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令和元年10月9日記者会見動画(You Tube)<外部リンク>
それでは定例の記者会見を始めさせていただきます。
今日は、豚コレラ問題を中心に、いくつか冒頭ご報告をしたいことがあります。
まず、豚コレラ対策の補正予算についてご報告をしたいと思います。 豚コレラ対策については、野生イノシシの豚コレラウイルス陽性事例の発生を受けて新たなステージに入ったと認識しています。こうした状況を踏まえ、早急に防疫体制の徹底および野生イノシシの捕獲強化を図る必要があるということで、開会中の第3回前期定例県議会補正予算案を本日、追加提案させていただきました。
補正予算の金額としては、野生イノシシの豚コレラウイルス陽性事例発生に伴う緊急対策として総額8億9千6百万円余りということになりました。
なお、昨日の自民党県連からの要望に関して言いますと、制度改正に関わる要望もいろいろありましたが、予算面については十二分にこれ を反映させていただいたと考えております。さらに制度改正に関わる要望に関しても、国に対して県としてしっかりと要望していきたいと考えています。中身についてですが、まず飼養豚へのワクチン接種、予防的ワクチンですが、これに関しては国の推奨地域に指定され、かつ、ワクチン接種プログラムに沿って、県内の飼養豚へ接種することになった場合の支援ということになります。
今回の予防的ワクチン接種については、国が2分の1を支援し、残りの2分の1を県が負担するという想定の積算になっています。6億円という事業費は県内の飼養豚約60万頭にワクチン接種できる必要量を積算をさせていただきました。
次に、早期出荷対策ですけれども、監視対象農場において、飼育している豚を早期に出荷することによって、その養豚場を空にして、その間に、豚舎等施設の防疫管理を万全にするという対策です。国の事業においては、豚1頭あたりの基準額と出荷した販売額の差額に対して2分の1を支給するということになっておりますが、これに県も2分の1を上乗せするという形を考えています。
この二つの事業の経費は、これは流動的で相互間の流用を可能とし、柔軟に対応するということを想定しています。
野生イノシシの捕獲強化についてですが、現在、イノシシの成獣を捕獲した場合には、国の交付金により捕獲活動経費として1頭8千円を支出しています。これに県の捕獲奨励金として1頭8千円を上乗せし、1万6千円にしたいと考えています。
また、既存の県単の補助事業を活用して野生イノシシの捕獲重点エリアが設定されている市町村を対象に、市町村ごとの養豚農場数、捕獲実績によって上限額を設定をし、捕獲機材の導入等について補助率を一時的に定額の10/10に引き上げて支援を行うとしております。わななどの捕獲器材を配布する方法もありますけれども、地域によって捕獲機材の種類が違うということもありますので、その地域の実情に応じて購入してもらい経費を全額補助する形にしたいと思います。
最後に、狩猟者等への防疫対策の徹底については、狩猟者および林業従事者等に消毒薬を配布し、防疫措置を周知徹底するものでございます。
実物を持ってまいりました。これが捕獲するためのわなです。野生イノシシ捕獲用のわなということで、これを購入してもらう補助をしっかりとするということです。それから消毒薬、これ(実物を指して)が消毒薬なんですけれども、これを例えば猟友会のイノシシを捕獲していただく方々にお渡しをして散布をしてもらうという形になります。ここに消毒が入っています。
加えてご報告したいと思いますが、「家畜防疫対策室」を設置するという組織改正についてです。補正予算による防疫対策の徹底等、野生イノシシの捕獲対策を強化するために「家畜防疫対策室」を設置するための組織改正を10月15日付けで行いたいと思います。改正は、畜産課の家畜衛生係の4名体制を強化して、畜産課の中に「家畜防疫対策室」というものを設けたいと思います。7人増員して11人の体制にいたします。こうした組織体制の強化によって、防疫対策に万全を期していきたいと考えています。
さらにお話をさせていただきたいと思いますが、県の財政負担についてです。県としては県内全域でワクチン接種が必要だと考えておりますので、県内の確実な接種、それから豚コレラ蔓延を防ぐためには、このような負担はやむを得ないと考えています。
