子さんが、痛ましい事件の被害者になり命を奪われたことに、大変な憤りを覚えるとともに、容疑者が近くに住む人物であるという事件の構図にも衝撃を受けたところである。
県教育委員会として、今回の事件の発生を受けて、改めて児童生徒の通学路の安全対策等を含めた安全確保に、強い決意を持って対応していかなければならないと考えている。関係部署とも連携を図って安全確保に取り組んでまいりたい。また説明があると思うが、注意喚起の通知を市町村教育委員会並びに県立学校に発出させていただいた。
二点目は、教育委員にも出席いただいた行事等について報告したい。
まず、4月21日に、県立松井田高等学校において創立80周年記念式典が開催され藤原委員に出席いただいた。
5月10日、11日は、長野県で開催された1都9県教育委員会全委員協議会に、委員全員に出席いただいた。文部科学省の行政説明の後、分科会に分かれ、「学校における働き方改革」及び「新たな社会を創造する力を身につけるための高校の在り方」の2つのテーマについて議論いただいたと報告を受けている。
5月11日は、県高等学校総合体育大会、いわゆるインターハイの県大会の総合開会式が敷島公園で行われ、私が出席してきた。先日20日まで開催された各種競技では、高校生の元気な姿を垣間見たところである。この4月に開校した富岡高校、吾妻中央高校の生徒たちが元気よく行進する姿には、自分たちが新たな歴史を創るのだという思いを感じたところである。
16日には県の総合表彰が行われた。教育委員会関係では、5名の個人の方と1団体が受賞された。私も出席し、受賞者の皆様には、引き続き御指導・御協力を賜りたいと話をさせていただいた。
この間、たくさんの行事があったが委員の皆さんから出席した行事について一言ずつ感想をいただければと思う。藤原委員からお願いする。
(藤原委員)
まず、出席した松井田高校の創立80周年記念式典について報告する。
御承知と思うが、松井田高校は生徒数が215人と極めて少ない学校である。この日は来賓等を含めて約300人の出席であった。式典中、生徒の顔を見ると、皆やる気がみなぎった顔をしていた。式典も厳粛に行われていた。式典の中で在校生の代表である生徒会長が話した言葉、これが学校の重点目標を実践しているなと思わせるものだった。松井田高校は「ハートフルMATSUKOU」を掲げ、確かな基礎学力を身に付ける、ボランティア活動をする、生徒の自律を支援する、などの目標を掲げている。生徒会長は「80周年は多くの人々の熱意でたどり着いた」「これからも地域と共に歩み続ける」と決意表明をされた。この学校が地域に支えられ、そして、地域と共にある活動を推進してきた、そのことを生徒が決意の言葉にした。このことに学校が決めた重点目標が実践されていることを実感した。また招かれていたPTAの元会長も、この学校は多様性のある生徒を受け入れてくれている、そのおかげで自分の息子も自立ができたと、学校の必要性を訴えられていた。松井田高校の存在意義を改めて認識したところである。
次に、1都9県教育委員会全委員協議会について報告したい。行政報告では、「学校における働き方改革」について、文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課の課長補佐から説明を受けた。その中では教育委員に対し、教員に余裕を持って子どもたちに接してもらうための改革だということ、学校が担うべき業務を国が明確化したこと、これらを実行するための校長先生ら管理者の責務も明確化したことなどを訴えていた。こうした事を含めて働き方改革の進め方について詳細な御講義をいただいた。
続けて行われた分科会では、「学校における働き方改革」と「新たな社会を創造する力を身に付けるための高校の在り方」の2つのテーマに分かれて意見交換を行った。私は働き方改革について協議する第1分科会に武居委員と共に参加させていただいた。この分科会には、1都8県から11人の委員が参加していた。司会進行は長野県の教育委員であるスキーの荻原健司選手で、極めて楽しく豪快に進めてくれた。どうしたら学校での働き方改革が叶うのか議論し合った。いろいろな意見が出されたが、本県と他県が取り組んでいる内容に大きな違いはなかった。分科会では、「国が改革の指針を示しても実際に実行するとなると地域との協力が必要である。各学校現場において、いかに地域と協力できるかが問題ではないか」という話になった。結論には至らなかったが、その辺りをこれからどう進めていくか検討すべきとすることが、今回の分科会の結果であった。
