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令和3年度当初予算案に関する臨時記者会見要旨(2月8日)

更新日:2021年2月8日 印刷ページ表示
  • 日時 令和3年2月8日(月曜日)午後3時5分~4時10分
  • 会場 記者会見室
  • 出席者 県:知事、副知事ほか
    記者:記者クラブ所属記者等 21人
  • 記録作成 秘書課(報道係)

 令和3年2月8日臨時記者会見動画(You Tube)<外部リンク>

 モニター資料(PDFファイル:1.4MB)

 質疑応答はこちらをクリック

知事冒頭発言

発表項目

1.はじめに
2.令和3年度当初予算のキャッチコピーについて
3.予算規模について
4.歳出の状況について
5.5つの重点施策について
6.組織改正について

1.はじめに

 それでは、臨時の記者会見を始めさせていただきたいと思います。
 会見の中身に入る前に、記者会見のYouTube配信について、今後の変更点をご説明したいと思います。
 県では、聴覚障害をお持ちの方にも、会見の中身をリアルタイムで知っていただきたく、すでに手話通訳を導入しているのは皆さんご存知だと思います。本日新しい試みとして、要約筆記による文字放送の配信試験というものを行っています。
 県のホームページの「知事記者会見のページ」にリンクを貼っておりますので、ご希望の方はそちらからご視聴いただければと思います。
 なお、要約筆記は、発言をその場で通訳することを基本としていることから、文字放送はライブ配信のみとなりますので、その点はご容赦をいただきたいと思います。
 今回の試験的な導入を踏まえ、問題がなければ、今週金曜日の定例会見から正式に導入したいと考えております。
 記者会見のスタイルについては、今後とも随時進化をさせていきたいと考えています。
 県民の皆さまからもご意見、ご感想をいただければと思います。ご意見、ご感想をお待ちしています。それでは、会見の中身に入らせていただきます。
 本日は、令和3年度の当初予算案について、発表させていただきたいと思います。

2.令和3年度当初予算のキャッチコピーについて

 最初のスライドをご覧ください。令和3年度当初予算のキャッチコピーになります。
 2つありますキャッチコピー、「新型コロナ封じ込め加速予算」、「新たな未来構築予算」と、こういうキャッチコピーにさせていただきました。
 令和3年度は、言うまでもなく、新型コロナウイルスの感染拡大を何としても封じ込めると、これが最大の使命だと考えています。この強力なウイルスから、県民の皆さまの命と健康を守る、さらに暮らしを守る、このことを最優先課題とした予算です。
 また、この2021年は、20年先を見据えて策定した「新・群馬県総合計画ビジョン」のスタートの年にも当たります。
 コロナの影響もあって財政状況が大変厳しい中でありますが、「始動
人の育成」とか、「ぐんまちゃんのブランド力強化」など、群馬県に「新たな富」を生み出す取組にも力を入れる、コロナ禍においても「前向きさ」というものは諦めない、こうした思いで予算を編成をさせていただきました。
 なお、この予算をご審議いただく令和3年第1回定例県議会は、2月17日に招集したいと考えています。

3.予算規模について

 令和3年度当初予算の総額は7,650億7,700万円です。平成20年度以降では、最大の予算規模ということになります。
 医療提供体制の確保など、引き続きコロナ対応に最優先で取り組む必要があるため、前年度に比べて約200億円増加をしているということです。
 次のスライドをご覧ください。歳入の状況を示したスライドです。
 歳入については、コロナの影響などによって、県税や地方消費税清算金が大幅に減少することが見込まれます。
 他方で、県債の発行額については、臨時財政対策債の増により大きく増加しています。
 この臨時財政対策債は、後年度の地方交付税で全額が措置されると、こういう仕組みになっていることは、ご報告をしておきたいと思います。
 なお、この臨時財政対策債や減収補てん債を除けば、県債の発行額は、前年度に比べて76億円抑制をしています。
 また、コロナ対応にかかる歳出増に対応するため、財源対策として、財政調整基金からの繰入金というものも増加をさせております。
 知事就任以来、事業見直しや公共事業の抑制など、財政の健全化に取り組み、基金残高を増やしてまいりました。そのおかげで、コロナ禍の厳しい経済状況にあっても予算編成に大きな支障をきたすことはありませんでした。
 これまでの取組にご協力をいただいた県民の皆さまに心から感謝を申し上げたいと思います。

4.歳出の状況について

 次のスライドをご覧ください。歳出の状況についてです。
 歳出については、コロナウイルス感染症対策経費の大幅な増加によって、その他経費が前年度に比べ394億円増となっています。
 また、社会保障関係費についても、少子高齢化を反映し、引き続き増加が見込まれます。
 他方で、公共事業費などの投資的経費は、厳しい財政状況を踏まえて抑制をいたしました。しかしながら、その中でも、防災・減災対策には重点的に予算を確保いたしました。
 このほか、税収の減少に伴い、消費税清算金支出や市町村交付金などの税関係の交付金等は大きく減少することを見込んでいます。
 それでは、ここから主な事業について、ご説明をしたいと思います。