先月の専決処分もそうですが、県の財政負担はかなり大きいということは事実です。ワクチン接種が国の防疫措置の一環であることを考えると国が支援するものだという考え方もあると思うので、今後、国に対して財政上の支援をいただけるように求めていきたいと考えています。財政上の支援としては、例えば特別交付税措置なんかも考えられますので、国に対してそうしたことを頭に置きつつ、しっかりと要望してまいりたいと思います。
さらに報告を続けたいと思います。県としては、県内全域でのワクチン接種が必要だと考えておりますので、それが可能な(状況となった)時にしっかり対応できるように体制を整えておく必要があると考えています。実際にワクチンを接種するということになると、国のワクチン接種推奨地域の設定、それからワクチン接種プログラムの策定、承認が必要になります。ワクチン接種プログラムは、だいたい原案はできているのですが、こういうことが必要になると同時に必要量が確保されるかどうかということが課題になりますので、県内全域で一日でも早くワクチン接種を行えるように国の動きを注視をし、引き続き早急な増産等を求めてまいります。ワクチンの増産はすでに求めておりますけれども、引き続き国に対しての増産についてお願いをしていきたいと思います。
さらに接種地域についてですけれども、県内一気に接種するということは、なかなかできないので、接種する獣医師の確保も大きな課題になります。感染リスクを考慮し接種の優先順位を検討していこうと考えています。効率的かつ適切な接種を進めるべく、関係者と連携しながら、この点を進めてまいりたいと思っています。
続けて、養豚農家への消毒命令についてもお話をしたいと思います。消毒資材については、9月17日から10月3日にかけて、すでに県内全ての農家に消石灰を配布済みです。配布の際には、口頭あるいは資料配布によって、この時点で消毒の徹底を呼びかけております。特に監視対象農場に対しては、金曜日の時点で、会見で報告しましたが前広に立ち入り検査をやらせていただいておりまして、監視対象農場に対しては金曜日から農場の消毒を含めた飼養管理の徹底を指導しております。その後、毎日異常の有無を農場の方々からいただいているという状況です。
今回の消毒命令は月曜日に発送させていただきましたが、これは先行して配布した緊急消毒資材の散布を含めて改めて各農家の方々に周知したということなので、この点は誤解なきようにお願いしたいと思います。13の監視対象農場に対しては、今日、重ねて消毒命令の告示の写しとともに、農水省のホームページで掲載している効果的な消毒作業の動画がありますので、これを見ていただけるよう依頼をFaxで送付させていただきました。とにかく引き続き養豚農家の皆さんに消毒の徹底をお願いしたところです。なお、監視対処農場については、しっかりこのFaxが届いているかどうかということについても確認をさせていただいております。
ちょっと長くなりますが、これも大事なことなのでさらにご報告したいと思います。何度かご質問が出ているので、13の監視対象農場における柵の進捗状況について、最新の状況をご報告したいと思います。
監視対象農場の13農場のうち、2つの農場はすでに柵の設置を完了しています。その他について言うと、1農場が10月10日、明日着工予定となっています。さらに7つの農場が10月末の完成を予定しています。また、3つの農場は10月末に着工を予定しているということになります。設置が10月末の完成あるいは着工も含めて設置に時間かかっている10農場については、現時点でこのうちの8つは電気柵が設置済みだということで、残る2つの農場については、明日中に設置予定ということになっております。とにかく柵の設置が完了するまでの間は応急的な措置として、この電気柵をしっかりと設置してもらうことが必要だと考えておりまして、まとめて言うと、明日までに全ての場所で電気柵については設置されると申し上げていいと思います。
現在、他の地域においても柵の仕様、種類とか設置場所など計画策定の相談対応を行っておりまして、全ての農場で速やかに着工できるよう、引き続き関係者と協力しながら支援をさせていただきたいと思います。
