ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 群馬県における環境アセスメント > 「一般国道17号本庄道路事業に係る環境影響評価準備書」に対する知事意見

本文

「一般国道17号本庄道路事業に係る環境影響評価準備書」に対する知事意見

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

 環境影響評価法第20条第1項の規定にもとづく標記準備書に対する意見は、下記のとおりです。

1 大気質について

 <資料編>P3-50、51「光化学オキシダントとNO2の量的な関連性は見られない」としているが、オキシダントの濃度は日射の有無、風の強弱に大きく影響され、それらの影響を考慮したうえでなければ、このように結論付けることはできない。

 特に、この地域については、全国的にみても光化学オキシダントの高い地域となっており、光化学オキシダントとNO2の量的な関連性について引き続き学術的な研究が進められていることから、将来的にその研究の成果を取り入れ、交通量制御などに活かす方策を検討することが必要である。

2 騒音・振動について

 (1)P8-2-23他 騒音・振動における環境保全措置の検討結果の全項目について、対策についての「効果の不確実性は無し」としているが、いずれの式も近似式であり、特に、低周波騒音の式に至っては、多くの橋の計測結果を基に単純な計算式を導出し、そこからの距離減衰を単に計算したものであり、「不確実性が無い」という表現は科学的に不適切と考える。また、他の計算式についても、簡略式であり、数%~10%程度の誤差が存在すると思われる。したがって、「不確実性が無い」という表現は別の適切な表現に変更するよう検討すること。

 (2)P8-2-23他 騒音・振動の全てに関して、「不確実性が無い」ということで、事後調査を行わないとしているが、自動車の走行に係る騒音については、現場により遮音壁の設置範囲や遮音壁の構造などの設置状況が異なるため、不確実性は存在する。したがって、自動車の走行に係る騒音については、事後調査項目として挙げるべきか再検討すること。

 (3)遮音壁については、景観・日照阻害が起きる場合があるので、その種類等も含め、近隣住民と十分な打ち合わせの上、設置すること。

 (4)P8-2-38 建設機械については、低振動・低騒音型の機械を使用するとしているが、具体的にどのような機械を使用するのか不明であるため、「具体的な使用機械については、資料編(P1-10~P1-14)を参照」等と記載すること。

 また、建設機械の複合同時稼働は「極力避ける」としているが、これも規制としては曖昧である。「極力」の部分を残すならば、複合同時稼働が避けられない具体的な場合や複合同時稼働とならないための具体的対策例を示すこと。

 (5)P8-2-18 排水性舗装について、騒音の低減に対する環境保全措置として採用しないとあるが、排水性舗装には明らかな防音効果が期待されるため、施工に当たっては多くの箇所において使用するよう検討すること。

3 水生生物について

 本事業にともなう影響が、漁業権対象魚種や漁場などに生じないよう十分な配慮が必要である。

4 水循環(水象)について

 道路側面の盛土斜面が周りの地面より高くなっている箇所については、もし、過去の事例のような河川等のはん濫が起きた場合、盛土斜面がはん濫水の下流への排水を妨げることにならないよう、はん濫水の排水に関して十分検討すること。

5 地形・地質について

 (1)計画道路は、断層の烏川-深谷線(一部は深谷活断層)から北に1km前後離れている。新潟県中越地震のときは、この断層の北側の高崎市街地で被害を受けていることから、震災に配慮した設計となるよう検討すること。

 (2)P4-1-32 路線の大部分は、軟弱地盤である、現・旧河道や自然堤防の上に建設予定であることから、地盤の振動や沈下に配慮した設計・施工を行うこと。

6 植物・動物について

 環境省の新レッドリストが、平成19年8月3日に公表されている。新たな動・植物の重要な種については、道路工事前に調査を実施し、その保全対策が図れるよう、事後調査項目として挙げるべきか検討すること。

7 生態系について

 <要約書>P119 動物の移動阻害は、横断ボックスの設置によって避けられるとあるが、具体例として横断ボックスの構造と設置間隔等を評価書に記載すること。また、動物が利用しやすい場所への設置を検討すること。

8 景観について

(1)道路景観について

 道路は、景観を眺める場としても重要な役割を担うものであるとともに、長大な法面や高架橋等の設置により、また、優れた景観を有する地域における路線の選定によっては、自然景観や歴史的町並み等の伝統的、個性的な人文景観に大きな影響を与えるものとなっている。このため、その整備に当たっては、周辺景観との調和に配慮して進めること。

