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平成25年5月13日(月曜日) 午前10時00分~午後0時05分
県庁7階 審議会室
委員13名(2名欠席)
今井委員、荻原委員、金澤委員、河本委員、樽井委員、寺澤委員、豊泉委員、長澤委員、野口委員、羽鳥委員、花田委員、藤井委員、布施川委員
事務局18名
教育長、教育次長、教育次長(指導担当)、総合教育センター所長ほか教育委員会事務局各課室長、総務課担当職員
吉野教育長が開会のあいさつを行った。
各委員に教育振興基本計画策定委員を委嘱し、自己紹介を行った。
座長に豊泉委員を互選した。
豊泉座長が、副座長に藤井委員を指名した。
(事務局)
(資料2及び3について説明)
(各委員)
(特に質問等なし)
(事務局)
(資料4について説明)
(委員)
東日本大震災の経験を経て「たくましく生きる力をはぐくむ」という基本目標の必要性は、第1期計画を策定した時よりもさらに高まっていると思うが、全く同じであるのはどうか。この基本目標を踏まえ、次のステップに入ったことを表現できる一言が入ってもよいのではないか。
(委員)
昨今、いじめや引きこもりが大きく取り上げられている。人は社会の中でどう生きていくかという観点から、社会力や社会性といったことにも触れていくべきではないか。
(委員)
社会情勢は大きく変わってきている。現在の一番の問題は、グローバル化である。また、バブル世代とデフレ世代の間のように世代による意識の違いも大きい。教育は百年の計というが、時間や空間の軸をしっかり見て基本計画を作っていく必要がある。
(座長)
教育振興基本計画は内容が幅広いので、まずは現行計画の8つの基本施策の区切りを一つの目安として議論を分けて進めていくが、事務局では本日の懇談会での意見を踏まえ次回に向けて、現在8つある基本施策の柱立ての見直しや各施策の具体的な取組を考えていきたいということである。事務局の課題案に対する意見だけでなく、それぞれの項目に関連して、各分野において委員が感じられている具体的な問題点や課題があれば挙げていただきたい。
(事務局)
(資料5の該当箇所について説明した。)
(委員)
「1 児童生徒がわかる授業で基礎・基本を確実に習得する」について、1990年と2010年の高校生の学習時間を比べて見ると、学習時間が劇的に変化していることが分かった。偏差値別に45以下、45から50、50から55、55以上と分けて学習時間を調査したところ、上位層及び下位層では大きな変化はなかったが、中間層の学習時間が急激に減少しており下位層とほとんど変わらなくなってしまっている。
スポーツについても、同様のことが言える。中間層以下は、全体的に体力が落ちている。学習・運動について、はっきりと格差が生まれており、今後はそういったことを意識していく必要がある。
教員も指導技術の向上に努めているが、個々の児童生徒の活動に対するモチベーションの違いが格差となって現れている。また、集団で活動していく「人間力」にも格差が生じており、「学力・知識の定着を図る」という言葉だけでは説明がつかない状況がある。
(委員)
施策1の達成目標の進捗状況を見ると、達成できていない取組が多い。今後5年間で何をしていくかをもう少し絞って重点化していくべきである。例えば、朝食を毎朝食べている児童生徒の割合や1日30分以上の読書をしている児童生徒の割合についての目標が未達成だが、こうしたことに特に取り組む必要がある。特に読解力はあらゆる面での基礎になることである。
各取組項目をシンプルにして、しっかりと達成していくことが必要である。
(委員)
「2 教員の資質向上と児童生徒と向き合う時間を確保する」について、教員の指導力(指導方法)ももちろん大事だが、効果を上げるには、教員の「意欲」や「使命感」といったものも重要と考える。
(委員)
