本文
群馬県環境基本条例全文
目次
- 前文
- 第一章 総則(第一条―第八条)
- 第二章 良好な環境の保全及び創造に関する基本的施策(第九条―第二十四条)
- 第三章 地球環境保全の推進等(第二十五条)
- 第四章 良好な環境の保全及び創造を図るための推進体制等(第二十六条―第二十八条)
- 附則
私たちのふるさと群馬は、豊かな森林、美しい山々、清らかに澄んだ川の流れなどのすばらしい自然に恵まれ、多種多様な動植物が生息している。また、古代からの歴史的文化的な遺産も多く、全国に誇る良好な環境に恵まれている。
しかしながら、近年の社会経済活動の進展は、私たちの生活の利便性を高める一方で、生活環境の悪化や豊かな自然の減少をもたらし、人類共通の生存基盤である地球の環境に対してまでも深刻な影響を及ぼすようになってきている。
環境は、祖先から贈られたものであると同時に子孫からの預かりものである。私たちは、健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受する権利を有するとともに、その環境を将来の世代に引き継ぐ責務を有している。
その責務を果たすために、私たちは、すべての世代にわたり、一人一人が、水や森林などの地球上の資源は有限であることに思いをめぐらし、日常生活や事業活動などあらゆる活動において環境に配慮するとともに、環境への負荷が少なく持続的に発展することのできる循環型社会を築くことに積極的に取り組まなければならない。
ここに、私たち県民は、共に力を合わせ、また、広く県域を超えた協力を確保しつつ、良好な環境の保全及び創造を図り、うるおいとやすらぎに満ちた群馬を築くため、この条例を制定する。
第一章 総則
第1条(目的)
この条例は、良好な環境の保全及び創造について、基本理念を定め、並びに県、事業者及び県民の責務を明らかにするとともに、良好な環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、良好な環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の県民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。
第2条(定義)
この条例において「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
2 この条例において「地球環境保全」とは、人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに県民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
3 この条例において「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずることをいう。
第3条(基本理念)
良好な環境の保全及び創造は、県民が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともにその環境が将来の世代へ継承されるように適切に行われなければならない。
2 良好な環境の保全及び創造は、すべての者が自主的かつ積極的に環境への負荷を低減することその他の行動に取り組むことにより持続的に発展することができる県土が構築されることを旨として行われなければならない。
3 地球環境保全は、地域の環境が地球の環境と深くかかわっていることにかんがみ、日常生活、事業活動その他の人の活動において積極的に推進されなければならない。
第4条(県の責務)
県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、良好な環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2 県は、良好な環境の保全及び創造を図る上で市町村が果たす役割の重要性にかんがみ、市町村が実施する良好な環境の保全及び創造に関する施策について支援するように努めるものとする。
第5条 削除
削除
第6条(事業者の責務)
事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずるばい煙、汚水、廃棄物等の処理その他の公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。
2 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合にその適正な処理が図られることとなるように必要な措置を講ずる責務を有する。
3 前二項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。
4 前三項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他良好な環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、県が実施する良好な環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
第7条(県民の責務)
県民は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、県民は、基本理念にのっとり、良好な環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、県が実施する良好な環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
第8条(年次報告等)
知事は、毎年、議会に、環境の状況及び県が良好な環境の保全及び創造に関して講じた施策に関する報告を提出しなければならない。
2 知事は、毎年、前項の報告に係る環境の状況を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を作成し、これを議会に提出しなければならない。
第二章 良好な環境の保全及び創造に関する基本的施策
第9条(施策の策定等に係る指針)
県は、良好な環境の保全及び創造に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、基本理念にのっとり、次に掲げる事項の確保を旨として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ総合的かつ計画的に推進するものとする。
一 環境に関する情報提供の充実、環境教育及び環境学習の振興等により、環境に責任を持つ人づくりを行うこと。
二 豊かな自然の保全及び創造並びにその持続可能な利用並びに環境と調和できる地域形成、環境に配慮した社会基盤整備等により、自然と共生できる地域づくりを行うこと。
三 公害の未然防止、省資源及び省エネルギーの推進、廃棄物の適正処理及び減量化の推進等により、環境への負荷の少ない循環型社会づくりを行うこと。
四 行政、事業者及び県民の役割分担と参加のための仕組みづくりを行うこと。
第10条(環境基本計画)
知事は、良好な環境の保全及び創造に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、群馬県環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 良好な環境の保全及び創造に関する目標
二 前号に掲げるもののほか、良好な環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 知事は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ群馬県環境審議会の意見を聴かなければならない。
