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平成25年6月26日(水曜日)午後2時00分~午後3時50分
県庁7階 審議会室
委員12名(3名欠席)
石川委員、今井委員、宇敷委員、荻原委員、河本委員、樽井委員、寺澤委員、豊泉委員、長澤委員、野口委員、羽鳥委員、藤井委員
事務局22名
教育委員長、教育委員、教育長、教育次長、教育次長(指導担当)、総合教育センター所長ほか教育委員会事務局各課室長、総務課担当職員
座長が開会のあいさつを行った。
(事務局)
(資料1について説明)
(各委員)
(特に質問等なし)
(事務局)
(資料2について説明)
(委員)
前回懇談会での意見を踏まえて目標の考え方が挿入されたことで、内容の濃いものになり特に大切なことが強調されたと感じた。「共に支え合い、高め合いながら新しい未来を創造していく」という部分を基本に計画が作られればすばらしいものになる。
(委員)
前回の基本計画と同じ言葉のままだが、今のように時代の変化が激しい中で、目標をどう変えていけばよいかを考えることは非常に重要である。時代の変化を踏まえてこの目標が目指すところが説明には書かれているが、前面に出るのは「たくましく生きる力」の部分である。この基本目標は会社で言えば基本理念に当たるものであり、その意味でぶれてしまうのはいけないが、基本目標において「こうしたことをきちっとやっていく」といったことを示すことも考えられる。
(事務局)
現行計画の基本目標は、十年先の群馬県の姿を目指して設定したものであるので、基本的な部分は踏襲しつつ、中身について社会情勢に合致したものを盛り込んでいきたいと考えている。
(座長)
前回の懇談会において、現在、百年に1回のような大きな時代の変化が生じているという話があったが、こうした激しく変化する中では、ここに掲げられているような「たくましく生きる力」がさらに必要になってきていると考えられるのではないか。
(委員)
柱2(国際化や情報化等に対応するための教育)の内容について、「グローバル教育の推進」とあるが、イメージがよく分からず、こなれていない表現である。
(事務局)
具体的な取組内容は今後更に検討していくが、国の教育振興基本計画も参考に、語学力の向上を念頭に考えている。取組の表題については今後も検討していきたい。
(座長)
大学でもグローバル人材の育成という言葉が使われ始めており、学生を積極的に留学させようという話が出てきている。また、小学校でも英語の教科化が必要だという話も出てきている。そうしたことも含め、「グローバル化に対応した教育」という趣旨だと思う。
(委員)
関連して、小学校での英語教育の位置付けはどうなっているのか。現在、小学校では「遊び」、中学校では基礎的学力を身につける「学び」と位置づけられているので、中学生になって文法等が始まると英語嫌いになってしまう子がいる。安易に小学校での英語教育を進めるべきではないと考える。
また、TOEFLを活用した大学入試が検討されているが、英語文化の教養や表現力などを得ていないと難しい。これを高校生に課すのは非常に酷である。
(座長)
現在の小学校の英語は「活動」と位置付けられており、児童に英語を楽しんでもらうことを目的としているが、自民党などから英語を「教科」にすべきという提案も出てきている。小学校英語の扱いについては今後、専門家も交えて議論が進んでいくと思う。
一方で、社会全体がグローバル化していく中で、子どもたちが将来世界中とコミュニケーションを取っていかなければならないことも事実なので、グローバル化に対応した教育というのは欠かせない。
(委員)
「時代を切り拓く力の育成」という言葉はとてもよい。ただ、その説明の中の「望ましい勤労観や職業観を根付かせる」という表現が、終身雇用が望ましい等、既にある固定化された価値観を持たせることのような誤解を招かないようにしてほしい。いろいろな意味で働く環境は変化してきており、子どもたちが、自分の描いている夢や将来像を実現していくためにどう働くかということを考えられる力を身に付けるということが大事である。
(委員)
基本施策2・3・4が1を支えて、5・6が1から4を支えているという説明だったが、イメージ図を見ると、「1 時代を切り拓く力の育成」が学校教育に偏っているので、修正したほうがよい。
