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■日時 令和6年11月14日(木曜日)16時00分~16時36分
■会場 記者会見室
■出席者 県:知事、副知事ほか
記者:記者クラブ所属記者等14人
■記録作成 メディアプロモーション課(報道係)
令和6年11月14日定例記者会見動画(You Tube)<外部リンク>
■知事冒頭発言
群馬県知事の山本一太です。本日は欧州に渡航中ですので、パリから、定例記者会見を行わせていただきます。先週7日からイギリス、ハンガリー、そしてフランスを訪問しております。その間も、皆さまへの情報発信、説明責任を果たしていきたいと考え、一昨年と去年に引き続き、3度目となるリモートでの会見をお願いしました。記者の皆さまには、今日もお集まりいただきましてありがとうございます。いつもと違う方法での会見で、ご不便な点もあるかもしれませんが、ご容赦いただければと思います。
それでは会見の中身に移ります。スライドをご覧ください。本日の会見の主な項目です。本日は、「知事の欧州訪問」、それから今非常に話題になっている「『年収の壁』見直しの影響」について発表いたします。
まずは、「欧州訪問」についてです。先週11月7日から9日にかけて、イギリスのロンドンを訪問しました。スライドをご覧ください。クリエイティブ産業の先進地であるロンドンで、トップクラスの人材を輩出している世界最高峰の美術系大学院「ロイヤル・カレッジ・オブ・アート」を訪問しました。(通称)RCAですね。ここはですね、1837年に官立デザイン学校として設立され、200年近くの長い歴史がある有名な学校です。学士課程はありませんが、修士号と博士号を取得できる数少ない美術系大学院となっています。世界大学ランキングのアート・デザイン分野だと、2024年時点で10年連続世界1位にランクされている、そういう学校です。このRCAではですね、副学長のケン・ニール氏やコミュニケーション学部長のケリー・カーティス氏と会談しました。副学長からは、芸術、デザイン、建築、それからテクノロジー・デジタルをかけ合わせて学べるということが、RCAの特徴であること。また、分野を横断して知識を得た人材がクリエイティブ産業界で活躍していることなどについて説明がありました。私からは、群馬県が創設を目指しているデジタル・クリエイティブ産業の理念、方向性、これまで進めてきたデジタルクリエイティブ人材育成の取り組みなどについて説明をさせていただきました。
会談の中で、RCAが日系企業にイノベーションに関するワークショップを行うなど、社会課題を解決するためのサポートもですね、積極的に行っていることが分かりました。同時にデジタルクリエイティブ人材の育成は、エンタメビジネスにとどまらず、様々な産業に寄与するということ、これを改めて確認をさせていただきました。1時間を超える会談となりまして、これ非常に濃密な議論ができたと思います。群馬県との連携の可能性についても、RCA側からですね、強い関心が示され、この点知事として手応えを感じました。帰国後、デジタルクリエイティブ人材の育成施策の充実等ですね、早速具体的な連携に向けた検討を始めたいと考えています。
続いて、ハンガリー訪問です。内容に移る前に、あらためてハンガリーとフランスの訪問のポイントについて説明させてください。スライドどうぞ。特にですね、官民共創のまちづくりについては、それぞれ異なる特徴を持った街を視察いたします。ハンガリーとフランスではですね、群馬県と高崎市が掲げる堤ヶ岡飛行場跡地活用構想の実現に向けた知見を得たいと考えておりまして、高崎市の富岡市長さんにも同行いただいています。着目するポイントは、スタートアップ支援の取り組みと、官民共創のまちづくり、この2点です。ハンガリーでは未整備だった土地に大企業とかスタートアップ、居住区域を集積して開発が行われた、いわゆるグリーンフィールド型のまちづくりを視察いたしました。堤ヶ岡飛行場跡地はですね、現在農地となっておりまして、ゼロから新しい場所でまちづくりを進めていくということになりますので、この点、ハンガリーでの取り組みは非常に参考になると考えています。そしてフランスでは、スタートアップが集積する世界的に有名なインキュベーション施設を訪問します。加えてグローバル企業が主導して開発を進めているヨーロッパの伝統的な街で、企業城下町型ともいえるまちづくりを視察する予定です。ハンガリーとフランスの違いを学びながら、双方の良い点を堤ヶ岡飛行場跡地の活用に活かしたいと考えています。
