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令和6年第3回前期定例県議会の開会に当たり、提案説明に先立ち、一言申し上げます。
はじめに、パリオリンピック・パラリンピックについてです。
オリンピックでは、日本選手が海外開催のオリンピックで史上最多となる45個のメダルを獲得し、その後行われたパラリンピックでも、多くの選手が活躍いたしました。
群馬県関係選手では、オリンピックにおいて、フェンシングで、敷根崇裕選手と永野雄大選手が金メダル。そして、見延和靖選手が銀メダルを獲得しました。また、レスリングで、櫻井つぐみ選手と元木咲良選手が金メダルを獲得しました。
パラリンピックにおいては、陸上男子5,000メートルで唐澤剣也選手が2大会連続となる銀メダルを獲得しました。他にも、複数の選手が入賞を果たしています。
このような選手の活躍は、群馬県民に大きな勇気を与えてくれました。知事としても本当に嬉しく思いました。オリンピック・パラリンピックという最高の舞台で、あらゆる重圧を跳ね返しつつ活躍した選手の皆さんの努力と精神力に、心から敬意を表したいと思います。
さて、私は、去る9月4日から11日にかけてアメリカを訪問して参りました。
最初に訪問したロサンゼルスでは、映画・芸術分野における世界トップクラスの3つのスクールを訪問しました。まず、ニューヨーク・フィルム・アカデミーのジーン・シャーロック理事、ロサンゼルス校の代表であるダン・マクラー氏と会談しました。この学校では人材育成に関する様々なワークショップを世界中で展開しており、群馬県との連携の可能性を感じました。
次に、南カリフォルニア大学を訪問し、エリザベスM.デイリー学部長とリピット・水田副学部長と会談しました。大学における理念や教育内容について説明を受けるとともに、群馬県との協力の可能性についても話し合いました。
さらに、ロサンゼルス・フィルム・スクールを訪問し、業界の第一線で活躍するプロからの指導の重要性など、人材育成についての意見交換を行いました。
次に、日本・米国中西部会出席のため訪れたオハイオ州では、まず、インディアナ州のホルコム知事と会談しました。これまで、交流の覚書の締結やホルコム知事自ら御来県いただくなど、親密な関係を構築して参りました。来年1月の任期満了後も、友人として関係を深めるとともに、群馬県とインディアナ州との更なる交流拡大に対する支援をお願いしました。
続いて、日本・米国中西部会の日米合同常任委員会に出席し、オハイオ州のデワイン知事、ウィスコンシン州のエヴァース知事と、直接、意見交換を行う機会を得ました。
そして最終日は、日米合同会議に出席しました。今回のスピーチでも群馬県の魅力を熱烈にアピールし、3回目にして初めてトリを務め、3回連続となる、この日唯一のスタンディング・オベーションを勝ち取ることができました。日本にとって重要な拠点である米国中西部において、群馬県のプレゼンスが着実に上がっていることを感じました。インバウンドの増加や現地企業からの投資促進につながるよう、しっかりと群馬県の魅力を発信できたと思います。
こうした今回のトップ外交で構築したアメリカでの幅広い人脈を活かし、様々な分野での連携を検討し、具体的なアクションにつなげていきたいと考えています。そのことが、群馬の新たな富につながると確信しています。
今後も、知事自らが先頭に立ち、自治体独自の地域外交を進めることで、群馬県の取組を世界に発信するとともに、群馬県の新たな飛躍につながるよう取組を行って参ります。
それでは、本日提出いたしました議案の大要について、御説明申し上げます。
今回の提出議案は、予算関係2件、事件議案11件の合計13件です。
はじめに、予算関係について御説明いたします。
現在、「県民幸福度の向上」や「新群馬の創造」に向けた取組などを盛り込んだ当初予算や5月補正予算に計上した事業の効果的な執行に全力で取り組んでいます。