関連して、群馬県では教員採用後に他業種への職場体験を行っているが、社会人経験者の採用をもっと増やしてもよいのではないか。また、資質が優れた先生が教えても、それを聞く力が生徒になければ効果が上がらない。高校での学習の基礎になるような、小・中学校における聞く力と読解力の向上が必要である。
(委員)
教育事務所等でマナー向上研修の講師をした際に、あいさつや名刺交換といった一般的なマナーが教職員は不慣れであると感じた。地域ボランティアで学校を訪れた際にも同様のことを感じる。児童生徒、保護者、地域の方々との関係づくりのベースとなる部分を直していく必要がある。
(事務局)
(資料5の該当箇所について説明した。)
(委員)
生きる喜びや命のかけがえのなさを実感させるために体験学習を充実させていくことは非常によいことだと思う。しかし、尾瀬学校もそうだが、2泊3日の宿泊体験だけで十分だろうか。各地域の身近な自然に触れ合っていくような体験もよいのではないか。
また、中学校に入学すると部活動に時間を取られ、読書時間が急激に減少する。中学生の部活動は、ほとんどがスポーツか吹奏楽であり、もう少し文化系の部活動が充実するとよい。
また、部活動を指導する教員も自分の専門外のものは負担が大きく、さらに柔道のような専門性を要する部活動もある。担当する先生のサポート・援助をしっかりしていく必要がある。
(委員)
「1 健康な体をつくる」について、電子ゲームなどに夢中になることで視力低下が起こっているので、こうしたことについて対策が必要である。
「2 豊かな心を育てる」について、今の子どもは心の中で人を受け入れられず、すぐにキレてしまう。人の意見を聞きながら自分の意見をしっかりと言えるように、小学生のうちからコミュニケーション能力を養う機会を増やしていくべきである。例えば、1つのテーマについてみんなで話し合い、人の意見は意見としてしっかり受け止めた上で、自分の意見を言えるようにして、互いを認め合うような方法も考えられる。
「3 ふるさとを愛する心を育てる」の伝統文化の体験学習について、茶道や華道も是非体験させてもらいたい。やっている若者が大変少なくなってしまっており、伝統文化として守っていくべきである。また、それらの体験を通じて、子どもたちがルールやマナーを学ぶ機会にもなる。
(委員)
いじめや不登校の問題については、相手の態度や言葉を受け止めていく能力が子どもたちに不足しており、社会性をはぐくむことが必要である。子どもたちの意識を変えていくことだけではなく、体験的な学習を通じて大人も一緒になって意図的に社会性を育成していかなければならない。
(事務局)
(資料5の該当箇所について説明した。)
(委員)
一般のクラスでは授業についていくのが難しくなってきたため、中学校2年生くらいの生徒を、先生やスクールカウンセラーの方と相談して特別支援学級に移すといったことが以前あったが、実際に移すために長い時間を要した。グレーゾーンにいる子どもも多いと聞く。保護者もどう対処してよいかわからず不安も多い。小学校などの早い段階からそうした子どもに気づいてあげられるような取組ができないか。
また、高等養護学校卒業後の社会的自立について、企業との連携が難しい部分がある。企業との連携についての情報共有や知的障害に対する企業の理解促進について、もう一歩深く取り組んでいけるとよい。
(委員)
中学校でスクールカウンセラーを行っているが、不登校傾向のある生徒や情緒の特別支援学級にいる生徒で発達障害の傾向がある子どもの進学先について迷うことがある。そうした生徒を受け入れられる高校や知的に問題がなくても発達障害のある子どもを受け入れられる特別支援学校を増やしてほしい。
「基本施策4:社会の変化に対応し、社会に貢献する人材を育てる」
(事務局)
(資料5の該当箇所について説明した。)
(委員)
2の体験活動やボランティア活動の推進に関連して、体験活動の重要性についての他委員の意見に非常に共感している。事務局の課題案を見ると、各項目がセクション的に出てきているという印象を受ける。一番の課題は、子どもたちが人間関係をうまくつくれないことにあると考える。その意味から、体験活動を通じて、コミュニケーション能力や集団活動能力を高めていくべきである。また、ICTについても、活用能力よりもモラルが大事だと思う。例えば、地域における里山等を活用した体験活動の母体づくりやノウハウの提供等の支援を教育委員会として積極的に行っていってもよいのではないか。