まずハンガリー訪問の内容についてご報告したいと思います。次のスライドをご覧ください。9日にロンドンからハンガリーに移動しました。10日から12日にかけて、ハンガリーのブダペストを訪問させていただきました。ブダペストでは、まず欧州イノベーション技術機構、EITの本部を訪問しました、イノベーションエコシステムの責任者である、マートン・ヘルツェグ氏と会談しました。EITの方々には、今年6月に群馬県を訪問していただいています。会見で申し上げたので皆さんご存じだと思いますが、その時に引き続いて、私自らプレゼンを行って、群馬県の魅力、投資環境のすばらしさというものを、あらためて発信させていただきました。加えて高崎市の富岡市長と一緒に、堤ヶ岡飛行場跡地の活用についてPRさせていただきました。またEITからは、環境・気候変動分野、アーバンモビリティー分野の計6社のスタートアップ企業からですね、自社の取り組みをPRするピッチをしていただきました。どれも群馬が抱える課題に対応する取り組みばかりでですね、ブログにも書いたんですけど、非常にリアリティのある議論ができたと思います。帰国したら早速どんな対応が可能なのかということを検討したいと考えています。さらにEITからは、来年2025年に日本を含む新たな地域でスタートアップ支援プログラムを展開していく予定だと、こういう説明がありました。今後EITと群馬県の連携の可能性についてスピード感を持ってですね、検討させていただこうと考えています。
続いてハンガリーにおける、グリーンフィールド型のまちづくりの現場を視察するため、ブダパートを訪問しました。ブダパートはですね、国際的なコンベンションで最優秀賞を受賞するなど高い評価を得ている開発構想です。ブダペストの南部に位置し、ドナウ川沿いの老朽化した発電所の用地にですね、大企業とかスタートアップ、居住区域を集積して開発が行われました。「住む・働く・遊ぶ」が一体となったまちづくりを行っておりまして、街中にグローバル企業向けのオフィススペース、住居、店舗、マリンスポーツを楽しめる場所などが整備されております。ブダパートでは、実際にエリア内を歩いて視察したほか、開発責任者とも会談して開発の考え方や手法を詳細にお聞きいたしました。最も印象的だったのはですね、開発の目的が明確で、終始一貫ブレていないということでした。新しい街を創造するためにはですね、堤ヶ岡(飛行場跡地)にも言えることだと思いますが、とにかく明確な哲学が不可欠だということを感じました。次のスライドをご覧ください。
そして翌日は、オーブダ大学のロボティクス専門の研究センター、これブダペスト市内にあるんですけど、ここを訪問しました。ここは世界でも重要なロボティクス研究拠点として認識されておりまして、ハンガリーにおけるスタートアップ輩出の源泉にもなっています。医療分野のロボティクスを視察したりですね、大学が支援し起業した農業分野のスタートアップのピッチを聞いたりしました。スタートアップエコシステムを構築するためには、やっぱり大学との連携が非常に大事だということをですね、実感をしました。続いて、グラフィソフトパークを訪問しました。ここは、ハンガリー発の建築用ソフトで有名なグラフィソフト社っていうのがあるんですが、ここが開発したテクノロジーパークです。マイクロソフトやエス・エー・ピーなどの有名なIT企業が多く集積しているほか、スタートアップが入居するコワーキングスペースとか大学などがここにあります。地下には2000台分の駐車場があるほか、アート作品がもう随所に配置されていました。働きやすい環境とデザイン志向の建物がですね、うまく調和してる感じがします。今後、堤ヶ岡飛行場跡地の活用を検討する上で、大いに参考となる知見を得ることができたと考えています。続いてフランス訪問です。ハンガリーに引き続き、昨日からフランスを訪問していますので、まだ途中経過ですけれども、現時点での状況をご報告したいと思います。スライドをご覧ください。フランスでは、パリにある世界最大級のスタートアップ・インキュベーション施設である「STATION F」を訪問しました。