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令和3年8月4日(水曜日)午前10時~11時30分
群馬県立文書館 3階研修室
委員11名(宮崎俊弥(副会長・議長)、長京子、小林忍、岡屋紀子、新井小枝子、関戸明子、佐藤孝之、田中麻里、岩崎博文、齋藤亮一、高橋浩昭)
幹事4名(町田裕之、宮川豊、内田善規、稲葉友昭)<以上、敬称略>
事務局6名(館長ほか)
※本協議会は、通例、公開としているところ、現下の感染状況を踏まえ、今回は特例的に非公開とした。
(1)報告
ア 公文書等管理委員会設置に伴う対応(資料1)
イ 「文書館の今後の方針と取組」の進捗状況等(資料2)
ウ 学校連携「活用ガイド」(資料5)
エ 公開率の算定・表記の見直しについて(資料6)
(1)開会(司会:大谷指導主事)
(2)館長あいさつ(神成館長)
(3)委員・幹事自己紹介
(4)副会長あいさつ(落合会長が欠席のため、代わって宮崎副会長が議長を務めた。)
(宮崎副会長)
文書館には大きく分けて古文書・公文書の2つの保存機能があり、このうち自分にとっては古文書が身近である。旧家のたくさんの資料が保管されているので、地域の研究をする際、必ず文書館を訪れて周辺資料を調べてから研究に取りかかるようにしている。また、文書館では「くずし字」の学習会や古文書講座なども開かれている。古文書講座は特にリタイアした人に人気がある。私も地元の桐生市・みどり市の同好の人たちと一緒に月2回程度、古文書学習会に参加している。私自身、30年ほど前に文書館に勤務していた。受講者は、古文書がかなり読める実力が付いている。講座が県民の文化水準の向上・県民の要望に応えている。これからも講座を続けていただきたい。公文書・行政文書は、「民主主義の根幹・県民共有の知的資源」である。県立文書館もこうした視点に立ち、県政・県行政に公文書をいろいろと活かしていただきたい。今回は、コロナ禍により2年ぶりの対面での協議会となっている。できるだけ有意義な会合となるよう、ご協力をお願いしたい。
(5)議事
(事務局)
(宮崎副会長)
それでは、事務局の説明について意見・質疑があれば発言をお願いする。
(長委員)
古文書の補足説明で、ボランティアの活用は無報酬でお願いしているので、心苦しいというお話があった。一般にボランティアは無報酬だが、作業が定期的に行われるものならば、無報酬でなく、クラウド・ファンディングを活用し財源を生み出すなどの考え方もあるのではないか。
(事務局)
ボランティアの活用については、数年前の当協議会での落合委員からのご提言に沿って進めてきた。全国調査したところ、予想外にボランティアの活用に取り組んでいるところは少ない。活用していたとしても古文書解読・目録作成業務以外が大半。ある程度の古文書の解読能力がある人は、無報酬では集まらないということが背景にあると思う。当館では、昨年度のボランティア募集にあたり、目録作成業務以外にも、ラベル貼りや埃払いなどの装備作業、さらにレファレンスも含めて募集した。実情として、より多くの目録を安定的に作成するためには、無報酬ではなく、ある程度の報酬を予算化できることが望ましい。現行の無報酬ボランティアによる限られた時間での作業では、作成できる目録数にも限界がある。今後、どのような形が最善か分からないが、有償化についても検討したい。
(長委員)
普通の文書と異なり、古文書の取扱いは心得がないとできない。高度な専門性が要求されるため、無償のボランティアとは意味合いが違う。ぜひその点を配慮してほしい。古文書の解読能力を備えた専門性を有する人を大切にしてほしい。
(宮崎副会長)
配布資料(資料2)では、今回の運営協議会では扱わず、別途「公文書等管理委員会」で所管するとされる事項がいくつかある。「公文書等管理委員会」の委員構成はどうか。閲覧基準・情報公開等の非常に大切な事項を扱うことと思う。
