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令和3年11月26日臨時記者会見動画(You Tube)<外部リンク>
1.はじめに
2.豚熱の発生状況について
3.第1報から陽性確定までの経緯について
4.今後の対応について
それでは臨時記者会見を開かせていただきたいと思います。
報道機関の皆さまにおかれましては、定例会見に引き続き、お集まりいただきましてありがとうございます。
先ほど16時30分、国の機関の検査によって、桐生市内の農場で豚熱(CSF)の患畜が残念ながら確認されてしまいました。
今回の発生事案は、前回の10月19日以来、県内5例目ということになります。
豚熱対策については、何度もここで申し上げましたけれども、本県の主力産業の1つである養豚業を守るため、知事就任以来一貫して、最重要課題として取り組んでまいりました。
国や市町村等とも連携して、飼養衛生管理の徹底とか、野生イノシシ対策の強化、さらには全国に先駆けて、知事認定獣医師制度を運用して、適切な時期におけるワクチン接種を進めるなど、様々な対策を行ってまいりました。
昨日には、金子農林水産大臣とお目にかかって、子豚のワクチン接種に関して、国として適切な接種時期の分析を進めていただくよう要望してきたばかりです。
こうした中で、再び豚熱が発生してしまったということです。さらには、4例目の発生から1カ月あまりということで、短期間に連続して発生してしまったことを防げなかったことは、本当に残念でなりません。
しかしながら、発生してしまった以上は、これ以上感染が拡大しないよう、迅速かつ的確に防疫措置を講じていかなければなりません。畜産農家の方々や、関係の皆さまと協力して、しっかり対応していきたいと考えています。
それでは今回発生した事案の概要についてご説明したいと思います。
まだ事案発生から時間が経っておりませんので、現時点で分かっている内容について、できるだけ正確にお伝えさせていただきたいと思います。
スライドをご覧ください。豚熱の発生状況についてまとめました。
今回豚熱の感染が確認されたのは、桐生市に所在する農場です。殺処分が必要な飼養頭数は、約2,400頭ということになります。
この農場の3キロメートル圏内には、他に31カ所の農場がありますが、すべてワクチン接種済みということで、家畜伝染病予防法に定める家畜の移動制限はかかりません。
また、10キロ圏内には、他に83カ所の農場がありますが、こちらもすべてワクチン接種済みですので、搬出制限はかからないということになります。
とはいえ、この地域は、皆さんご存知のとおり、養豚業が非常に盛んなエリアです。10キロメートル圏内に計114カ所の農場が密集しています。近隣に感染が拡大しないよう、早急に防疫措置を講じてまいりたいと考えています。
なお、農場の持ち主、また所在地等の情報については、県の防疫マニュアルに基づき、風評被害防止や部外者等の立ち入りによる感染拡大防止の観点から、今回も非公表とさせていただきます。その点はご了承いただきたいと思います。
次に第1報から陽性確定までの経緯についてご説明します。
スライドをご覧ください。患畜が判明するまでの時系列をまとめました。
当該農場では、先週から豚の死亡数が増加していました。通常の死亡数は、月20頭程度ですが、直近1週間で20頭程度の死亡が確認されていました。
なお、死亡豚は、すべて30日から40日齢前後で、先週の20日にワクチン接種も済ませていたようです。
県への通報に関してですが、昨日の25日木曜日15時5分に、県の東部家畜保健衛生所に対して、当該農場の管理獣医師から、豚の死亡が増加している旨の第1報が入りました。
この第1報を受けて、同家畜保健衛生所が立ち入りを行って、18時10分に、家畜衛生研究所において検査を開始いたしました。
そして、今朝の4時11分に、豚熱の感染が疑われる旨の結果が出ました。
その後、国に検体を送付して遺伝子解析を行ったところ、先ほど16時30分に豚熱患畜であることが判明しました。
以上がこれまでの経緯となります。
続いて今後の対応についてもご説明したいと思います。
スライドをご覧ください。今後の対応をまとめました。
現時点で、殺処分が必要となる頭数は、先ほど申し上げたとおり、2,400頭ということになります。
殺処分後は、農場主の所有地に埋却いたしますが、県として、埋却後の周辺環境等についても、関係機関と協力し適切に対応してまいりたいと考えています。
防疫作業は、まず農政部を中心に県職員を動員し、本日から作業を開始いたします。
また今後は、近隣市町村、県外獣医師にも協力を依頼し、作業にあたりたいと考えております。さらに、建設業協会やJAをはじめ、関係団体にもご協力をお願いする予定です。ご協力いただく皆さまには、知事として改めて感謝を申し上げたいと思います。
