平成30年度市町村の財政状況　詳細版（その1）

平成30年度市町村の財政状況(詳細版) （PDFファイル：965KB）

第1　平成30年度市町村普通会計概況（その1）

1　決算の背景

（1）平成30年度当初の経済見通し

• 国内総生産　564.3兆円（名目）
• 経済成長率　名目＋2.5％、実質＋1.8％

（2）国の平成30年度当初予算

ア　一般会計の規模

97兆7,128億円（対前年度比＋2,581億円、＋0.3％）

イ　一般歳出（国債及び地方交付税等、東日本大震災復興特別会計への繰入れを除く歳出）

58兆8,958億円（対前年度比＋5,367億円、＋0.9％）

ウ　財政投融資計画

14兆4,631億円（対前年度比－6,651億円、－4.4％）

（3）地方財政計画の概要

ア　地方財政計画の規模

通常収支分

86兆8,973億円（対前年度比＋2,775億円、＋0.3％）
（歳入）地方税　＋0.9％、国庫支出金　＋0.8％、地方債　＋0.3％
（歳出）一般行政経費　＋2.1％、維持補修費　＋3.5％、投資的経費　＋1.4％

東日本大震災分（平成24年度から東日本大震災の復旧・復興事業等について区分するため策定）

うち復旧・復興事業分　1兆1,079億円（対前年度比－1,763億円、－13.7％）
（歳入）震災復興特別交付税　－6.1％、国庫支出金　－17.0％
（歳出）一般行政経費　－29.8％、投資的経費　－6.4％

うち全国防災事業分　1,035億円（対前年度比＋89億円、＋9.4％）
（歳入）一般財源充当分　＋36.0％
（歳出）公債費 　＋9.4％

イ　地方交付税総額（震災復興特別交付税除く）

16兆　85億円（対前年度比－3,213億円、－2.0％）

（4）国及び地方財政の補正措置

ア　国

補正予算第1号（平成30年11月）

　歳出面では、平成30年7月豪雨への対応や平成30年北海道胆振東部地震への対応等が追加計上された。また、歳入面では、公債金、税外収入、前年度剰余金受入等が追加計上された。
　この結果、一般会計予算の規模は、歳入歳出とも平成30年度当初予算に対し、9,356億円増加し、98兆6,484億円となった。

補正予算第2号（平成31年2月）

　歳出面では、防災・減災、国土強靭化1兆723億円等が追加計上されたほか、既定経費の修正減少額等が計上された。また、歳入面では、税収、税外収入、前年度剰余金受入、公債金が追加計上された。
　この結果、一般会計予算の規模は、歳入歳出とも平成30年度補正予算（第1号）による補正後予算に対し、2兆7,097億円増加し、101兆3,581億円となった。

イ　地方財政

　国の補正予算により、国税収入の補正等に伴い地方交付税が増額され、普通交付税の調整額の復活や特別交付税の総額への加算、平成31年度分として交付すべき地方交付税の総額に加算して交付するといった措置が講じられた。また、平成30年度に追加される投資的経費に係る地方負担額等については、原則として地方負担額の100％まで地方債を充当できることとし、後年度における元利償還金の50％を基準財政需要額に算入し、残余については原則として単位費用により措置することなどの財政措置が講じられた。
　地方公務員の給与改定について、「地方公務員法」の趣旨に沿って適切に対応するよう通知されたが、当該給与改定に係る一般財源所要額については、地方財政計画上の追加財政需要額の一部により対応することとされた。

（5）平成30年度の経済実績

• 国内総生産　548.4兆円（名目）
• 経済成長率　名目＋0.1％、実質＋0.3％

2　決算概要

（1）決算の特徴

　平成30年度政府予算については、保育の受け皿拡大や地域の中核企業による設備・人材投資等の促進等の重要課題に重点化していると同時に、経済再生と財政健全化の両立を実現するものと位置づけられ、その総額は97兆7,128億円となった。
　平成30年度地方財政対策においては、極めて厳しい地方財政の現状及び現下の経済情勢等を踏まえ、歳出面においては、子ども・子育て支援や地方創生、公共施設等の適正管理に対応するために必要な経費を計上するとともに、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上を行う一方、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うこととされた。
　また、歳入面においては、地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源総額について、平成29年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保することを基本として、引き続き生ずることとなった大幅な財源不足について、地方財政の運営上支障が生じないよう適切な補填措置を講じることとされた。
　このような状況を背景とした平成30年度の本県市町村決算は、制度融資の貸付金元金収入や預託金の減、基金からの繰入金や基金への積立金の減等により、歳入歳出ともに3年連続の減となった。
　なお、県内35市町村に赤字団体（実質収支がマイナスの団体）はなかった。

（2）決算規模

• 歳入総額：8,526億円（前年度8,575億円）
• 歳出総額：8,190億円（前年度8,244億円）

歳入は対前年度比－0.6％（－50億円）、歳出は同－0.6％（－53億円）で、歳入歳出ともに3年連続の減少となった。

3　決算収支

　実質収支は、275億円（対前年度比＋0.8％）となった。赤字団体はなかった。
　単年度収支は、2億円の黒字（前年度は2億円の赤字）となった。赤字団体は13団体（5市、8町村）であった。
　実質単年度収支は、132億円の赤字（前年度は230億円の赤字）で、3年連続の赤字となった。赤字団体は25団体（12市、13町村）であった。

4　歳入の概要

（1）歳入決算額の状況

　「市町村税」は、固定資産税や市町村たばこ税等が減となったものの、所得割及び法人税割の増等により市町村民税が増となったこと等により、対前年度比＋1.4％（＋43億円）となった。
　「地方交付税」は、包括算定経費の減・合併算定替の段階的縮減等による基準財政需要額の減、市町村民税所得割の増等による基準財政収入額の増により、対前年度比－3.1％（－36億円）となった。
　「諸収入」は、特別会計清算剰余金や貸付金元金収入の減等により、対前年度比－11.5％（－61億円）となった。
　「地方債」は、旧市町村合併特例事業債や緊急防災・減債事業債等の増等により、対前年度比＋10.9％（＋77億円）となった。（臨時財政対策債を除く地方債は、対前年度比＋18.6％（＋83億円）。）

• ※1　各種交付金は、利子割交付金、配当割交付金、株式譲渡所得割交付金、地方消費税交付金、ゴルフ場利用税交付金及び自動車取得税交付金の合計である。
• ※2　国庫支出金は、交通安全対策特別交付金及び国有提供施設等所在市町村助成交付金を含む。

（2）市町村税の状況

　市町村税収入額（国民健康保険税を除く）は3,116億円で、対前年度比＋1.4％（＋43億円）となった。
　「市町村民税」については、所得割が＋2.5％（＋24億円）、法人税割が＋8.7％（＋22億円）となったこと等により、全体としては対前年度比＋3.5％（＋47億円）となった。
　「固定資産税」については、償却資産分が＋3.6％（＋12億円）となった一方、土地分が－0.6％（－3億円）、家屋分が－2.3％(－14億円)となったこと等により、全体としては対前年度比－0.3％（－4億円）となった。
　「軽自動車税」については、対前年度比＋4.1％（＋2億円）となった。
　「市町村たばこ税」については、対前年度比－2.7％（－4億円）となった。
　税目構成は、市町村民税と固定資産税とで88.5％を占めており、この割合は前年度（88.3％）から微増となった。