(委員)
この計画の対象の範囲はどうか。例えば、基本施策1の柱1(社会的・職業的自立に必要な能力を育成する)の内容の中で「発達段階に応じた~」とあるが、どの発達段階をイメージしているのか。
また、基本施策3「豊かな人間性の育成」は、施策の並び方として、人間性がまず最初にあって、それぞれの部分を開発していくという形がよい。
(事務局)
今回の計画の対象としては、教育という側面からではあるが、義務教育など学校に限ったものではなく、幼児教育から始まり生涯にわたる学びまで含めたものを考えている。
(委員)
学校を卒業した後の社会人に対する教育をどのようにしていくかということについて、今回の計画ではどう考えていくのか。
(座長)
基本施策7(学校・家庭・地域の連携による地域力の向上)に関わる内容なので、そこで改めて議論したい。
(委員)
読む力、聞く力、コミュニケーション能力、自ら考え活用する能力については、基本目標にも入っており問題ないが、「情報の真偽を見抜く力」まで踏み込んだものがあってもよい。東日本大震災以降、情報の判断力というものが更に問われるようになった。小さい頃から身に付けるべき基本的な力であり、「生きる力」にもつながる。「複眼的な思考能力をつける」など、もう一歩踏み込んだ表現を入れてほしい。
(委員)
委員の意見に賛同する。大震災以降、与えられる情報が本当の情報なのか懐疑的になった。子どもたちもインターネット等で身近に様々な情報に接しており、多角的な目で見る力、見抜く力を付けることが「生きる力」に結びついてくるし、今、一番大事なことである。
(座長)
メディアリテラシーという言葉がある。「読む力」には、活字を読むだけではなくメディアからの情報をどう読むかという意味もあるが、そうした点も参考にしてほしい。
(委員)
「学力の定着」という言葉が安易に文書化されているが、実際には学習意欲のない生徒も多くおり、現場は非常に苦労している。計画は「目指す姿」を示すものであり整った表現にする必要はあるが、実際に実行していくことも考えていくべきである。作った計画がお題目で終わってしまってはいけない。群馬の子どもたちに幸せになってもらうために実行性のあるものにしなければならない。
例えば、県内の高校生の自転車事故率は、5年連続で全国ワースト1位といった状況がある。また、生徒の制服の乱れの問題も依然としてある。こうした現状を踏まえ、この計画の下でどう展開していくかも考えて策定していく必要がある。
(委員)
現在、学校教育では双方向の授業展開が求められており、それを目標としている。「双方向」、「意欲を高める」などの表現が加わるとよい。
(座長)
大学教育においても同じことが求められている。大学教育に非常に危機感を覚えているが、教育全般についても同じことが言える。
(委員)
現行計画では「基礎学力の定着を図る」となっているが、中身は同じと考えてよいか。
(事務局)
基礎・基本の定着のほかに、それを活用する力を身に付けさせることも念頭に「確かな学力」とした。
(座長)
2000年代に入り、学力低下への批判が出たときに文部科学省が最初に使い出した表現だったと思うが、基礎・基本にとどまらず、たくましく生きる力を育むという意味で「確かな学力」という表現が使われている。
(委員)
基礎・基本的な知識の定着は、非常に大事なことである。やるのが当然のことではあるが、あらゆるものの大本になることであり、基本施策の中にしっかり入れ込んでおくことが必要である。また、この計画は県下の市町村が教育行政を行っていく際にも参考にしているものなので、その意味からもぜひ盛り込んでほしい。
(委員)
いじめ防止について「児童生徒による自主的な活動を支援することにより~」となっているが、基本的に大人の責務である。その中の一つの取組として子どもたちも自主的に関わっていくことは大事だが、この文章だけだと子どもたちに責任を押しつけてしまっているようにも感じる。
(委員)
「規範意識」の前提として、自分は社会を構成している一人だという意識を持たせることが大事である。最近は自分勝手な傾向を強く感じる。
(座長)
基本目標で「共に支え合い」と示しているように、そうした経験や自覚が子どもたち自身がいじめを起こさないということにつながっていくと思う。この問題が社会の中にあるということが重要だと思う。
