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第1 はじめに
第2 監視指導の適用区域及び実施期間
第3 監視指導の実施体制に関する事項
第4 関係機関との連携に関する事項
第5 食品関係営業施設等への監視指導に関する事項
第6 食品等の検査に関する事項
第7 違反事実確認時の対応に関する事項
第8 公表に関する事項
第9 情報提供及び意見の交換(リスクコミュニケーション)等に関する事項
第10 食品等事業者の自主的な衛生管理の推進に関する事項
第11 食品衛生に係る人材の育成及び資質の向上対策に関する事項
別表1 平成30年度食品関係営業施設の監視指導実施状況
別表2 平成30年度食品等検査実施状況
別添1 生食用等野菜及び肉類の食中毒菌衛生実態調査
群馬県では、県内で流通する食品の安全性を確保するため、食品衛生法に基づき、食品衛生監視指導計画(以下、「監視指導計画」)を策定し、食品関係営業施設等への立入検査や食品等の収去検査等を行っています。
平成30年度における本計画の実施結果をとりまとめましたので、その概要を公表します。
監視指導計画のとおり実施しました。
以下の役割分担により、監視指導計画のとおり実施しました。
信頼性確保部門(食品・生活衛生課食品安全推進室)では、試験検査の信頼性を確保するため、次のとおり試験検査の業務管理を実施しました。
※注4:GLP(Good Laboratory Practice):食品衛生検査の精度を適切に保ち、検査結果の信頼性を客観的・科学的に保証するための業務管理基準。
広域的に流通する食品や広域にわたる食中毒等の調査時には、厚生労働省、消費者庁及び他の都道府県等と連携を図り、迅速に対応しました。
中核市の前橋市及び高崎市と連絡会議等を定期的に開催するとともに、広域にわたる食中毒事例に迅速に対応するため、感染症を含めた情報について中核市を含めた群馬県広域食中毒・感染症連絡会議を通じて情報共有を行いました。
ノロウイルス及び病原性大腸菌等に対する調査では、食中毒、感染症の両面から対応が必要なことから、感染症部局と連携して調査にあたりました。
農薬及び放射性物質検出事案に対しては、生産部局と連携して原因究明にあたり、基準値を超えるものが流通しないよう対応しました。
また、食品安全会議、食の安全危機管理チーム員会議及び農水産物安全連絡会議を通じて庁内関係部局との連携を図りました。
農林水産省と食品表示法等に基づく表示調査・指導等について随時情報交換を行うとともに、一層の連携強化を図るため県内の関係機関で設置する「群馬県食品表示監視協議会」(事務局:関東農政局群馬県拠点)を通じて不適正表示についての情報共有等に努めました。
また、食中毒事案等に関して、群馬県警察へ情報提供を行い、連携に努めました。
食品取扱い施設等の監視指導については、業種(施設)毎に、危害の状況等を勘案し、監視指導の重要性及び実効性等を考慮したうえで、監視指導回数をAランク(3回以上/年)、Bランク(2回以上/年)、Cランク(1回以上/年)、Dランク(適宜)の4つのランクに分類し、監視指導を実施しました。
監視指導実施状況は、数値目標を設定したA~Dランクでは年間監視指導目標21,493件に対し20,247件の監視指導を実施しました(目標達成率94.2%)。【別表1参照】
食品衛生監視員による食品取扱い施設等への監視指導(発生事案を除く)において、管理運営基準や施設基準の一部に適合しない等、不適切な施設に対しては改善を指導しました。
また、重点監視事項、特別監視指導計画に係る事項については、以下のとおり監視指導を行いました。
ノロウイルス、カンピロバクター、O157等の腸管出血性大腸菌及びサルモネラ属菌等による食中毒未然防止を目的として、手洗いの徹底、調理従事者の健康管理、食品の衛生的取扱い、加熱調理の必要性及び食肉の生食のリスク等について、施設の監視指導時や衛生講習会において周知しました。
腸管出血性大腸菌O157による広域食中毒の発生を受け、平成29年に「そうざい販売店(露出陳列)の衛生管理指針」を策定、本指針に基づき、販売場所におけるリスク等について周知・指導を行いました。
食中毒の発生状況や予防のポイント等を掲載した「ぐんま食の安全情報」を毎月1回発行(8月と1月を除く)(13,000部/回)し、食の安全情報通信員を通じて県民へ配布しました。
また、高崎市及び(一社)群馬県食品衛生協会と共催で「楽しく学ぼうきのこ塾2018」を開催し、毒きのこによる食中毒予防の啓発に努めました。
HACCPによる衛生管理の制度化を見据え、県内事業者のHACCP導入状況の把握を行うとともに、事業規模や業種の特性等を踏まえ、リーフレット、厚生労働省が公開している手引書等を活用してHACCPによる衛生管理の周知・指導を実施しました。また、県内事業者を対象として、HACCPステップアップ研修(3回、110名参加)を開催し、HACCPの基礎知識を伝えるとともに、具体的なHACCPプランの作成演習をとおして、HACCPによる衛生管理の普及に努めました。