5.5つの重点施策について

 次のスライドをご覧ください。これが柱となる5つの重点施策です。
 1つ目、「コロナとの長期戦を戦い抜く」。
 2つ目、「ニューノーマルの早期実現」。
 3つ目、「100年続く自立した群馬の実現」。
 4つ目、「新たな富や価値の創出」。
 5つ目、「財政の健全性の確保」。
 こうしたことに重点を置いた予算といたしました。
 先ほど申し上げましたが、まずは、コロナとの長期戦を戦い抜く、これが群馬県としての最優先事項になります。
 その上で、新・群馬県総合計画のビジョンで描いた20年後の未来を実現するための取組も進める。さらには、災害時に備え、将来世代の県民の幸福にもリソースを振り向け、そのために、財政運営の持続可能性にも配慮いたしました。
 それぞれ主な取組について、ご説明したいと思います。
 記者の皆さんには、お手元に資料もお配りしておりますので、そちらもご覧いただければと思います。
 まず最初に重点政策の1「コロナとの長期戦を戦い抜く」についてです。
 コロナとの長期戦を戦い抜くため、まず、医療検査体制の充実というものを図っていきます。
 具体的には、新規感染者の増加に十分対応できるよう、引き続き病床の確保等に取り組みます。
 また、必要な方が、より速やかに診療や検査を受けられるよう、相談・診療・検査体制の強化を図ってまいります。
 加えて、令和2年度中から開始されるワクチン接種の円滑な実施のため、国・市町村および関係機関と連携して、体制整備や流通対応というものを行わせていただきます。
 次のスライドをご覧ください。
 重点施策1のうち「感染防止対策」についてのスライドです。
 医療検査体制の充実に加えて、感染拡大防止対策のさらなる徹底にも取り組みます。
 具体的には、介護・障害・児童養護施設等に対し、感染者が発生した施設等に、感染防止対策などのかかり増し経費というものを補助するほか、緊急時における応援職員派遣体制を構築するなど、感染防止に配慮した福祉サービスが提供できるように支援をさせていただきます。
 また、安全・安心な公共交通を確保するために、バス・タクシー事業者に対し、高性能空気清浄機等による飛沫感染対策や、抗菌コートによる接触感染対策の取組にも支援を行います。
 次のスライドをご覧ください。
 重点施策1のうち「経済活動への支援」をまとめたものです。
 コロナとの長期戦を戦い抜くために、経済活動への支援にも力を傾注してまいりたいと思います。
 具体的には、コロナの影響を受けた事業者や、企業価値の向上を図る企業などに対し、長期・固定金利の制度融資により支援を行います。特に、コロナの影響を受けた事業者に対しては、新型コロナウイルス感染症対策資金として1,000億円の融資枠を確保し、国の制度等も活用しながら資金繰りを支援します。
 加えて、「ストップコロナ!対策認定制度」や「ニューノーマル創出支援事業」などの事業も継続し、感染症対策を行った事業者を、引き続き支援してまいります。
 続いて、重点施策2「ニューノーマルの早期実現」についてです。
 次のスライドをご覧ください。
 ニューノーマルの早期実現のため、行政と教育のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進してまいります。
 まずは、行政のDXを進めるため、県庁の情報通信のインフラであるネットワークシステムについて、クラウド対応やセキュリティの強化、通信回線速度の増強、テレワークなどの新たな働き方への対応など、大幅な機能アップを図ります。
 また、県庁内の業務システムについて、クラウドサービスへの移行可能性調査を実施し、調達・運用コストの節減や業務プロセスの効率化にもつなげます。
 また、教育のDX推進については、県内の公立学校におけるデジタル化の牽引役として、県の教育委員会に「デジタル教育推進室」というものを新設いたします。
 加えて、教育事務所に「教育DX推進コーディネーター」を配置し、教育DXを推進するとともに、小中学校には「教育DX推進スタッフ」を配置するなど、市町村の教育現場におけるデジタル化の取り組みを支援いたします。
 その他、行政・教育の現場に限らず、ニューノーマルに対応した働き方の推進にも取り組みます。
 具体的には、テレワーク関連施設の情報提供や県内企業向けのワークショップ等の実施により、テレワークやワーケーションの推進を図り、「テレワーク県ぐんま」のブランド力を高めてまいりたいと思います。
 次のスライドをご覧ください。
 重点施策2のうちの「防災・減災対策」をまとめたスライドです。
 ニューノーマルの実現は、コロナ対応に限った話ではありません。自然災害についても、近年、激甚化が常態化しており、こうした災害への備えも、重要なニューノーマルへの対応だというふうに考えています。
 県では、昨年度から、「災害レジリエンスNO.1」の実現に向けて、5カ年で緊急的かつ重点的に防災・減災対策を推進することとしています。令和3年度においては、水害対策、土砂災害対策などについて、ハード面、ソフト面の双方に力入れると同時に、災害時等に関係機関が結集して業務を行う「危機管理センターオペレーションルーム」というものを県庁舎の中に常設するための整備を行う予定です。
 次のスライドをご覧ください。
 重点施策2のうちの「医師確保や遠隔医療推進」に関するスライドです。
 ウィズコロナ・ポストコロナの医療提供体制の構築を図るため、将来の地域医療を担う医師の確保、遠隔医療の推進にも取り組んでまいります。
 まず、医師確保に向けた取組として、「ドクターズカムホームプロジェクト」を推進し、強力に若手医師の確保に取り組むとともに、医師の方々の働き方改革というものも推進をいたします。
 また、遠隔医療推進のため、過疎地域医療機関等への情報発信機器購入費の補助や、オンライン診療に関するセミナー実施などにも取り組みます。
 続いて、重点施策の3「100年続く自立した群馬」の実現についてです。
 「100年続く自立した群馬」を実現するため、官民共創コミュニティによるイノベーションの創出というものを目指してまいります。
 昨年、県庁32階に官民共創スペース「NETSUGEN」を整備いたしました。ここを拠点に、地域課題、人材、デジタル技術知識などが集まりつながることで、新たなアイデアやサービスが次々に生み出され、社会の変革につながるような好循環を生み出していきたいと考えています。
 また、県庁32階を会場にしたオークションの開催、あるいは、アーティストと経済人の異業種交流などによって、アートによる地域振興を図る「アーティスティックGUNMA」にも取り組んでまいります。
 次のスライドをご覧ください。
 重点施策3のうち「教育イノベーション」に関するものです。
 「100年続く自立した群馬県」を実現させるためには、それを担う人材の育成が何よりも重要だと考えています。このため、教育のあり方を改革・創造し、新たな時代を切り拓く「始動人」を育成してまいります。
 具体的には、小学校1年生から中学校3年生まで、すべての学年で少人数学級編制を導入し、ICTを活用した新しい学びと、感染症対策を実施する県独自の「ニューノーマル GUNMA CLASS PJ(プロジェクト)」に取り組みます。
 国では、今後5年かけて、小学校での35人学級を整えていく方針ですが、群馬県では、中学校を含めて、この方針を大幅に前倒したいと考えています。今年の4月から、全国トップクラスの少人数学級の環境を整えます。
 また、STEAM教育推進プロジェクト等にも積極的に取り組んでまいります。
 次のスライドをご覧ください。
 重点施策3のうち「ぐんま5つのゼロ宣言」に関するスライドです。
 災害に強く、持続可能な社会を構築するとともに、県民の幸福度を向上させるため、「ぐんま5つのゼロ宣言」の実現。さらには、SDGsの推進にも取り組んでまいります。
 前述した防災・減災対策の集中的な実施をはじめ、ぐんま再生可能エネルギープロジェクト、ぐんまゼロ宣言住宅促進、プラスチックごみゼロ、食品ロスゼロ等の様々な取組を展開いたします。
 また、産業分野におけるSDGsを推進するため、SDGs関連ビジネスを促進するビジネスマッチング等を実施させていただきます。
 次のスライドをご覧ください。
 重点施策3のうち「多文化共生・共創」、「児童虐待防止」に関するスライドです。
 県経済になくてはならない外国籍の県民の皆さまとの共生や共創についても、「100年続く自立した群馬」の実現には必要不可欠だというふうに考えています。
 令和3年第1回定例県議会には、多文化共生に加えて、全国の自治体で初めて、共に活力を創る「多文化共創」まで踏み込んだ条例を提出する予定です。
