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群馬県非認知教育専門家委員会(第7回)議事概要

更新日:2026年4月28日 印刷ページ表示

1 期日

 令和8年3月17日(火曜日) 午後4時から午後6時

2 場所

 県庁24階 教育委員会会議室(Web会議)

3 出席者

  1. 委員(8名中8名出席)
    大島みずき委員、田熊美保委員、中室牧子委員、Patrick Newell委員、今井朝子委員、
    金子弘幸委員、工藤勇一委員、葉一委員
  2. 事務局 平田郁美教育長 他 職員13名

4 内容

(1)開会

 開会

(2)あいさつ

 平田郁美教育長によるあいさつ

(3)報告事項

  • 指定校における実践
  • 群馬・スコットランド共同研究
  • SSES Round 2 結果詳細分析

 配付資料により事務局説明、質疑

(4)意見交換

  • 群馬モデルについて

 配付資料により事務局説明、質疑、意見交換

(5)その他

​ 事務局から事務連絡

(6)閉会

 閉会

5 委員の主な意見

【指定校における実践】

(委員A)

 これまでの実践の積み上げについては、先生や生徒が様々に模索しながら取り組んできたのではないかと感じた。その中で、OECDや他国から見ても良い点が三点あると感じた。
 一点目は、子供たちのためだけでなく、ラーニング・コンパスとティーチング・コンパスの観点から、子供たちの活動と並行して教員が研修を行っていることや、子供たちの変容と合わせて教員の変容についても報告されている点である。報告の仕方から、群馬モデル作成に向けて大切なことが教員と生徒の両輪であることが示されていると感じた。
 二点目は、学校全体での教員の意識の共有についてである。SSESにおいて、「若年層の雇用、経済的な成功、社会的平等の向上への社会情動的スキルの影響」についての教員の共通認識が群馬県で0という結果の項目があったと思うが、それについては、全ての教員が回答した場合のみカウントされるという仕組みであったと聞いている。このことから、一つの学校で教員全員が同じ意識を持つことの重要性を捉えて、今回示された研修でも教員間の目線合わせを意識して学校全体で取組がなされていると感じた。
 三点目は、非認知能力の向上についてである。非認知能力を高めようとすると、そのことに特化してしまう傾向が見られる。非認知能力だけの向上を目指す部分最適ではなく、認知能力やその他含めた全体最適を常に意識することが重要であると考える。その意味で、エージェンシーデーとドーナツ会議の取組は、次期学習指導要領に向けて高い自由裁量の時間をどのように活用するかを示した取組であるとともに、それと同時に教員の研修が組み込まれている点が特徴的である。さらに、教員の働き方改革についても重要視されている中で、学習指導要領、教員研修、働き方改革の三点が同じ方向に向かっているかが問われる中で、本事例ではそれらが一体的に進められていると感じた。

(委員B)

 短期間でこれほど大きな進歩が見られたことに驚いている。私はこの半年間、他の地域の教育委員会とも密接に連携してきたが、同様の考えを多く共有している。これらのスキルを組み込むにあたり、学校のスケジュールをどのように変更しているのか。また、教員の意識やスキルを変えるために、専門のトレーナーとの時間を十分に確保できているのか。さらに、文部科学省の基準をPBLや探究型学習にどのように組み込むかについて、教員が理解するための枠組みは整備されているのか。各教科のカリキュラムを共通のテーマやプロジェクトに統合するための仕組みについて教員同士はどのように協力しているのか。また、教科をテーマやプロジェクトに統合する際に、IBの枠組みをどのように活用しているのか。群馬モデルは非常に示唆に富んでおり、急速に変化する社会において子供たちに必要な力と合致していると感じている。一方で、探究活動、教科横断、非認知能力の育成はどれも同じような課題を抱えている。その中で、どのように解決に向かい、前進していくのかについて関心がある。

(事務局)