ここ(記者会見)でも何度か皆さんとのやりとりで議論になりましたが、豚コレラ対策についてはできるだけ速やかに緊急対策を立てて専決処分でやらさせていただきました。消毒ポイントの設置もできるだけ早くということで、予備費で実行させていただきました。私も緊急対策を決めて県が無条件で4分の1を出すと、いろいろな意味で他県に比べてより手厚い措置を決めたわけですが、本当に翌日この防護柵ができればいいなと思うのですが、やっぱり時間がかかるんです。他の県の場合と比べて、群馬県がこの防護柵の設置にすごく時間がかかっているという感じではないのでやはりある程度時間がかかるということはやむを得ないことだと思っていますが、それでもだいたい設置をされていく目途がつきましたので、それまでは何ができるかということを考えると、イノシシを止めるということで言えば電気柵の設置が有効ですから、県としても市町村と連絡をとりながら対応を促しているという状況です。今日も高崎市長さん、それから甘楽町長さんと電話でお話をして、このプロセスを早めていただくようにお願いをしていることもご報告しておきたいと思います。
さらに、ちょっと長くなりますがこれも大事なことなので申し上げます。
経口ワクチンの散布地域(についてです)。経口ワクチンの散布については専門家のご意見もよくお聞きしながら、より効果的なものとなるように県の方針を検討してまいりました。その結果、現状も限られた800個という数なので、この経口ワクチンをより効果的に活用するためには、やはり藤岡市での散布が効果的であるという結論に達しました。
今後、具体的な散布地域や散布方法について藤岡市と調整し、できるだけ速やかに散布できるようにさせていただきたいと思います。
これも付け加えておいた方がいいと思います。農水省から職員を派遣してもらっています。農林水産省の安全局動物衛生課から国際衛生専門官として金子明誉(かねこ あきのり)さんに来ていただいて早速いろいろと活躍をしていただいています。畜産課に駐在してもらう方針です。金子氏については群馬県だけではなく豚コレラ発生時の1年前から、発生県での業務のフォローを畜産主務課においていろいろアドバイスをされていて、本県においても野生イノシシの陽性個体の確認後、経口ワクチン散布や飼養豚ワクチン接種に向けて様々なアドバイスをいただこうと思っています。すでにいろいろな知見をいただいておりまして、前向きで、積極的で、率直ですので、私はとてもケミストリーが合うなと、なかなかいい人を送ってもらったなと感じています。さらにこの金子専門官には県だけではなくて、関係市町村との橋渡し的な業務をやってもらおうと(思っていますし)、彼は農水省出身なので国と県の橋渡しとか、あるいは市町村とか県の要望をよりスムーズに国につないでもらうなど、農政部、関係部署との課題解決のために少し潤滑油的に走り回ってもらおうと考えています。豚コレラ対策は会見で何度も申し上げていますが、農政部だけでなくて各所や団体等との連携が不可欠なので、任期としては現状では不明ですが、本県の豚コレラ対策が軌道に乗るまでの間は、在籍していただきたいなと考えております。
豚コレラに関する他県との連携についてもご質問も出ると思いますが、私の方からご報告をさせていただきたいと思います。
関東地域はご存知のとおり、国内有数の養豚の産地だということです。この関東地域で豚コレラ蔓延防止を図るためには、やはり各県との綿密な連携が必要となると以前から考えております。これも報道されていましたが10月7日に神奈川県の黒岩知事と会談してまいりました。
特にワクチン接種の早急な実施を政府に求めていくということ、関東地域が同じ方向性で動けるように東京都を含む他県に働きかけていくと、この2点については黒岩知事と「共同歩調をとる」ということを確認をさせていただきました。本日16時からは茨城県の大井川知事とテレビ会議を実施いたします。千葉県、埼玉県とは明日テレビ会議がセットできました。テレビ会議でいろいろとお話をさせていただき、東京都の小池知事にもできるだけ早くお目にかかりたいと考えています。
今後、各都県との連携をさらに進め、特に福田栃木県知事とはよく相談をしながら、関東地域全体で動ける体制を作ってまいりたいと思います。
これで最後にしたいと思います、豚コレラ対策に関する今日の報告は。現地対策支援についてご説明をしておきたいと思います。
全庁体制で豚コレラ対策に当たるということで、10月7日に県の対策本部を設置いたしました。(記者の)皆さんにも取材にも来ていただきました。あわせて野生イノシシの発生が確認された西部農業事務所では同日付で現地対策本部を設置しています。各地域での対策に万全を期すため、その他全ての農業事務所においても早急に現地対策本部を設置したいと考えております。飼養頭数が県内で最も多い中部農業事務所はすでに(対策本部を)設置をいたしました。また本日、技術的、人的支援を行う際の窓口となる農業事務所の農業振興課長を招集して、改めて各種豚コレラ対策の徹底を図るとともに、地域における総合的な相談窓口を設置することを決めました。