ポジティブリスト制度に係る試験検査として、畜水産物の残留有害物質モニタリング検査を425検体、生鮮野菜・果物の残留農薬検査を40検体、食肉の残留農薬検査を12検体、加工食品の残留農薬検査を38検体の計515検体について実施しました。検査の結果、すべて規格基準に適合していることが確認されました。
県内に流通している輸入食品について、食品添加物168検体、残留農薬36検体、その他89検体の計293検体の検査を実施しました。検査の結果、すべて規格基準に適合していることが確認されました。
県内流通食品について、アレルギー物質検査(乳、卵)を80検体実施しました。検査の結果、すべて表示基準に適合していることが確認されました。
本県では、生産部局による出荷前の一次農畜水産物等(食品)のモニタリング検査及び食品・生活衛生課による流通食品の検査を計画的に実施しました。牛の全頭検査を含め、のべ13,655検体について検査を実施し、検査結果を公表するとともに、基準値を超えた食品の流通防止に努めました。そのうち、監視指導計画の中で実施した県内流通食品78検体については、すべて基準値以下でした。
食品表示の適正化を進めるため、食品表示法、健康増進法及び景品表示法に基づき、総合的な観点から、監視指導、普及啓発に取り組みました。
また、県内の小売店舗において販売されている生鮮食品及び加工食品について、表示状況の調査を実施し、不適正なものについては改善を指導しました。
平成30年7月1日~9月3日までの間、夏期に多発する食中毒を予防するため、夏期食品一斉監視指導を実施しました。
平成30年12月1日~平成31年1月9日までの間、年末年始に大量に流通する食品の衛生管理を確保するために年末年始一斉監視指導を実施しました。
県内各観光地等の食品営業施設やイベント会場等で、食品事故の未然防止対策として監視指導や衛生講習会を実施しました。
冬期のノロウイルス対策の一環として観光地の旅館・ホテル一斉監視(草津)、スキー場監視を実施しました。
食品の安全性を確保し県民の健康保護を図るために、県内に流通する食品等について、「検査実施計画」に基づき、食品衛生法で定めている成分規格等の検査及び関係通知等に係る検査を行いました。【別表2参照】
収去検査の結果、違反を発見したものについては、直ちに原因施設に対して立入検査を実施し、必要な措置の指示及び再発防止の指導を行うこととしています。
平成30年度の収去検査において、アイスミルク1検体について、大腸菌群陽性が確認されたため、直ちに製造施設に対して立入検査を実施しました。アイスミルクの製造者に対しては、回収命令及び再発防止の指導等を行いました。
平成30年(1月から12月)における県内の食中毒発生数及び患者数は6件75人でした(前年:8件140人)。食中毒事件の探知後速やかに患者及び原因施設を管轄する保健福祉事務所は所定の調査を実施するとともに、患者便、調理従事者便、関係食品等を衛生環境研究所で検査する等、原因の究明と適切な措置を実施し、事故の拡大防止に努めました。
また、食中毒が発生した施設に対しては、発生後1年間に3回以上の監視指導を実施し、衛生講習等を行い再発防止を図りました。
なお、6件の食中毒事件については、各営業者に対し、食品衛生法に基づく行政処分(営業停止もしくは調理業務停止)を行いました。
病因物質 | 事件数 | 患者数 |
---|---|---|
ノロウイルス | 2件 | 52人 |
カンピロバクター | 2件 | 21人 |
アニサキス | 2件 | 2人 |
計 | 6件 | 75人 |
夏期食品一斉監視指導及び年末年始食品一斉監視指導の実施について、群馬県ホームページで公表しました。
試験検査実施機関(食肉衛生検査所で実施すると畜検査結果及び食鳥検査結果を除く。)の検査結果については、県ホームページに掲載しました。
関係部局と連携し農畜水産物等の放射性物質検査を行い、検査結果をその都度、報道機関に情報提供を行うとともに県ホームページに掲載しました。
行政処分を行った場合には、その都度、報道機関へ情報提供を行うとともに県ホームページに掲載しました。
食品安全基本条例第9条の規定により、リスクコミュニケーション(意見交換会)を開催しました。(54回、2,784人参加)
また、食品衛生等に関する出前講座等(16回、643人参加)に食品・生活衛生課等の職員を講師として派遣し、食品衛生等の普及啓発に努めました。
その他、群馬県ホームページ及びフェイスブックを積極的に活用し、食品衛生及び食品安全情報を掲載するとともに「ぐんま食の安全情報」(啓発用チラシ)を発行(10回:143~152)し、食品衛生の情報提供に努めました。