4 知事は、環境基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前二項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
第11条(県の施策と環境基本計画との整合)
県は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図るものとする。
第12条(環境影響評価の推進)
県は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が、その事業の実施に当たりあらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測又は評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る良好な環境の保全及び創造について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
第13条(環境の保全上の支障を防止するための規制)
県は、公害を防止するため、公害の原因となる行為に関し、必要な規制の措置を講じなければならない。
2 県は、自然環境の保全を図るため、自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、必要な規制の措置を講じなければならない。
3 前二項に定めるもののほか、県は、環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるように努めるものとする。
第14条(環境の保全上の支障を防止するための経済的措置)
県は、事業者又は県民が環境への負荷の低減のための施設の整備、研究開発その他の適切な措置を自らとることとなるよう誘導するため、必要かつ適正な経済的措置を講ずるように努めるものとする。
第15条(公共的施設の整備その他の事業の推進)
県は、緩衝地帯その他の環境の保全上の支障を防止するための公共的施設の整備及び汚泥のしゅんせつ、絶滅のおそれのある野生動植物の保護増殖その他の環境の保全上の支障の防止のための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
2 県は、下水道、廃棄物の公共的な処理施設、環境への負荷の低減に資する交通施設(移動施設を含む。)その他の環境の保全上の支障の防止に資する公共的施設の整備及び森林の整備その他の環境の保全上の支障の防止に資する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
3 県は、公園、緑地その他の公共的施設の整備その他の自然環境の適正な整備及び健全な利用のための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
第16条(資源の循環的な利用等の促進)
県は、環境への負荷の低減を図るため、事業者及び県民が行う資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用並びに廃棄物の適正処理及び減量化が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。
第17条(快適環境の創造等)
県は、地域の特性をいかした良好な景観、水と緑に親しむことができる生活空間、歴史的文化的な環境その他の快適環境の創造又は保全を図るため、必要な措置を講ずるものとする。
第18条(環境教育及び環境学習)
県は、環境教育及び環境学習の振興並びに環境に関する広報活動の充実により、事業者及び幼児を始めとするすべての世代の県民が良好な環境の保全及び創造についての理解を深めるとともにこれらの者の良好な環境の保全及び創造に関する活動を行う意欲が増進されるようにするため、必要な措置を講ずるものとする。
第19条(自発的活動を促進するための措置)
県は、事業者、県民又はこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)が自発的に行う緑化活動、再生資源に係る回収活動その他の良好な環境の保全及び創造に関する活動が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。
第20条(情報の提供)
県は、環境教育及び環境学習の振興並びに民間団体等が自発的に行う良好な環境の保全及び創造に関する活動の促進に資するため、個人及び法人の権利利益の保護に配慮しつつ環境の状況その他の良好な環境の保全及び創造に関する必要な情報を適切に提供するように努めるものとする。
第21条(調査研究の推進)
県は、環境の状況の把握、環境の変化の予測又は環境の変化による影響の予測に関する調査研究その他の良好な環境の保全及び創造に関する施策の策定に必要な調査研究を推進するものとする。
第22条(監視等の体制の整備)
県は、環境の状況を把握し、及び良好な環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するために必要な監視、巡視、観測、測定、試験及び検査の体制の整備に努めるものとする。
第23条(環境管理及び環境監査の普及)
県は、事業活動に係る環境への負荷の低減を図るために事業者が行う環境管理及び環境監査について、その普及に関し必要な措置を講ずるように努めるものとする。
第24条(県の率先実行)
県は、事業者及び消費者としての立場にかんがみ、良好な環境の保全及び創造に資する行為を率先して実行するものとする。
第三章 地球環境保全の推進等
第25条
県は、地球環境保全に資する施策を積極的に推進するものとする。
2 県は、国、国際機関等と連携し、良好な環境の保全及び創造に関する技術及び情報の提供等を行うことにより、地球環境保全に関する国際協力の推進に努めるものとする。
第四章 良好な環境の保全及び創造を図るための推進体制等
第26条(推進体制の整備)
県は、その機関相互の緊密な連携及び施策の調整を図り、良好な環境の保全及び創造に関する施策を推進するための体制を整備するものとする。
2 県は、市町村との連携及び民間団体等との協働により、良好な環境の保全及び創造に関する施策を推進するための体制を整備するものとする。
第27条(国及び他の地方公共団体との協力)
県は、良好な環境の保全及び創造を図るために広域的な取組が必要とされる施策について、国及び他の地方公共団体と協力して、その推進に努めるものとする。
第28条(財政上の措置)
県は、良好な環境の保全及び創造に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるように努めるものとする。
附則
施行期日
1 この条例は、平成八年十一月一日から施行する。
群馬県自然環境保全条例の一部改正
2 群馬県自然環境保全条例(昭和四十八年群馬県条例第二十四号)の一部を次のように改正する。
第一条中「、自然環境の保全の基本理念その他自然環境の保全に関し基本となる事項を定めるとともに」を削り、「定めることにより、自然環境の適正な保全を総合的に推進し」を「定め、自然環境の適正な保全を総合的に推進することにより、広く県民が自然環境の恵沢を享受するとともに、将来の県民にこれを継承できるようにし」に改める。
第二条を次のように改める。
第2条(県等の責務)
県、市町村、事業者及び県民は、群馬県環境基本条例(平成八年群馬県条例第三十六号)第三条に定める基本理念にのっとり、自然環境の適正な保全が図られるように、それぞれの立場において努めなければならない。
附則(平成十一年十二月二十二日条例第七十二号)
第四条を次のように改める。
第四条 削除
第六条を次のように改める。
第六条 削除
第八条から第十条までを次のように改める。
第八条から第十条まで 削除
附則(平成十二年三月二十三日条例第五十号抄)
この条例は、平成十二年四月一日から施行する。