現時点で殺処分終了までは、4~5日程度、その後の消毒を含めると、1週間程度の作業終了というものを見込んでおります。
多方面にわたる皆さまのご協力をいただきながら、1日も早く措置が完了するように、最大限の努力をしてまいります。
また、風評被害も懸念されるところです。
スライドをご覧ください。
豚熱が発生するたびに、県民の皆さまに毎回お伝えしておりますが、豚熱は、豚、イノシシの病気であり、人には感染しません。また、感染した豚肉が市場に出回ることもありません。仮に、豚熱に感染した豚肉や内臓を食べても人体に影響はありません。そのことを、ぜひ県民の皆さまに改めてご理解いただきたいと思っています。
冒頭申し上げたとおり、豚熱対策に関しては、県の最重要課題として、これまでも全力で取り組んでまいりました。しかしながら、ここまで短期間で複数回事案が発生するとなると、これは対策の抜本的な見直しが必要なのではないかと考えています。
まずは、防疫措置に重点的に取り組んでまいりたいと思いますが、並行して国ともしっかり連携しながら、抜本的な対策の見直しについても、県庁を挙げて検討を進めていきたいと考えています。
本県にとって養豚業は、農業産出額の2割近くを占める大変重要な産業です。県としては、農家の皆さまが安心して養豚業にいそしむことができるように、今後も国や市町村等と連携しながら、しっかりと対応してまいります。県内の農場主の皆さまにおかれましても、これまで以上に飼養衛生管理基準の遵守徹底を重ねてお願いしたいと思います。
現時点で分かっていることについての報告は以上でございます。何かご質問があればお受けしたいと思います。
(記者)
県と国の方で、豚の検査をされたということで、陽性が出た豚の頭数について、国の検査と県の検査で正確な数字がわかれば教えてください。
(畜産課長)
県で検査した頭数は子豚を2頭とそれから血液を8頭検査いたしました。その中で、県の検査では9頭が陽性を示しております。
サンプルを国に送っておりますが、国の方からは、いわゆるワクチンの株ではなく、野外株であるという報告だけですので、すべてのサンプルがプラス(陽性)だったかどうかについては、国に確認いたします。
(記者)
豚舎の数なんですけれども、先ほどのご説明では8~10棟ということでしたけれども、正確な数字は・・・
(畜産課長)
正確には8豚舎になります。
(記者)
知事にお伺いしたいんですけれども、対策をされている中で、こうして(豚熱の)発生が相次いでしまっていることに対して、改めて受け止めと、どうしてこういうことになってしまっているのかという分析がもしあれば教えてください。
(知事)
まず、農政副部長の方から、事実関係について、ご報告させていただいた後でコメントさせてください。
(農政副部長)
発生につきましては、これまでも飼養衛生管理等徹底してきているわけなんですけれども、今回発生したということで、知事の方からもありましたけれども、国とも連携しながら、原因究明を進めて、対策等についても練り直していきたいと考えております。
(知事)
今、記者さんのおっしゃった点ですけれども、群馬県としては豚熱5例目ですが、豚熱が発生するたびに原因をいろいろと分析して、当然国の疫学調査も入るので、できる限りのことをやってきたつもりなんですね。それでも、5例発生してしまいました。
しかも今回は、前回発生してからあまり時間が経ってないということで、これは深刻に受けとめなければいけないと思っています。
豚熱対策は、毎回会見のたびに申し上げていますけれども、基本的に3つしかなくて、1つは、飼養衛生管理を徹底していただくこと、それから野生イノシシ対策、ワクチンの適切な接種、この3つだと思うんですね。
これについて、相当群馬県も一生懸命取り組んできたつもりですし、養豚農家の皆さまにも大変ご努力をしていただいていますが、しかし、他の県で発生してないのに群馬県でこれだけ続いているのは、当然理由があると思うんですね。今までのやり方だけでいいのか、抜本的に変えないと、やはり同じことが起こるかもしれないということなので、今回は対策全体を抜本的によく検証して、見直す必要があると思っています。
イノシシ対策についても、例えば他の県に比べて群馬県はどうなのか。ワクチン接種については、群馬県はむしろ他県よりも一歩先んじているというところもあるので、飼養衛生管理の徹底みたいなことも、養豚農家の皆さまにご努力していただいていますが、どこが足りないのかを徹底的に検証して、先ほど農政副部長が言ったように、よく国とも連携しながら、今回は抜本的に今までの対策を見直していかないといけないと、かなり危機感を持っています。
(記者)
抜本的な対策ということで、いつごろまでに新たな対策を打ち出したいとか目標はありますか。
(知事)
まず、農政部を中心に、県庁全体に動員をかけて、防疫措置に全力を挙げなければいけないんですが、並行して、いろいろと分析を始めておきたいと思いますので、できるだけ早く、何が問題なのかをまとめて、発信をしていきたいと思います。
