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【平成25年10月21日付け】金井東裏遺跡に関する報道提供資料
金井東裏遺跡出土の「鏡」及び「赤玉(あかだま)」について
1 出土遺跡の概要
(1)遺跡名
金井東裏(かないひがしうら)遺跡
(2)調査要因
国道353号金井バイパス(上信自動車道)建設工事に伴う調査
(3)委託者
中部県民局渋川土木事務所
(4)調査主体
公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団
(5)調査期間
平成25年4月1日から平成26年3月31日(予定)
2 内容
(1)鏡について
甲を着た古墳人の発見された4区の祭祀遺構(土器集積遺構)の土器集積部の直下から、9月3日に青銅製の鏡が鏡面を下にした状態で1点出土しました。大きさは直径5.68センチメートル、重さ26.4グラムで、鏡背の文様ははっきりしませんが、わずかに「乳(にゅう)」と呼ばれる突起が見られるところから「乳文鏡(にゅうもんきょう)」と考えられます。
(2)赤玉について
古墳の発見された9区の調査で、調査区南西部寄りの平坦な場所で、6世紀初頭の榛名山二ツ岳の噴火に伴う火山灰(Hr-FA)の中から9月20日に「赤玉」と呼ばれる遺物が100点以上まとまって出土しました。赤玉は、赤色顔料の素材を団子状に丸めたものと考えられており、今回出土した赤玉の大きさは、直径5.5~8センチメートル、重さ350~400グラムほどです。
3 要点
- (1)祭祀行為において、多数の土器、玉類、鉄製品、石製模造品ばかりでなく、鏡が用いられていたことがわかりました。
- (2)赤玉は、県内では伊勢崎市の本関町古墳群、中之条町の伊勢町地区遺跡群の例に次いで3例目の出土で、全国的に見ても類例の少ないものです。なお、本関町古墳群では15点、伊勢町地区遺跡群では2点の出土であり、金井東裏遺跡での出土数も注目される量といえます。
4 一般公開について
平成25年11月9日(土曜日)に、公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団が開催する平成25年度公開普及デーにおいて特別展示として公開します。
公開普及デー問い合わせ 公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団 普及課 電話0279-52-2513
鏡と赤玉の出土位置
祭祀遺構と鏡の出土状況(北から)
鏡の出土状況(東から)
鏡背の状況
赤玉の出土状況(東から)
赤玉の出土状況(北西から)
Hr-FAで埋もれた赤玉
赤玉
参考
乳文鏡について
「最新日本考古学用語辞典」柏書房によれば、乳文鏡について「仿製鏡の一種で、内区主文様が乳を中心に構成され、その間に獣形が便化したような弧線などを配する。小型で一般につくりが粗雑なものが多く、仿製鏡のなかでも新しいものである。仿製の獣形鏡の系譜にあり、6世紀の古墳にも出土例がある。」と説明されています。今回出土した鏡の文様構成は、外区に一部幅3.2ミリメートルほどの鋸歯文帯の存在が確認され、内区に乳と呼ぶ小さな突起が認められることから乳文鏡と判断しています。
群馬県内では、これまでに変形乳文鏡と合わせて合計11例の出土が知られており、その中で古墳時代祭祀遺構から鏡が出土した事例としては、富岡市久保遺跡から出土した素文鏡2例と、渋川市(旧赤城村)宮田諏訪原遺跡の変形乳文鏡1例が知られています。
問い合わせ先
〒377-8555 渋川市北橘町下箱田784-2
公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団
電話 0279-52-2511
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