本文
第32回群馬県行財政改革評価・推進委員会
開催日時
令和5年2月13日(月曜日)13時00分~14時30分
場所
Web会議
出席者
佐藤徹委員長、新井委員、木村委員、佐藤英夫委員、塚本委員、堀口委員、本木委員(7名) (欠席:西部委員)
県側出席者 デジタルトランスフォーメーション推進監(DX推進監)、知事戦略部デジタルトランスフォーメーション戦略課(DX戦略課)2名、知事戦略部業務プロセス改革課3名
次第
1. 開会
2. あいさつ
3. 議事
(1)行財政改革大綱実施計画 個別テーマの審議
ア デジタル技術を活用した地域課題解決
イ ICT人材の活用とICTリテラシーの向上
(2)群馬県庁DXアクションプラン進捗状況
4. 閉会
議事概要(主な意見等)
1 行財政改革大綱実施計画 個別テーマの審議
ア 審議テーマ「デジタル技術を活用した地域課題解決」
DX戦略課から資料1により説明。
審議の観点
- 県が作成したツールを県民に周知・啓発して行動変容を促すための有効な取り組み
- 庁内の所属が抱えている行政課題や、デジタル技術を活用して解決したい課題の掘り起こし方法
主な意見等
(堀口委員)
ワクチン予約でLINEの登録者数が増えたのであれば、新しい機能が出るごとにラインで通知したり、新たな制度や補助金の申請をLINEを通じて受け付ける設計にすればよいのではないか。
デジタル技術を活用する発想に至らない人を動かすよりも、ノウハウを持つ職員がヒアリングして一緒に解決していくのが早いと思う。デジタル庁が他の省庁に対して強力な権限を持つように、他課に対して強制的にヒアリングしたり、改善を促す仕組みを持たせる方が有効なのではないか。
(DX戦略課)
ワクチン予約やワクチン手帳を活用していただいた結果、現在の登録者数となった。今後も手続き窓口の一つとして情報発信を続けていきたい。
ベテランの職員が「今までの方法でよい」「やり方を変えるのは労力がかかる」という考えだとなかなか行動に移しづらい面はある。当課は、他課の事業に対して強力な権限を持っていないが、今年度から、デジタル活用に係る他所属の相談事を受け付ける窓口として「2+2ミーティング」を開始した。各部局の事業担当者及び部局DX推進担当と、DX戦略課が面談を行い、対面で困りごとを聞き出してサポートしながら解決していく取り組みを進めている。引き続き、相談の垣根を低くして、支援を続けたい。
(堀口委員)
LINE登録者の78万人というのは、群馬県民限定か。
(DX戦略課)
県民以外でも登録はできるため、他都道府県の方も登録している可能性はある。
(塚本委員)
東京都のLINEには登録しているが、通知が来てもほとんど開かない。特典のようなものがあるとファンができると思う。
ベテラン職員の意識を変えるには、若い人をメンターにつけて若い人の言うことを傾聴するリバースメンターリング制度も一つの有効な策である。人事制度として導入してもよいのではないか。
(DX戦略課)
御意見を踏まえて今後検討したい。
(新井委員)
デジタルネイティブ世代をうまく巻き込んでいけるとよい。また、先月子供が生まれて様々な手続きを行ったが、何度も住所を記入したり、自宅までの地図を手書きしたりと非常にアナログであった。それらの手続きが簡単にできれば、県民の負担が減るだけでなく、アナログ対応に追われる市町村職員のリソースを別の業務に充てることができ、今後取組むべきことの検討など、本来的な業務に注力できると感じた。
「デジタル技術を活用して解決したい課題」と聞くと思考停止してしまう方もいるのではないか。2対2のミーティングでは、思っていることや解決したい課題を幅広く聞くのが有効だと思う。企業では、気軽に書き込むことができるよう、入力フォームのQRコード(※注)を配ったり、付箋でアイディアを募ったり、という方法を行っている。
これらの取組を進めることは、DX推進に加えて働き方改革の面でも有効と考える。
(※注)QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
(DX戦略課)
市町村から派遣されている職員にも御意見を伝え、今後の取組の参考としたい。
2+2ミーティングは、御提案のようなよろず相談窓口の方向性も視野に入れていきたい。
(業務プロセス改革課)
市町村窓口での手続きは、ワンストップを目指しているが現状としてなかなか進んでいない。今日の御意見は市町村にも共有して、デジタルを活用して利便性が上がるような仕組みを作っていきたい。
(新井委員)
ぜひお願いしたい。LINEの使い道という意味では、こんな手続きをデジタル化して欲しいという県民の声を募り、それを市町村に返すのもよいのではないか。
(佐藤徹委員長)
デジタルツールで「県民に周知啓発して行動変容を促す」とあるが、県民に周知啓発する内容がどういったものかによって、その行動の種類や形態も変わってくる。例えば防災であれば、防災アプリに登録し、災害が起こったときにいち早く避難行動に移していただくことになるが、情報の見せ方によって行動が変容するという行動経済学の知見がある。最近ナッジという言葉があるが、広島県ではかつての大規模水害を踏まえて、どのように防災情報を伝えれば避難行動に移ってもらえるのか、いくつかのパターンで実施して効果をデータで検証している。