 この条例の制定にあわせ、まずは多文化共生・共創推進に向けた基本計画を策定するとともに、多文化共創に先進的に取り組む企業を認証する制度を創設するなど、各種啓発事業に取り組んでまいります。
 また、同県議会には、通告後24時間以内の子どもの安全確認など、本県独自の取り組みを盛り込んだ「群馬県虐待から子どもの命と権利を県民全体で守る条例」というものも提出する予定です。
 この条例の制定に合わせ、虐待再発予防ガイドラインの作成による児童虐待への対応等の強化や、里親確保等による虐待を受けた子どもの受け皿確保といった取組を、総合的に推進してまいります。
 続いて、重点施策4つ目「新たな富や価値の創出」についてです。
 このテーマは、非常にコンテンツが多く盛り込まれておりますが、代表的なものをご紹介させていただきたいと思います。
 スライドをご覧ください。
 重点施策4のうち「ぐんまちゃん」と「ロケ誘致」の話だけ、ここで取り上げてあります。
 ぐんまちゃんは、過去の会見でも何度も申し上げてまいりましたが、群馬県最大のキラーコンテンツと言っても過言ではないと思っています。その、ぐんまちゃんを世界中で認知される人気キャラクターに成長させるとともに、その知名度の高さを活用し、県全体のさらなる利益向上と県民の郷土愛の醸成を図ってまいります。
 全国的なプロモーションをもちろんのこと、制作を予定しているぐんまちゃんのアニメについては、令和3年度中のテレビ放映を目指してまいります。
 また、ロケ誘致も強化をしていきたいと考えております。
 誘致のための地域プロデュースとして、県内のロケ地等の開拓、ロケ地PV制作、英語版サイトの構築を行います。
 次のスライドをご覧ください。
 重点施策4のうち「林業」に関するスライドです。
 林業は、群馬県にとって、とても大事な産業だというふうにとらえています。ただ、今までのやり方を続けるだけでは、これは衰退していく以外にはないというふうに考えています。
 このため、森林林業予算を大胆に見直し、これまでの「治山・林道事業中心」から、「林業・木材産業の振興」にシフトすることで、林業における新たな富や価値を創出していきたいと考えています。
 まず、県産木材を使用した省エネ・創エネ住宅である「ぐんまゼロ宣言住宅」の普及を図ることで、県産木材の需要拡大、さらには、温室効果ガス排出量ゼロの実現を目指してまいります。
 また、省エネや創エネによって、建物内で消費する年間のエネルギー収支ゼロを実現する「ZEB」に関しても、構造材への県産木材使用というものを推進していきたいと思います。
 さらに、県産JAS認証材の供給体制の強化を図るために、JAS認証工場に製材を納品する小規模製材工場の設備投資というものを支援したいと思います。
 次のスライドをご覧ください。
 重点施策4のうち「観光戦略」に関するスライドです。
 観光戦略に関しては、ニューノーマルに対応した「新たな観光スタイル」の創出に重点を置くなど、構造転換というものを図ってまいります。
 まず、従来の「千客万来支援事業」を大胆に見直し、新たに「ツーリズムイノベーション」として、観光事業の平準化やデジタル化など、新たな観光スタイルの創出に取り組む市町村等への支援、あるいは、ワーケーションの推進、デジタル媒体を活用したプロモーションなどに取り組んでまいります。
 また、インバウンド誘客促進として、ポストコロナのインバウンド需要のいち早い回復を目指し、外国語観光情報サイトの刷新や、デジタルプロモーション等により、情報発信を強化してまいります。
 次のスライドをご覧ください。
 重点施策4のうち「eスポーツ」、「プロスポーツ」に関するスライドです。
 まず、eスポーツに関してですが、今年度開催した「U19eスポーツ選手権」の継続開催等により、県内経済の活性化を促すとともに、ぐんまのブランド力向上、「始動人」の育成というものを目指してまいります。
 また、eスポーツ振興と両輪で、調査や普及啓発等の依存症対策を推進し、健全にゲームを楽しむための土壌を整備したいと考えています。
 また、プロスポーツを活用した地域活性化にも取り組みます。「NETSUGEN」を活用した地域活性化手法の検討や、パブリックビューイングの実施等により、プロスポーツを核とした地域活性化、新産業創出を推進してまいります。
 次のスライドをご覧ください。
 重点施策4のうち「農畜産物」、「新産業・新技術」に関するスライドになります。
 本県の農業振興の鍵は「農畜産物のブランド化」にあると考えています。
 県産農畜産物の魅力価値を「ブランド」として、消費者に認知してもらうため、今年度に引き続き、G-アナライズ&PRチームの取組によって、農畜産物の強みをエビデンスベースで明示し、その魅力を発信してまいります。
 また、新産業・新技術創出に向けた取組を進めてまいります。
 湯けむりフォーラムによる新たなアイデアやイノベーションの創出、県内中小企業の製品開発や、DX推進を支援するなど、ポストコロナ時代に対応した新産業、新技術を創出するための各種事業を展開してまいります。
 最後に、重点施策の5「財政の健全性の確保」についてです。
 次のスライドをご覧ください。
 今回の予算案でも、財政の健全性を確保するため、行財政改革に取り組み、より効果が上がるような事業の転換や、投資的経費の抑制というものを行っています。
 それに加えて、計254件の事業の見直しを実施いたしました。具体的な見直しでの例の一部をスライドに掲載をさせていただきました。
 在宅要援護者総合支援については、市町村との役割分担や介護保険事業での代替などを考慮し、介護慰労金支給事業を除いて廃止することといたしました。
 尾瀬学校・芳ヶ平湿地群環境学習については、尾瀬や芳ヶ平湿地群の魅力を生かし、県内外の小中学校等がSTEAM教育を実施することを支援する「尾瀬サステイナブルプラン」にリニューアルさせていただきました。
 企業誘致推進補助金については、現行の補助制度は来年度で終了し、今後は地域経済に高い波及効果が見込まれる案件について、企業のニーズに応じたオーダーメイド型の支援を行っていきたいと考えています。
 千客万来支援については、原則として廃止し、ニューノーマルに対応した新たな観光スタイルの構築を重点的に支援することといたしました。
 イベント・プロモーション等については、ニューノーマルの視点を踏まえ、オンラインを活用するなど、より少ない予算で、より高い効果を上げるよう、手法の見直しを行いました。
 事業の見直しは今後も検討・調整を継続してまいります。
 次のスライドをご覧ください。
 重点施策のうち「歳入確保」に関するスライドです。
 事業見直しによる歳出削減とともに、歳入の確保にも積極的に取り組んでまいります。
 例えば、ネーミングライツですが、令和2年度から新たに2施設に導入し、8施設ということになりました。来年度は、さらに11施設について新たに導入を検討してまいります。
 加えて、ふるさと納税についても、クラウドファンディング型ふるさと納税を引き続き実施するほか、本県の魅力発信にもつながる特産品や体験型の返礼品を充実させるなど、積極的に寄付を募り、民間資金を最大限に活用いたします。
 企業版ふるさと納税についても、引き続き積極的な獲得を目指してまいります。
 次のスライドをご覧ください。
 重点施策5のうち「財源不足への対応」についてまとめました。
 今回の予算編成においては、新型コロナウイルス感染症の影響で、歳出の増加や税収の減少が見込めるため、財源不足は、令和2年度の123億円から191億円へと大きく拡大しています。
 この財源不足に対応するため、冒頭でも申し上げたとおり、財政調整基金を大きく取り崩しました。そのほか、退職手当債、行政改革推進債を合計で70億円発行することによって、厳しい財政状況の中で、何とか財源対策を行ったところです。
 他方で、事業の見直しも積極的に行いました。当初予算編成後の財政調整基金残高は24億円ということで、災害等への備えとして一定の残額を確保できたと考えています。
 予備費についても、コロナ対策のほか、CSF、豚熱等の不測の事態に機動的な対応ができるようにするため、7億円を計上いたしました。
 加えて、臨時財政対策債や減収補てん債を除く県債の発行についても、76億円抑制し、その残高も令和2年度の2月補正後に比べて、62億円減少できる見込みとなっています。
 引き続き、財政の健全性を確保し、一定の基金残高を確保しておくことの重要性、これは県民の皆さまにしっかりとご説明し、ご理解をいただきながら事業の見直しを進めていきたいと考えています。