なお、恒久柵の設置には、先ほど申し上げたとおり少し時間がかかるという状況もありますので、電気柵による応急的な対策によってリスク軽減を図るなど、地域の実情に応じて特に市町村が必要としている技術的あるいは人的支援などに関して引き続き県としてしっかり対応させていただこうと考えております。
これも(※モニターを指し説明)今ご説明したとおりなんですけれども、予防的ワクチンの接種で6億円。早期出荷対策で2億6千万円という対策を組みました。先ほど言ったイノシシの捕獲奨励金もあるし、検査強化の話、そして先ほどお見せした捕獲機材の導入等、こういう対策を取っていきたいと思います。先ほど消毒薬の話もしましたが、狩猟者等への防疫対策の徹底も図っていきたいと思います。この消毒薬はしっかりと配布をさせていただきたいということで、今日、実は猟友会の会長をはじめ幹部の皆さんともお目にかかって、改めて私の方から猟友会の方で対応していただけるようにお願いを申し上げ、作業のプロセス等々についてもいろいろとご説明をさせていただいたところです。
豚コレラ特別対策について随分長かったのですが、その他なるべく駆け足でやらせていただこうと思います。
10月3日に県立女子大学の客員教授の辞令をいただいて、「知事と語り合う地域政策論~今そこにある課題を激論~」の講義がスタートしました。全15回の最初の講義になります1回目のオリエンテーション。1回目はオリエンテーションだったのですが、20名程度と見込んでいましたが、それをはるかに上回る50名もの学生に出席をいただきました。県立女子大の学生は本当に熱心で、この講義に大きな期待を持っていただいているということを感じました。この講義では、「メディア戦略」や「子育て環境の整備」、県の重要な課題を取り上げていくことで、学生の皆さんがもっと群馬に関心を持ち、地域の愛着を深めてもらえるような形になればいいと思ってます。意見交換の中でも学生から出るいろいろな提案があると思うので、場合によってはその中から県の施策として実現させるものが出てくるかもしれないと、そんな期待も持っております。
先般、現職の知事が公立大学で講義することに関してご指摘をいただきましたが、講義は政治的な教育を言うまでもなく目的としているものでありませんし、教育基本法上の問題はないと考えております。この政治的中立性については十分踏まえた上で授業を行ってまいりたいと思っております。
それから今日、取り上げていただいた新聞社もありますが、政策プレゼンの感想を申し上げます。
昨日、県庁の若手職員による政策プレゼンを実施しました。全部で8テーマやらさせていただきました。5時間以上議論しました。2人の副知事、政策アドバイザー、ネットメディア戦略アドバイザー、首席補佐官、そして外部有識者、この2人が非常に良かったんですが、この2人のご意見もいただいて、かなり盛り上がりました。若手職員は非常に優秀だし、熱心だなと。非常に発想も斬新だということで、とても心強く知事として思いました。
この制度は前からあったのですが、前はもうちょっと大人数で県庁職員全員で群馬会館か何か大きな所でやっていたらしくて、知事との意見交換も実質5分とか10分という形だったのですが、今回も本当にみっちり議論させていただいたということで、これは若手職員の人たちにとってもいい刺激になったと思います。今回プレゼンされた提案の中には、十分予算がすぐにはつかなくとも、予算編成の中に取り入れられる知恵もあると思うので、せっかくですからいいものはしっかり取り入れさせていただきたいと思っております。
最後これだけ申し上げておきたいと思います。
天皇陛下のご即位に関わる奉祝行事に関してです。陛下のご即位をお祝いするために群馬県では献上品をお贈りすることになっていまして、その他、記念写真展と記帳所の設置、文化施設の無料開放等を行いたいと思います。
献上品については、今年7月に贈与の基準が閣議決定をされたことを受けて検討を進めてまいりました。選定のポイントとしては、群馬らしさを持った伝統工芸品であること、特に他県とは違う「群馬らしさ」を考えた上、絹製品に決めさせていただきました。
この絹織物はすごく有名な、教科書にも出てくる構図だと思うのですが、この絹織物は富岡製糸場が世界遺産登録された際に3年がかりで特別に数点だけ制作されたものの一つです。富岡シルクを100%使用しておりまして、これだけ大きな織物はもう二度と作れないというわけです。かなり大きなものなのですが、献上にふさわしい希少性というものがあるのではないかと考えています。織物を収める額は県産材の杉を使い特注をいたしました。現在制作中で、11月下旬には献上させていただく予定でございます。