デジタル技術を活用して課題を解決するという思考にならない職員に対して、伴走・誘導・相談はもちろん必要だが、やや弱腰のようにも取れる。これまでの議論にもあったように、各部署の管理職の方のDXに係るリーダーシップの発揮状況を確認するとか、DX戦略課の権限を強化して各部署に対して改善命令とか改善勧告を行うことを議論してもよいのではないか。
(業務プロセス改革課)
BPR、DX化をすることで、職員が働きやすくなったという事例を多く作っていきたいため、権限強化も含め、組織内にDXを行きわたらせるための方法は今後知恵を絞っていきたい。
イ 審議テーマ「ICT人材の活用とICTリテラシーの向上」
業務プロセス改革課から資料2により説明。
審議の観点
- 良い人材に応募していただくための有効な取り組みについて
- 県庁全体のICTリテラシーの向上に向けて有効な取り組みについて
主な意見等
(堀口委員)
ICTリテラシーの向上には、使う機会を増やすことが一番大事である。能動的な場を設けるために、業務以外の同好会のような趣味の集まりで活用してもらうと、ツールを使ったコミュニケーションの機会が増えると思った。
私自身が企業にIT導入を案内する機会もあるが、マインドがボトルネックになっていると感じる。極端に怖がる方もいるのでまずは触れる機会を増やすとよい。正しく権限を設定したり、適切にバックアップを行い、何かあっても大事に至らないシステム設計も重要。
また、ICTリテラシーが低いが権限を持つ人が、ICT化の阻害要因となるため、その影響を受けない組織づくりも大切だと思う。また、ICTを活用する上では、文章化して相手にわかりやすく伝える能力も重要。私は、法律とプログラムを学ぶことで相手に伝える能力が向上した。そのようなトレーニング機会を設けてもよいと思った。
(業務プロセス改革課)
Teamsのチームは、ユーザが自由に作成できるようにしており、業務を中心に様々なコミュニケーションで活用している。また、会議室・機材公用車の予約など、庁内システムも徐々にM365に切り換えているところであり、職員が日常業務で利用する環境が整いつつある。
組織の面では、資料にも盛り込んだ業務ルール「今日から始める業務改善5つの原則」を策定し、庁議でも周知したところであり、引き続き組織全体への浸透に努めたい。
(DX推進監)
M365を導入した令和4年9月以降のチャットの利用状況について、管理職の85%以上がチャットを1回以上利用、74%が1回以下の利用と、まだ十分に活用されていない状況。また、2000名の職員が勤務する県庁舎での1か月の内線電話は7万回と、皆さんの想像以上に電話が活用されている。
「今日から始める業務改善5つの原則」ではチャットへの移行を呼び掛けており、先月1か月の内線電話の実績は前年同月比で見ると3割減った。更にチャットに移行できるよう、引き続き力を入れていきたい。
(堀口委員)
電話に慣れている方でも、チャットを使い始めると便利さが分かってくるので、触れる機会を設けるのがよいと思う。
(新井委員)
給料を上げる以外の方法として、働き方のブランディングを打ち出すことが有効ではないか。公務員に対してブラック職場というイメージも広がっているので、ブラック職場だとしたら改善し、そうでなければホワイトであることを打ち出すのが良い。そのような職場でICTの仕事ができることはやりがいにつながる。
私もコンサルティングでいろいろな県と話をさせていただくが、各県で面白い取り組みをしているので、同じ立場の方と情報交換するとよいと思う。
(業務プロセス改革課)
人材確保に向けた働き方のブランディングについては、県で取り組んでいる働き方改革と合わせて、在宅勤務の拡充や、フリーアドレスなどアピールできる面もたくさんあるため、打ち出していきたい。
他県との情報交換も随時実施しており、M365導入の際は、福井県に具体的な活用方法を教えていただいた。引き続き他県と情報交換しながら参考となる部分を取り入れていきたい。
(塚本委員)
ICT人材を採用するのが大変な状況である中、多数の応募があり感心した。IT系の方は優秀なほど兼業・副業・リモート勤務等の柔軟な働き方を求めると思うが、処遇や勤務形態はどのようになっているのか。また、令和3年度の応募者が46名と急増したのはどのようなプロモーションの結果か、差し支えない範囲で教えていただきたい。
(業務プロセス改革課)
ICT人材にとって、柔軟な働き方が重要なことは感じているが、現状、正規職員の兼業は難しく、テレワークも週2回上限となっている。民間企業の状況なども踏まえて、柔軟な働き方へのチャレンジをしていく必要があると考える。来年度はDX2課(DX戦略課・業務プロセス改革課)でもう少し柔軟にテレワークを実施できないか検討している。ほかの取組も含めてどれくらい実現できるかはこれからも考えたい。