6.組織改正について

 最後に、組織改正についても触れさせていただきます。
 次のスライドをご覧ください。
 組織改正に関する考え方、流れをまとめたスライドです。
 令和3年度の組織改正は、新・総合計画のビジョンの実現に向け、群馬県をさらに輝かせ、県民の幸福度を引き上げていく政策を強力に推進するための体制整備を行います。
 主な改正のポイントは次の3点です。
 1点目は、「行政・産業のデジタルトランスフォーメーション」を集中的に推進する体制整備です。
 今回の新型コロナウイルス対応では、日本中で行政や産業界のデジタル化の遅れが顕在化いたしました。その遅れを挽回して、群馬県を日本最先端クラスのデジタル県に変えていきます。
 そのため、CDOと連携してDXを強力に推進する部長級のデジタルトランスフォーメーション推進監というものを設置いたします。
 また、デジタルトランスフォーメーション課に、戦略策定を通じて取組を推進する「DX戦略室」というものの新設をいたします。
 業務プロセス改革課には、情報システムの一体的な整備・運用を図るため、「デジタル基盤室」を新たに設置いたします。
 さらに、各部局長を推進責任者に位置付け、すべての部局の主管課にDX担当係というものを設置する方針です。
 2点目は、「市町村との連携強化を図る体制整備」になります。
 新しい群馬を創出するためには、市町村との連携強化が欠かせません。
 県内全域・分野横断で市町村としっかり連携するため、県内全域に振興局を設置します。また、市町村としっかり連携し、地域創生を推進するため、地域創生部に地域連携担当の副部長、地域創生課に、地域連携主監を設置いたします。
 3点目は、「健康福祉部の体制強化」です。
 喫緊の課題である、コロナとの長期戦を戦い抜くため、さらには活力ある健康長寿社会の実現に向けて体制を強化します。
 新型コロナ対策のほか、がんを始めとした疾病対策にしっかり対応するため、保健予防課を感染症対策と疾病対策に特化した、「感染症・がん疾病対策課」に改組いたします。また、活力ある健康長寿社会の実現に向けて、「健康長寿社会づくり推進課」というものを設置いたします。
 以上、来年度の予算並びに組織改正について、ご説明をさせていただきました。
 冒頭申し上げたとおり、新型コロナウイルスの感染拡大を何としても封じ込める。また、そうした中でも、群馬県に新たな富を生み出す取組にも力を入れる。こうした思いを実現させるため、県庁一丸となって取り組んでいきたいと思います。
 なお、これは令和3年度の当初予算でございますので、ここからしっかりと県議会の議論を経て、この予算をですね県議会で議決していただくように、県としても丁寧に説明し、了解を得てまいりたいというふうに思っております。
 ちょっと長くなりましたが、少し丁寧に説明させていただきました。私からは以上です。何かご質問があればお受けしたいと思います。