 まず、スケジュールについて、伊勢崎高校におけるエージェンシーデーの取組は、前年度の段階であらかじめ日程を設定し、年3回実施している。
 次に、PBLや探究学習に関するスキルや考え方については、群馬県では以前から探究学習に対する教員の理解が進んでおり、高等学校に探究が導入された当初から研修を重ねてきた。子供に教えるのではなく、学びを支援するという姿勢は、もともと共有されていたものと認識している。さらに、群馬県教育ビジョンのもと、探究を通した学びに加え、学校行事等への参画を通じて、自ら一歩踏み出すことや試行錯誤すること、対話を通して深めることについても、各学校において共有されている。このような点から、教員の意識は進んできていると考えている。そのための教員のスキル向上に関しては、総合教育センターにおいて研修を実施している。従来は一方的に知識を伝達する形式が中心であったが、現在は研修の在り方を転換し、PBLの手法を取り入れたり、グループディスカッションの時間を十分に確保したりするなどの取組を進めている。その結果、学校における研修においても、一方向の講義形式ではなく、教員自身が探究的に学ぶ文化が徐々に形成されてきていると考えている。
 最後に、各教科と探究の関係について、コンピテンシーの観点から教科同士を結び付けることや、各教科で学んだ内容を探究活動の中で高めること、また探究活動を通して身に付いた態度が各教科の学習意欲や学ぶ力の向上につながることについては、現時点では十分に実現できているとは言えないが、意識して取り組んでいる。指定校や協力校においては、当該取組に積極的に取り組んでいるところもあるが、県教育委員会としては、まだ十分に実現できていないのが現状である。これらについては、指定校や協力校での取組を基に、群馬モデルの中に組み込んでいきたいと考えている。
 また、IBの枠組については、ぐんま国際アカデミーから情報提供や助言を受けている。IBの枠組の中で非認知に関係する点としては、非認知スキルの見取りが挙げられる。例えば、レポートの作成を通して認知スキルと非認知スキルの双方の向上を捉えることや、グループディスカッションやディベートの様子から、非認知スキルや認知スキルが身に付いていることをIBでは、ルーブリックを用いて、このような見取りを非常に丁寧に行っていると教わっている。この点についても群馬県としては、まだ十分にできていないのが現状である。

【群馬スコットランド共同研究】

(委員A)

 コメントしたいことが三点ある。
 一点目は、学校の統廃合に関する学校と関わった点についてである。これは非常に良い機会であったのではないかと思う。2040年に向けて、日本では統廃合を避けられない地域が増えていくと考えられる。その中で、現在の統廃合の議論は幹部レベルのものが多いように見受けられるが、群馬県ではすでに、統廃合のもとでのカリキュラムの統合や教員の意識の統合を実感しているのではないかと思う。この点を契機として、高校改革のネクストハイスクールにもつながっていくのではないかと感じた。現在は一つの高校の事例であるが、学校間連携という形で、他校との連携が広がっていくことが望ましいと感じた。
 二点目は、オンラインによる生徒のグローバルクラスルームについてである。これは非常に良い取組であると感じた。生徒だけでなく、教員についても、世界の職員室のような形で交流することができれば、日々の悩みなどを共有する機会になるのではないかと思う。
 三点目は、コミュニティスクールについてである。これも2040年に向けて、少子高齢化の中で必要となるモデルであると考えられるため、事例を丁寧に積み上げていくことが重要であると感じた。

【SSES Round 2 結果詳細分析】

(委員B)

 数日前にSSESの会議が開催され、私も参加し、スコットランドとの連携について簡単な報告を行った。あわせて、OECDチームに対して、スコットランドとの連携および群馬での進捗状況について報告した。

(委員A)

 群馬モデルで使う言葉の定義は群馬県が定義をすべきものなので、最初に訳されたものに準ずる必要はないと考えている。ただし、SSESを実施した際に使用された訳については、ファクトベースとして、この研究ではこのように訳されたということを残す必要がある。そうしないと、読む側が解釈を変えてしまう可能性がある。そのため、研究ベースでは、過去に使用された訳をそのまま用いることが適切であると考える。一方で、今後、新たに群馬モデルを構築していくにあたっては、SSESで用いられた構成のみにとらわれる必要はないと考える。あくまで、群馬モデルを検討する際に参考とした研究の一つとして位置付けることが適切ではないかと思う。実際に、SSESのプロジェクトにおいても、前回の議論にあったように、「この特性は性格に関わるものであり、教育が踏み込むべきではないのではないか」といった議論が各国でなされている。例えばデンマークでは、教育基本法において、学校が個人の性格に影響を及ぼしてはならないとされており、教育の可能性と限界について明確な線引きがなされている。これまでSSESではビッグファイブが用いられてきたが、ビッグファイブは主に大人の性格を測定する際のエビデンスが多い一方で、発達過程にある子供に対して用いることの妥当性については議論がある。そのため、今後は見直しが行われる可能性もある。こうした点を踏まえ、群馬県ならではのモデルを構築していくことが重要であると考える。