(業務プロセス改革課)
応募者数が令和3年度に増えたのは、令和2年度に比べ応募期間を十分に確保したことが要因の一つである。年々応募者の確保が厳しくなっている実感があるので、今度に向けても応募者確保の努力はしていきたい。
(DX推進監)
令和3年度の応募者増加は地元紙の記事掲載の効果も大きかった。募集記事を見た親世代が子供や甥姪に応募を薦めたようで大変効果があった。転職サイトにも求人情報を掲載したが応募者が少なかったので、今後は媒体を選んで広報をしていきたい。
委員にお聞きしたいが、現在ICT職は一括採用で、4月1日に入庁を前提にしている。通常の転職では通年採用が一般的だと思うが、皆さんの御意見を伺いたい。
(塚本委員)
前職を辞めた後に4月1日まで待つのは厳しいと思う。
(佐藤徹委員長)
なぜ現在は4月1日採用なのか。
(業務プロセス改革課)
行政の職員の採用はまず職員の定数があり、それに基づき年度当初に採用計画を立て、その範囲で採用するというのがルールである。年度当初で定数が満たされれば、年度途中で増減の必要はないという判断になる。保健所の医師は年度途中に採用を行っているが、これは年度初から欠員状態になっているためである。また、獣医師は4月採用前提で上期に試験を実施して、足りない分を下期に試験している。ICT職の採用方法についても工夫していきたい。
(佐藤徹委員長)
2名採用の目標に対して1名しか確保できていない年度もあり、実質欠員の状況と考えてよいと思う。工夫の結果はまた教えてほしい。
(木村委員)
県の委員を複数務めているが、委員会がオンラインで開催されることがほぼない。新型コロナ流行当初はWeb会議もあったが、不慣れでやりづらい部分もあったのか、コロナが落ち着いて以降は、当会議以外は全て対面会議に戻っている。
また、Web開催が失礼と考え、配慮しすぎている面もあるのではないか。委員就任時も、こちらが断っても挨拶に来られる方もいて、はっきり言ってすごくもったいない。Web開催は失礼ではないし、外部委員にとっても参加負荷が減るメリットがある。交通費支給の事務手間も減り合理的である。
チャットに関しても、話した内容が文章で残るし、電話の折り返しなどの無駄なやり取りがなくどう考えても効率的である。
電話よりもチャットの方が効率が良い、Web会議の方がメリットが大きい、それらを活用できる方が優秀であるということを浸透させる必要がある。男女共同参画の観点から審議会等の女性比率を出しているように、Web会議の開催数も数値化して、目標を立てて取り組むのが良いと思う。
(業務プロセス改革課)
外部委員との会議にもWeb会議が活用されていると思っていたが、まだ対面開催が多いことを実感した。この後に説明するDXアクションプランでも「Web会議の開催数」を目標にしているが、M365導入後Web会議が簡単に開催できるようになり目標を達成したため、開催数以外の指標を検討していたところである。県庁の業務プロセス改善の一つの視点として、Web会議開催率の切り口も考えてみたい。
チャットの効率についても御指摘のとおりである。先ほどDX推進監から内線電話の3割削減を伝えたところだが、民間企業だとどのくらい内線電話を使っているか、参考に教えていただきたい。
(新井委員)
当社では緊急時以外に内線電話が鳴ることはほぼない。そもそもフルリモートで内線電話がなく、会社支給の携帯で連絡を取り合っているが、基本はチャットツールで完結している。今は外線電話も外注し、外注で受けて折り返すやり方にしており、そのような企業が増えていると思う。
(本木委員)
チャットについては、みんなに興味を持ってもらうことが必要。半分仕事で半分部活のようなものがあると、みんなのリテラシーも上がっていく。
今は外線電話すら無い状況が普通であるため、県庁の内線利用状況は驚きであった。
(堀口委員)
本木委員のおっしゃるとおり、できる限り強制ではなく自発的にやっていただく方がいい。私の母もそういうことは苦手だったが、友達とLINEをするためにスマホを学習し始めた。楽しんで利活用できる場は大事。
木村委員の御指摘に関連して、以前、社歴の長い企業の請求書と見積書の電子化に取り組んだ。始める前は手こずると思っていたが意外にあっさりと実現できた。皆が変えてもよいと思っていたが、組織内で忖度しすぎて実現に至らなかったようだ。このような場合もあるため、まず積極的に確認することも大事だと感じた。
2 群馬県庁DXアクションプラン進捗状況
業務プロセス改革課から資料3により説明。
3 その他
(佐藤徹委員長)
当委員会から県に対して出した要望に対して、対応結果を具体的にフィードバックしていただけると、委員会のモチベーションも維持できるのでぜひ検討いただきたい。
(業務プロセス改革課)
これまでいただいた御指摘は資料にまとめているが、引き続き検討となっているものもある。実現に至ったものは、庁内調整のうえ報告したい。
参考:配布資料
資料1 デジタル技術を活用した地域課題解決 (PDF:840KB)
資料2 ICT人材の活用とICTリテラシーの向上 (PDF:687KB)