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第3回群馬県高校教育改革検討委員会及び第3回ワーキンググループ会議

更新日:2019年12月2日 印刷ページ表示

1 日時

令和元年6月20日(木曜日)13時30分~15時30分

2 会場

群馬県庁審議会室

3 出席者

群馬県高校教育改革検討委員会委員 16名(欠席5名)
同委員会ワーキンググループ委員(県立高等学校長)4名

4 概要

  1. 挨拶 教育長、委員長
  2. 議事「高校の質的充実について」

配付資料

次第、群馬県高校教育改革検討委員会委員名簿、群馬県高校教育改革検討委員会ワーキンググループ委員名簿、群馬県高校教育改革検討委員会幹事名簿、群馬県高校教育改革検討委員会ワーキンググループ幹事名簿、第3回高校教育改革検討委員会資料
第3期群馬県教育振興基本計画、群馬県産業教育審議会答申

5 議事概要

高校教育の質的充実について

(委員長)
 それでは、本日は、「高校教育の質的充実」をテーマに、御意見を頂きたい。まず、事務局から、資料の説明をお願いしたい。

(事務局)
 (資料「高校教育の質的充実について」<取組の振り返り1>を説明)

取組の振り返り1

(委員長)
 ただ今、説明いただいたことについて、全体構成を確認しておきたい。県の第3期教育振興基本計画は、幼稚園から高校までの基本的な教育の方向性を示していて、その中で我々がやらなければいけないのは、高校生にどうやってこれを適用していくかということである。
 本日の協議では、例えば「生涯学習」を「確かな学力」にまとめるなどして並べ替え、5つの視点にまとめて、それぞれに議論していくことになっている。上の3つの視点は生徒自身の活動に関するものであり、下の2つは組織としてどうしていくかという視点になっている。まずは上の3つを先に議論し、後で下の2つの組織関係の問題について御意見を頂きたい。
 「振り返り」と申し上げたのは、現在どのような取組が行われているかについて、5つの視点から検討するということである。現在の高校の指針というものは、これから作ろうとしている計画の前の計画が基本になっていて、これを基にした具体的な取組について事務局から説明をいただいた。我々はそれがそのままでいいのか、こういう視点が欠けているのではないか、次の時代に向かって条件が変わってきたからここは変えなければいけないのではないか、そういうことを議論したい。今の状況を踏まえて、御意見を頂きたい。

(委員)
 主権者教育について、3年前の参議院選挙において、群馬県内でも未成年の投票が始まった。私は報道に携わっているが、当時の記憶で言うとそれなりに盛り上がりがあって、抽出調査をしたら群馬県内の未成年の投票率はかなり高かった。これはすごい、県の教育委員会も頑張った成果かなと思ったが、実際蓋を開けてみたらそれほど高くもなかった。
 学校の先生方については、主権者教育に対して慎重になり過ぎていると思う。諸外国の例が正しいとは思わないが、もうちょっとリベラルに、政党の違いであったりとか、候補者の違いであったりとか、学校教育の場で取り上げてもよいのではないかと思う。今やっていることは、議会の傍聴だとか、県議会のパフォーマンスのようなところがあって、海に塩をまいているようで、あまり訴求力がないと思う。民主主義が必要であるなら、もうちょっと、学校の社会科の先生たちが、主権者教育という観点の中で、新しい試みができるような環境づくりに御理解を持っていただくことが必要だと思う。

(委員長)
 ただ今主権者教育について、「政治」に対して慎重に構えすぎる傾向があるとの御意見を頂いた。他に御意見はあるか。

(委員)
 教育はとても大事で、これからの群馬をつくっていくし、日本をつくっていくし、子供たちが幸せになっていく要素として重要なので、前向きに考えていきたいとは思っている。でも、時代の変化の中の一つとして、教育現場では、働き方改革が4月から始まっていて、労使関係については、なんとなくぎくしゃくしている部分がある。今でも何時まででも一生懸命やってくれる教員はいるし、部活動でも一生懸命やっている教員はいるが、社会から、教育界はブラック企業だと言われている。水を差そうということではないが、現状として御理解を頂かなくてはならないのは、ブラック企業と言われると、そんなことをこれまで意識しなかった教職員までがそう思うようになる。管理職にとっては、労働時間の管理が大きな仕事の一つになっており、そういう状況で、スクラップ・アンド・ビルドをしていかなければならないという問題を抱えている。もちろん、時代が変化して、Society5.0と言われるような時代への対応としてはビルドの部分も必要であるが、働き方改革と並行して考えていかないと、絵に描いた餅にどんどんなってしまい、教育の現場と遊離していってしまうという危険性を感じている。国になんとかしてもらわないと、教員たちが、本当に意欲をもって自分の使命を果たしていけないというジレンマを感じている。教育行政で働き方改革の部分を大事にしてもらえると、教育が進んでいくのではないかと思う。