ずいぶん長くなりましたが、今日はどうしても豚コレラ問題、大事な局面ですので少し詳しくご説明をさせていただきました。
(記者)
豚のワクチンの関係ですけれども、優先順位をよく検討してというお話がありました。これから熟慮されるんだと思うんですけれども、監視対象農場がやはり優先という形になるんでしょうか。
(知事)
そこは、ちょっとまだ現時点でははっきり申し上げられないので、ワクチンを打つとなると計画もしっかりと決めなきゃいけないので、それについては、もうかなり原案を作ってあります。ただ、現時点ではちょっとまだ具体的なことは申し上げられませんけれども、いろいろなことを考えて、最も効果がある形で、おそらく対象地域、優先順位を決めていくことになると思います。
(記者)
何カ所かにエリアを分けて順番に打っていくっていうようなイメージですか。
(知事)
イメージとしては今、言ったようにいろんなことを勘案しながら、地域ごとに打っていくと。一気にやるってことはできないんで、そこはやはり優先順位をつけて実施していくというイメージですね。
(記者)
イノシシの経口ワクチンの関係ですが、藤岡市での散布が決まったということです。できるだけ速やかにということですけれども、今月中には、というイメージでしょうか。
(知事)
それは今、検討中なので、これもいつまでにということは申し上げられないんですけれども、だいたいの地域が決まったので、どこに置くかということも含めて、できるだけ早く散布していただけるようにしたいと思いますし、いろいろ藤岡市と協力しながら進めていきたいと思います。
(記者)
藤岡市のだいたいの地域が決まったという、そのどの地域というのは教えていただくことはできますか。
(知事)
それはまだ、どこに配るかというのは最終決定していないので、この時点ではちょっと申し上げられないんですけれども、いろんな観点から検討して、こういう地域だなっていう、ここがこの800個を使うには最も効果的だなということで、藤岡市に方針を決めたとこういうことです。
(記者)
最後に人員を増員して家畜防疫対策室を設置されましたけれども、改めてそういった体制でどのように豚コレラ対策問題に取り組んでいかれたいかお聞きかせください。
(知事)
一言で言うと、農政部、特に畜産課はもうパンク状態なんですね。この間の週末も、実はずっと農政部に動いてもらって、さすがに県庁の緊急会議は、お休みだったので招集しなかったんですけれども、何度も私の方から電話で連絡をして、いろいろと対応を考えていただきました、予算の中身を含めて。今の段階だと畜産課にいろいろなことが集中していて、なかなか本来の業務ができないというところもあるので、これはもう全庁を挙げてやると。この間、庁議でも言ったように、これはもう県にとっても喫緊、最大の課題なので、あらゆる部署で応援体制をつくってくれということで、さっき言ったように11名の体制にいたしました。
具体的に言うと(現状)畜産課家畜衛生係4人いるんですけれども、家畜防疫対策室のスタッフ(室長)1人、それから家畜防疫対策専門官1人、防疫第1係4人、それから防疫第2係5人ということで、11名の体制を組みました。事態によっては、またさらにいろいろと各部局から応援をしながら進めていきたいと思います。
(記者)
早期出荷に関してなんですけれども、現状で監視対象農場13カ所のうち何農場ぐらいが早期出荷に関しては希望をしているかっていうのは。
(知事)
それはちょっと現時点ではまだ申し上げられないですね。よくそこも調整しなければいけない。今日、予算出したところなので、まずこれをしっかりと議決してもらわなければいけないと思っています。
ただ一つ言えることは、今おっしゃったように監視農場でも早期出荷に積極的な所と慎重な所とあるんじゃないかなということは思っています。
(記者)
具体的には全頭を空にするってことだと思うんですけど、何カ月ぐらい実際かかって、もし議決になったら、いつぐらいから始められるものでしょうか。
(知事)
それもちょっと今、現時点では、はっきりいつからっていうことは申し上げられませんけれども、まずはこの予算を通さなきゃいけないので、この予算が通ったらできるだけ速やかにできるように対応していきたいと思います。
(記者)
今後、希望を取るっていうことでよろしいですか。
(知事)
希望を取るというか、まず養豚農家の方々の意向も含めて、どうしたらいいかということを考えていくということですね。