群馬県食品自主衛生管理認証制度は、一般的衛生管理プログラムの確立に有用な制度であることから、講習会等を通じて制度の普及・啓発を図りました。なお、平成30年度末に認証されている施設は、11業種39施設となっています。
群馬県食品衛生法施行条例(平成12年3月23日群馬県条例第41号)に基づき営業施設に設置される食品衛生責任者について次のとおり講習会を開催しました。
食品衛生監視員、と畜検査員及び食鳥検査員等の資質の向上を図るため、技術及び関係法令等についての研修会を開催しました。また、国等が主催する各種研修会へも積極的に参加しました。
新規食品衛生監視員等研修会/食品衛生監視員研修会/食品衛生検査施設GLP研修会/感染症食中毒疫学研修会/食品表示研修会
ランク(監視件数) | 対象施設数 | 監視目標件数 | 対象施設・業種区分等 | 監視件数 | ランク別監視件数 | 監視実施率 |
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A(年3回以上) | 9施設 | 27件 | ・平成29年に食中毒等で行政処分を受けた施設 | 27件 | 27件 | 100.0% |
B(年2回以上) | 345施設 | 690件 | ・大量調理施設(300食/回、750食/日以上調理する飲食店営業) | 175件 | 740件 | 107.2% |
・次の食品製造業施設(総合衛生管理製造過程承認施設を除く) | ||||||
乳処理業 | 41件 | |||||
食肉製品製造業 | 31件 | |||||
添加物製造業 | 12件 | |||||
魚肉練り製品製造業 | 0 | |||||
食品の冷凍又は冷蔵業(冷凍食品製造) | 45件 | |||||
・大規模製造施設(従業員300人以上) | 28件 | |||||
・大規模小売店舗(従業員50人以上) | 402件 | |||||
・魚介類せり売り営業(卸売市場) | 6件 | |||||
C(年1回以上) | 6,374施設 | 6,374件 | ・Bランク施設でHACCP導入済み施設 | 77件 | 6,015件 | 94.4% |
・次の食品製造業施設(Bランク施設を除く) | ||||||
菓子製造業 | 1,291件 | |||||
あん類製造業 | 18件 | |||||
アイスクリーム類製造業 | 63件 | |||||
食品の冷凍又は冷蔵業 | 28件 | |||||
清涼飲料水製造業 | 44件 | |||||
乳酸菌飲料製造業 | 5件 | |||||
氷雪製造業 | 1件 | |||||
豆腐製造業 | 54件 | |||||
納豆製造業 | 7件 | |||||
めん類製造業 | 107件 | |||||
そうざい製造業 | 271件 | |||||
かん詰又はびん詰食品製造業 | 23件 | |||||
食用油脂製造業 | 3件 | |||||
みそ製造業 | 34件 | |||||
醤油製造業 | 10件 | |||||
ソース類製造業 | 17件 | |||||
酒類製造業 | 13件 | |||||
乳製品製造業 | 39件 | |||||
漬物製造業 | 142件 | |||||
特別牛乳さく取処理業 | 0 | |||||
食肉処理業(群馬県野生鳥獣衛生処理施設登録施設を含む) | 263件 | |||||
・飲食店営業(仕出し・弁当店:Bランク施設を除く) | 404件 | |||||
・飲食店営業(焼肉専門店) | 43件 | |||||
・生食用食肉取扱施設 | ||||||
・食肉販売業(処理加工を行う施設) | 627件 | |||||
・魚介類販売業(処理加工を行う施設) | 625件 | |||||
・食鳥卵の選別包装施設(液卵製造施設を含む) | 3件 | |||||
・特定給食施設(学校給食施設等、100食/回以上又は250食/日以上調理する施設) | 264件 | |||||
・と畜場 | 920件 | |||||
・大規模食鳥処理場 | 526件 | |||||
・認定小規模食鳥処理場 | 0 | |||||
・露出陳列を行うそうざい販売店 | 93件 | |||||
小計 | 6,728施設 | 7,091件 | 6,782件 | 6,782件 | 95.6% | |
D(対象施設数の1/2以上) | 28,804施設 | 14,402件 | ・A~Cランク以外の施設 | 13,465件 | 13,465件 | 93.5% |
合計 | 35,532施設 | 21,493件 | 20,247件 | 20,247件 | 94.2% |
Aランク施設の監視実績は、当該施設の行政処分の期限が満了した日又は措置命令を履行した日の翌日以降1年間の監視実績を示す。
平成30年度 食品等検査実施状況
