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自動車中心の生活や通勤・通学の利用者減少などにより、鉄道やバス路線の縮小・廃止が懸念されています。
年齢や病気のために自動車を運転できなくなったとき、不自由なく生活を送れるでしょうか。一度立ち止まって考えてみませんか。
全国初となる営業運行での自動運転バス実証実験の様子
県は27・28年度に人の移動実態を把握する調査を実施しました。この調査によると、移動手段として公共交通が利用される割合はわずか2.8%(鉄道2.5%、バス0.3%)で、一年に一度も利用しない県民は、鉄道が約60%、バスでは約85%となっています。このままでは公共交通が維持できなくなる恐れがあります。
移動手段として利用される割合と年間を通じた利用の有無
公共交通が不便なことで、さまざまな弊害が起きています。県調査によると、自動車を持つ高齢者の外出率がおよそ8割なのに対して、持たない高齢者は5割を切るなど高齢者の生活に大きな影響が生じています。また自分で運転できない若者も、学校や最寄り駅までの移動を家族の送迎に頼ることが多くなっています。
そこで県は、将来にわたって県民の多様な移動手段を確保し、持続可能なまちづくりを実現することを目的として、昨年3月に「県交通まちづくり戦略」を策定しました。
この戦略は「まちのまとまりをつくり、公共交通でつなぐ」という理念を実現し、多様な移動手段を確保するための実行計画です。期間は30~49年度までの20年間です。県、市町村、交通事業者などが取り組むべき施策を、5年以内の実現を目指す短期施策と5~20年以内に取り組む中長期施策に整理し、誰もが「『自動車以外の移動手段』も選択できる社会」の実現に努めます。
県は次の三つの基本方針に基づき、各施策を推進します。
自動車を使えない県民でも、公共交通や地域の支え合いによって、生活スタイルに合わせた移動が可能となる環境を整えます。
鉄道や広域的な幹線バス路線網などを将来にわたって確保するため、公共交通をより快適に使いやすくする環境を整えます。
公共交通を軸としたまちづくりを進めることで、公共交通が利用しやすく生活に必要な施設がまとまった効率的なまちに変えていきます。
県交通まちづくり戦略に基づく施策を、それぞれの立場で携わる人のインタビューを交えて紹介します。