この施設は旧駅舎を改装しているもので、スタートアップの他、ベンチャーキャピタル、大企業、支援機関など1000社を超えるエコシステムプレイヤーが集積している施設です。ここでは施設の内容を見学したほか、ハンガリー同様にEITが支援するスタートアップのピッチをここで聞きました。中にはですね、普段廃棄物とされているものを実際の食品に転換する技術を有するスタートアップとかですね、つまり我々に非常に身近なフードテック分野のピッチが多かったように思います。私自身「STATION F」の規模感、すごい建物なんですよね。これ圧倒されましたし、この施設がどれほどスタートアップエコシステムに貢献しているのかということもですね、よく理解できました。
続いて、欧州を中心にスタートアップを支援している、「Hello Tomorrow」というところを訪問しました。スタートアップや、ディープテック研究者をですね、大企業、大学、投資家などにつなげるネットワークを持っているNPO団体です。訪問の中では、群馬県の投資環境、取り組みをPRするとともに、スタートアップエコシステムに何が必要なのかについて、意見交換をさせていただきました。以上、これが昨日までのところの状況です。
今回の訪問も、在英日本国大使館、在ハンガリー日本国大使館の皆さんをはじめ、多くの方々にサポートしていただきました。知事として、この場を借りて改めて感謝を申し上げたいと思います。今回の訪問を踏まえて、デジタルクリエイティブ人材の育成、EITとの関係強化、堤ヶ岡飛行場跡地活用構想の実現に向けてですね、早急に具体的なアクションを実施して参りたいと思っています。なお本日は、フランス大手デジタル企業、そして明日はミシュランを訪問して、そのあとで帰国する予定です。フランス訪問の結果など、詳しくは帰国後の記者会見でですね、お伝えしたいと考えています。
それから最後に、「年収の壁」見直しの影響についてお話をさせてください。年収が103万円を超えると所得税が発生する、いわゆる年収の壁についてですね、先日の衆議院議員総選挙を経て、現在、国において見直しに向けた議論が始まっていると理解しています。具体的な案としてはですね、年収の壁を178万円まで引き上げることで、給与所得者の手取りを増やすということです。本日は、「年収の壁」見直しの影響について、群馬県として試算を行いましたので、それを踏まえて群馬県の考え方というものをご説明したいと思います。スライドをご覧ください。
群馬県としては、年収の壁が178万円に引き上げられることで、群馬県、それから県内市町村の財政運営上、大きく分けて2つ課題があると考えています。
まず1つ目が、個人県民税、市町村民税の減収です。試算の結果、年収の壁が見直されると、個人県民税については年間約260億円減収となることが分かりました。昨年度の県税収入が約2,725億円ですので、約10%の減収という試算になります。県内市町村については、市町村民税がですね、年間約390億円減収となる試算になりました。年収の壁が見直されることで、収入から控除される額が引き上げられると。それが県民の皆さまの負担が減る分、個人県民税、市町村民税の減収に繋がるという、そういう流れになっています。
そして、2つ目が地方交付税の減収です。試算の結果、年収の壁が見直されると、群馬県への地方交付税が年間約100億円減収となることが分かりました。昨年度の地方交付税がですね、約1,558億円ですので、約6%減収となる試算になります。県内市町村への地方交付税については年間約80億円の減収となる試算です。地方交付税の原資には所得税が充てられており、原資である所得税が減ることで、地方交付税も減収となると、こういう流れになっています。
以上、まとめると、群馬県と市町村の合計でですね、約830億円減収となると、こういう結果になりました。この問題についてはですね、もうご存じのとおり、ほかの県の知事の皆さんからも同様の懸念が示されております。先ほど申し上げたとおり、年収の壁が見直されることで、県民の皆さんの中にも、もちろん手取りが増える方はいると思います。そして、個人の手取りが増えることで、個人消費が今よりも盛んになり、これが日本経済全体に好影響を与えるという考え方もあるし、経済が回れば、さらに税収が回るみたいな見方ももちろんあると思います。