(委員)
自分が社会の構成員だという意識を持たせることが大事である。例えば、先ほどの交通安全の問題もそうしたことにつながる。
また、そうした意識を持たせるためには、自分が社会のために役に立っているという「有用感」を持たせることが非常に重要である。
さらに、基本目標において「自ら学び、自ら考える力を」と「自ら」が強調されている。それ自体は非常に大事なことであるが、一方で、国の第2期の教育振興基本計画でも「自立」、「協働」、「創造」がキーワードになっており、この目標では「自立」が強調されすぎていないか。もう一つ、「協働」の意味合いを持つ表現もないと、大震災以降、「絆」ということが言われた後の次の5年間につながっていかない。
(委員)
柱5(自己肯定感や社会性、規範意識を持たせる)の取組として「命の教育、心の教育等とつながる道徳教育の充実」とあるが、道徳教育を実施していけば命の教育、心の教育が十分になされていくと考えているのか。
(事務局)
これだけで達成されるとは考えていないが、現行の計画では、命の教育や心の教育に関する取組が分散していたので、一つにまとめた方がよいのではないかと考えたものである。
(委員)
道徳教育は、現場ではあまり充実していないのが現状である。こうした状況の中でそうした取組を進めても、期待外れに終わってしまうのではないかと危惧している。
(委員)
「これをしてはいけない。」、「こうしましょう。」と言葉だけ言われても、子どもたちにそれを心から感じる感性が育っていかないと、そうした言葉が心に落ちていかない。「一人一人に他人を大切にする心や自己肯定感を育み、多様な体験学習、道徳教育や人権教育を充実させる中で、児童生徒に規範意識を身につけさせる」という順序の方が自然に感じる。
(各委員)
(意見なし)
(座長)
群大教育学部では、教職大学院において県と連携して、ミドルリーダーの養成、研修の機会を提供している。
(委員)
信頼される学校づくりのためには、まず教員が信頼されなければならない。「指導力を高める」とあるが、あまり「指導力」という部分を強調すると体罰等の悪いイメージと結びついてしまう。「教員の資質向上」といった言葉がよいのではないか。
(座長)
体罰を行うのは指導力がないからだと思う。
(事務局)
昨今、体罰が問題視されていことからあえて「指導力を高める」という表現にしたが御意見を参考に今後考えたい。
(委員)
柱10(特色ある学校づくりを推進する)の取組として「特別支援学校の交流」とあるが、どことの交流のことか。
(事務局)
特別支援学校の生徒と普通学校の生徒のインクルーシブ教育をイメージしたものである。
(委員)
とても賛成である。
(座長)
国の計画でも特別支援教育を重視しており、そうしたことも意識したものだと思う。
(委員)
「学校で学ぶ意欲のある児童生徒が経済的理由により就学が困難とならないよう就学支援等を充実させる」とあり、恐らく奨学金制度のことを言っていると思うが、大学卒業後も就職できずに奨学金を返せない学生がいることが問題になっている。教育格差をなくすため、学ぶ意欲のある学生に対して、群馬県独自ででも、返済不要の奨学金制度等の支援を掘り下げて検討してほしい。
(委員)
「ボランティア」について、どこかに入れた方がよいのではないか。私の会社では、これまでに社員6人を1編制として計16班を宮城県石巻市に派遣した。帰ってきた社員から話を聞くと、平凡な暮らしが非常に重要だと分かったと言っており、被災地の方からも感謝されたと聞いた。震災から2年が経過し意識も薄れてきている。また、少子高齢化の中で、今後は幼児や高齢者に対するボランティアも大事になってくる。継続的なボランティア教育を取り入れてPDCAを回してほしい。
(座長)
「支え合う」ということを教育の中で生かしていく上で、「ボランティア」というのは今回の目標の趣旨を実現するために大事なことだと思う。
(委員)
私の学校でも、これまでに計15回で延べ800人が陸前高田に行っており、現在も実施している。ボランティアであり、バス代も生徒の自己負担で
行っている。危険もあり、保護者の同意も必要なので柔軟性を持たないと実施できない。そうしたこともあり、県立高校では実施できているところは少ない。
ボランティアに行くと子どもたちは大きく変わるので、ボランティアは非常に重要と考える。