質疑応答

(記者)
 まず、今回の予算はタイトルが2つあってですね、上の方はコロナ対策なので基本的には守りのイメージだと思うんですけれども、「新たな未来構築予算」という方は攻めのことだと思うんですけれども、財源もかなり厳しい中で、例えば、考え方によっては、今回も守りに特化して、責めないでひたすらコロナを手厚くするという考え方もあると思う中で、知事は今回、新たな富の創出ということで、攻めの方にも予算配分されましたけれども、こうした新たな富を生むような、攻めの部分の必要性ということについて、知事はどういうふうにお考えになられて、どんな思いを込めて予算編成をされたのか教えてください。

(知事)
 まず、先ほども冒頭の説明の中で申し上げましたが、令和3年度においてもですね、群馬県が取り組むべき最大の課題は、新型コロナ感染拡大を封じ込めることだというふうに思っています。
 ですから最初に、2つキャッチフレーズを作ったんですが、「新型コロナ封じ込め加速予算」ということで、書かせていただきました。先ほどもちょっと説明しましたが、医療提供体制、感染症防止対策を含めて様々な対策を引き続き強力に進めていきたいと思います。
 ただ、もう何度も言ってるようにですね、守るだけでは、なかなかやはり活力は生まれてこないんです。
 感染防止対策はもちろん大事なんですけど、これを最優先でやりながら、例えば、経済も回していかなければいけないという流れがあるわけなんですけども、特にこうした厳しい財政状況の中だからこそ、既存の事業を見直しながらも、将来、やはり群馬県を大きく飛躍させることに繋がるような予算は、やはりここでしっかりと組んでおくべきだろうと。守るだけでは、未来はつくれないんですね。
 ですから、守りに全力を挙げながらも、しかしながら、新たなニューノーマルの未来もにらんだ、しっかりとしたそういう芽を作っておくということがとても大事だというふうに思っています。

(記者)
 その上で、既存の事業の見直しとかで財源を確保するということを今もおっしゃいましたけれども、今回254事業の見直しもされてますけれども、この事業見直しにあたっては、どのような観点を重視して見直しをされたか教えてください。

(知事)
 それは、先ほども申し上げましたが、今県の財政状況は極めて厳しいということはもうご存知のとおりだというふうに思っています。コロナ禍でものすごく経済も痛んでいて、当然、県税収入も減るし、消費も減っていくということですので、何でしたっけ、質問の趣旨は。ごめんなさい。

(記者)
 こういうふうに254事業を・・・

(知事)
 見直しについてですね。すいません。いろんなこと一緒に考えてることでお許しください。
 そういう中で、きちっと財源を生み出すためにはですね、やはり既存の事業を見直していかなければいけないということだというふうに考えています。
 あえて5本目の柱の中に、財政改革の必要性というものを挙げたのはですね、これからコロナ対策をしっかりと進めていくためにも、きちっと財政改革をやりながら、例えば、先ほど申し上げた財政調整基金みたいなものを残していかないとですね、いざという時に対応できないですよね。
 例えば、昨年は運良く大きな台風が来なかったんですけど、例えば大きな災害があった時にはですね、財政調整基金を活用しなければいけなくなるんですよね。
 つまり、国のように借金する、起債するということは、県はそんな簡単にできませんから、財政調整基金が不足するとですね、既存の事業を凍結しなければいけないという事態も考えられますので、とにかく財政確保しっかりやらなきゃいけないという観点から、こうした事業を見直させていただきました。
 同時に、ただ単にお金を削るということじゃなくて、例えばDXの観念を取り入れるとか、予算の考え方を変える、フォーカスを変えることによって、より生産性を高めるとか、そういうところにも配慮して、この254件の事業の見直しを行ったということだと思います。
 友松(総務部長)さんの方から補足があればお願いします。

(総務部長)
 群馬県の財政ですけれども、中期財政見通しを作成してお示しをさせていただいております。その中で、他県に比べても、やはり群馬県の財政状況は厳しいということは説明させていただいてきたところであります。
 そういった観点で、将来にわたって財政の安定性を確保するということは大事でありますし、時代も大きく変わってるということがありますので、やはり、山本県政のもとで、より効果が上がるような予算の使い方はどういったことなのかということを、抜本的にいろんな議論をさせていただいて、今回の見直しに結びつけていったということでございます。

(知事)
 もうちょっと丁寧に言うとね、さっきも言及したんですけども、林業はものすごく大事だと思ってるんですが、何度もここで申し上げているとおり、今までみたいな予算の使い方だったら、これ残念ながらジリ貧なんですね。ですから、産業としての競争力をどうやって作っていくのか、どうやったら収益の上がるビジネスをつくれるのかという観点で、予算の考え方をかなりシフトしたってことがあります。
 それから観光政策についても、これまで千客万来事業みたいなことやってたんですが、コロナ禍において、このニューノーマルで、観光振興のビジネスモデル自体を大きく変えなきゃいけないということから言うと、この千客万来事業は基本的に一回廃止をして、ニューノーマルの中の新しいビジネスモデルを追求する予算を新しく作ったと、こういうこともですね。今、友松部長がおっしゃった、どういうふうな予算を使ったら最も効果があるかということを勘案して編成をしたということの好例かなというふうに思っています。