(記者)
事実関係の確認です。聞き違えていたら申し訳ないんですけれども、感染が判明した豚は、30日齢~40日齢だったということでよいですか。感染が確定したタイミングでの日齢でいいんですけれども、いかがでしょうか。
(畜産課長)
この豚につきましては、30日齢から40日齢だと聞いております。
(記者)
こちらの農場では、ワクチンをどのタイミングで打っていたのでしょうか。
(畜産課長)
35日齢で打っていたと聞いております。
(記者)
11月20日に打っていたということでしたよね。
(畜産課長)
今回検査した豚は、すべて11月20日に打っていたと聞いております。
(記者)
症状が出始めたのはいつぐらいからでしょうか。
(畜産課長)
検査をかけた豚は、当日、当然状態が悪かったです。その前の週から死んでいる豚もあったということを、管理獣医師の方から報告をいただいております。
(記者)
分析はこれからだと思うんですが、罹患したタイミングはいつぐらいだと考えてますでしょうか。
(畜産課長)
いつウイルスが入ったかとか子豚たちがウイルスに感染して症状が出てきたとかは、今後疫学調査の結果から、はっきりしたものが出てくると思いますので、それを待ってからになるかと思います。
(記者)
県のワクチン接種の考え方をもう1回伺いたいんですが、移行抗体が切れる期間が早まっているというデータも出ています。そういう中で、一律に早めるということはしてないけれども、個々の農家さんごとに今は判断していて、今回の農家さんは35日齢で打っていたということでよろしいでしょうか。
(畜産課長)
各農家について、いつ移行抗体が切れるかということについては、各農家から相談を受けまして、家畜保健衛生所が機会をとらえて検査をしているところでありますが、この農家については、管理をしている先生が、家畜保健衛生所にも相談をして、35日で今回打つということに決めて打っていたということです。
(記者)
知事に伺いますけれども、抜本的な対策を見直すということで、これから検討されると思うんですけれども、ここを変えた方がいいんじゃないかみたいな部分はありますでしょうか。
(知事)
これは、今言ったように国の疫学調査もあるので、原因をしっかり分析しなければいけないと思うんですけども、こんな短期間で再発するということは、やはり相当深刻だと思うんですね。
ですから、今まで我々が考えていたいろいろな対策が本当に正しいのか、さらに対応を考えた方がいいのかということも考えなければいけませんし、今まで5回発生しているんですが、その中の共通点みたいなものも、まだはっきりとは言えませんけれども、あるようなので、そこを少し集中的にやるとか、そんな観点からよく検討してみたいと思います。今の段階では、まだ言えないんですけれども、やはり今までと同じやり方だったら防げないかもしれないという危機感を持ってやらないといけないと思っています。非常に深刻な事態だと思っています。
(記者)
そういう中で出ているのが、20日齢~50日齢ぐらいの離乳豚をどう守るかというところだと思います。そのあたりで子豚への2回接種という議論も、養豚農家さんの要望もあるんですが、そのあたりは・・・
(知事)
接種時期についての明確な判断というのも農水大臣に求めてきましたから、国がまずしっかりとした方針を踏まえてやっていくということだと思います。いろいろな形で何ができるかを検討していきたいと思います。
(記者)
罹患のタイミングは、これから分析すると思うんですが、子豚の中で抗体が安定する前に感染した可能性はあると見ていらっしゃるのかどうかを確認させてください。
(畜産課長)
子豚については、母豚から初乳を飲むことで抗体を持つことができます。ただ、その抗体は、移行抗体ですので、ある時期になると消失してしまいます。その時期が、ワクチンを打つ適期ということで、今までワクチンを打ってきました。
ですので、そのポイントが早まっているのかどうかについて、国からいろいろなデータを示していただいて、調整していかなければいけないと思っております。
県も、農家から相談があった場合に、そういった移行抗体が消失する、そういう時期を見計らって、どの時期にワクチンを打つことが適切なのかを、見極めて打っていくようにしていきたいと思っております。
(記者)
今回、死亡数が増加している豚は30日齢~40日齢ということなんですけれども、未接種の豚でも亡くなっている個体が増えていたということでいいんですか。
(畜産課長)
管理獣医師さんの報告で言えば、今回検査した豚はワクチンを打っているということです。(ワクチン接種の)前に死んでいた豚が打っていたかどうかについては、はっきりとしていません。
(記者)
35日齢の豚から接種ということなので、30日齢から40日齢と言われたということは、30日齢から35日齢の間の豚は未接種なのかなと思ったんですけれども、そこはいないというか・・・