(委員)
今回の計画では、教員の力量に関わる部分が多くあるが、併せて、家庭の重要性も考えなければならない。家庭教育の充実について一大キャンペーンを行い大きなアクションを起こすことが必要と考える。各市町村では幼児教育に関する取組を一所懸命やっており非常によいことである。しかし、それが市民には全く注目されず浸透していないので、方策を考えていく必要がある。一部の関係者しか知らないのでは非常にもったいない。
(委員)
幼児教育について、高崎市では昨年からブックスタートを始め、6ヶ月検診時に読み聞かせとアドバイスを行っている。この取組は子ども家庭課が主として行っているが、様々な部署や機関との連携がうまくいっていないと感じることがある。今後は次の段階として、実際に家庭で読み聞かせが行われるようにサポートしていくことが大切と考えている。
家庭教育については、講座等に参加する家庭と参加しない家庭との間で二極化していると思う。参加しない家庭に対するアプローチをうまくシステム化できないか。
例えば、読み聞かせについても部局の垣根を超えて、妊娠時の教室で全員に対して話をするなど柔軟に対応できるとよい。
(委員)
関連して、乳幼児については保健師の家庭訪問の際に話をするという方法も考えられる。これは教育とは違う分野だと思うが、行政内部での横の連携についてはどう考えるか。
(事務局)
他の部局で教育と関連する具体的な取組を行う際には、教育委員会の関係する所属との協力は当然行っており、また、教育委員会から能動的に何かアクションを起こしたいというときには協力をお願いしている。
今回の計画では、教育側からアクションを起こす必要がある取組については計画に入れていく。なお、他部局が主体的に取り組むものについては、県の計画体系の整理に伴いこの計画には入れないが、当然協力をして進めていく。
(委員)
学校・家庭・地域と示されているが、県民の居場所を考えたときに職場も入ってくると思うが、そこでの教育には触れないのか。違う部局で考えているのか。
(座長)
全体として生涯教育を進めていくということで生涯にわたる学びという目標を掲げて様々な場面での課題が提案されているが、実際に具体的にそれをどう進めていくかは難しい部分がある。今回の計画を検討していく中で、一歩でも進められる仕掛けができるか考えてもらいたい。
また、職場における教育は、これまでもそれぞれの職場で行われてきたと思う。教育委員会もなかなかそこまで含めて取り組んでいくのは難しい部分もあると思うので、まずは、家庭、地域の課題に取り組んでいくということではないか。
(委員)
ボランティアの精神は非常に大事なことである。計画にあまり多くの要素を盛り込みすぎることは好ましくないが、ボランティア精神については、子どもたちに一番身につけてほしいことの一つであり、基本施策3(豊かな人間性の育成)の体験学習のなかにこの要素を盛り込んではどうか。
ただ単にボランティアを行うということだけでなく、それを通して、試行錯誤し創意工夫して問題を解決していく能力を身に付けてほしい。それを促す言葉がここに含まれれば、と思う。
(委員)
基本施策3(豊かな人間性の育成)の柱6(いじめや不登校等への対応を充実する)の取組の中に「非社会的行動」という表現があるが、高校を中退して引きこもりになってしまっている者などのことも考えてこういう表現になったのか。
(事務局)
ルール違反をした生徒への対応などを主に想定していた。
(座長)
社会学では、「反社会的」とは社会の規範に違反することを表し、「非社会的」とは社会性そのものを否定することで規範を否定したり規範が身についていなかったりすることを表す。したがって、「反社会的行動」は万引きや非行等のことを指すが、「非社会的行動」は引きこもり等のことを指すことになるので注意が必要である。
(事務局)
(資料3について説明)懇談会の意見を踏まえ、7月上旬には1回目のパブリックコメントとして骨子案について一般県民の方の意見を伺う。また、庁内でも並行して、具体的な取組の方向性について検討しており、次回懇談会までに骨子案と合わせてまとめていきたい。
次回は、9月中旬に開催することとした。
(以上)
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