(記者)
 今回の予算案なんですけども、先ほどご説明をいただいた守りの部分と攻めの部分ともに、攻めの部分ではあっても、やはりコロナの影というか、コロナとの共存というか、そういうものを前提とした中身が詰まってるというふうに感じたところなんですけども、全体のとらえ方として知事はですね、新型コロナウイルスと我々との関係というのは、これからどういうふうになっていくということを見込んで、今回のような予算を作ったということになるんでしょうか。

(知事)
 私は何度も言ってるように、ウイルス感染症の専門家じゃないので、これからコロナ感染症、このパンデミックがどうなっていくかというのを、なかなか専門的に予想することはできないと思うんですけども、しかしながら、何度も言ってるように、この新型コロナウイルスというものをせん滅することはできないんだと思うんすよね。
 ある程度ウィズコロナの感覚を持ちながら、おそらく世の中動いていくんじゃないかというに思っています。
 今アメリカで、いろんなワクチンの緊急使用が承認されて、世界各国で接種が始まっているので、これについては、前回の記者会見でも申し上げたとおり、国の方針もよく確認しながら、しっかりとワクチン接種が実施できるように、県としても最大限サポートしていきたいと思いますが、これですべてが解決するというふうには思ってません。もしかしたら、また新しいコロナウイルスが出てくるかもしれませんし、ウイルス自体もどんどん変異種が出てきてるわけであって、このワクチン接種はこのコロナ感染を封じ込めるための、ある意味でいうとですね、これはもう切り札として日本政府も使うと思いますし、群馬県としてもしっかりやらせていただきたいと思いますが、ニューノーマルの時代は続くというふうに思っています。
 これは、先般まとめた新しい群馬県の新・総合計画、ビジョンを貫いてる考え方なんですけども、やはりニューノーマルの時代は続くんだと思います。その中で、我々は新しいビジネスモデルを、いずれにせよ、模索していかなければいけないと、こういう大きなコンセプトの中で編成をしたということです。
 それから、記者さんから非常にいいポイントを指摘していただいたと思うんですけども、もちろん、今回は守りと攻めなんですよね。
 群馬県民の方々を新型コロナウイルスの脅威から守る。健康・命と同時に暮らしを守るということなんですけども、この攻めの政策の中にもですね、例えばNETSUGENなんかもありますけども、ここで展開されることというのは、ニューノーマル時代の、例えば、ビジネスに対するアイディアとかイノベーションかもしれないと。それは実は、コロナ対策にもつながってくるんだろうというふうに思います。
 このぐんまちゃんのアニメ化というのは相当大胆な取組で、いろいろ議論もあるところだと思うんですが、これは他の都道府県では決してできない、まさに先駆的な取組だと思ってるので、このぐんまちゃんの知名度がものすごく上がることによってですね、群馬県のブランドが上がるということもですね、実はこの県民を守るというところにつながっていくんだろうというふうに思っています。

(総務部長)
 よろしいでしょうか。総務部長ですけれども、コロナ対策につきましては今回、総額454億円の予算を計上しているところであります。しっかりコロナに対応してですね、早期の収束を図るということであります。
 一方、組織の関係、知事にも説明していただきました、感染症対策にしっかり取り組むということで、これまで保健予防課で対応してきたわけなんですけれども、ここの業務を整理しまして、体制を強化するということで「感染症・がん疾病対策課」に改めるという組織改正も行うこととしております。

(記者)
 ぐんまちゃんの事業について伺いたいんですけれども、3億円あまり盛り込まれてますけれども、知事としては、ぐんまちゃんのブランド化というのは、どういうふうな存在にしていきたいというイメージがあってのことなんでしょうか。

(知事)
 ぐんまちゃんは、コンテンツとして非常に大きな可能性があると思ってるんですね。例えば、先行事例でいうとですね、くまモンとかふなっしーの経済効果は、確か私が記憶してるとこだと、6,000億とか7,000億に達してるというふうに言われてるんですね。
 これも会見の場で何度も言ってますが、ぐんまちゃんの今の知名度というのはですね、昨年の某リサーチ会社の調査によると、3割半ばぐらい。くまモンとふなっしーは、全国的な知名度が8割を超えてるんですね。これすごいなと思って。ぐんまちゃんは5番です。1位がくまモン、2位がふなっしー、3位がせんとくん、4位がひこにゃん。(ぐんまちゃんの知名度は)35%か36%なんですけども、関東地域では5割近いという調査もあるんです。
 このぐんまちゃんの知名度を上げるということは、実は非常に群馬県のブランドを上げるということについても効果が高いと。これはくまモンの例を見ても明らかだと思うんですよね。
 ですから、ぐんまちゃんのブランド力というものを、国内というか、できれば世界的に高めることによって、そこまでできるのかと言われるかもしれませんが、世界経済の活力、日本だけじゃなくて、そういうものも取り入れながら、新しい富を産んでいけたらなというふうに思います。
 そのための第一歩として、このアニメ化というのは、どんな効果を生むのかというはこれからですけども、非常に意味のある一歩だというふうに思っています。
 この3億円の予算のことについては、またいろいろ県議会の方からも指摘があると思いますので、このぐんまちゃんをアニメ化する、ぐんまちゃんをブランド化する効果については、少し我々も、もうちょっといろんな形で効果をまとめて発信したいと思いますけども、この初期投資よりも、ずっと大きな効果があるということを、私は知事として確信してます。

(記者)
 ゆるキャラグランプリが終わってしまうことが決まっていたりとか、一時期のブームを考えると、こういうキャラクターの部分みたいなものも曲がり角に来てるのかなという印象もあるんですけれども、それでも知事としては、まだ可能性はあるとお考えですか。

(記者)
 そうですね。依然として熊本県にとってくまモンは、ものすごく重要なブランドですよね。
 先般、熊本県出身の某大臣と話をしたときも、向こうはずっとくまモンのぬいぐるみを持って画面に登場してますから。それだけ県民から愛されて、熊本県民の誇りになって、アイデンティティにもなって、何となく誇りの醸成にも繋つながってるんですよ、くまモンが世界的に有名だということが。
 そういう意味でも、ぐんまちゃんのブランド化を進める、もっともっと進化させてブランド価値を高めるというのは非常に意味があると思っています。