(畜産課長)
35日齢から基本的に40日齢の子豚につきましては、日齢を決めて打つわけなんですけれども、この農家さんは、そのロットの中で35日という日齢が分かった段階で打っていたようです。そこを目安にしていました。ですので、それ以外の、例えばワクチンを打っていない豚が死んでいたかどうかについては、今回は、そういう状況は報告されていません。
今回、疫学調査が入っていくと、例えば他のロットでワクチンを打たない豚が死んでいたかどうかという数字を当然農家さんは記帳してますので、そういう数字が出てくれば、そういった豚も感染してたかどうかが出てくるかと思います。
ただ、通常だと先ほど言ったように、移行抗体が切れていれば確かにかかるんですが、30日齢ぐらいだと、まだ切れていなかったかもしれないです。そこら辺はまだ不明です。
ですので、疫学調査の関係で、そういった基礎的なデータが出てくれば、どの時期に感染があったという事実が出てくるかなと思います。
(記者)
通常であれば30日齢~40日齢は移行抗体で守られる時期ですよね。その辺りはどういうふうに理解してますか。
(畜産課長)
今まで、例えば50日齢で打つというのは、そこまでの間移行抗体があって守られているから、それが切れる時期ということで打っていたわけなんです。
ただ、今回の農家さんのように、30日齢~40日齢の間で、移行抗体が切れているというふうに管理している先生が判断なさって、そこの時期をめがけてワクチンを打ったんだと思います。移行抗体が切れている豚がいたりとか、まだ移行抗体が残ってる豚、そこら辺の数字については、今後、疫学調査の中で出てくるかと思います。
ただ、先生の判断としては、35日が適切だという判断があったんだと思います。
(記者)
結果的に見ればなんですけれども、やはりワクチンを打ってから抗体が上がるまで時間かかりますから、もう少し早めに打てていればという声が上がるかと思うんですけれども、そのあたりはどうお考えでしょうか。
(畜産課長)
早い時期に打つと、移行抗体が残っているかどうかということがやはり1つポイントになると思いますので、そういうのを見極めてからでないと、早めることはなかなか難しいということだと思います。
(記者)
県として一律に早めましょうみたいなアナウンスというのは、今のところするお考えはなくて、個々に判断していこうというお考えなんでしょうか。
(畜産課長)
今データをいろいろ分析をしたりとか、国の方にも照会をかけたりとか、また、今回も知事が大臣にお願いしてきておりますので、そういったところから、どのような時期に早めるのが一番いいのか、ただ、繰り返しますが、一律に農家すべてが早めていいというものでもないので、適切に農家さんにそれぞれ指導していくというのが必要かなと思います。
(知事)
よろしいでしょうか。
それでは最後に、県民の皆さまに、直接ご報告したいと思いますが、今日の記者会見でも報告いたしましたけれども、大変残念ながら、5例目の豚熱が発生してしまいました。
以前、桐生市内の農場でも発生したんですけれども、今回も桐生市内で発生してしまったということで、これは県としても、毎回申し上げていますが、様々な対策を打ってきたんですが、残念ながら発生を防げなかったということで、県民の皆さまにも、たいへん努力をしていただいている県内の養豚農家の皆さまにも、たいへん申し訳なく思っております。
先ほど申し上げたとおり、発生してしまった以上、とにかく広がらないようにできるだけ早く防疫措置をしっかりと打っていくということだと思いますが、やはり今回は、こんなに短期間で連続して発生したということを非常に深刻に知事としても受けとめております。
しっかりと結果を分析して、国ともよく相談をしながらですね、少し対策を抜本的に見直していかなければいけないと。そういう緊張感を持って、取り組んでまいりたいと思います。
今日から防疫措置を、県の職員が現場に出て始めます。
力を合わせて、できるだけ早く防疫措置も終わらせていきたいと思いますので、また関係者の方々、いろいろな関係機関の皆さまにもご協力をいただくことになりますが、ぜひともその点ご理解いただきたいと思います。
しっかり、群馬県の養豚業、残念ながら5回目の豚熱の発生は防げませんでしたけれども、引き続きこの養豚業を守るために、全力を尽くしていくということを改めてお約束して、緊急会見を終わりたいと思います。
また時間が経つと、新たな事実も出てくると思いますので、その都度また、メディアの皆さまにもお伝えしていきたいと思います。
今日は申し訳ありません。定例会見の後で臨時会見ということになってしまいましたが、お集まりいただきましてありがとうございました。
以上で臨時会見を終わりたいと思います。
(以上で終了)
文章中の()内については、メディアプロモーション課において加筆したものです。