そこで、今回の補正予算案では、2期目の基本政策で掲げた「新群馬の創造」をさらに進め、新たな富を生み出すための政策を加速させたいと考えています。
また、県民の声に耳を傾け、災害への対応や子ども施策も充実させ、山本県政の原点である「県民幸福度の向上」についてもしっかり取り組んで参ります。
今回の補正予算案は、このような思いを込めて、「新群馬の富と幸福度向上加速予算」といたしました。
一般会計の補正予算額は、86億6,953万円であり、現計予算額と合算いたしますと、補正後の予算額は7,904億6,849万円となります。
主な内容ですが、まず、「新たな富を増やすための施策」として、GunMaaSの更なる普及のため商業施設と連携し社会実証事業を行うほか、自動運転バスの実証実験に向けた群馬県庁と前橋駅間において必要となる基礎調査を実施します。
また、子ども達の創造性や学習意欲を高めるため、TUMO Gunmaに、非日常感を演出する学習スペースとデジタルサイネージを追加して整備します。
さらに、「介護テクノロジー導入モデル事業費補助」により、介護現場の生産性向上を図り群馬県内での横展開を目指すほか、東京国立博物館と連携し、群馬県の知名度向上や観光誘客を目的に、「埴輪王国ぐんま」のPRを実施します。
次に、「県民幸福度の向上」として、まず、災害時の避難所のトイレ環境改善をさらに進めるため、平時でも利用できるトイレコンテナを導入し、県立公園などに設置します。
「社会的養護自立支援」では、児童養護施設等の退所者、いわゆるケアリーバーや虐待を受けた経験がある方などを対象に実施している相談支援について、SNSや動画を活用した啓発を強化します。
さらに、子どもが自らの考えを整理し、意見を表明することを支援する「アドボカシー事業」について、中央児童相談所に加え東部児童相談所にも拡大し、児童虐待防止を推進していきます。
また、令和7年度に群馬県で行われる「国スポ関東ブロック大会」の水球競技で会場となる県立前橋南高校のプールを改修するほか、ALSOKぐんま総合スポーツセンターの駐車場について再整備を行います。
このほか、補助公共事業を増額し県土整備プランを着実に推進するほか、通学路の安全対策としての除草や横断歩道等の塗り替えを行い、県民の安全確保を図ります。
また、財政の健全化に向け、令和5年度決算剰余金の一部である60億円を財政調整基金に積み立てます。
これにより、令和6年度の9月補正後の残高は404億円となり、新型コロナ関連の事業費確定に伴い国に返還する28億円を除き、376億円を確保することができました。
昨年の同時期と比較すると42億円増加したことになります。
山本県政では、限られた人的資源と財源を有効活用するため、ワイズスペンディングを心掛けてきました。
民間リソース等の積極的な活用や、自ら「稼ぐ」施策、デジタル化による事務の効率化を強力に進めるなど、事業の見直しを行ってきました。
こうした取組の積み重ねが、基金残高の増加に繋がり、その結果、新たな富を生むための投資ができるようになってきたと捉えています。
しかしながら、現在の基金残高は、平成26年に群馬県で発生した大雪や、他県での大規模災害発生時に必要となった経費等を踏まえると、まだ十分とは言えません。群馬県としては、引き続き基金残高の確保に努めてまいります。
議員の皆様と力を合わせ、県庁一丸となり、山本県政2期目の基本政策の実現と、総合計画の推進に向け、しっかりと取り組んで参ります。
なお、企業会計については、電気事業会計において、所要の補正を行います。
次に、事件議案のうち、主なものについて申し上げます。
第132号議案は、宝台樹キャンプ場の使用料の改定等を行おうとするものです。
第136号議案は、群馬県立敷島公園新水泳場について、整備運営に係る事業契約を締結しようとするものです。
以上、提出議案の大要について御説明申し上げました。
何とぞ、慎重御審議の上、御議決くださいますよう、お願い申し上げます