消石灰も含めて、我々は強制できるわけではないので、あくまでやはり養豚農家の方々の意思でやっていただかなければいけないというところがありますので、そういうことを全体に考えながらどうするかっていう対応を考えていきたいと思います。
(記者)
予防的ワクチンの接種なんですけれども、実質県負担で2分の1購入費用を負担するということは、農家の経費負担はゼロになるっていうことですか。
(知事)
基本的に国が2分の1を出すというスキームになっていて、これもちょっと流動的で確実じゃないんだけど、今、聞いてるところだったら国2分の 1で県が2分の1ってことは、養豚農家の負担をなくすということです。簡単に言うと。
ものすごく大事なことは、とにかく群馬県にいる60数万頭、全頭に打てる予算をきちっと確保していくことがとても大事だと思っています。
(記者)
予防的ワクチンは、60万頭で全頭分ですね。その(モニター画面の)下の早期出荷っていうのは、これも全農場になるんですかね。
(知事)
それも、だから今、言ったようにいろいろ全体のことを考えながら、予算もまだ取っていないので考えていきたいと。もう一度言いますけれど、早期出荷、無理やりっていうわけにはいかないから、それは養豚農家のいろんなお考えもあるんで、そこも確かめながら、総合的に判断していくということだと思います。(記者)
確実に全部とは言えないけれどもっていうことですか。
(知事)
これは養豚農家の方々のご意向っていうのもあると思いますから。
(記者)
それで両方ともスキームとしては県が2分の1ずつワクチンも早期出荷も出して、残りを国が2分の1ずつ出して、農家の負担は全くないっていうことですよね。
(知事)
今のスキームならそういうことですよね。
(記者)
その国の予算というのは、(議会資料として報道提供された資料の)右にある(県の)歳入の国庫支出金の3億円ということになるんですか。
(知事)
ワクチン接種の2分の1の分を見込んでいます。
(記者)
くどいようだけど(資料の)右の歳入の国庫支出金の3億円。これは(モニターの画面の)1の生産者に対する支援のところに当てるっていうことでいいですかね。
(財政課長)
(モニター画面の)1の(1)予防的ワクチンの接種の2分の1が国負担ということで、そこに該当します。
(記者)
早期出荷の方には入らないんですね。
(財政課長)
早期出荷の方は国から直接、生産者の方に2分の1来まして、残りの2分の1を県が負担するということです。県に1回入ってくるわけではなくて、国から直で生産者に。
(記者)
ちょっとややこしいですけれど、早期出荷の方は、この(県の歳入)3億じゃないって、そこは注意しなければいけなくて、この3億円はワクチンのみというふうに理解すればいいですね。
(知事)
こっち(歳入計上の3億円)はワクチンのみ。
(農政部副部長)
歳入の3億円はワクチンのみの金額です
(記者)
経口ワクチンの関係なんですが、先週、知事が800個っていうお話をされた時は、まだ県内で先々週ですか、(野生イノシシの豚コレラ陽性事例は)出ていない状態だったわけですけれども、これで陽性反応が出て、これらの緊急対策をしてる状況で、当然、国に対して800個以上、もっと何万個でも欲しいということを言うのは道理かと思うのですが、それについてはいかがですか。
(知事)
まず、国から経口ワクチンを提供されて、県の判断でこれを散布すると認められたのは群馬県が初めてなので、この800個をどうまくかということをちゃんとよく考えた上で、これ以上に経口ワクチンが必要だということになれば、さらに追加でお願いする場合もあると思いますけれど、とりあえずまず、今、国から提供された800をきちっと藤岡市に散布するということを最優先にしたいと思います。それでいろいろな状況の中で、さらに必要だということになれば、また国の方に要請をしたいと思います。
(記者)
関東の知事さんたちとの連携が着々と明日も予定されているということですけれども、国への要望、短い時間、スケジュールの中で何かお考えのことありますか。
(知事)
まず一つは、関東地域全域、東京も含めて、まだ小池都知事と話はしてないんですけれども、豚コレラワクチンの接種を決めるということになると、一体で動けるので、関東はとにかく有数の養豚地域だから、関東全体の意向として国にお願いできる、これはものすごく大きなことだと思います。例えば豚コレラワクチンは、やっぱりすごいコストがかかるので、それでもこれは県として負担しなければいけないということで財政負担、これはやむを得ない話なので、6億円となっていますが、これもやはり、国があれ(対策として)で打つわけなので、例えば国に対して要請をしていく、それはどういう形になるかわからないですけれど、さっき特交(特別交付税措置)と言いましたが、特交か何かで手当てしてもらえないかとか、そういう要請もやはり関東全体でやってくっていうことには、とても意味があるというふうに思っています。
