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令和5年3月14日(火曜日)午後6時00分から7時20分まで
県庁24階 教育委員会会議室
丸山和貴委員長、野村晃男委員長職務代理者、福田正人委員、横田正夫委員、大津豊美委員
平田郁美教育長、新井徹教育次長、鈴木佳子教育次長(指導担当)、柿沼輝信総務課長、春田晋義務教育課長、天野正明高校教育課長、町田英之特別支援教育課長、角田毅弘総務課次長、齊藤克博総務課補佐(行政係長)、井熊一穂義務教育課指導主事、渡部健一郎高校教育課生徒指導係長、柴山和宏高校教育課指導主事、井澤悟志特別支援教育課企画係長、松村秀人特別支援教育課指導主事、佐俣瑞穂総務課主幹
午後6時00分、開会した。
本日は年度末の大変御多忙な中、また、このような夜間の会議に、御出席いただきまして、ありがとうございます。
今年度のいじめ問題等対策委員会の開催にあたりまして、私から一言御挨拶申し上げます。
さて本日は、毎年度の定例の会議として開催するものです。議事としましては、「群馬県におけるいじめの現状及び防止対策の取組について」のほか、本委員会で重大事態として調査審議していただき、令和2年11月に答申をいただいた「平成31年2月1日県立高等学校生徒死亡事案」の報告書の中の、「再発防止に向けた関係者への提言」を受け、教育委員会で取り組んで参りました「自殺の危険が高まった生徒への危機介入マニュアル」についてなどを予定しております。
委員の皆さまの忌憚のない御意見をいただければと思います。
なお、同事案に関しましては、知事部局の「群馬県いじめ再調査委員会」において再調査が行われていますが、報道にもありますように、報告書は昨年末に取りまとめられる見通しだったものが、現在も審議が続いており、今後のスケジュールも未定とのことのようで、詳細は分かっておりません。新たな動きがありましたら、またこの場で御報告をさせていただきたいと思います。
それでは、本日はどうぞよろしくお願いいたします。
委員長の丸山です。今年度の群馬県いじめ問題等対策委員会の開催にあたり、一言御挨拶申し上げます。
昨年度のいじめの件数について調べてみたところ、文部科学省の令和4年11月の資料でしたが、全国の小・中学校、高校、特別支援学校で把握された、いじめの認知件数は61万件超に上り、いじめ防止対策推進法が施行された平成25年度以降で過去最多とのことでした。
また、児童生徒の命に関わったり、不登校の原因になったりした疑いがある「重大事態」は705件と、最も多かった令和元年度の723件に次ぐ多さで、そのうち命に関わった疑いがある第1号事案の件数は、349件と過去最多になっています。
それから、今日、NHKのお昼のニュースで拝見しましたが、令和4年の自殺者数が2万1000人を超えたということですが、とりわけ小中高の児童生徒の自殺者数が初めて500人を超えたということでした。
こうした事態に際し、いじめ防止対策推進法では教育委員会又は学校に調査組織を設けて、事実関係を調査するよう定められているところです。
本県においても、先の「平成31年2月1日県立高等学校生徒死亡事案」について、教育委員会からの諮問を受け、本委員会初の重大事態の調査審議事案として詳細調査を実施し、令和2年11月に報告書を答申したところです。
本日の会議では、教育長の挨拶にもありましたが、本委員会で取りまとめた報告書の、「再発防止に向けた関係者への提言」を受け、教育委員会が対応して取り組んだ「自殺の危険が高まった生徒への危機介入マニュアル」についての議事も予定されているとのことです。
委員の皆様におかれましては、情報を共有していただくとともに、活発な意見交換をお願いできればと思います。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
事務局出席者が自己紹介を行った。
議事に先立ち、丸山委員長から議事(3)「その他」は、群馬県情報公開条例第14条第2号の「個人に関する情報」に該当する部分があることから、群馬県いじめ問題等対策委員会運営要綱第3条第2号の規定に基づき非公開で行いたい旨の発議があり、全委員賛成で決定した。
義務教育課長が資料1及び別紙1-1、1-2、1-3に基づいて説明した。
【質疑】
(野村委員長職務代理者)