(委員C)

 群馬県の取組の成果については、大変素晴らしいものであると感じた。その上で、教員は最終的に通知表を通して、児童生徒がどのように伸びたかを保護者に報告する義務がある。個々の児童生徒に対して、公正にその伸びを伝える必要があるが、プロジェクトや様々な活動を通じて得られる成果は、個人によって異なって現れるものと考えられる。先程IBにおけるルーブリックの話があったが、群馬県においては、このような個々の伸びをどのように保護者や本人に報告していくことを考えているのかを伺いたい。
 また、指標となる言葉を変更していく可能性があるとの話があったが、その場合、先程説明のあったハブやブリッジといった概念図も変わってくると考えられる。子供の能力や素質の本質は変わらないと考えるが、それを今後どのように表現していくのかについて、考えがあれば教えてほしい。

(事務局)

 SSESの対象スキルの名称については、本質的な解釈を変更するものではなく、必要に応じて名称をより伝わりやすいように変更する可能性があるということである。そのため、これまでの分析結果を崩すようなことは行わない考えである。また、説明自体を変更することもなく、それはOECDで定められているものであり、変更しようとしているものではない。一方で、「忍耐力」という名称とその説明が日本語として合っていないと考え、それよりも「寛容性」の方が「Tolerance」の訳として適切であると考えたことによる名称の変更である。あくまでも、「Tolerance」そのものを変更するという趣旨ではない。

(委員C)

 英語の表現がそのまま用いられるので、その点については問題ないと考えている。このような指標を踏まえて、例えば通知表において、どのような指標で子供の能力の伸びを報告していくのか、そうした取組を今後どのように進めていく予定なのか、あるいは新たに群馬県として子供の成長を表現するものを作っていく予定なのかについて、考えを伺いたい。非認知能力については、それをどのように子供たちに伝え、成長をどのように示すかが非常に難しいと感じている。私自身も課題としているため、何か考えや、今後研究していく予定があれば教えてほしい。

(事務局)

 評価については非常に難しい問題であり、特に通知表として保護者に配付することについては、疑問を抱いている。非認知能力は高ければよいというものではなく、個々の子供に凸凹があることが前提であり、個性にあたる部分であると考えている。例えば深いディベートを行うためには、関連する非認知能力が必要になるといったように、活動と結び付けて捉えることは重要であると考えている。ただし、通知表において「寛容性が5から4になった」「3から5に伸びた」といった形で示すことについては、子供の非認知能力が数値で評価されるものと誤解されるおそれがあり、適切ではないと考えている。また、幼稚園における非認知スキルの評価として、行動の見取りを基に記述する方法があると聞いている。そのような方法も参考になると考えているが、現時点では具体的な方法については十分に整理できていない。評価の在り方としては、スキルが何点から何点に上がったといった示し方ではなく、子供の行動の変容として捉え、それにどのようなスキルが関係しているかを、子供自身が理解できる形で示すことが一つの方向性ではないかと考えている。また、現段階では義務教育段階での実施は難しい面もあるため、まずは県立高校において、生徒は自分自身および教員が行動の変容を捉え、その背景にある要素を理解する取組から進めていくことができればと考えている。ただし、具体的な方法については、現時点では十分に確立できていないため、今後の課題であると認識している。ご助言をいただければ幸いである。

(委員A)

 事例として紹介のあった川場村立川場学園や玉村町立南中学校に関して、印象に残った点がある。「最上位目標としてどのような姿を目指すのか」という点が、非常に明確に言語化されていると感じた。例えば、「じっくり、ぐんぐん、にこにこ」といった表現のように、具体的に示されている点が特徴的である。県外の他の学校の事例においても、最上位目標を生徒とともに作成している学校では、生徒自身が「卒業時にどのような姿になりたいか」を共有できている点が分かりやすいと感じた。そのような目標があることで、「じっくり考えているか」「ぐんぐん伸びているか」「にこにこしているか」といった観点から、生徒自身が自己評価を行うことも可能になると考えられる。このように、評価の前提として、学校のビジョンが生徒と教員の双方に浸透していることが重要であり、それによって評価の在り方にも様々な可能性が広がるのではないかと感じた。

【群馬モデルについて】

(委員B)

