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令和2年8月28日臨時記者会見動画(You Tube)<外部リンク>
それでは、臨時記者会見を始めさせていただきたいと思います。
今日、午後5時からの記者会見で安倍内閣総理大臣が正式に辞意を表明されました。
このことは、中央政府はもちろん、地域の政治や経済にも大きな影響を与える出来事だと思いますので、それを踏まえて、こうして緊急の会見を開かせていただきました。
まず、最初の感想を申し上げると、大変驚きました。私自身は、今日の夕方の会見で、総理の方から健康不安説を払拭していただけると、このように思っておりました。今日、正式に辞意を表明されたということは、大変残念に思っております。
しかしながら、総理も17時からの会見の中で、「まだ解決しなければいけない問題は残っている。これは断腸の思いである」というお話もありました。いろいろ考え抜いての結論なのではないかと思います。
持病が再発したということも、おしゃっておりました。ご自身の体調の件で、国政に少しでも停滞を及ぼすようなことはあってはならないということで、これはこれでリーダーとしての立派なご判断ではないかと思います。
いろいろ質疑なども、先ほど聞いておりましたが、タイミングとしても、ここしかないとご判断されたのかなと思います。その上で、安倍内閣総理大臣には、本当にお疲れさまでしたと申し上げたいと思います。
8年近い長期政権を担ってこられたということです。私にとっては、やはり安倍総理は特別な存在です。若手議員の頃から、いろいろとご指導いただきました。同じ清和会に属していたということもあって、いろんな政局も実は一緒に戦わせていただきました。
第二次安倍内閣では、1年10カ月、2年近く、内閣府の特命担当大臣も務めさせていただきました。大変勉強になりました。改めて、安倍総理にお礼を申し上げたいと思っております。
総理との思い出を上げると、数限りないんですけれども、例えば、北朝鮮問題ですけれども、今、北朝鮮に対して圧力をかける手段となっている二つの経済制裁法案、これは私も、この(法案の)成立に大きな貢献を果たした一人だというふうに自負をしておりますが、当時の河野太郎議員、今の外務大臣とか、今の官房長官にもお声をおかけして、法案の中身を検討したんですけれども、最初は外交部会に全く相手にされなかったのですが、安倍総理が官房長官になって、後押しをしていただいて、さらに幹事長として後押しをしていただいたおかげで、成立したというふうに思っております。
また、知事に立候補する際もですね、いろいろと後押しをしていただきました。総理との電話の模様は、当時のブログにも詳しく書きましたけれども、あのとき総理に強く引き止められていたら、なかなか立候補できなかったかもしれしれないと思いますので、私の決断を、そういう意味でいうと、サポートしていただいた総理に、この点でも感謝をしています。
また、知事に就任した直後にですね、官邸で時間を作っていただいたということもありますし、また、知事就任早々に遭遇した豚熱、CSF問題についてはですね、官邸で時間を作っていただいたり、農水大臣にもいろんなご指示をしていただいて、ご支援をいただいたと、このことにも、改めて感謝を申し上げたいというふうに思います。
この1年10カ月、2年近い、閣僚時代のことを思い出すとですね、総理大臣というポストが、いかに孤独で、いかに過酷なものであるかということを、実は目の当たりにする場面が結構ありました。その意味からいうと、過去の大変な挫折から立ち直り、復活をして8年近く総理大臣という、この激務、歴代最長の政権ですけれども、このリーダーとして、困難に立ち向かって、ここまで総理を務めてきた安倍首相の強靱さ、精神力、体力、そして、使命感、こういうものについては、政治家として心から改めて敬意を表させていただきたいと思います。
安倍内閣、この8年近い内閣については、もちろん様々な評価があると思います。私は国会議員を24年間務めた経験からいくとですね、私が知る限り一つの内閣で、これほどの仕事を残した、業績を残した政府はないというふうに思います。今日の会見の中で、総理がですね、この政権のレガシーについて聞かれて、「これは歴史が判断する」とおっしゃったのですが、個人的には、戦後を代表する宰相の一人として歴史に刻まれるということを確信をしております。
いろいろ実績を挙げれば、きりがないと思うんですけれども、何と言っても「国際社会における日本の存在感を高めた」このことについては、大変大きな私は成果を上げられたんじゃないかと思っています。