翌日、現地視察で信州やまほいく認定制度を受けている「森のようちえん ぴっぴ」を訪問した。はじめて見たが、そこは1年を通じて、冬でも夏の暑い中でも、子どもは外で自由闊達に遊ぶという、簡単に言うと「施設がない」幼稚園だった。2007年4月に開園し、今は認可外保育施設として国の補助を受けずに運営しているそうである。現在は2~5歳児まで36人の園児に対し保育士が7人。月曜から金曜日の9時00分~14時00分まで預かっているそうである。軽井沢の18号線を南に下った森の中にあって、訪問した時は子どもたちが泥だらけになって遊んでいた。その中の1人の子は、2~3歳くらいと思うが、手ぬぐいで自分の体を拭いて、自分で着替えていた。森の自然の中で友達と遊び学ぶことで、身体能力、考える力、積極性などが育つという。開園から9年が経ち卒園した子も出ているが、卒園していった子どもは小学校でもリーダーシップを発揮し、勉学の場面でも状況をすぐに受け入れる、そういう子どもになっているとのこと。帰宅後、この幼稚園のことを自分の娘に話したところ、やはり驚いていた。この幼稚園は現在34の家庭から36人の子どもが通っているが、そのうち移住してきたのが24家庭であるとのこと。ここならではの強みがあるのだろうと感じた。大変勉強させられた良い勉強会であった。
(平田委員)
私も1都9県教育委員会全委員協議会に出席した。分科会は「新たな社会を創造する力を身につけるための高校の在り方について」に参加した。あらかじめ各都県から先進事例の取組などについてまとめた資料が配布されており、それを受けて話し合いを行った。個々の事例については、ものすごく新しい取組をどこかでやっている訳ではなかったが、その中でも、群馬県だけがしっかりと「社会の中で子どもを育てる」という理念を明文化していた。他の都県でも当然やっていることと思うが、資料の中でそれを一つの柱としているのは群馬県だけであった。手前味噌になってしまうかもしれないが、群馬県すごいなと思った。何かをやっているということと、明文化して柱にすることはまったく違うことである。その点で、群馬県の取組は良いと思った。例えば主体的な学びについても、社会から離れた主体的な学びは作られたものでしかない。社会の中でつながりを持ちながら、地域や大学と関わることが必要である。群馬県では高校卒業間近の生徒が母校である小学校を訪問し、子どもたちを支えるという取組をしている。それが柱になっているところがすごいと思い、また、嬉しく思った。
2日目の森のようちえんぴっぴは、先ほど藤原委員から説明のあったとおりの施設である。1日中を森の中で過ごすということで、私がまず思ったのは、ハチや熊などが出たらどうするのかということだった。スタッフに質問したところ、ハチを見たら子どもはパッと立ち止まりじっと動かない。2歳の子でも対処法を知っている。熊が出たことがないそうだが、出たら年長者が先生に知らせにくることになっている。小さい子であっても、自分で危険を回避するための訓練がきちんとされていた。そういう教育が行われていることに大変驚いた。森の小学校はないので、私も卒園後どうなるのか気になった。小学校に行ってからは、ある意味、管理された中での教育課程が始まるが、それに子どもが対応できるのか心配だった。しかし、藤原委員からも報告のあったとおりで、しっかりした体幹と自分で遊びを創造する力を持っているので、小学校の中ではむしろリーダー的存在になるなど、しっかりした学びにつながっているということであった。幼児教育、特に入学前の小さい頃の教育も大切であることを改めて認識して帰ってきた。
(青木委員)
私は働き方改革の分科会に参加してきた。まずは「先生の本業に先生を戻すこと」から話がスタートした。その中でこれからはAIの時代であるとか、ティーチングをコーチングに替えた方がいいのではないか、英語には教師の負担が多すぎるのではないか、また、BPR(業務改革)よりBPO(外部委託)に予算を回すのもいいのではないか、など、色々な意見が活発に飛び交った意見交換だった。大変勉強になった。
ぴっぴの視察では、2歳という対象年齢が気になった。なぜかというと、周産期ノイローゼ、昔は育児ノイローゼと言ったが、出産後から活発な2歳児までの育児は、母親の負担がとても大きい。ぴっぴの取組は、これを解消できる良い取組なのではないかと感じた。現代にあってこれだけの自然環境の中に子どもを置けるということは、すごく良いことであるし、親にとっても活発に動き回る時期の子どもを預けられるということで、心の安らぎやゆとりが持てる。良い取組だと思う。
