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大気100.0%(5地点中5地点)
「ダイオキシン類対策特別措置法」(*注1)では、ダイオキシン類をポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDD)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)及びコプラナーポリ塩化ビフェニル(*注2(コプラナーPCB)の総称と定義しています。
ダイオキシン類は、意図的に製造する物質ではなく、焼却の過程等で発生する副生成物です。環境中に広く存在していますが、その量は非常にわずかです。
私たちは、1 日平均で体重1キログラム当たり約0.69ピコグラムのダイオキシン類を摂取していると推定されており、その大部分は食品経由と言われています(*注3)。この水準はダイオキシン類の耐容一日摂取量(TDI(*注4))(体重1キログラム当たり4ピコグラム)を下回っているため、健康への影響はないと考えられます。
1ピコグラムは、1兆分の1グラムに相当します。例えば、東京ドームを水でいっぱいにして角砂糖1個(1グラム)を溶かしたとき、その水1ミリリットルに含まれている砂糖の量がおよそ1ピコグラムです。
「ダイオキシン類対策特別措置法」に基づく排出事業者対策等の結果、ダイオキシン類の排出量は着実に減少しています。国内の事業場からの総排出量(平成22年度)は、平成9年比で約98%削減され(*注5)、環境基準の達成状況も非常に高い状態が継続しています。
県では、ダイオキシン類による汚染を防止し、環境リスクの低減を図り、安全な生活環境を確保するため、国が推進する対策等を勘案しながら(1)発生源対策、(2)ごみ減量化・リサイクル、(3)環境実態調査を総合的に推進しています。
(*注5)出典:環境省ダイオキシン対策室パンフレット(2012)
「ダイオキシン類対策特別措置法」により、大気、水質、水底の底質及び土壌の環境基準が定められています。
平成26年度の県内のすべての地点で環境基準を達成していました。
大気基準適用施設では、全体の約9割を廃棄物焼却炉が占めています。
県では、対象施設が適法に運用されているか確認するため、随時、立入検査を実施しています。平成26年度は大気基準適用54施設・水質基準対象4施設に立入検査を行い、その結果、1施設に対して文書指導を行ったほか、9施設に対して口頭で改善指示を行いました。
施設設置者は、排出ガス、排出水及び燃え殻等のダイオキシン類による汚染状況について、年1回以上測定を行い、結果を県に報告することが義務付けられています。未報告の施設については、速やかに報告するよう指導しています。なお、県に報告された測定結果は、ウェブサイトを通して公表されています。
(公表サイト「ダイオキシン類測定結果」のURL:https://www.pref.gunma.jp/page/6924.html)
新築やリフォームした住宅に居住する人の化学物質過敏症がシックハウス症候群として社会問題化したことから、平成14年7月に建築基準法が改正され、以下の建材の使用制限等が義務づけられ、新築や増築する建物はこれに対応しています。
また、厚生労働省により屋内汚染物質として、ホルムアルデヒドを含む13種の揮発性有機化合物の室内濃度指針値が、個別に設定されています。
改正法施行後10年以上が経過し、ホルムアルデヒドの使用制限等は着実に進んでいますが、24時間換気設備の有効性は継続して情報提供していく必要があります。
県では、群馬県住宅供給公社内の「ぐんま住まいの相談センター」において、シックハウス対策を周知するとともに、屋内の化学物質を測定・分析する機関を案内しています。
アスベスト(石綿)は、天然の鉱物繊維であり、熱や摩耗に強く、酸やアルカリにも変化しにくいという特性と経済的に安価であったことから、高度経済成長期をピークとして建築材料や工業製品などに幅広く大量に使用されてきました。
しかし、アスベストの極めて微細な繊維を吸い込むことにより、人体に深刻な影響を与えることが確認されたため、現在では全面的に製造・使用等が禁止されています。また、平成18年3月にはアスベストを原因とする健康被害者に対する救済制度が創設されました。
アスベストを原因とする健康被害については、アスベストを吸い込んでから自覚症状等をきっかけとして発見されるまでの期間が非常に長いため(例:中皮腫では30年から50年)、今後も長期的な視野に立って被害者の早期発見及び救済を図っていくことが必要です。
また、環境保全の観点からは、今後、アスベストを使用した建築物の老朽化が進行し、立て替えの時期を迎えるため、解体時の飛散防止対策の徹底と解体に伴って大量発生が予測されるアスベスト廃棄物の処理能力の向上などが重要な課題となっています。
「大気汚染防止法」上、アスベストは特定粉じんとして扱われ、これを発生する施設として9種類の施設が届出の対象となっています。しかし、現時点でこれに該当する施設は国内に存在しません。
また、その他に、アスベストを含む建築物等の解体や補修の作業についても「特定粉じん排出等作業」として、「大気汚染防止法」で規制されています。
国は、アスベストの使用や飛散防止措置等に関して、1970年代から「労働安全衛生法」や「大気汚染防止法」、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」などの関係法令による規制を段階的に強化し、平成24年には「労働安全衛生法」の改正により、アスベストの製造・使用・譲渡等を全面的に禁止しました。また、平成25年には「大気汚染防止法」の改正により、建築物等の解体時におけるアスベストの飛散防止対策が強化されました。