しかしながら、税収が減った場合、例えば群馬県でいうと、800億円減るわけですから、これでやっぱり皆さんに身近な行政サービスに大きな影響が出ないとは到底言えないと。当然、大変大きな影響があるということで、群馬県の財政運営を預かる知事としてはですね、このままこの制度が導入されるっていうことについては、これはもう非常に心配をしております。政府に対してはですね、年収の壁の見直しが、地方の財政運営に支障を生じさせないように、具体的な財源確保の方策を示していただいた上で検討していただきたいというふうに思っています。もう1回申し上げますが、この話はもちろん、いろんな側面があると思いますけれども、当然この財源措置というものが大前提だというふうに群馬県知事としては考えております。はい、私からは以上です。何かご質問があればお受けしたいと思います。
●知事の欧州訪問について
(記者)
まず1点目です。堤ヶ岡飛行場跡地活用についての、このハンガリー視察とフランス視察の関係でお伺いいたします。今回の視察において、先ほど知事はですね、群馬が抱える課題についても生かせるという話をされてましたけれども、具体的にどのような課題、共通する課題をお考えなのか、そしてどんなヒントが得られたのか、教えてください。
(知事)
宇留賀さんの方からいいですか。これはちょっと宇留賀さんの方から、まずは細かく説明してもらいます。
(宇留賀副知事)
まず明日と明後日とですね、大企業の、今この画面で出ている伝統的企業城下町型を見てくるんですけれども、これまでは、特にハンガリーで、グリーンフィールド型の開発というところで、今回、堤ヶ岡100ヘクタールぐらいの場所に、どういうような新しい街を作るかというのを議論しているんですけれども、そこの中にスタートアップをどういうふうに呼び込んでくるか、またいろんな世界中の主要な企業もどう呼び込んでいくか、そういったところでのいろんな仕掛けをハンガリーの方でしているのがありましたので、そういったところがまず学べる点があると思います。
あと今回ですね、そういうグリーンフィールド型の開発に加えて、スタートアップの企業からいろんな形でのプレゼンテーションを受けました。群馬県で、例えばモビリティーみたいなところで、非常に自家用車への依存度が高い、そういったところに対してスタートアップがどういうふうに取り組んでいるかっていうところもありますし、群馬県は非常に食品産業や農林業、こういったようなところが非常に盛んなので、そういったところに対して新しいアプローチをどうしていくか、そういったところをスタートアップの企業さんからもいろんな提案を受けました。群馬県、今スタートアップ非常に少ないですし、特に技術、テックと言われるものを背景にしたところはまだまだ少ないんですけれども、そういったところをどんどん呼び込んでいく、そういったような企業が生まれやすい土壌を作っていくことによって、群馬県にとって大きなプラスがあるんじゃないか、そういったような知見も得られた、そんなところになります。以上です。
(知事)
今、宇留賀さんがおっしゃったことに尽きると思うんですけれども、やっぱりその街を作ったからといって、いろんな何ていうかプレーヤーが集まるっていうわけではないので、どうやってその街を作ってですね、そこにきちっとしたエコシステムを作って、スタートアップとか、その街を発展させるために必要なプレーヤーを呼び込んでいったらいいのかとか、こういうことについては、やっぱりハンガリーの様々な事業っていいますか、フランスもそうですけれど、これはとてもいろいろ生かせるヒントが見つけられたんじゃないかなというふうに思っています。
(記者)
合わせて先ほど、知事はプレゼンを通じてですね、手応えを感じたともお話されていましたけれども、具体的にどのような点で手応えを感じたのか、また、群馬の魅力というものをどの辺で感じてもらえるのか教えてください。
(知事)