検査項目 | 検査品目 | 目標検体数 | 検査実施検体数 | 違反検体数 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
総数 | 輸入品(再掲) | |||||
残留有害物質(抗生物質) | 牛乳、鶏卵 | 23検体 | 23検体 | 0 | 0 | |
合計 | 23検体 | 23検体 | 0 | 0 |
検査項目 | 検査品目 | 目標検体数 | 検査実施検体数 | 違反検体数 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
総数 | 輸入品(再掲) | |||||
理化学検査 | 食品添加物 | 各種加工食品等 | 365検体 | 365検体 | 168検体 | 0 |
残留農薬 | 生鮮野菜、果実、食肉 | 90検体 | 52検体 | 6検体 | 0 | |
加工食品 | 38検体 | 30検体 | 0 | |||
動物用医薬品 | 食肉、養殖魚 | 18検体 | 18検体 | 6検体 | 0 | |
有害汚染物質 | 151検体 | |||||
・放射性物質 | 各種加工食品等 | 78検体 | 0 | 0 | ||
・PCB | 鶏卵、調製粉乳 | 0 | 0 | 0 | ||
・水銀 | 魚介類 | 0 | 0 | 0 | ||
・重金属 | 清涼飲料水 | 50検体 | 28検体 | 0 | ||
・かび毒(パツリン) | リンゴジュース | 8検体 | 0 | 0 | ||
・シアン化合物 | 生あん | 4検体 | 0 | 0 | ||
・蛍光物質 | キッチンペーパー、紙ボウル | 10検体 | 10検体 | 0 | ||
遺伝子組換え食品(CBH351) | とうもろこし加工品 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
アレルギー物質 | 80検体 | |||||
・卵 | 菓子類、めん類、漬物等の加工食品 | 40検体 | 6検体 | 0 | ||
・乳 | 40検体 | 10検体 | 0 | |||
成分規格検査 | 牛乳 | 33検体 | 33検体 | 0 | 0 | |
小計 | 737検体 | 736検体 | 264検体 | 0 | ||
細菌検査 | 細菌検査 | 牛乳、アイスクリーム類、冷凍食品、弁当等 | 512検体 | 516検体 | 29検体 | 1検体 |
衛生実態調査 | 生食用等野菜、肉類 | 75検体 | 75検体 | 0 | - | |
小計 | 587検体 | 591検体 | 29検体 | 1検体 | ||
食品安全企画検査 | 0 | 0 | 0 | - | ||
合計 | 1,324検体 | 1,327検体 | 293検体 | 1検体 |
検査項目 | 検査品目 | 目標検体数 | 検査実施検体数 | 違反検体数 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
動物用医薬品 | 国産食肉/牛肉、豚肉、鶏肉 | 385検体 | 384検体 | 0 | ||
合計 | 385検体 | 384検体 | 0 |
各試験検査実施機関の合計
目標検体数(a)=1,732検体 検査実施検体数(b)=1,734検体 目標達成率(b/a%)=100.1%
検査項目 | 検査品目 | 検査実施検体数 | ||
---|---|---|---|---|
と畜場法に基づく検査 | 牛、馬、豚、山羊 | 580,535検体 | ||
食鳥検査法に基づく検査 | 鶏 | 7,522,498検体 |
全国では、生食用等野菜、生食用又は加熱不十分な肉類を喫食したことが原因と推定される食中毒が発生している。これを受け、大腸菌群、大腸菌、腸管出血性大腸菌、サルモネラ属菌について、生食用等野菜及び肉類の汚染状況の調査を実施した。
平成30年度は、計3回の試買を行い、検査を実施した。
・大腸菌群(※注5注)、大腸菌、腸管出血性大腸菌、サルモネラ属菌(※注5)
(※注5)大腸菌群及び大腸菌は生食用野菜のみ、サルモネラ属菌は肉類のみ実施。
総検体数 | 大腸菌群 (※注6) |
大腸菌 | 腸管出血性大腸菌 | サルモネラ属菌 (※注6) |
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陽性 (割合) |
検体数 | 陽性 (割合) |
検体数 | 陽性 (割合) |
検体数 | 陽性 (割合) |
検体数 | ||
生食用等野菜 | 50検体 | 36検体 (72%) |
50検体 | 0 (0%) |
24検体 | 0 (0%) |
26検体 | ||
肉類 | 25検体 | 0 (0%) |
16検体 | 2検体 (17%) |
12検体 |
(※注6)大腸菌群及び大腸菌は生食用等野菜のみ、サルモネラ属菌は肉類のみ実施。