(委員長)
 この場で結論を出すのは無理なので、皆さんが思っていることをいろいろな側面から言っていただき、それを集約してまた考えていきたい。
子供の将来を考えるだけでなく、今の先生たちのことも考えなければという御意見だったと思う。確かに、夢を語ることは簡単だが、教育のリソースには限界があり、少なくともそういう視点が必要だという御意見だと理解した。
 先ほどの主権者教育についてだが、私も外国に1年住んでいたことがあり、アメリカ、ポーランド、オーストラリアの友人もいる。外国と比較すると日本はいかに政治について言うことがタブーか、ということを感じる。オーストラリアの友人のお父さんと、「台湾は中国と一緒になるべきか」ということについて議論したことがあるが、政治の意見の違いがけんかにはならない。それは当たり前のことである。日本で言うと、例えば共産党の支持、自民党の支持を表明しない。政治というのは国際社会では普通のことで、ドイツに行けばローマ帝国統治時代のコロシアムがあるが、あれは国が一夜にして変わったという歴史の証拠であり、政治が身近であるからこそ、主権者教育があるということである。国際化と主権者教育のリンクのようなものがある。ドイツでは政治的に中立とは何かがしっかりと議論されていて、先生は自分の主義主張を言ってよいし、支持している政党を言ってもよい。その代わり対立している政党が何を言っているかについても表明することが中立だということである。それと比べると、日本は教育の中で政治を語るのはタブー視されているなと思う。日本社会もある程度は、主権者教育の中では、政治的なところから多少タブーが外れていってもよいかなという感じはする。

(委員)
 先ほどの働き方改革に関わる意見に同感である。インターンシップの100%実施を目指すという方向性が出ていたことについて、農業高校の生徒が農家に行くなどは進んでいると思うが、普通高校の生徒が100%インターンシップに行くとなると、現実にはブラックどころではなくて先生が倒れてしまうのではないかという心配がある。夏休みや冬休みを使ってということになるのだろうが、普通高校の先生方は相当時間を使って補習などをやっているのではないか。方向性について否定するものではないが、環境が整わなければ正に絵に描いた餅になってしまって、現場が苦労するだけではないか。そこのところにきちんと注目していかないと計画倒れになってしまうのではないかという気がする。

(委員長)
 今の意見は、教育の多様性に留意すべきという意味だと思う。農業高校も普通高校も、インターンシップを全員がしなくてはということではなくて、それぞれの人に適するように、教育も多様になってよい、という提言かなと思う。

(委員)
 小中学校での勤務を経験してきたが、説明を聞いて高校教育の充実を感じるとともに、これほどやることが詰まっているのかという気がしている。小学校で英語が始まり、中学校でも道徳を実施し、というように教育内容は増えており、それを削るのは難しい。インターンシップを高校で全員がやるべきなのかどうか。高校には学校ごとの特色があって、選択ができればよいという考え方もある。先ほどからの説明を聞いて、高校のインターンシップ100%はすごいなとも思う。
 時代の流れに合わせることは必要だが、大事なものを押さえて進んでいけばよいので、取捨選択ができるようなものであったらなと思う。小中学校も同様に、国から学習指導要領等で指示されることも多く、充実していると言えばそうだが、教員も使命感を意識しながらも、ブラックと言われてしまう部分もある。高校については、工業などの専門学科があるので、そういう部分を生かしていく方が良いのではないかなと思う。

(委員長)
 大学の話になるが、現場の教育というものが本物であり、そこで価値を取捨選択してよいとうたわれているはずだと思う。全部ではなく、取捨選択をしてよいのではないかということである。全て詰め込んだらパンクしてしまうのではないかということについて、事務局から何かあるか。