(武居委員)
埋蔵文化財調査センター発掘情報館に行ってきたので、まずその報告からしたい。金井東裏遺跡から出土した甲を着た古墳人のレプリカを見せていただいた。古墳人が身に付けていた甲は、中央から配布された高級な武具だったと聞き、それほどの人がこの地域にいたことに感激した。収蔵展示室に展示されていた土器や石器も、この地域の同じ時代から出土されたもので、こうした実物を目にすることは、この年齢の私でもゾクゾクするような面白さがあった。豊かな感性を持つ子どもたちが足繁く通って、自分の住むこの地域がどういう歴史をたどってきたかということを肌で感じてほしい。群馬への愛着を持つ上でも大変大切なことだと思う。とても立派な施設であるのに、恥ずかしながら初めて訪問させていただいた。是非多くの方が行けるようにしたい。
1都9県では、藤原委員と同じ、働き方改革の分科会に参加した。その話し合いの中で感じたことがある。分科会には医者が3人ほどいらした。そのうち精神科の医師の方から、教職員は自己完結しようとする意識が強いという話があった。私も元教員だが、本当にそうだと思った。これを課題と捉えた教職員の意識改善が必要だという話に、なるほどと思った。どの県も同じような対策をやっている中で、全体会の文部科学省の行政説明の中でも出た質問だが、子ども一人一人に掛ける時間が増え、授業の時間も増えている中、多忙化の問題を解消するための大元の施策が必要な段階にきているのではないかと感じた。
視察では、長野県の自然を利用した信州やまほいく認定制度があると知った。14市8町5村、だいぶ多くの市町村が参加している。全部で152の幼稚園や認定こども園が参加している。私たちが視察したのは、その中でも特化型というところで、1週間で15時間以上の外遊び、体験学習を行っていることが条件ということで、先ほどからの報告のような活動が行われている。幼児期の教育は人格形成にとても重要だと思う。この自然の中の体験活動は普通の幼稚園や小学校でも重視されていて、自己肯定感や耐久力、主体性など、人間力の基本を育むためにはとても重要であるということは納得できる。その一方で、実際の幼稚園教育の中には早期の英語や漢字教育に力を入れているところもたくさんある。信州やまほいく認定制度が2007年に始まって、卒園者はまだそれほど大きくなっていない。この子どもたちが、この後、どのような人間力を身に付けて育っていくのか、是非追跡調査を行って、結果を教えてほしいと思ったところである。
(笠原教育長)
それぞれの委員から参加した行事等について報告いただいた。1都9県教育委員会全委員協議会のテーマである教員の多忙化解消の問題や今後の高校改革の方向性などは、本県にとっても大きな課題である。今回の議論の内容を、今後の取組の中でも生かしていただけたらと思う。新たな教育振興基本計画の策定に当たり、委員から様々な御意見をいただいて進めてまいりたい。
本県の教育委員会では幼稚園との直接の関わりはあまり無く、全体が見えない部分もあるが、幼小連携も課題になっている。今回の協議会の経験を今後の本県の施策に生かしていただきたい。
それでは引き続き、所属長から関係の報告をお願いする。
学校人事課長、平成30年5月1日現在の平成30年度市町村立学校児童・生徒数及び実学級数について、資料1により報告。
高校教育課長、平成30年3月の公立高等学校の全日制・定時制・通信課程、公立中等教育学校の卒業者の進路状況について、資料2により報告。
健康体育課長、平成30年5月18日に開催された平成32年度全国高等学校総合体育大会群馬県実行委員会設立総会・第1回総会について、資料3により報告。
健康体育課長、平成30年4月26日に開催された第2回群馬県立藤岡中央高等学校におけるハンマー投げ事故検証委員会の概要について、資料4により報告。
(笠原教育長)
教育長事務報告については以上とする。
義務教育課長、原案について説明
異議なく原案のとおり承認
ここで、笠原教育長から、これからの審議は非公開で行う旨の発言があり、傍聴人は退室した。
総務課長、原案について承認
異議なく原案のとおり承認
総務課長、原案について説明
異議なく原案のとおり承認
教育委員会記者会見資料について、総務課長が説明
午後1時50分、笠原教育長、教育委員会会議の閉会を宣す。