私がさっきそういう手応えを感じたっていうのは、確かイギリスを訪問した際にですね、いわゆるロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)に行ったときの話だったと思うんですけれども、群馬県は、これからデジタル・クリエイティブ産業というものを作ろうとしていると。そこに、いろんな形で人材育成もやっていこうとしているっていうことなんですけれども。こういうことについて、世界最高峰のロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)の副学長が非常に興味を示していただいたので。例えば、これからロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)のいろんな知見をどうやって我々が活用するかっていうこともあるんですけれども。例えばワークショップをやるとか、あるいはこれからデジタルクリエイティブ構想を作り上げていく上に、いろんな知的サポートしていただくとか、そういう何かですね、相手側の関心の高さっていうのは非常に感じました。そもそも、これだけのメンバー、副学長まで出てきてですね、真剣に議論したっていうことで言うと、群馬県が目指しているデジタルクリエイティブの拠点みたいなものはやっぱり間違ってないし、非常に多くの人たちを惹きつける構想だなということをですね、改めて痛感をした次第です。
(記者)
あと今回の訪問に際して、知事は先ほど具体的なアクションを実現させるという話でしたけれども、実際にいつごろまでにこの計画というのを立てるんでしょうか。
(知事)
計画っていうのは、今回の・・・
(記者)
堤ヶ岡飛行場の。
(知事)
堤ヶ岡は、この間発表した、一応、基本構想の日程で進めていこうというふうに思っています。ただ、その中で、今回のいろんな我々が得た知見、まちづくりの知見とかですね、あるいは宇留賀さんからお話ありましたけれども、相当多くのスタートアップ企業の方からですね、いろんなプレゼンをもらいましたので、これやっぱりまちづくりに使えるようなアイデアもいっぱいあったので、そこら辺との連携なんかもこれからフォローアップしていきながら、すでに発表している堤ヶ岡構想のそのスケジュールに乗せてですね、うまく活用していければなというふうに思っています。
●「年収の壁」見直しの影響について
(記者)
あと1点、103万円の壁についてお伺いします。今回のこの税収減で大きな影響があるというふうに知事は先ほどおっしゃっていましたけれども、県としてこの減収分の補填などについて政府に要望していくという考えはあるんでしょうか。
(知事)
それは当然、全国知事会も、宮城県知事と何人かで行かれたんでしょうか、確か林官房長官にも要望していましたし、千葉県知事も確か官邸で副長官か何かに要望されていたというふうに思うんですけれども、当然これは知事会の動きもあると思いますし、群馬県としてもですね、必要に応じてっていうか、これからおそらく新しい内閣の閣僚の方々に次々に会っていくことになると思うので、当然群馬県としてもこれについてはですね、しっかりと要望させていただこうというふうに思っています。さっきちょっと読み原稿を見ながら少し慎重に言ったんですが、これは当然、財政措置があるっていうことが大前提だと思うんですよね。それ抜きに、これを本当にやるってことになったら、830億円減収になったらとても財政組めないし、地方の財政は破綻するというふうには思うんですよね。それで、どの知事もそうだと思うんですけれども、厳しい財政状況の中でやりくりしてですね、何とかその財政再建への道筋をつけつつ、なおかつ、例えば、必要な住民サービスをしっかりとやる、あるいは未来に対する投資をやるっていう、もうギリギリのところで頑張っているので、もう1回言いますが、財政措置とかそういうことがなく、例えばこういう制度をそのまま入るっていうことは、これちょっと宮城県知事も言ってましたけれども、群馬県としてはなかなか受け入れがたいっていうか、これは非常に深刻な問題になると思っています。私は、石破総理が今いろいろ頑張っておられますけれども、もちろん石破総理のことも存じ上げてますが、地方創生担当大臣ですから、初代の。しかも、地方のことも石破総理はよく分かっていらっしゃるので、石破さんがですね、何の財政措置もなく、こういうことを進めるはずがないというふうに信じています。それから、自民党でいえば、小野寺政調会長っていう素晴らしい方がいるので、小野寺さんがいる限り、小野寺さんもよく地方のこともご存じなので、そこはしっかり調整していただけるということを信じています。いずれにせよ、政府、もちろん知事会も動くと思うんですけれども、群馬県知事としてもですね、例えば与党の例えば政調会長のところとか、あるいは関係大臣のところはぜひ伺ってですね、よくこの点は全国知事会ともよく平仄を合わせながら、しっかり方針を合わせながらですね、要望していきたいなというふうに思っています。それから玉木代表にももちろん頑張っていただきたいと思うし、しっかりその日本に必要な政策を、自民党と相談して作っていただきたいというふうに思うんですが。玉木さんも、やっぱり地元があるわけなので、地方の事情ってのはよく分かっていただいていると思うので、そこはちゃんと必要な調整をしていただけるんじゃないかなというふうに思います。何度も言いますが、これはもうちゃんとした財政措置というものとセットで進むべき話だというふうに私は信じています。