(記者)
 今回の予算編成について、改めて難しさというか、コロナによる税収減と歳出も増やさないといけないという中で、特に昨年と比べて、こういうところが難しかったというところがあれば。

(知事)
 そうですね。記者さんがおっしゃったように、まずは、財政的に非常に厳しくなってると。
 これは、長く続くコロナ禍で、相当経済も傷んでいるので、さっき言ったように県税収入は当然減りますよね。
 同時に消費も減っていくという中で、既存の事業を見直さなければいけないというのはかなり大変でした。
 これは友松総務部長からも率直な感想をもらえればと思いますが、やはり一番大変なのは既存の事業を見直すことなんですよね。
 既存の事業というのは、そこに関わってきた人たちがいるわけであって、そこに対して、例えば事業のフォーカスをシフトすることも、もちろん説明が必要だし、一つの予算をやはりなくすというのは、厳しい作業なので、今回もですね、こういう予算発表するまでにはいろんな調整が必要でした。
 もちろんこれはまだ案ですから、きちっとこれから県議会に説明をして、議決をしてもらわなければいけないわけなんですけども、大体、総論賛成、各論反対なんですね。これを乗り切れないと、群馬県の財政改革はできないので、そこはもう1年半経ちましたけども、知事としてかなりの覚悟を持って進めてきたというふうに思っていますし、今回も、なかなかこの会見で言ったクオンタムリープというね、一気に世の中をバーンて変えるみたいな跳躍はできなかったかもしれませんけども、相当各部局に知恵を絞ってもらって、いろんな意味で委員会でも説明を尽くしてもらって、目指すべき方向に一歩進めた予算であるというふうに思っています。
 何か総務部長からありますか。

(総務部長)
 知事に今言っていただいたとおり、今まで行ってきた事業を見直すという作業が、本当に大きな苦労が一つ一つあるわけでありますので、そこのところは、知事、副知事を先頭にですね、また各部局の方でしっかり議論をさせていただいて、そういったものを積み上げてきたということであるんですけれども、一つ言えるのは、基金の残高が従前よりも復元させることができたと、その結果として、今回、予算編成をこのような形で行うことができたということだと思います。
 財政調整基金は、令和2年度では26億円取り崩して、今回121億円を取り崩すということで、非常に基金残高の取り崩しが大きくてですね、残高が減るように見えるかもしれないんですけれども、もともと基金というのは、災害ですとか、税収が非常に厳しいですとか、そういったときのためにある基金であります。
 国の場合には、財政に困ったときには赤字国債が発行できる仕組みになっているわけですけれども、地方公共団体の場合には、この基金が頼りでございます。
 そういったこの基金につきましては、これまで非常に減少傾向であったわけですけれども、知事のもと、いろんな見直しをすることで、基金の残高を復元させてきたと。
 その結果として、今回121億円の基金の取り崩しができたということだと思います。その結果、予算が編成できたというふうな言い方ができるというふうに考えております。

(知事)
 せっかく記者さんからよい質問をしていただいたんで、もうちょっと申し上げるとですね、昨年もそうだったんですが、今回もこの予算編成に向けた知事ヒアリングは、かなり時間をかけてやりました。
 もう会議に入ってもらいたいなと思うぐらい。どのぐらいみんなが真剣にやっているかは入ってもらえばわかると思うんですけども、各部局から知事ヒアリングをやってですね、場合によっては、もう1日に7時間とか8時間とか議論を重ねて、相当徹底的に議論をして予算を編成したということで、いろいろありますけども、県庁各部局の部長も、それから課長もすごく一生懸命頑張ってくれて、こういう人たちと仕事をできるというのは、お世辞抜きで誇りに思います。
 私は本当に群馬県知事になってよかったというふうに思いました。
 それからもう一つ、これはとても大事なことなので、今日どこかで言おうと思ったんですが、財政改革の話。さっき言った財政調整基金のお話なんですが、私のブログをご覧になっている方は気づいたかもしれませんけど、知事選挙に出ると決めた後、ずっと群馬県の財政状況とかを調べている中で、財政調整基金が、私が知事選に立候補する前に15億円しか残っていないことはわかったので、これをブログで取り上げてですね、大丈夫なのかと。普通、群馬県ぐらいの経済規模の県はですね、数百億ないといけないんです。
 ちょうど私がブログを書いた数年前に、福井市が大雪である意味、財政破綻して、120ぐらいの事業を止めて、市長ほか、みんながお詫びの会見をしたという事件があってですね、こういうことは群馬県にも起こり得ると書いたんですね。
 以来、去年の予算編成のときもそうなんですけど、この15億円ぐらいの残高をもっと増やさなければいけないということで、一生懸命、一生懸命やって、それで52億円ぐらいまで残高を残したんですよ。
 その後ですね、実は今、友松総務部長からありましたが、財政調整基金は今年度はきっと150億円、ようやく3桁になって、150億円ぐらい残せるかなと思っていたときに、このコロナ禍に見舞われて、これが伸びてですね、相当ここから取り崩したということで、それでもよく24億円ですか。

(総務部長)
 2月補正後で145億円です。
 そこから121億円を取り崩して24億円の残高になるということです。

(知事)
 それでもよく24億円残したと思いますね。
 ただこれは、もう1回言いますが、栃木県とか茨城県は400億とか500億ですからね。
 財政調整基金があれば、例えば今回増えている減収補てん債だって、増えないわけじゃないですか。
 だからこれはですね、もちろんコロナは非常事態だからしょうがないと思いますが、コロナが収まったらやはり、この財政調整基金みたいなものは、きちっと財政改革をやりながら残していかなければいけないというふうに思っています。すいませんちょっと長くなりました。

