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金井東裏遺跡(渋川市)出土の2号甲(よろい)内部の鹿角製小札(ろっかくせいこざね)の発見<全国初>について
更新日:2013年12月20日
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1 概要
金井東裏遺跡で出土した2号甲内部の調査で、鹿角製の小札が確認された。
古墳時代の鹿角製小札は、我が国では初めての発見である。
2 県埋蔵文化財調査事業団による2号甲の調査の経過
(1)平成24年11月19日
金井東裏遺跡において2号甲発見
(2)平成24年12月13日~14日
ウレタンで梱包し、県埋蔵文化財調査センター保存処理作業室へ搬入
(3)平成25年2月中旬
検出面(甲の背面)と逆の面(甲の前面)を精査中に鹿角製品1点を確認(CTスキャン撮影実施のため再梱包)
(4)平成25年3月1日
2号甲CTスキャン撮影
(5)平成25年3月中旬
CTスキャン撮影画像を解析中、甲の周囲で同様な物体数十枚によると思われる反応を確認
(6)平成25年12月17日
再度背面をウレタンで保護し、前面巻き込み部分の調査を開始
(7)平成27年8月26日~28日
2号甲から取上げ作業と三次元計測を実施し、合計50枚であることが判明
(8)平成27年10月15日~16日
専門家による動物種の同定作業を実施し、ニホンジカの角であることが判明
3 まとめ
- 鹿角製品は、その形態から小札と考えられる。
- 連続して出土し、綴じ紐等は残存しないが、綴じあわされた状態をそのまま残している。
- 4段の小札列が認められ、合計50枚で構成されている。
- 類品が韓国の夢村土城(ムソンドジョウ・モンチョントソン)遺跡で出土し、骨製札甲(さねよろい)(草摺(くさずり))とされている。
- 本例は鹿角製小札を用いた甲の付属具である胸当てまたは脇当ての可能性が高い。
- 日本初の発見である。
4 その他
鹿角製小札は、その発見時から「骨製小札」と呼称していた。平成27年度の調査で、骨製ではなくニホンジカの角製であることが判明し、平成27年11月11日から「鹿角製小札」と呼称することとした。
5 問い合わせ先
公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団
〒377-8555 渋川市北橘町下箱田784-2 電話:0279-52-2511
2号甲出土状況
鹿角製小札の詳細
2号甲内部の鹿角製小札
2号甲内部の鹿角製小札
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- 公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団<外部リンク>