 学習者が自らの進むべき道と情熱を見出すことができれば、その学びの過程を導くことは容易である。その上で、重要なのは教員であり、考え方やスキルセットをいかに変えていくかであると考えている。誰もが前進しようとしていることは理解しているが、その鍵は教員にあると感じている。したがって、教員研修にどの程度の時間を費やしていけるのか、また教員の考え方を変えるためにどの程度労力をかけているのか、さらにそれを教員がどのように意識を転換していくのかに強い関心がある。というのも、これは教員にとって非常に大きな変化だからである。一方で、教員は「どんどん仕事が増えている」と感じているだろうし、もともと世界でも最も忙しい職業の一つです。だからこそ重要なのは、どうやってその意識を変えていくのか、どうやって負担を軽減していくのか、そしてどうすれば彼らにとってより取り組みやすくできるのか、という点です。これが私の最大の関心であり、ほぼ唯一の重要なポイントです。

(委員D)

 教員のトレーニングについては、私も非常に重要であると感じている。本校では、外国人教員と日本人教員が半数ずつ在籍しているが、外国人教員にはこうした考え方は理解されやすい一方で、日本人教員にはなかなか浸透しにくいと感じている。非認知能力を考える際、その前提となる認知能力について、これまで教員はテストの点数によって客観的に把握できるものとして捉えられてきた。しかし、テストの点数によって生徒の力を認知しているということ自体が、錯覚だと考えている。5段階評価自体が、他者との比較によって生徒の力を測っているとも言える。そもそも、他者と比較しないことを前提としないと非認知能力育成の視点での議論にならない。評価においても5段階評定のような捉え方をしないようにしていかないと同様に議論にならないと考える。本校では、通知表は一人当たり30ページ程度あり、ネットで配信されている。そこでは担任の評価はほとんどなく、各教科の担当教員が、それぞれの授業の中で生徒にどのような行動の変化があったかを記述している。例えば、「このようなことができるようになった」「この部分は今後の課題である」といった形で、行動の変化に着目した記述が行われている。このような評価により、生徒は自分に何が必要であり、何が伸びたのかを理解することができる。これは他者との比較ではなく、その生徒自身の成長に着目したものである。非認知能力については、基本的に生徒自身が自己評価することを主たる評価として、教員の評価はあくまで参考として位置付けられるべきであると考える。他者との比較によって自分を判断するのではないという考え方への転換が必要であるが、この点については、教員に十分に理解されていない現状がある。したがって、こうした基本的な考え方について整理し、教員に対して共有していくことが重要であると考える。

(委員E)

 先程の発言については、私も深く考えていたところであり、まさにそのとおりであると感じた。現在の日本の学校教育は、高校受験や大学受験の影響が大きく、どうしても認知スキルに偏りがちであるという課題がある。本来は、非認知スキルの評価という新たな考え方に移行していく必要があるものの、依然として認知スキル中心の状況が続いている。そのような中で、群馬モデルの今後を考えるにあたっては、日本が抱える少子化という大きな課題を踏まえる必要がある。今後10年で現在の受験体制がどのように変化するかを見据えながら、将来の姿を想定したモデルを構築することが求められると考える。先程、他の委員からの意見でもあったが、教科型から探究型への転換にあたっては、それを実践するためのカリキュラムの在り方が重要になる。渋谷区などでは、思い切ったカリキュラム編成が行われている。群馬県においても、次期学習指導要領は相当柔軟になると考えられるため、その次の段階を見据えた先導的な取組が求められるのではないかと思う。次期学習指導要領は柔軟性が高まり、カリキュラムを独自に構成できる仕組みとなっていることから、その具体的な在り方を示せるようなものになっていくとよいと思う。また、評価の問題については、非認知スキルを数値で評価することには限界があり、適切ではないと考える。したがって、先程の意見にもあったように、将来的には自己評価を重視し、自らを評価する力を高めていくことが重要である。一方で、これまでの実践やその整理については、非常に優れたものであると感じた。学校がより良い社会をつくるための実践の場であり、エージェンシーを育成するという方向性が、生徒と教員の間で共有されている点は高く評価できると考える。専門家委員会として、今後の発信の在り方については、将来に向けてどのような方向性を目指すのか、またカリキュラムがどのように変わっていくのかといった点について示すことができるとよい。
 なお、最後に示された資料については、正直分かりにくい印象を受けた。例えば、「社交性」や「責任感」といった用語については、教育的なイメージと結び付きにくい部分もあるため、表現や示し方については検討の余地があると感じた。

(委員F)