県は、関係課や地域機関において、県民等からのアスベストに関する相談や質問に対応するとともに、保健予防課と各保健福祉事務所において国が創設した健康被害者に対する救済制度の申請受付を行っています。
また、アスベストの飛散を防止し、アスベスト廃棄物の適正な処理が行われるよう、「大気汚染防止法」や「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」などに基づく監視・指導を行っています。
吹付け等飛散性アスベストが使用された建築物等を解体・改造・補修する場合は、事前に「大気汚染防止法」上の届出の必要があります。県では、この届出のあった全ての現場に立ち入り、飛散防止対策が適正に行われているかを確認しています。
なお、平成26年度は49件の届出がありました(前橋市及び高崎市(「大気汚染防止法」で定める2市)への届出19件分を含む)。
県内の大気環境中のアスベスト調査に係る総繊維数濃度について一般環境2地点で測定を行った結果、どちらの地点も特定粉じん発生施設を設置する工場・事業場の敷地境界基準値(10本毎リットル)を下回っていました。
食品の中には、食物連鎖を通じて蓄積されたもの、環境に由来して食品に残留したもの、本来その食品を組成するもの等、様々な化学物質などが含まれる可能性があります。
こうした化学物質などの中には、一定量を超えて摂取し続けると人の健康に危害をもたらすものがあり、これを防ぐために、食品衛生法により様々な基準が設けられています。
県内で販売・消費されている食品を消費者の視点から買い上げを行い、その食品の残留農薬や重金属等の検査を実施することにより安全性の確認を行い、検査結果は速やかに情報提供しています。平成26年度は残留農薬検査20検体、食品添加物検査123検体、放射性物質検査18検体、重金属検査など39検体の試買検査を実施し、すべての検体で食品衛生法の基準に違反するものはありませんでした。
現在の私たちの生活は、多種多様な化学物質を利用することで成り立っています。
しかし、同時に多種多様な化学物質が、人や生態系に悪影響を及ぼすおそれがありますが、一つ一つの物質に個別の基準を設けるなどして規制するには限界があります。そのため、平成11年に「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR 法)」(*注6)が公布され、PRTR 制度が導入されました。
(*注6)特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律:平成11年7月13日公布、平成12年3月30日より施行されました。「PRTR 法」または「化管法」などと略されます。
PRTR制度の主な目的は、PRTR法において、次の2点とされています。
この法律は、従来からの手法である「規制」は最低限とし、あくまで事業者の「自主的」な取組によって化学物質による環境リスクの低減を図る点が特徴となっています。
対象となる化学物質を製造又は使用等している事業者は、大気、公共用水域、土壌及び事業所内埋立など環境中に排出した化学物質の量と廃棄物として処理するために事業所外へ移動させた化学物質の量を自ら把握し、県(高崎市内の事業者にあっては高崎市)を経由して国に毎年届け出ます。
国は事業所からの届出データを整理・集計するほか、届出要件に該当しない事業者や届出対象となっていない家庭や農地、自動車などから排出されている対象化学物質の量を推計し、両データを併せて公表します。
公表されたデータは、次のホームページから入手することができます。
PRTRインフォメーション広場(環境省 環境保健部環境安全課)<外部リンク>URL:http://www.env.go.jp/chemi/prtr/risk0.html
化学物質排出把握管理促進法(経済産業省)<外部リンク>URL:http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/index.html
平成27年3月に平成25年度分の排出量等のデータが、国から公表されました。
ア 届出データ
イ 届出外(推計)排出量データ
県内の届出外排出量は、届出排出量の約1.5倍となっています。また、県内の届出外排出物質の上位3物質は、クロロピクリン(*注8)、トルエン、AE(*注9)の順となっています。
PRTR制度により得られたデータは県が行う化学物質調査の基礎として活用されています。
また、リスクコミュニケーション(次ページ参照)への活用も図っていきます。
現代社会においては、事業活動等に伴って様々なリスクが発生します。例えば、化学物質を使用する場合、その化学物質が環境中へ排出されることで生態系や私たちの健康に悪影響を与える可能性(リスク)が発生します。このようなリスクのことを特に「環境リスク」と言います。このリスクを地域全体で減らすためには、住民・事業者・行政が情報を共有し、取組を進めることが重要です。このように、様々な立場から意見交換を行い、意思疎通と相互理解を図りながらリスクを減らすための取組を「リスクコミュニケーション」と言います。
県では、住民・事業者・行政が一体となって環境リスクを減らすこと等を目指して、化学物質に関するリスクコミュニケーションを推進しています。
多くの事業者が化学物質に関するリスクコミュニケーションについて前向きな意見を持っているものの、知識・スキル不足等が障害となり、実際に実施するのが困難であるというのが現状です。また、名前は知っているものの、実施内容等については未だ認知度が低いという面もあります。
県では、平成26年度に環境GSマネージャー研修会等において、説明を行いました。今後も普及・啓発を継続していきます。
化学物質に関するリスクコミュニケーションの情報は、次のホームページから入手することができます。
[群馬県](「リスクコミュニケーションについて」ホームページ)