(事務局)
 今回の資料の構成の中で、高校関係の取組を紹介させていただいたが、全ての取組を全ての学校でというわけではなく、学校種に応じての実施や拠点校数校で実施という形でやっている事業も多くある。例えばキャリア教育、情報教育、主権者教育、消費者教育については、成年年齢の引下げも含めた時代の情勢の中で、全体に対してこういう教育を実施していく方向である。学力向上で挙げた取組については濃淡があり、ステップアップサポート事業は全校対象だが、Gアッププロジェクトは数校を指定しての実施、次代を担う職業人材育成は専門高校が対象である。なお、科学の甲子園、数学キャンプといったものは、希望者が対象である。
 今、インターンシップのお話があったが、高校生活の3年間で必ず1回は経験する、という形での実施を目指しているところだが、普通高校については、必ずしも従来からある専門高校のインターンシップと同じ形を想定しているわけではない。専門高校では、学んでいる内容とインターンシップを関連させて、一定の日数職業体験をするというもので、専門高校の7割以上が体験している。専門教育は社会に直結をするので、技能を身に付けたり、自己有用感を高めたりする豊富なプログラムがあるが、普通高校はそういうプログラムを持っていないのが現状である。そうした中、普通高校においても、高校生活の中で、実社会について何らかの体験をする機会が必要であろうというのが我々の現在の基本的なスタンスである。各学校でいろいろな取組をやっているが、これをやることによって、生徒や先生方に負担が過多になってはならないとも考えている。1日であっても、インターンシップとして認めたり、群馬県版のインターンシッププログラムを作成するなどして、普通科でも取り組みやすいように工夫しているところである。モデルプログラムでは、社員の方に同行して会議を見せてもらうとか、社員の方とディスカッションをしてみるとか、そういうものもインターンシップとして位置付けている。こういったものも活用する中で、普通高校の生徒にもより効果的に社会体験をしてほしいと思っている。このように、期間や内容について幅広く捉えており、学校の実態に応じてインターンシップに取り組んでもらえればと考えている。

(委員)
 専門がキャリア教育なので、考えを述べさせていただく。インターンシップについては、専門高校、普通高校を問わず、高校生活の中で、1日は行くことが望ましいと考えている。理由については、専門で学んでいるものがある生徒については、その知識やスキルがどのように実際の仕事に役立つのか自分で見てくることが有用であることは御理解いただけると思う。しかし、普通高校においても、この1日の体験が非常に重要だと思う。例えば会議に入って、根拠を基に自分の意見を展開することであったり、会議の5分前には席について準備をして待っていることであったり、大人が働く場に入ってみることで、学校生活で子供に寄り添うがためにちょっと甘くなっているルールだとか、教科では学ぶことができない社会人基礎力に関する体験ができる。経済産業省が定義している3つの力というものがあるが、「前に踏み出す力」、「チームで働く力」、「考え抜く力」、これが実社会でどのレベルで求められるのかを、1日実習に行っただけで、文字面だけで理解するのではなくて、実際に確認することになる。それまでの学びに関してはちょっと危機感を覚えるような生徒も、学習に対する意欲につながっていくとか、教科の学習以外でも、学校生活のいろいろな役割を担う経験を自ら手を挙げてやってみるとか、成長が見られる。社会に出るに当たって汎用的な力とはどのようなものか、1日でよいから見てくることが、その後の高校生活の大きなインパクトになる可能性を秘めている、これが社会人の中に入る1日の意義だと思う。どういうタイミングであれ、どういう内容であれ、学校の先生や親以外の社会人に、1日でも触れ合う機会を持っていただきたい、普通高校にこそ実施してもらいたいと思う。何%という数字は教育委員会にお任せするものだが、大学や就職の選択においても、自分のイメージだけで考えていたもの以外にも目が向く可能性はあるし、自分のイメージと現実のギャップを良い意味でも悪い意味でも確認することにおいても、1日であっても体験することが望ましいと考えている。

(委員長)
 いろいろな視点を頂いたと思う、全部やるとブラックになってしまうという意見もあったし、インターンシップは1日でもとても有効だという意見もあった。普通科と農業、工業等の専門学科では捉え方を変えることの必要性というようなことも指摘していただいた。インターンシップ以外でも、何か御意見があればお願いしたい。

(委員)
 地元の高校は小規模だが、生徒は一生懸命活動している。何年か前だが、校長から、特色ある学校づくりをしたいということで、町で実施している中学生のオーストラリア海外派遣に、高校の生徒も参加させてもらえないかという話があった。山間部の高校には、中学時代には活躍できなかった生徒も在籍している。しかし、高校に入って一生懸命やろうと考えている生徒もたくさんおり、小さな学校でも海外派遣をしたいと考える場合がある。しかし、小規模校だと、学校単独で海外派遣するのは難しいと思う。資料には、海外研修を22校が実施し、494人が参加しているとあるが、小規模校では難しい。そうした高校の生徒でも海外に行けるような制度を考えていただきたいと思う。