いじめ防止フォーラムで活用した「ネットリテラシー向上体験型Web教材」とは、どのような教材か。
(義務教育課長)
「インターネットの光と影を知ろう」という内容で、子どもたちが主人公になったつもりで、ゲーム感覚で行動を選んでいき、選択肢によって話の進み方が変わってくるようなものになっている。
小中学生用と高校生用を作成し、Web上にアップしており、各校で活用してもらっている。いじめ防止フォーラムでも本教材を体験し、感じたこと等を各校に持ち帰った。
(野村委員長職務代理者)
このWeb教材を活用できるのは、いじめ防止フォーラム参加者だけか。
(義務教育課長)
全ての児童生徒が活用することができる。既に学級活動などの場面で活用している学校もある。
(野村委員長職務代理者)
大変よい取組であると思う。
(大津委員)
群馬県PTA連合会の家庭教育委員会では、ネットリテラシーについて研修を行っている。その中で、県教委の先生に、このWeb教材がホームページから見られることを教えていただいたので、報告書には検索ワードも掲載し、周知させていただいた。
ゲーム感覚で学ぶことができ、大変分かりやすい教材であると感じた。昨年は普通の家庭で起こりうることをドラマ仕立てにしたものであったが、有効な教材であると感じる。
(福田委員)
私は、精神医学の観点から自殺予防に取り組んでいるが、効果測定に難しさを感じている。例えば、いじめ防止ポスターの作成がいじめ対策にどの程度の効果があるのかという視点である。
いじめ防止フォーラムに参加する児童生徒は、各校の代表であり、いじめとは縁遠い健全な児童生徒であることが多い。いじめに直面している児童生徒にメッセージをどう届けるかがポイントであるが、その部分は悩みでもある。効果測定の部分も含め、どのようにお考えか。
(義務教育課生徒指導係長)
御指摘の点は、課題の一つであると捉えている。
いじめ防止フォーラムの参加者だけでなく、全て児童生徒が参加できるよう、フォーラム前に各学校・教室で本教材を用いた体験を行い、そこで出された意見をフォーラムに持ち寄り、そしてフォーラム後も各校で振り返りを行うといった活動をしており、できる限りの配慮している。
(福田委員)
自殺対策の資料もなかなか活用されないのが課題である。届いてほしい人々になかなか届かないという現状もある。そっと、こっそり相談できるという体制を構築することも大切である。
(教育長)
いじめの認知については、丁寧に見れば見るほど増える。いじめ対策の評価はすごく悩むところである。
いじめ防止ポスターはすごくよくできている。また、いじめ防止フォーラムが始まる前に学校で行い、実施後にも振り返りを行うなど、群馬県は先進的であると考えている。効果を測ることは、なかなか難しい。
(丸山委員長)
上手な効果指標はなかなかないが、こうした点を踏まえながら取り組むことが大切である。
(横田委員)
資料1にある「個人ノート等」とは、どのようなものか。中学校において「個人ノート等」による日常的な実態把握が圧倒的に多いが、どうしてか。
令和3年度は認知件数が上がったという話があったが、コロナの影響のみか。
ポスターコンクールの応募総数が730件減少していることについて、どのように考えているか。
(義務教育課長)
中学校では、生活ノートという取組を実施しており、ひとこと日記を担任や部顧問とやり取りしているものである。大多数の中学校で、このような取組を実施しており、数値が大きい原因であると考えている。
令和2年度は、臨時休校や分散登校などがあり、子ども同士が直接ふれ合う機会が大きく減った。令和3年度からは、子ども同士がふれ合う機会が少しずつ戻ってきていることが原因であると考えられる。
ポスターの応募件数であるが、統廃合で学校数が減ったことや、小学校では夏休みの宿題として取り組んでいる学校が多く、子どもたちは数ある課題の中から選択するが、学校選抜の壁が高く、子どもたちの参加意識が低くなっていることが要因であると考えられる。
(教育長)
義務教育課長の話に加えて、少子化の影響は非常に大きいと考えている。
(横田委員)
総数での比較ではなく、%(パーセント)で示した方がよいと思う。
(野村委員長職務代理者)
生徒指導提要が昨年12月に改訂されたが、これを受けてどのような取組を行ったか。
(義務教育課生徒指導係長)
各市町村教育委員会を通じて、生徒指導提要が改訂された旨、通知を発出して周知した。また、内容については、令和5年度中に文部科学省による行政説明を行いたいと考えている。
