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県では、昭和43年に全国にさきがけて「福祉群馬」宣言が県議会で決議されたことを踏まえて、県民福祉の向上に取り組んできました。
また、高齢者、障害者に対するバリアフリー施策についても、平成6年には「群馬県福祉のまちづくり整備指針」を策定し、これに基づき、施設等の整備を進めてきました。
しかし、社会経済状況の変化、福祉政策の転換、バリアフリーからユニバーサルデザインへの考え方の変化、政策実現のための手法の転換により、一層の取組の強化が必要であると考えています。
社会経済状況の変化に伴い、人々の意識も変化し、物質的な豊かさから心の豊かさを求めるようになり、また、画一性より多様性・個性が重視されるようになってきています。
福祉施策が、行政主導による措置から契約に基づく個人の選択によるサービスへと転換するとともに、地域福祉の考え方に基づく、地域における相互の支え合いによる対応が重視されるようになってきています。
特定の人を対象としたバリアフリーからすべての人を対象としたユニバーサルデザインへ考え方が変化しています。
(「ユニバーサルデザイン」とは、「すべての人のためのデザイン(構想、計画、設計)」であり、まちづくりやものづくりなどを進めるにあたり、年齢、性別、身体、国籍など、人々が持つ様々な特性や違いを越えて、はじめから、できるだけすべての人が利用しやすい、すべての人に配慮した、環境、建物・施設、製品等のデザインをしていこうとする考え方です。)
指針・要綱による行政指導から条例による政策の明確化が求められています。
このようなことから、県では、子どもから大人まで、また、障害の有無や国籍に関わりなく、それぞれが自立し、尊厳を持って、社会の重要な一員として参画し、互いの理解を深め、だれもが共に暮らせる社会づくりを目指していくための条例の制定を検討してきました。検討にあたっては、県民アンケートを実施するとともに、県内の各界、各層の代表者で構成される県民懇談会を開催しながら、県民の意見を最大限反映させるように努めてきました。
そして、これらを踏まえて「人にやさしい福祉のまちづくり条例の規定事項」のとおりとりまとめました。
この条例は、次の4点の考え方をもとにとりまとめています。
そして、大きな目標として「人にやさしい福祉のまちづくりの推進」を掲げました。
この目標の「人にやさしい」とは、子どもから大人まで、障害の有無や国籍に関わりなく、だれもが自立し尊厳を持って、社会の重要な一員として参画し、お互いの理解を深められる心の豊かさを感じられる社会を意味しています。
「福祉のまちづくり」とは、対象を施設整備に限定せず、サービスや情報の提供に広げ、人々の意識にまで踏み込みつつ、県、県民及び事業者が一体となり、また、ボランティア・NPOと協働しながら、地域社会の形成に取り組むことを意味しています。
また、県や事業者から提供されるサービスや情報について、身体上の特性や国籍に関わりなく、だれもが同じように受け入れられるようにしていきます。
例えば、車いすを使用している方が不自由なく施設を利用できるよう出入口や廊下などの幅を広げるような整備を進めていきます。
例えば、障害があっても、高齢であっても、意欲、能力、適性に応じて、就労したり、自ら起業することを支援していきます。
例えば、困っている高齢者、障害者の方を見かけたら、積極的に声をかけて、援助を必要としていれば、手助けするよう啓発を図っていきます。
この条例は、他の都道府県における福祉のまちづくり条例(いわゆるバリアフリー条例)と比べ、次のような特徴があります。
対象とする人を、高齢者、障害者に限定しない、すべての県民を対象としており、また、県外からの来訪者にも配慮しています。さらに、対象となる分野を、まちづくりに限定せず、情報、サービスをも含めて、だれもが利用しやすくなるように、環境整備を進めるなど、ユニバーサルデザインの考え方を広く取り入れていきます。
介助を必要とする高齢者、障害者などに対する親切な対応や思いやりの心を育むための家庭教育の充実などに取り組むことを県民の役割として規定します。
また、事業者の努力としてハード面での整備の限界をマンパワーで補う(介助等の措置)ことを規定します。
「地域において支え合いながら共に暮らすことができる地域社会づくり」の推進を規定します。
「小さな単位」における支え合いなどの活動の支援を規定します。
NPO、ボランティアなどとの協働について規定します。
案内表示及び絵文字等を充実して、外国人の方にもわかりやすい案内ができるようにします。