 先程の評価に関する議論について、大変興味深く聞いた。教員が評価の観点に関するイメージを変える必要があるという点については、指摘のとおりであると感じているが、同時に子供たちにとっても同様であると考えている。これまで評価されてこなかった非認知能力について、中学校段階から急に評価することは難しく、やはり段階的な積み重ねが必要であると感じた。また、数値による非認知能力の評価については不可能であり、例えば4点と5点の違いを明確に示すことは難しいと感じている。個々の子供によって状況が異なるため、そのような評価も難しいと考えている。
 事例として示された内容について、高校では探究活動と関連付けられている一方で、小学校や中学校では総合的な学習の時間が活用されるのではないかと感じた。しかし、総合的な学習の時間については、教員による取組の差が大きく、指導の在り方や時間の確保の状況によって実践にばらつきがあると考える。この点は、教員の資質や意識とも関係していると感じており、今後、そうした内容を学ぶ教員が増えていくことが重要であると感じた。
 最後に、提示されたイメージ図についてであるが、五つの学習者像にスキルを区分する必要があるのかという点に疑問を感じた。意図は理解できるものの、非認知能力は切り分けて考えるものではなく、全体として捉えるべきものであると考える。例えば、「社交性」は対話や交流による信頼関係の構築だけでなく、多様性の尊重や社会課題への関わりにおいても重要であり、限定されるものではないと考える。

(委員E)

 カリキュラムの問題については、ぜひ踏み込んで検討して欲しいと考える。探究的な学習の場面として土日や夏休みの活用が挙げられることがあるが、それには無理があると感じている。本来、探究的な学習はカリキュラムの中で実施されるべきものであり、土日や夏休みは自由な時間として確保される必要があると考える。そのため、現在の教科中心のカリキュラムを見直し、よりシンプルで、教科型から探究型へと転換したカリキュラム編成が必要であると考える。また、スコットランドとの学校間連携に関しても、時差の問題があり、同一のカリキュラムの時間帯で実施できない点について課題があると感じている。このような点も含めて、自然な形で実施できるカリキュラムをどのように構築していくかが重要であると考える。

(委員A)

 三点、発言させていただきたい。
 一点目は、スキルの構成概念の整理についてである。学習者像が示されているにもかかわらず、各スキル項目が羅列されていることで、その複雑さが十分に表現されていないと感じた。また、自己効力感のように重要な要素が含まれていない点も気になった。SSESに限定するのではなく、もう一度整理することで、群馬モデルとしての独自性が出るのではないかと考える。
 二点目は、教員研修についてである。IB校のような学校と、これまで取組を行ってこなかった公立学校では、同じ研修を実施しても受け止め方が異なると考えられる。そのため、研修の対象や広げ方についても工夫が必要であると感じた。TALISの資料からも教員の自己効力感にはばらつきがあり、自己効力感の高い教員は現行のカリキュラムでも柔軟性を感じている一方で、そうでない教員は制約が大きいと感じている傾向がある。このばらつきは国際的な平均よりも大きいと認識しており、次期学習指導要領の柔軟化に向けて考慮すべき点であると考える。そのため、現在取組を進めている学校だけでなく、そうでない学校に対してどのように広げていくかという視点が重要であると考える。
 三点目として、非認知能力のみが群馬モデルではないと考える。群馬県は多様な取組を進めていることから、非認知能力と教科学習、あるいは探究と教科学習といった二項対立を超えるモデルを構築することが重要である。現在、OECDにおいて、カリキュラムをAIで分析する研究が進められており、試作段階ではあるが、日本の教員にとっても有用な示唆を与える可能性がある。例えば、非認知能力を扱う際にも、学習指導要領の各教科の中でどのように捉えられているかを見る必要がある。各教科の目標の中には、好奇心や責任感に関連する要素がすでに含まれていることを確認することができる。例えば、日本の中学校を想定した場合、好奇心については、理科や美術、音楽、総合的な学習の時間、保健体育など、複数の教科において関連する記述が見られるほか、責任感については道徳だけでなく、社会や数学の中にも位置付けられていることが分かる。このように、非認知能力は既に学習指導要領の中に内包されているものであり、これを可視化することにより、教員の安心感や理解を促すことができると考える。そのため、学習指導要領とは別に新たな枠組みを設けるのではなく、学習指導要領の中で教科学習と社会情動的学習、あるいは教科学習と探究が往還する形で整理することが重要である。そのような整理がなされることで、教科学習と探究の対立といった構図を乗り越え、基礎学力と探究の双方を充実させるモデルの構築につながると考える。