(記者)
 厳しい編成作業だったという話をいただいたところで、本当だったら知事としたらこれを入れたかったけど、諦めざるを得なかったというのが今回の中であったのか。
 そういう厳しい中だと、厳選したような事業が今回並んでいるんだと思うんですけれども、改めてどう成果を上げていきたいかという思いをお聞かせください。

(知事)
 まずですね、新型コロナがなかったら、やりたいことは山ほどありました。
 それは、「全力疾走スタートダッシュ366プラン」を見てもらえばわかるんですけども、もしコロナがなければ新しい366プランを出していたと思います。
 山ほどやりたいことがあったんですが、これはやむを得ないと思います。
 全国どの自治体も新型コロナ対応に最大の力を注がなければいけないという状況の中で、これはやむを得なかった。
 だから、どれをやりたかったかと言うと山ほどあるとだけしか言えないんですが、それでもこういう厳しい制約がある状況の中で言うとですね、さっきも申し上げたとおり、新型コロナ対策には我々としてできるだけの予算を割きながらも、しかし、新しい富とか価値を生み出すところにも目配りをし、なおかつ、確かに臨財債とかは増えていますが、これを除くと県債残高を62億円ぐらい、やっぱり減らしているということを見ればですね、全体としては、相当各部局にも頑張ってもらいましたが、相当頑張って予算編成をしたなという感触を持っています。

(記者)
 今回、事業見直しで8.1億円見直されたということなんですけど、この8.1億円という額に関しては、知事としては少ないと見ているか大きいかその辺の受け止めを教えてください。

(知事)
 これはいろんな見方があると思いますが、よくコロナ禍でしっかりと8億円見直していただいたなと思うのと、それから予算全体として見るとですね、さっき言った我々として財政改革の努力も怠らずにやったといえる理由はですね、投資的経費。公共事業はかなり抑えたというふうに思います。
 これをもし令和2年度やっていなかったら、たぶんですね、予算組めなかったです。
 そういう意味で言うと、投資的経費を全体で見るとかなり抑えたということがあります。ただ、公共事業を抑える中でも、その中でもメリハリをつけて、先ほど申し上げたようにですね、予算の中で防災・減災対策、特に水害対策なんかにはしっかりとメリハリをつけて配分したというふうに思いますけども、全体としては、全体の予算額は、もちろんこうやって新型コロナ対策で増えてしまいましたが、相当頑張って抑制した部分もあるかなというふうに評価しています。

(総務部長)
 補足ですけど、知事に言っていただいたとおり、公共事業につきましては今回52億円、前年度に比べて抑制をしております。
 これは見直しの件数ですとか、金額には含まれていないんですけれども、補助事業であれば国庫補助金ですとか、起債も充てられるということなんですけれども、一般財源もこの中には関わってくるわけなので、その一般財源を節減することができたということと、あとは起債をすれば、その部分につきましては、翌年度以降償還ということが出てまいりますので、将来的な負担を抑えることができたというふうに言えるかと思います。
 大きな見直しということにつながるものと考えています。

(記者)
 先ほど部長も少し言及されていましたけど、昨年10月にですね、県の方で中長期的な財政状況の試算を出されていまして、コロナを考慮していないものの来年度にかけて、かなり財源不足額が減少していくと。
 今回コロナでシミュレーションよりも財源不足額196億円というのは大きいわけなんですけど、これは今回コロナでこのような予算を組まないといけないことになったことで、中長期的なですね、財政の健全化に対してどのような影響が出てくるのか、知事のお考えを伺わせてください。

(知事)
 まず総務部長からお願いします。

(総務部長)
 今回、基金を前年52億円から取り崩し額が大きくなったということで、24億円の残高になっていますので、将来的には、やはり早く復元ができるように取り組んでいかなければいけない。
 今回はその分は、これまでにあった蓄えを取り崩しているということですので、中長期的にはマイナスがあるわけですけれども、これについてはそういった課題に、しっかり取り組んでいく必要があると考えています。

(知事)
 記者さん言ったように、今回のコロナ、新型コロナ感染拡大、このコロナ禍が続いていることでですね、群馬県だけじゃないと思いますが、当然、将来の財政健全化についてプレッシャーがかかっていくということも事実です。それはどの県でも、国でもそうだと思うんですよね。
 でも、その中でも総務部長が言ったように、我々としてさまざまな工夫をし、努力をし、何とかこの財政健全化の歩みを止めないように、いろんな努力をしていきたいと思っています。

(記者)
 話が変わるんですけど、今回、組織編成で振興局というのを新設されると思うんですが、振興局を新設というか、名前を変えることで具体的にどういったふうに連携強化されるのか。効果みたいなものを教えていただけると。

(総務部長)
 振興局は新設ではございませんで、こちらの方の資料でまたご確認いただきたいんですけれども、現状、7振興局と4行政県税事務所ということでエリア分けがされているわけなんですけども、これを九つの振興局という形に改めようということであります。
 これまで前橋と佐波・伊勢崎、高崎・安中、太田の地域につきましては、振興局を置かないで、行政県税事務所で市町村との連携等を担当してきたわけなんですけれども、ここのところを全部振興局を置く形にしまして、前橋・伊勢崎・佐波で一つ、高崎・安中で一つ、太田は館林・邑楽としてまとめて一つという形にしまして、全体では9つの振興局という形で、振興局の方は事務所より格が上になります。局長が置かれるということになります。
 しっかり市町村と連携をして、地域振興、災害対応、コロナ対応、そういったものをしっかり進めていこうということでの再編でございます。

(記者)
 他にありますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 今日は結構丁寧に説明させてだきましたが、長時間お付き合いいただいて感謝を申し上げたいと思います。
 臨時会見ですから、知事の最後の呼びかけはいたしませんが、もう1回言います。
 これは予算として、これから県議会に提出いたしますので、そこで十分な各委員会でも議論していただいて、しっかり我々もですね、説明をして、この予算を議決していただくように努力してまいりたいと思います。今日はありがとうございました。

(以上で終了)
文章中の()内については、秘書課において加筆したものです。