国際舞台で、これだけ存在感を発揮した日本のリーダーはですね、過去にもほとんどいないのではないかというふうに感じでおります。
新型コロナとの戦いは、長期戦だということは、何度もここでも申し上げました。今、この状況の中で、こういう未曾有の事態でですね、どんな政策をやっても批判されると、こういう状況の中で、本当に安倍総理以外に、今、政府のリーダーを務められる方が本当にいるのかなと、正直言うとですね、こういう不安を持っていることは事実でありますけれども、私が24年間所属をした、苦しいときも離れずに、プライドを持って活動した、この自民党には、すばらしい人材が大勢おられますので、ここはどういう決め方をされるのか、党でお決めになることだと思いますけれども、一刻も早く新しいリーダーを選んでいただいて、そのリーダーの元で結束して、我々が今、直面しているこの未曾有の危機、新型コロナウイルスとの戦いをですね、ぜひ、勝利に導いていただきたいと考えております。
今日の会見をお聞きしていたら、この後は、一議員として活動したいというお話がありました。今の総理の国際的な人脈とか、あるいは、党内での人望等々を考えるとですね、総理を退かれても党内、日本の政界に大きな影響力を残すことは、これは、間違いないと思います。
今後は、前総理として、ぜひですね、引き続き日本のためにご尽力をいただければありがたいなと、こんなふうに感じています。
総理も忙しいと思うんですけれども、いろいろ東京で私もやらなければいけないことがあって、コロナの状況も、もちろんよく見極めてからということですけれども、近いうちに1度、官邸をお尋ねをして、ぜひ総理にお目にかかりたいなと、慰労も申し上げたいと思いますし、群馬県としてのご要望も直接お伝えしたいと、こんなふうに感じております。
私からは以上です。何か皆さんから、ご質問があればお受けしたいと思います。
(記者)
今、知事は安倍総理についてですね、これだけ存在感を示したリーダーはいないのではないかということをおっしゃっていました。
特に安倍総理の成果はどういうところにあるのか改めて教えていただけますか。
(知事)
そうですね。先ほども申し上げたとおり、外交安全保障の世界で言うとですね、日本がこれだけ国際舞台で存在感を発揮したことはいろんなデータから考えても、あるいはメディアカバレッジ(マスコミ報道)から考えてもなかったと思います。
例えばダボス会議に、特命担当大臣の時に総理に同行させていただきましたが、日本の総理としてダボスで初めて基調演説をしたのが安倍総理でした。
さらにその後、これも大臣として何度も進言をさせていただきましたが、シンガポールで行われているシャングリラダイアローグという安全保障の有名な会議があるんですけれども、ここでもキーノートスピーチ(基調講演)をやって、実はこの時の国際的なメディアのカバレッジというのは、おそらくダボス会議を上回っていたということで、その点は本当に大きな成果があったと思います。
これもいろんな見方があると思いますけども、総理に就任したときの経済の状況を考えればですね、経済再生に対しても大変大きな功績を上げられたのではないかというふうに感じておりますし、また実は自民党の歴代政権を見てみるとですね、なかなか歴代政権が踏み込めなかった難しい問題にこれほど切り込んだ内閣はないんじゃないかと、こんなふうに感じてます。
(記者)
冒頭に今回の辞任について、地域経済にもですね、大きな影響があるんじゃないかとおっしゃっていました。具体的に何かありますかね。
(知事)
それは今日、総理が会見で、新型コロナウイルス対策の新たな方針もまとまったというふうにおっしゃったんですけれども、新たな方針は我々が記者会見で発表したガイドラインの見直しともだいたい流れが合っているなというふうには感じているんですが、ここからもやはり、新型コロナウイルスとの戦いは続くと。場合によっては、10、11月、今度はインフルエンザが流行るシーズンになるわけですけれども、改めて第3波というのか、本当の第2波というのが、こういうのが襲ってくる可能性もあるという中で言うと、いろいろ有効な対策を打ち出すためには、やはり極めて強固な政権基盤が必要だというふうに思っていまして、そういう形でコロナ対策を打ち出せるリーダーにしっかりと総理の後を引き継いでもらえるかどうかというのは、地域にとっても大変な問題だと思います。
最後に一言で言うと、都道府県にできることはもちろん限りがありますから、これは中央政府としっかり連携していかないと、この戦いは乗り越えられないということで言うとですね、8年近く務めた総理が変わるということは、これは地方にも大きな影響があると思っています。