(事務局)

 非認知能力の育成のモデルを考えるにあたり、好奇心や社交性、寛容性といったスキルと、子供の行動や姿を対応させる必要があると考えた。しかし、これらのスキルをどのように位置付け、何を基に整理すればよいのかについて、十分に整理しきれていない部分がある。事務局でも一つの子供の行動や変容が、特定の非認知スキルのみに対応するものではないと考えており、どのように整理すべきか悩んでいるところである。現在、Pathfinderを拠り所にした非認知能力の育成に向けた枠組みを検討しているが、その中に何を盛り込むべきかが課題となっている。具体的には、ある教育活動によってどのようなスキルが向上するのかといった対応関係を示す必要があるのではないかと考えているが、その整理方法について迷いがある。各学校では、すでに実践が進んでおり、学校や教員、子供の変容についての事例は蓄積されている。しかし、それらを非認知スキルの各要素とどのように関連付けるかといった点については、県として一律に示すことが適切なのかという懸念もある。さらに、カリキュラムについては、教科学習と探究活動を大胆に組み合わせる実践が行われている事例があることも知っているが、すべての学校で一律に実施することは難しいと考えている。特に、公立学校においては、教員の理解や地域の状況なども踏まえる必要があり、一律の導入には課題がある。そのため、委員の皆様のご意見をいただきたい。

(委員C)

 カリキュラムの中で社会情動的学習を実施する際に、何を行うかという点は非常に難しい課題である。数学や英語など、どの教科でも取り入れることは可能であるが、それを実際に50分の授業の中でどのように展開するかが、教員にとっての大きな悩みとなっている。そのため、例えば教員が授業の最初に何を説明し、どのような発言を行うかといった具体的なシナリオが示されていることが有効であると考える。特に初期段階では、そのようなシナリオに基づいて授業を構成し、実践していくことが重要であると考える。実際に使用している海外の教材においても、導入の時間配分や目的、具体的な発言内容、実施するアクティビティ、提示する資料などが詳細に示されている。まずはそれに沿って実践することで、生徒の反応やスキルの変化を実感することができ、その後、教員自身が内容を調整し、自分なりの授業へと発展させていくことが可能になる。したがって、群馬県においても、一般的な授業時間の中で実施可能なアクティビティとして、特定のスキルの向上につながる具体的な教材を整備することが、現場にとって有効であると考える。さらに、教員がこれらを自分のものとして習得するには時間がかかるため、その負担を軽減する方法についても検討が必要であると考えている。例えば、授業の中で教員自身も学びながらスキルを身に付けていくような仕組みがあれば有効ではないかと考えている。

(委員A)

 非認知能力については、「教えられる」というよりも「自然と身に付く」という側面もあることが研究からも示されている。そのため、教員の負担とならないよう、学校の校風として、校長を含めた学校全体でそのような風土を醸成していくことも重要である。これは授業単位にとどまらず、単元や学校全体に関わる取組であると考える。さらに、事務局が率直に課題を示している点については、ラーニング・コンパスの取組においても同様の試行錯誤が重ねられてきた経緯がある。各国で一定の合意が得られている方法としては、まず目指す生徒像を設定し、それと個々のスキルを直接的に対応付けるのではなく、さまざまなコンストラクトを一覧として提示するという整理である。具体的には、OECDのラーニング・コンパスが示す力がどのような要素から成り立っているのかを示し、それぞれのコンストラクトについて、定義や将来との関連性、研究に基づく関係性などを整理して提示する。また、脳科学的な観点から発達段階に応じた変化や、各国における測定方法の例についてもあわせて示すことが有効であった。このような参考情報を整理して提示することで、現場の理解を促すことができるとの意見が多く見られる。そのため、群馬県においても、必要な情報を簡潔にまとめた資料を整備することが有効であると考える。あわせて、各学校で蓄積されている事例や研究についても、必要に応じて参照できる形で整理することが望ましい。群馬県ならではのアプローチを検討していってもらいたい。

6 当日の配布資料

第7回次第 (PDF:151KB)

委員名簿 (PDF:95KB)

資料1_指定校における実践 (PDF:1.77MB)

資料2_群馬・スコットランド共同研究 (PDF:1.42MB)

資料3_SSES Round 2 結果詳細分析 (PDF:1.08MB)

資料4_群馬モデルについて (PDF:706KB)

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