(委員長)
 海外研修は大きな高校に限られているようだが、小さな高校にもチャンスは必要だ、というお話だったと思う。事務局から何かあるか。

(事務局)
 海外を体験するということは成長の大きな糧になる。一週間程度であっても、視野が広がり、人間的にも大きく成長して帰ってくるというのは間違いのないことだと思う。留学の人数は13校19人ということであまり増えてはいないが、海外研修については県立22校494人ということで、増加傾向にある。小さな学校でもチャレンジできるような制度ということについては、お預かりして検討していきたい。

(委員長)
 海外から呼んでくるという方法はないか。例えば、日本に興味があり、日本のアニメがとても好きなので、群馬大学で学びたいと言ってパリから来る人がいる。そういう場合は向こうが費用を持つ。このように海外に友達をつくるのもよいのではないかと、一つの方法かなと思う。向こうから来た人は日本に慣れていないので、こちらでとても手厚くしておくと、今度は向こうへ行ったときに同じようにしてくれる。このように、外国から呼ぶという方法もある。

(委員)
 県内のある私立高校では、外国からの学生をホームステイさせている。大学生20人くらいを連れてきてこちらの生徒と交流させるということをやっている。また、国の事業で「トビタテ!留学JAPAN」というものもあり、一人当たり50万円くらい出るのだが、そういう事業を利用することもできる。

(委員長)
 国の事業もあるという情報を頂いた。

(委員)
 県の「ようこそ先輩!」事業について、高校3年生が出身小学校でボランティアとして活動するという事業だが、高校生が子供たちとの触れ合いの中で、自己有用感を高めることができる、これは素晴らしい体験であると思っている。具体的に言えば、授業の中で補助してもらったり、一緒に掃除をしたり、休み時間にサッカーをして遊んだり、クラブでも一緒に関わってもらったりするので、ちょっと疲れ気味の先生たちの中で、若者が子供たちと一緒に汗をかく姿が素晴らしく、学校としても有り難いと思っている。一昨年自分の勤務している小学校に3人の高校生が来た時のことだが、半分ほど過ぎたところで、これまでの子供たちとの触れ合いを踏まえて、自分たちで進んでできることはないかと考えてくれて、後半の1週間を毎朝校門に立って挨拶運動をしてくれた。彼らには、大学や社会に出てからも、こういう気持ちを大切に、ここでの経験を生かしてくださいという話をさせてもらった。小学生にとっても、高校生の姿を見ることがキャリア教育の一環になっており、素晴らしい事業だが、ほんの一時期の事業なので、忙しい中だとは思うが、継続的、発展的になっていくといいかなと考えているところである。例えば、小学校が高校の力を借りられないかと考えたときに、自分の勤めている小学校は商業高校が隣にあるので、例えばこれから導入されるプログラミング教育などで、高校の先生方や生徒さんたちの力を何らかの形でお借りできたらいいのかな、と考えたりすることもある。これから後半の協議で学校の特色や地域性を生かすというテーマがあると思うが、最近、松井田高校が生徒全員ボランティアに取り組んでいるということを聞いた。生徒たちが積極的になったとか、意欲的になったとか、生徒の成長が見られ、地域の方も喜んでいるとのことだった。また、利根実業高校では、イノシシが畑に入るのを防ぐ方法を研究して、企業と連携している取組などがあるとも聞いた。こういう高校の特色を生かしながら、地域の方々にもそういう取組を知ってもらい、小学校と高校との関わりについても何かできるといいのかななどと、「ようこそ先輩!」事業に関わりながら、思っている。

(委員)
 中学校では長く職場体験学習をやっているが、これは非常に重要な取組であると思っている。ただし、課題だと思っているのは、子供たちに主体的に仕事を選ばせると、まだ職種をよく知らないので、例えばマクドナルドに行きたいとなってしまう。実際に群馬県で就職するには、製作所などがあるが、これらの企業を中学生は知らない。これをどうしたものかと思った中で、社会人講話を実施するときに、子供に選ばせるのではなく、こちらがプログラムを用意して、1年生の段階で子供の知らない職業を実演等をしてもらうということをすると翌年の職場体験学習が豊かになった。体験先も職種そのものを選択させるのではなくて、人と関わるとか、情報を扱うとか、カテゴリーで分けて選択させ、その中から学校の方で割り当ててあげる。そうするとコンピューターを使ってアルミを加工する工場に行ってみて、こんな仕事があるのかと知って、そこから高校選択につながることもある。何点取ったからどこの高校ということではなくて、自分が勉強したい内容で高校を選ぶという意欲につながったと思う。その後に高校の授業体験をさせてもらい、特に専門高校の学習内容については、子供たちが身近に知ることで、高校選択がダイナミックに変わったと思う。高校のことを知ることは中学生にとってはとても大切である。私立高校については2年生の2月に、説明会ということで御協力いただいて、学校の特色をアピールしていただいたりすることで、多様な進路選択につながっている。高校の先生方を忙しくしてしまうことになるとは思うが、中学校から言うと、高校の方から機会を多く設けていただくことで、適切な進路選択につながると思う。高校生が中学校に来てくれたり、中学生が高校にお邪魔できる機会がたくさんあると有り難い。