(記者)
今回、知事はですね、安倍総理を評価する一方で、ちょっと政権末期になって、国民の目が厳しくなってきてですね、世論調査なんかでちょっと低迷してきた感があります。これについての見解を教えていただけますか。
(知事)
そこら辺は今、記者さんがおっしゃったように、どんな政権も100%ということはないので、おそらく成果もあれば、きっと反省点もあるというところだと思うんですが、これは総理ご自身がというつもりはないんですけども、やはり長期政権の中で、少し自民党がですね、何て言うんでしょうか、国民の感覚からずれたというところはあるんじゃないかというふうに私自身は思っています。
しかし、いろんなことを考え合わせた上で、先ほど申し上げたとおり、この8年近く、やはり大きな成果を上げてきた政権だと評価していいんじゃないかと思っています。
(記者)
先ほど国際社会での日本の存在感を高めたという外交面での評価について、言及されておりましたが、県知事という立場で地方への政策という面からすると、例えば地方創生を掲げて、東京一極集中の是正なんかを掲げましたが、なかなか歯止めが効いていないというのが現状だと思うんですけれども、県知事として、そういう地方に関連した政策という意味での内閣の評価と、次にどなたがなるかまだわかりませんが、次の首相に望むことを教えてください。
(知事)
地方創生という点について言うとですね、安倍内閣で初めて地方創生担当大臣というのを創設したということで、今の政権として、地方重視をしてきたと。さまざま東京一極集中から地方振興の時代をつくるためにいろんな努力をしてきたということは、間違いないと思います。
ただ、今、新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、ある意味で言うと、地方に新たなチャンスが生まれていると。こういう状況の中なので、そういう意味で言うと、今回の総理の決断は、やむを得なかったかもしれませんが、安倍総理に、もうちょっと続けていただいて、地方創生の流れをもっと強化していただきたかったなと、こういう思いはあります。
(記者)
次の首相に望むことは。地方の面から見て。
(知事)
次の首相がどなたになるかわかりませんけれども、新型コロナウイルス対策という点で言うと、政府だけではなかなかこの戦いを乗り切ることができないと。当然、都道府県、あるいはいろんな自治体と協力していただかなければいけないと。さらには、国民一人一人のご協力も得ていかなければいけないということなので、そういう意味では、そういう役割分担に対して、しっかり明確な理念を持った方になっていただきたいと。必ずなっていただけると思うし、この地方創生の流れを止めないで、地域、地方というものを大事にする方にリーダーになっていただきたいなと思っています。
(記者)
安倍首相が今回辞任するということで、在任中に強い意欲を示しておられた憲法改正、北朝鮮の拉致問題、こうした問題についての解決は道半ばということになりました。意欲を燃やしていた総理の辞任について、残念に思うところについてコメントをいただきたいと思います。
(知事)
記者さんがおっしゃったように、総理が会見の中で、まだいろんな仕事が残っているというくだりで言及していたのが、拉致問題、これは総理が思い入れを持ってやってきたということは間違いないと思います。それから北方領土の問題。そして憲法改正の問題。ここら辺は、総理としては、やはり断腸の思いだったんだと思いますが、これも自民党全体としても、ほとんど党是のような問題なので、これは次の政権でもですね、しっかり取り組んでいただきたいというふうに思ってます。
具体的な成果があったかということについては、いろんな意見があると思うんですけども、私は今回の北朝鮮政策についていうと、二つの法案に関わった経験もありますし、若手議員の頃からですね、総理が、自民党の中で相当批判を受けながらも拉致問題に一心に取り組んできたということを考えると、今日もおっしゃってましたけれど、外交上、言えないこともいろいろあると思うんですが、そこは全力でやってこられたんだというふうに思います。
ただ、これは総理の責任だけじゃなくて、私も与党政治家の1人だったので、前国会議員の1人としても、拉致問題の解決に至ってないということについては大変責任を感じておりますが、これは次の政権でもしっかりやっていただきたいと思います。