(2)道路構造の景観について

 周辺景観に大きな影響を与えるような構造物等が極力生じないよう努めることとし、地形上の制約等によりやむを得ない場合には、構造物等と周辺景観との調和に配慮すること。

(3)高架構造部の景観について

 高架構造部については、周辺景観との調和に配慮した形態、意匠、色彩等とするよう努めること。

 また、高架橋や取付け部の擁壁等については、できるだけ植栽等により修景するよう配慮すること。

(4)街路樹等の景観について

 街路樹等の植栽にあたっては、10年、20年後の街路植栽の形態や維持の問題等を十分精査すること。

 また、地域になじみ、季節感がある樹種を選定するよう努めるとともに、樹木の配置や樹高等を工夫し、周辺景観との調和に配慮すること。

(5)道路付属物の景観について

 防護柵については、周辺景観との調和に配慮し、設置場所に適した意匠、色彩、素材等とするよう努めるとともに、必要に応じ修景緑化をすること。

 照明施設については、統一性をもたせるとともに、周辺景観との調和に配慮した形態、色彩、素材等とすること。

(6)交通標識等の景観について

 信号機柱、標識等については、交通安全上支障のない範囲内で、整理統合を図るなど、周辺景観への影響を緩和するよう配慮すること。

(7)橋梁の景観について

 橋は、それ自体が優れた景観となりうるものであるので、その整備に当たっては、地域景観のシンボルづくり、また、河川等と一体となったうるおいのある景観を創造するという観点に立って進める必要がある。

 橋梁本体については、地域の風土や歴史的背景等に配慮した形態、色彩、素材等とすること。

 また、近傍又は遠望できる位置に他の橋梁がある場合には、それとの調和に配慮すること。

 高欄、照明施設等については、橋梁本体との調和に配慮するとともに、快適性を高めるよう、配置、意匠、色彩、素材等を工夫すること。

9 その他

 (1)林、草地及び農地等の緑地は、景観、動植物の生息環境、二酸化炭素の吸収等の面において重要な働きがあり、道路の建設により、30m位の幅が人工構造物となり、緑地が失われてしまう。失われる緑地を必要最小限に止めるとともに、それに代わるような緑化、並びに道路周辺の代替地の緑化などに配意した計画となるよう検討すること。

 (2)工事にあたっては、農地に係る部分を必要最小限の面積とし、周辺農地への被害及び営農上の支障が出ないよう十分に配慮すること。もし万が一これらが発生した場合には、誠意をもって早急に解決を図ること。

 (3)神流川橋付近の新町区域に、高崎市上水道の水源の井戸や自衛隊駐屯地の専用水道等が存在する。橋梁等による影響があるようであれば、高崎市水道局と協議すること。

 (4)訂正事項

 次の事項について、評価書において訂正すること。

 (ア)<要約書>P16 表4-1(1)「年平均気温が15.3℃であり、年降水量は 1,342.2 mmである。」を、「年平均気温の10年間の平均が15.3℃であり、年降水量の10年間の平均は 1,311.8 mm である。」に訂正すること。

 (イ)P4-1-1「・・・年降水量の10年間の平均は 1,342.3 mm である。」を、「・・・年降水量の10年間の平均は 1,311.8 mm である。」に訂正すること。

 また、「・・・12月及び1月が最も低い。」を、「・・・12月及び1月が低い。」に訂正すること。

 (ウ)P4-1-1 表4-1-1 平成8年の年降水量 920.5* を、938.5 に、平成13年の年降水量 1,376.0* を、1,441.5 に、平均の年降水量 1,342.3 を、1,311.8 にそれぞれ訂正すること。

 (エ)<資料編>P3-45 表3-10「昼間の1時間値が 0.06ppm を越えた日数と時間数」を、「昼間の1時間値が 0.06ppmを超えた日数と時間数」に訂正すること。

 (オ)P4-1-25 観測井の所在地に誤りがあるので、次のとおり訂正すること。藤岡市下大塚町529→藤岡市篠塚90(観測井の管理地)

 (カ)<要約書>P161 動物の予測結果一覧のC、Dの判定凡例が記載されていないので記載すること。