(委員)
「1 国際化や情報化に対する教育の推進する」について、英語やICTの能力は必要だが、相手の国を理解するにはまず自国の文化・歴史を知っていることが前提であり、そうした素養を有したグローバル人材でないと世界では通用しない。外国とのビジネスでは、文化的な教養がなければ継続的なつながりは作ってもらえない。
(委員)
群馬県には優れた企業が数多くあるので、インターンシップ制度の活用は非常によい。群馬で育てた人材が群馬の企業の力の向上のために活躍できるとよい。少子高齢化が進行する中で、優れた人材を地元で確保することは、産業界にとって重要なテーマとなっている。群馬でがんばる人材を育てることを期待したい。
(事務局)
(資料5の該当箇所について説明した。)
(委員)
基本施策5について、ものを「大切にする・清掃する」といったことや、ものに「感謝する」といった精神的な面のことが、行政も学校も欠落していると思う。「よい環境を与える」ということだけでは安全性はなくなっていく。ものが汚くなれば荒れていき、心も荒れていく。安全整備や環境教育といったことにこうした考えも合わせて入れていくことが必要である。
(委員)
地域によっては登下校時のウォーキングバスといった活動をしているが、子どもがなかなか言うことを聞かないことがある。目上の者の言うことを聞くようにマナーを教えて行く必要がある。群馬県教育委員会には「ぐんまの子どものためのルールブック50」というものがあり、非常に感心している。基本施策1にも関連するが、「基本的な生活習慣を児童生徒に身につけさせること」は非常に重要である。家庭の教育を学校に任せきりにするのではなく、小さいうちから身につけさせておくべきであり、保護者に自分の子どもをしっかり教育してもらうことを意識してもらうよう、一層取り組む必要がある。
(事務局)
(資料5の該当箇所について説明した。)
(各委員)
(特に意見なし)
(事務局)
(資料5の該当箇所について説明した。)
(委員)
社会教育について、社会人としてあるべき行動・考え方を学ぶ場が、学校を離れてしまうと学ぶ機会が少ないので検討する必要がある。
(委員)
青少年の体験学習については、たとえ2泊3日でも自己肯定感を味合わせることはできる。
中高生のボランティア活動について、高校進学の内申等の際に部活動と同じように評価してほしい。
(委員)
読書活動の推進に関して、市町村によっては司書事務の配置がない学校もあり、学校図書館の活動内容に差がある。司書教諭もいるが、日々忙しい中で図書館運営までは手が回らない。学校図書館運営に係る人材の育成が必要である。
(事務局)
(資料5の該当箇所について説明した。)
(委員)
文化に関して、群馬県の文化を知る上で、「上毛かるた」は大変よい手段になると思う。各地域の郷土かるたも多く作られてきており、これを教育の中で活用していくことで、文化のすばらしさや地域の様子を知ることができると思う。基本施策2の「3 ふるさとを愛する心を育てる」の部分に、自然環境教育や伝統文化教育と並んで入れていくことも考えられる。
(委員)
スポーツに関して、現場の先生は非常に忙しい。授業を終えて部活動を監督するというのもなかなか難しいし、経験がない人が指導している場合もある。地域の統合型スポーツクラブもうまく回っていない部分がある。官民一体で協力して地域活動を指導していける体制をつくっていけるとよい。例えば、市町村や企業に働きかけて、各自治体・企業がトップアスリートを雇用し、そうした専門的な人材が地域のスポーツ活動を指導する形が考えられる。市町村にそうした人材が入れば、もう少し幅広い支援も可能になると思う。
次回は、6月下旬から7月上旬の間で開催することとした。
(以上)