それから日ロ交渉もですね、確かになかなか難しいところがあると思うんですけれども、やっぱり在任中にプーチン大統領と30回首脳会談をやったというのは、おそらく空前絶後だと思うんですね。そういう意味で、総理がこうやってご努力をされてきたということはですね、おそらくこの総理の人脈みたいなものは、次の首相にも引き継いでやっていただけるんじゃないかというふうに思ってます。憲法改正については、これは自民党の党是ですから、また引き続き、全力で取り組んでいくんじゃないかなと思ってます。
(記者)
先週か先々週だったと思いますが、私この場でですね、「総理が検診を受けたことについて、どのように受けとめてますか」と聞きしましたら、「ハードな仕事なので、休める時にはぜひ休んで欲しい」と、気づかいのお言葉も出ておりました。今回、体調が悪化したということで、十何年前には第一次政権を辞めたということもありました。トップの健康管理のあり方、あるいは今回辞めるタイミングについてですね、どのように受けとめているのかお聞きたいと思います。
(知事)
これは総理ご自身も何度か会見の中でおっしゃってましたが、できれば任期までやりたかったと。やはりどんな事情があっても任期途中で辞めるということについては、やはりご批判は甘んじて受けるというふうにおっしゃってました。任期満了まで、ぜひやっていただきたかった思いはあるんですけれども、それでも今回新たな治療をするということで、その成果がはっきりするのも時間がかかるということであるんですけれども、もしかすると無理すれば、もうちょっとできるのかなという感じはあったんですが、そこは、やはり病気のことなんで先のことも分からない、まだ治療の効果も分からないという中で言うと、前政権のように、確か国会で所信表明をやった直後だったと思いますから、こういうことがあってはならないということで、このタイミングでいろいろ考えた末に決断をされたんじゃないかと。健康管理という話はあるんですけれども、とにかく総理は忙しいので、普通の健康な人でも1年やったらもう本当に大変だと思うんですね。これを8年近く続けてこられたというのは、それなりの健康管理もやってこられたんじゃないかというふうに思いますし、決断をされた時期について言うと、潰瘍性大腸炎が再発したということが分かった後だというふうにおっしゃっていたので、それは総理なりにこのタイミングしかないと思って決断されたのかなというふうにとらえてます。
(記者)
山本知事は、総理とも蜜月関係と言われるほど非常に良好な関係も築いておられたわけですけれども、総理が辞任するということで、永田町への足がかりが一つ失われたような形になってしまいますけども、今後永田町、官邸への足がかりをどういうふうに築いていくおつもりなのかお聞きしたいと思います。
(知事)
安倍総理は私にとって、いろんな意味で特別な存在だったんですけれども、これから新しい総理総裁が選ばれると思うんですけれども、それでも、24年間国会で仕事をしてきて、実は仲間も数多くおりますので、それから、総理との関係もなくなるわけではないので、前総理となってもまたいろいろご指導いただきたいと思いますから、どなたがリーダーになってもですね、国会議員として24年間培ってきた人脈は生かせるだろうと。それは自分自身の中央政府に対する、何て言うんでしょうか、働きかけは、これは支障が生じないように努力をしていきたいなというふうに思ってます。
(記者)
今の質問とちょっと重なるかもしれないんですが、新型コロナウイルスの収束がまだ全然見えない中で、知事は、これまで新型コロナ対策でも安倍首相を頼りにされてきたと思うんですが、そういう中で、今回退陣になったということについては、どういうふうに受けとめていますか。
(知事)
続けていただけるんであれば、少なくとも任期いっぱいまで安倍総理にやっていただきたかったなと思います。でも、今日の総理のご説明を聞いて改めて納得したのは、無理すればおそらく、もうちょっと続けられるんだと思うんですけれども、やはり何か途中で、例えば、持病が悪化して急に辞任を余儀なくされるみたいなことをしてですね、政治に空白を生じたりするということを回避したかったということで、その総理の気持ちはよく理解できました。
もちろん個人的には、今この危機の時代に、私は、なかなか安倍総理みたいな方じゃないとリーダーを務められないと思っていたので残念ですが、これはこれで総理のご決断として受けとめたいと思います。
この後どなたがなるにせよを、しっかり群馬県の考え方を伝えられるような人脈はですね、努力して作っていきたいと思います。
よろしいでしょうか。ありがとうございました。突然集まっていただきましたが、臨時会見はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。
(以上で終了)
文章中の()内については、秘書課において加筆したものです。