(町田幹事)
公文書等管理委員会は総務事務管理課で所管し、弁護士を委員長とし、国立公文書館、新聞社、行政書士会、大学教授の5名で構成されている。従来、知事部局、議会、行政委員会、警察本部、教育委員会など各部局間で文書管理規程が別々であったのを、歴史的公文書を県民の共有財産として情報公開していくために統一的ルールを設けるなどの趣旨で(委員を)選定している。また、公文書管理条例の制定状況としては、群馬県を含む全国13都県で条例が施行されている。
公文書の保存・廃棄は、第一義的には各所属長の判断とされており、文書館は、それら廃棄の判断に対して意見を付するという位置づけではあるが、これまで同様、文書館にご協力いただき、特に保存については文書館で半永久的に行うことになるので、連携して事務を進めることとしている。
(宮崎副会長)
確認になるが、公文書等管理委員会の構成員には、文書館の代表者や歴史の研究者は入っていないのか。
(町田幹事)
文書館長は、総務事務管理課長と同様、会議に出席し、条例・規則の制定・改廃の際に意見を述べることができる。
(宮崎副会長)
了解した。できるだけ歴史的な視点に立った公開基準の作成などをお願いしたい。
(佐藤孝委員)
従来は文書館において、残すべき公文書の評価・選別を行っていたと思うが、今後は、公文書等管理委員会でそういった評価・選別を実施するのか。
(町田幹事)
公文書等管理委員会では、歴史的公文書に該当するか否かの評価・選別のための基準(選定方針、選定基準の詳細)を今年度から設けた。実際の評価・選別は各所属で判断し、文書館に引き継ぐため、公文書等管理委員会が、個々の評価・選別について専門的に判断するものではない。ただし、公開に係る審査請求についての判断は委員会で行うことになる。
(小林委員)
既に新しい条例の運用は開始されているのか。例えば、特定歴史公文書の選定や文書館での受け入れなどは始まっているのか。
(町田幹事)
今年度から施行され、順次、特定歴史公文書の文書館への引き継ぎが始まっている。
(小林委員)
同様な条例が、群馬県内では他に、渋川市で制定されたと新聞で読んだが、他の市町村はどうか。
(町田幹事)
渋川市については承知しているが、他の市町村の状況は把握していない。
(小林委員)
資料2の6ページに「専門的な人材育成」とあるが、国では認証アーキビスト養成を行っている。文書館における認証アーキビストの養成についてはどうか。
(事務局)
国立公文書館が実施するアーキビスト認証は、公文書管理に関する職員の専門性を強化する上で大変有効なツールと考えている。認証制度が整備され、既に今年の1月には、200名程度が認証されたと承知している。全国の地方公文書館でも、多くの職員がアーキビスト認証を目指している状況で、近隣都県の公文書館でも1月の認証を受けた実績について承知している。当館の状況であるが、人事異動のため専門職が定着しにくい事情もあり、また、認証準備のための手間や時間もかかるため、難しい面がある。ただ、過去に当館に勤務歴があり、現在教員をしている者が、群馬県で第1号の認証を受けたと聞いている。他にも当館の勤務歴があって、同じく教員籍の者が、同様に認証を目指している例もある。将来的に、アーキビスト認証を受けた専門職員を当館にも配置する必要性についての問題意識は持っている。
(小林委員)
古文書の寄託・収集に関し、太田地区は件数が少ないということだが、地域性による偏りがあるのか。
(事務局)
地域性は非常にある。件数が最も多いのは前橋・旧勢多郡西部、次に多いのは多野・藤岡地域、吾妻地域など。それらの地区では当時、史料館や博物館がなく、文書館に寄託することになったというケースが多い。収蔵資料に地域的な偏りがあるのは問題と考えており、当館の利用者にも地域的な偏りを生じさせ、その結果、東毛からは人口に比して利用者が少ないのが実態。今後、東毛地域からの史料の受入れを増やしていく必要があると考える。