それから、前から言っているように豚コレラワクチンをきちっと接種できた後、流通対策っていうのはやっぱり大変だと思います。江藤大臣のことなので、価格対策もきっとやっていただけると思いますし、痛みがわかる方だから。なおかつ風評被害等についても政府は全力でやってくれると思いますが、それでもやっぱり消費者が選ぶので、相当、群馬県も大変だと思います。そういう中でとにかく関東地域全体が豚コレラワクチンを接種すると決めるということ自体もやはり流通を確保するということについては、プラスに働くというふうに考えています。
(記者)
高崎食肉センターの件なんですけれども、埼玉からの仕入れを止めているという件の確認をされましたでしょうか。
(知事)
ご存知だと思うのですけれども、高崎食肉センターの管轄は高崎市となります。これはまず、高崎市が管轄しているということが一つ。報道もちょっと伺って調べたのですが、業者間でちょっとこの食肉センターが、時間差みたいな感じで調整をしたっていうことですが、これについては、搬入の自粛要請みたいなものについては、高崎市の食肉衛生検査所は把握していなかったということで、これについては指導したと伺っていますので、これは改善されたのではないかと思います。
(記者)
センターから豚肉を買っていたという業者さんの方にも確認したのですが、今も埼玉から仕入れていなくて、群馬県産で賄ってるというお答えだったんですね。ちょっと市の指導が…。聞いたのは昨日だったので、どういう順序になったのかわかりませんけれども、そうしますと、ちょっと名前はこういう場なので出しませんけれども、都内の百貨店ですとか、レストランにブランド豚として卸してる場所みたいなんですね。そういう事情がある時に、余り大きい量ではないとはいえ、流通きちんとしてほしいと群馬県が言った時に、埼玉から止まっているじゃないかとなった時に、ちょっと説得力に欠けてしまうような状態になるのではないかと思われるんですが。
(知事)
それは何と言うのでしょうか、もう1回言いますけれど、高崎市の管轄なので高崎市がしっかりと指導して状況はきちっと改善されたと理解しておりますし、これが搬入自粛要請なのかよくわからないのですが、群馬県としてはそういう考え方はありません。
(記者)
見解としてはない。
(知事)
ありません。県としてはそういう考え方はありません。
(記者)
もし流通をきちっとしていきたいという時に、何が起こっていて、今どういう状態なのか把握しておかないと、あれは市の管轄だという状態でほっておくと、ちょっとまずいのではないかと思いまして。
(知事)
ほっといていない。ちゃんとこうやって確認をして、きちっと指導したっていうことを確かめましたので。
(記者)
ちょっとこちらが聞いてる話と違います。どちらの業者さんに入っているかというのは聞いていますか。
(知事)
それは聞いてません。
(記者)
わかりました。
(記者)
豚コレラ関係からちょっと離れますが、八ッ場ダムについてお尋ねします。試験湛水が順調にいきますと、ダム自体は今年度に完成しますが、一方で生活再建事業で作られた各種施設の維持管理や観光の誘客の面で、地元からは心配する声も上がっているようです。完成後に県として、どのように地元支援に取り組んでいくのか、知事のお考えをお聞かせください。
(知事)
それは細かいことはともかくとして、生活再建の事業も含めてしっかりと八ッ場ダムは進めていかなければいけないと申し上げましたので、その路線でやっていきたいと思います。八ッ場ダムについては、もう試験湛水も始まっていて、いよいよ本当に完成するという流れになっていますし、その後の生活再建事業の方も大事ですから、そこら辺を踏まえながら、県としてしっかり判断していきたいと思います。
(記者)
スタジオの件なんですけれども、今日、整備費を含めた補正予算が可決されました。今でも約1億1700万円は高いっていう声があるんですけれども、その点に関して、改めて知事としてどうお考えですか。
(知事)
今日の県議会でですね、補正予算の議決をしていただきました。動画スタジオについてもいろんな意見はあるんですが、動画スタジオを含む補正予算について、共産党会派を除く全ての方々が賛成をしていただいたと。要は政治は基本的に議会で支持されるかどうかっていうことだと思うので、それは大勢の方が、ほとんど県議会の方々からこの補正予算を支持していただいたと、このことを本当に嬉しく思いますし、重く受け止めたいと思っています。