(委員長)
 「ようこそ先輩!」の効果と小中高の連携の重要性ということで御意見を頂いた。次の視点4と5について事務局から説明をお願いしたい。

取組の振り返り2

(事務局)
 (資料「高校教育の質的充実について」<取組の振り返り2>を説明)

(委員長)
 小中高連携や先生方の勤務に関わる話なども出ているが、こちらは制度や組織、社会との関係などに関することかと思う。御意見をお願いしたい。

(委員)
 生徒の多様化への対応というところで、先日、関東地区の中学校長会の理事会の中で、他県での取組として、いわゆる発達障害をお持ちのお子さんたちの受入れについて、公立高校の普通科の高校に、一定の枠を設けて受入れをしているという取組について伺った。その前の段階として、中学校では、いくつかの拠点校を設定し、発達障害に限らず不登校傾向のある生徒たちが、その学校の在籍の生徒ではなくても、その教室に集まってきて、生活し、学習するという取組をしているという例も聞いた。中学校ではこういう対応は相当進んでいるという現状はあるが、専門知識の習得であったり、多様な特性のお子さんに対する教員の経験や組織の対応について、難しい面は残っている。一番大きな課題は、その子供たちが社会のどの部分と接続していくかということである。接続がうまくいかないとどこにもつながらない生徒がますます増えてしまうのではないかなと心配している。高校での受入れ問題は、今後の大きな課題であると感じている。卒業したお子さんの中に、どこにもつながっていなくて学校に相談に見える場合があるが、児童相談所とも18歳でつながりが切れてしまうことを考えると、多様な支援が必要な問題なのだと思う。

(委員長)
 高校での不登校問題について、高校の立場からコメントはあるか。

(委員)
 高校の現状を申し上げると、恐らく、発達障害の生徒のいない学校はないだろうと思う。勤務校は学力の高い生徒が多いが、通級指導を受ける生徒も在籍している。学校の指導体制をつくり、専門機関との連携を持ちながら対応していくことになる。同じく、不登校生徒のいない学校もないと思う。それぞれの学校のやり方でスクールカウンセラー等と連携しながら対応していくことになるが、特にスクールカウンセラーの力は大きい。そのように、連携してやっていくのが良いと思う。

(委員)
 私は群馬に住んでいるわけではないので分からないところもあるが、周辺部に住んでいる方々が、子供の高校進学を機に、お金を持っていると前橋、高崎に移り住むという、群馬県でも都市への集中が起きている状況がある。反対にお金がないと自分が行きたい高校に行けない、こういった格差が随分あると思った。少子化の問題で統合が進んだらどうなるのだろうと思う。ますます高校がなくなり、高校がなくなったら、ますます若い人はその地区に住まない。そのような地区に住んでいる先生は、この地区では子供が育てられないと言っている。このようなことが続くと周辺部の地域において、限界集落になって自治体がなくなってしまうという事態が、近い将来に起こってしまう。少子化が問題なのではなくて、実は地域に魅力がないことが問題なのだと思う。そこで、高等学校の子供さんに、地域課題に真正面から向き合うという力を付けていただかないと持続可能な地域づくりはできないと思う。地域を愛し、地域のアイデンティティを大事にできるような教育が必要である。例えば、SSHは、都会で、中央で、大企業で活躍できるような学力観なので、これとはまた違った、持続可能な地域づくりのための学力を高校生に付けてほしいと思う。一つのキーワードと挙げられるものが、地域創生である。平成27年度の中教審答申において、「地域に開かれた」ではなくて、「地域とともにある学校」がテーマになっている。一つの仕掛けとしてだが、群馬県はコミュニティ・スクールがかなり少なく、しかも小中学校にしかない。周辺部こそ、地域と一体となった学校経営が必要で、コミュニティ・スクールを導入した方が良いのではないかなと思う。やはり地域の町や村にとっては県立高校はハードルが高い。だから地域、町当局と連携しながら、高校は地域の学校なんだという取組を進めたらいかがかなと考えているところである。