(野村委員長職務代理者)
12年振りに改訂され、いじめ防止対策推進法に基づく対応も大きな柱となっている。ぜひ、適切に周知してもらいたい。
高校教育課長が資料2及び別紙2に基づいて説明した。
【質疑】
(福田委員)
第三者委員会による審議の中で、マニュアルの作成を強く求めたのは私である。私の意見を採択してくれた当時の委員長や、提言を受けてしっかりと取り組んでくれた県教育委員会に感謝している。
本マニュアルは、全国的に見ても、大変素晴らしいものであり、全国に誇れる群馬の宝である。滅多に起こらないことについて教職員の意識を高めていくことは難しさがあると思う。県教育委員会の取組に対してリスペクトしている。
(横田委員)
検討委員会の委員が講義等を実施したと説明があったが、どういった教職員を対象にどのくらいの頻度で行ったのか。また、来年度も継続して取り組んでいく予定はあるかを伺いたい。今後も、このマニュアルを継続的に活用していくための方策が大切であると感じる。
(高校教育課長)
1月に開催した副校長・教頭研究協議会では、検討委員会の委員である藤平委員に講義をお願いした。また、9月から10月及び1月に開催した生徒指導主事を対象とした対策協議会では当課の指導主事が説明した。さらに、10月に開催した教育相談担当者を対象とした協議会では、検討委員会の委員である藤澤委員に講義をしてもらい、マニュアルに込めた思いや効果的に活用してもらいたいという願いを直接伝えてもらう機会を設定した。こうした取組は、今後も継続して機会を作っていきたいと考えている。
自殺予防については、今後、別の委員会を立ち上げ、一層の充実を図っていきたいと考えている。
(横田委員)
立場によって求めることも異なると思う。弁護士であれば法的な観点から、精神科医であれば医学的な観点から、公認心理師であれば心理学的な観点から意見があると思うので、多角的な視点で周知していけるとよいと思う。
(福田委員)
群馬県だけではなく、全国各地でも参考となるマニュアルであると思う。全国に発信すべきであると考える。現在、県のホームページにアップされているが、そのページにたどり着くまでに容易ではない。様々な組織にも周知すべきであると考えるがいかがか。
(高校教育課長)
先般開催された文部科学省による生徒指導担当者連絡会議において、当課指導主事が提出した資料の中に二次元バーコード等を入れ、本マニュアルを活用していただくよう、各都道府県等の教育委員会に促した。
(教育長)
各都道府県教育委員会教育長や教育委員の会議等の場面でも周知していきたい。
(大津委員)
市町村教育委員会や小中学校にも配布したのか。
(義務教育課長)
市町村教育委員会を通じて、各小中学校にも配布した。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーにも配布し、活用するよう促している。
(大津委員)
子どもの変化については、先生だけでなく、部活動の外部指導者や地域の方など、いろいろな人の気付きが命を救うことにつながると思う。保護者の安心材料にもなる。こうしたマニュアルを広く周知していただくためにも、ホームページではたどり着きやすいところにアップしてもらえるとよい。
(教育長)
本マニュアルは、高校生を対象として作成したものであるが、参考にしてもらうよう各市町村教育委員会にも送付した。本当は、中学生版、小学生版などもあるとよいかと思う。
(大津委員)
教育委員会の取組としてこういったことにも力を入れているということが、保護者にも伝わるとよい。二次元バーコードを周知するなどの取組も検討してもらえるとよい。
PTAの研修会などでも紹介していきたい。
(福田委員)
高校生自身がこのマニュアルの存在を知ることで、周囲に相談したり、友だちが悩んでいるときに大人に相談したりするなど、影響を与える可能性もある。
(丸山委員長)
群馬県に限らず、全国に広く発信することで、意見が集まり、その意見を基にブラッシュアップしてもらえるとよい。せっかくの宝物であるので、有効活用してもらいたい。
ここで、丸山委員長から、これからの議事は非公開で行う旨の発言があり、傍聴人は退室した。
総務課長が資料3に基づき、説明した。
高校教育課長が口頭により、いじめ重大事態発生時の国への報告について説明した。
午後7時20分、閉会した。