(宮崎副会長)
その他、質問・意見はないか。(会場から声なし)。
それでは、残りの議題(ウ・エ)について、事務局から説明をお願いする。
(事務局)
・資料により説明(ウとエをまとめて説明)
ウ 学校連携「活用ガイド」(大谷指導主事:資料5)
エ 公開率の算定・表記の見直しについて(戸恒主幹:資料6)
(宮崎副会長)
まず、ウについて、小中高の代表がいるので、順番に意見・質問等、発言をお願いする。
(岩崎委員)
「活用ガイド」が非常にいい。令和7年度に社会科の全国大会が群馬県で開かれる。それに向けて、教材開発・学習過程・評価の3つの視点で研究を進めている。そのうち、教材開発の面で「活用ガイド」が非常に有効な資料と考えているので、今後いろいろと相談させていただきたい。
(齋藤委員)
全県的に、タブレットが一人一台整備されている。今後は、生徒一人一人が調べたいものを検索するという活動がさらに進んでいく。また各地域の歴史には、多くの宝の山といえるものがあり、「活用ガイド」は、それらに触れる大きなチャンスを提供できる機会になる。
(高橋委員)
一人一台端末が整備され、従来は「文書館へ行きなさい」としていたところ、今後「HPを閲覧しなさい」と指導できるようになった。活用可能なtsulunos動画もある。文書館の「利用案内」も一般向けだけでなく、小中高生向けも作成してもらえるとよい。高校によっては「施設に直接アプローチしなさい」と指導するところもあるので、文書館に訪問しなくても、例えばHP上で相談受付のアドレスを用意してもらえるとよい。
(宮崎副会長)
では、エについて質問・意見あるか。(会場から特になし)。
もともとの表記に無理があったということだろうが、公開率を表記しない背景はどうか。
(事務局)
「特定歴史公文書」は、常に利用可否の審査を完了した状態にしておくとなれば、とても現人員では対応困難であり、閲覧利用の請求があった都度、利用可否の審査を行うという対応としている。審査が「後追い」になってしまうので、現状では、すべての文書について「公開/非公開」の区分確定まで手が及ばない。そのため、公開率を表記しない取扱いとしたい。
(宮崎副会長)
現段階の公開率は出せないということだが、今公開決定したものだけでも数字を出せるとよい。
(事務局追記:令和3年7月21日付け目録公開した40,971点のうち、「公開」「部分公開」は17,464点(42.6%)、残りは「非公開」「要審査」)
それでは、協議事項はないということなので、その他の配布資料を簡単に紹介してほしい。
(稲葉幹事)
『伊勢崎で渋沢栄一の足跡を探す』(県立図書館当日配布資料)は、2年前、伊勢崎行政県税事務所が作成した。内容は観光的な観点から書いているので、史料的に正しいかは2の次になっているが、今回、文書館で渋沢栄一の展示をしているということなので、それに合わせて持参した。
(宮崎副会長)
その他、「双文」「文書館だより」が当日追加配布されたが。
(事務局)
「双文」「文書館だより」(ともにHP掲出刊行物)は、拝見いただければと思う。
(宮崎副会長)
これで最後になるので、何か意見・質問などはあるか。
(長委員)
桐生地域で、(講談社創立者の)野間清治顕彰会をやっている。5月に「日本の生糸をめぐる星野家の人々」という冊子を作成した。日本の近代産業の黎明期、前橋・富岡・利根の製糸場のこと、アメリカまで渡って生糸の売り込みをした人などのことを、元黒保根村教育長が聞き取りをしてまとめた冊子である。その中にハル・ライシャワーさん(元駐日米国大使夫人)のことも出てくる。昭和30年代のことがもう遠くなってしまったという感がある。是非読んでいただきたい。
(宮崎副会長)
以上で議事は終了し、事務局に戻す。
(事務局)
それでは、以上で本日の運営協議会を終了する。(以下、事務連絡)。