(記者)
年収の壁の関係なんですけれども、知事の発言は、地方税収の減少のないような措置を求めたといいますか、万一この年収の壁を撤廃するんであれば、地方税収減のないような財政措置を求めたということなんだと思うんですが、もしそういう財政措置がないのであれば反対というような、その賛否について、今お考えを示すということではないんでしょうか。
(知事)
これも記者さんがおっしゃったように、全く財政措置というものがないまま、これをもしやるっていうことになると、群馬県は830億円以上の減収になりますので、それは到底県としては受けられないんで、その財政措置、そういうことを一切考えずにここに行くっていうことについては、これはぜひやめていただきたいと。その点は、とても県としては受け入れられないと思います。
(記者)
では、もしそういう場合は、受け入れられないっていうことで・・・
(知事)
受け入れられないというか、それはぜひやらないでほしいと思います。
●知事の欧州訪問について
(記者)
欧州訪問の関係でお伺いしたいんですけれども、先ほど別の記者が(質問した)、「どういうヒントを得たか」というところで宇留賀副知事がお答えされていたんですけれども、堤ヶ岡飛行場跡地にどういうところを活かしたいかということでいうと、ハンガリーが「遊ぶ・働く・住む」みたいなのが一体型になった空間になっているというお話がありましたけれど、そういったものを堤ヶ岡飛行場跡地にも導入したいというようなことだったりするんでしょうか。
(知事)
それはいろんな側面があるので、もちろんそういうことだけじゃないんですが、さっきちょっと申し上げたとおり、ただ街を作ったから、産業が集積するとか、なんか優秀なプレーヤーが集まるっていうわけじゃないので、やっぱりそこにはエコシステムっていうのが必要なんで、スタートアップをどうやって集めていけばいいのか、あるいはその堤ヶ岡飛行場跡地と世界をどうやって結びつけていいのかと、そういうことについてのいろんなヒントを得たということだと思います。
●「年収の壁」見直しの影響について
(記者)
知事、欧州訪問お疲れ様です。年収の壁の関係で伺いたいんですけれども、これ基本算出のベースは基礎控除が75万円引き上げられると、178万円になるというふうな前提で計算したという認識でよろしいでしょうか。
(知事)
これはちょっと総務部の方から説明してもらっていいですかね。流れとしてはそういう流れですが、総務部長いますか。
(総務部長)
はい。総務部長でございます。おっしゃるとおり178万円になった場合の想定でございます。以上です。
(記者)
あと地方交付税については財源となっている所得税があって、それが減収した分を機械的に減らしたら6%ぐらい減ると、そういう認識でよろしいでしょうか。
(総務部長)
おっしゃるとおり、国ベースの減収額からですね、機械的にはじいたものでございます。以上です。
今日ですね、年収の壁のお話をさせていただきました。記者さんの方から、反対なのか賛成なのかみたいな話が出たので、ちょっと誤解のないようにここは記者の皆さんにもご説明をさせていただきたいと思うんですけども、基本的に群馬県はですね、しっかりと政府と連携するっていうことを大事にしてきましたし、個人的にもちろん存じ上げている、石破総理のことを応援しています。石破政権にしっかりと、やはりこの日本を立て直すために頑張っていただきたいというふうに思っていますし、今回はある意味、国民民主党の協力を得ながら全体を動かしていくという流れになっていまして、玉木代表にも期待をしています。ある意味この政権の政策の大きな影響力を今持つ立場におられるので、ぜひ全体のことを考えてですね、日本をより良くするために、あるいは地方を良くするためにですね、頑張っていただきたいというふうに思っています。