今、おっしゃったように、いろいろ委員会等々でも出た疑問点、あるいは批判、賛否両論ですごくいいんじゃないかっていう人もいるんですが、こういう異論が出たことについては、やはり真摯に受けとめて、そこら辺の指摘はよく分析しながら、これで4月に向けての建設が始まりますから、今後の運営とか、ここからプログラムをどういうものを作っていくかっていうのを全てしっかりと詳細に議論していこうと思うので、その中に生かしていきたいと思います。
あの、やっぱりこのままスッと行くんじゃなくて、メディアの方でもいろいろ書いていましたけれども、やはり批判があるっていうのは私は当然だと思っていて、こちらが一つの見方をしても、また違う意見の人もいるわけであって、批判が出てくるっていうことは、むしろ健全だと思っていますから、そういうところもしっかり含めて、とにかく動画スタジオで目に見える実績を出す、県民の皆さんから最後は評価を受けるわけで、やっぱり拠点として非常に機能して良かったと思われるような施設にしていきたいと思います。
(記者)
今ですね、目に見える実績を出すという話だったと思うんですけれども、今の段階で、例えば1日の動画の再生回数が何件だとか、そういう具体的な目標設定は。
(知事)
それは、現時点ではですね、なかなか申し上げるのは難しいと思うんですけれど、動画の再生回数だけじゃないので、基準は。
例えば、そこでインターネットの番組作りますよね。私がキャスターをやることもあれば、そうじゃないケースもあると思うんですけれども、ここは、今ある既存のいろんなメディアとのメディアミックスも考えていかなければいけないと。場合によっては、まだちょっと申し上げられませんけれども、今までとちょっと違うメディアと組んだりとか、いろんなことをやる中で総合的に評価されるべきものなんだと思うんです。自民党でやっていた「直滑降ストリーム」、自民党の番組の中では圧倒的な視聴率だったんですが、アクセス数だけではなかなかわからないところもあるので、ただあそこ(県庁32階)にスタジオを作って、インターネットの番組を作るっていうよりは、これを拠点にして、群馬県にしかない新しいメディアミックスを作るっていう目的もあるので、そういう総合的な中から目標をちょっと紡ぎ出していきたいなと思っています。
それから最上階に作るっていうのは、そこのスペースは本当にもったいないとずっと前から思っていて、やはりあそこに動画スタジオを作る、発信拠点を作るということによって、大勢の方々が来てくれるようにしたいと。別にインバウンド対策じゃないんですが、それでもあそこが発信の拠点だということで、あの32階、この間も申し上げたとおりトリップアドバイザーのいわゆるリピーター満足度でもすごく高いので、そこをもうちょっとうまく活用すればですね、本当にいい発信拠点になるんじゃないかと思っています。
いずれにしろ、どうやって(効果を)測るのかはなかなか難しくて、例えば、動画スタジオに政府の主要な大臣とか毎月呼ぶとしますよね、その効果をどう測るかっていうのはなかなか難しいなと思ったり。
しかし、閣僚が頻繁に(群馬)県に来るということはないので、そこから流れも変えたいと思いますし、そういう意味でも、あらゆる意味でいい発信拠点になると思っています。
いずれにせよ、ちゃんとご批判とかいろんな指摘を踏まえて、これをどうやって克服していくかっていうのがね、すごく良いチャレンジだと思っています。
(記者)
豚コレラ対策の新設の部署なんですけれども、これは恒久的なものなのか、暫定的なものなのかっていうのは。
(知事)
それは現時点でどのくらいまで続けるかというのは判断できないと思います。ただいずれにせよ、豚コレラ問題がしっかり、何をもって解決っていうのかはわからないけれど、その状況を見極めてということですけれども、当面の間、やはりこれは危機なので、今ある。その間はやはりこの体制でいくことになると思います。だからいつやめるのかというのは、状況を見ないとわからないと思います。
(記者)
食肉処理場なんですけども、確かに高崎市は中核市なので、日頃の衛生管理は高崎市の管轄でございます。ただし豚コレラの防疫になると、それは県の管轄のはずです。ちょっとそれだけ言わせてください。
(知事)
それは、おっしゃったことは、情報としてしっかり受けとめておきます。
(以上で終了)
文章中の()内については、広報課において加筆したものです。