(委員長)
 高校は、地域の中での一部であるということを踏まえた再考が必要だということかと思う。持続可能な地域というものをどうつくっていくかを、大人と一緒に考える高校生であってほしいと、そういうお考えであったかと思う。高校は社会の中で変わっていくのだという視点があって、高校生と大人と、みんなとの関わりの中で、高校も社会の一員だという視点を持てば、また違った高校像が見えてくるということであろう。その地域に住むプライドや、「おらがまち」という意識を持つことかとも思う。

(委員)
 地元の下仁田高校は、平成27年度からぐんまコミュニティー・ハイスクールとして、地域と一体となった教育を推進している。昨年は、下仁田町の世界遺産である荒船風穴を対象にして、県主催のシルクカントリーぐんま世界遺産キャンペーンと抱き合わせで、全国風穴サミットというものを実施した。その中で、下仁田高校の生徒が荒船風穴プロジェクトとしていろいろな取組をしてくれた。観光ガイドに加え、荒船風穴の歌まで、生徒さんと先生がつくって披露してくれた。食品開発でも、桑茶を始めいろいろ考えてくれている。小中学校との連携では、高校生が小学校に出向いて、読み聞かせや英語の授業をしてくれている。このように下仁田高校が下仁田町と一体となって地域づくりをしてくれていることに感謝している。それに遅ればせながら、町内に小中学校が1校ずつあるが、これを今年からコミュニティ・スクールに指定させていただいた。このように下仁田町では、小中高一体となって地域づくりを進めている。

(委員長)
 コミュニティ・スクールは必要だという提言に対して、もうやっているという御紹介をいただいた。一つの成功例として下仁田の例を挙げてもらった。

(事務局)
 下仁田高校の取組についてであるが、本県では平成17年から3年間、当時の2学級規模の学校を中心に活性化協議会というものを設置して、地元の町村の御協力を頂きながら、学校の存続について話し合っていただいた。下仁田高校、松井田高校、榛名高校、長野原高校、玉村高校、板倉高校の6校は、町村の方にも入っていただいていろいろ議論をし、その結果として、下仁田高校を平成27年、長野原高校を平成22年からぐんまコミュニティー・ハイスクールとして研究指定し、地域に信頼される高校教育、地域に貢献できる高校教育を目指し、いろいろな取組を行っている。ただし、国のコミュニティ・スクールとは異なり、運営協議会を設けていないなど、フレームが異なるものであるということを補足させていただく。

(委員)
 以前から農業高校や商業高校では地域の企業と連携して商品開発をするなどしており、専門高校では地域との連携が充実していた。どちらかと言うと普通高校の方が、インターンシップでも話題になったとおり、これらの取組は少なかったと思う。今年からは、「総合的な探究の時間」が始まり、今年入学した生徒が何をテーマに探究するかを考えた時に、一番身近な地域に素材を求めて、地域の課題を市町村役場の方から伺ったり、自分で調べて研究して発表したり、そんな学習を始めたところである。このように、かなりの学校が地域に素材を求めているのではないかと思う。私の勤務校でも、2年生になったときに、文系の生徒は前橋市の課題を考えて提言する予定である。ちなみに理系は、自分の興味のある科学技術に関する研究を行う。このように、これからは地域に生徒が出て行って、地域からいろいろ教えてもらって、場合によれば、地域の課題を学習する中で、地元に定着してくれる生徒も増える可能性があるのではないかと考えている。

(委員長)
 最後に、事務局から基本目標と取組の方向の案について、説明がある。

協議3「方向性の確認」

(事務局)
 (「第2期高校教育改革推進計画」<高校教育の質的充実>の基本目標及び取組の方向の案について、説明)

(委員長)
 次期計画の基本テーマ、基本目標について、たくましく生きる力の育成でよいか、また、5つの視点の区分について修正はあるかということである。
本日5つの視点に分けて検討したが、まとめる上でもこれでよいか。切り口としてこの中に、あらゆる問題は含まれると思うので、これでよろしいかと思う。
 何かあったら、後からでも御意見頂ければと思う。お気付きの点や御意見があったら、別紙に御記入いただき、事務局までFax又はメールで送ってもらいたい。

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