ですから、石破内閣がやろうとしてることについては、これは応援したいという立場で、同意したいという思いはもちろんありますし、これはこれで手取りを増やすというお話、そういう効果はもちろん1つの考え方としてあるのかもしれませんが、やっぱりね、地方行政を預かっている知事としてですね、これだけ、例えば群馬県だったら830億円の減収があるっていうことになったら、とても今までの住民サービスを維持することはできません。今やっているいろんな県の大事な事業もですね、これはっきり言ってやめないと財政がもたなくなるということになると思うんですよね。やはり将来世代のことを考えれば、とにかく財政再建というのは、常にやり続けないと、群馬県もまだまだなんですけども、それでもこの5年間で相当財政が良くなってきたと。将来世代へのつけを少しでも減らそうと思ってやってる、ギリギリの中で頑張っているっていうことはですね、ぜひ政府の方にもわかっていただきたいというふうに思います。ですから賛成反対というか、これはもう本当に政府に対する強い要望として言わせていただきましたが、先ほども言いましたけども、石破総理はそもそも初代の地方創生担当大臣で、本当に地方のことを考えていただいてるんで、石破総理が何の財政措置もなくですね、こういうことを強行されるっていうことはありえないと、私はもう個人的にも信じております。それから自民党にも、もう1回言いますが、小野寺さんのようなすぐれた政調会長がおられるんで、ここはちゃんと調整していただけるだろうというふうに思っております。ですから、もしこの財政措置というものがほとんどなく、このままこの状況に推移するというのは、これはおそらくほとんどの知事は反対だと思うんですよね。例えば、大きな流れに賛成している方もいるのかもわかりませんが、それでもこの財源の話というのはみんな懸念を持っているので、そこはですね、当然何らかの財政措置とセットで考えていただきたいというふうに思いますし、これがそのまま、そういうことなしに強引に行くということであれば、それは群馬県としてはぜひやらないでほしいと、これも強く申し上げたいと思いますし、その時は政府にも与党にもですね、直接お願いに伺いたいと、こう思っております。一応誤解のないように、群馬県知事の思いっていいますか、考え方を説明させていただきました。
最後に、この記者会見は県民の皆さんも大勢聞いていらっしゃるので、知事から少し県民の皆さんにお話をさせていただくとですね、もちろん、この「年収の壁」の話で、手取りが増える方々がいるというのはいいことだと思います。こういうことはもちろん決して悪いことじゃないと思うんですけども、例えば手取りが少し増えても、住民サービスが一気に低下してしまうということが本当に県民の幸福度に繋がるのかどうかということを考えるとですね、ぜひ今度は大きなピクチャーの中で見ていただきたいと思います。県民の皆さんにも、市町村長も全く同じ立場だと思いますから、群馬県は。ぜひ我々の考え方にも耳を傾けていただいて、これは本当に慎重に進めなければいけない議論なんだということは、県民の皆さんにご理解をいただければというふうに思っております。
ということで、画面は見えませんけれども、多分いつものとおり、大勢の皆さんに集まっていただいたというふうに思うんですが、今回はちょっと出張も長いので海外からの会見ということになりましたけれども、今回のリモート会見にもですね、記者の皆さんにしっかり出席をしていただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。戻ったら、またフランス訪問の後半、これからミシュランの城下町にも行きますので、そこら辺も含めて、しっかりこの出張の実績、成果についてもご報告をさせていただければというふうに思います。ヨーロッパも相当寒くなってきたんですけれども、群馬県もきっと相当温度が下がっていると思うんですが、県民の皆さんにはぜひ風邪などひかれないように、健康に気をつけて毎日お過ごしいただければと思います。今日はパリからの定例会見ということですけれども、パリからの定例会見を終わりたいと思います。記者の皆さん最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
( 以上で終了 )
文章中の()内については、メディアプロモーション課において加筆したものです。