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■会場 記者会見室
■記録作成 メディアプロモーション課(報道係)
令和5年6月9日定例記者会見動画(You Tube)<外部リンク>
■知事冒頭発言
1.はじめに
2.前橋赤十字病院の災害時航空搬送拠点選定
3.医学分野における探知犬研究の公募
4.MAITSURUプロジェクト
5.今週の直滑降ストリーム
それでは定例会見を始めたいと思います。昨日の8日木曜日ですが、県庁30階に完成した「アクセンチュア・アドバンスト・テクノロジーセンター前橋」の開所セレモニーに出席をいたしました。皆さんご存知のとおり、アクセンチュア株式会社は、経営やテクノロジーなどの幅広い分野のコンサルティングを手がけるグローバル企業です。世界最大級のコンサルティング会社と言っていいと思います。こうした世界的な企業がこの群馬県庁に拠点を構えたことは誇らしいことですし、こうした庁舎の活用はですね、他県では例がありません。昨日も申し上げましたが、まさしく「群馬モデル」という画期的な取り組みだと思っています。
開所セレモニーの中で、アクセンチュアの江川社長が、拠点の開設場所をこの群馬県庁に決めた理由について、群馬県がデジタルに力を入れていることを挙げていました。これはですね、群馬県がこれまで取り組んできた、デジタル先進県を目指すいろいろな対応が評価されたということだと思いますし、社長からこういう言葉が出たということを、知事として大変うれしく感じています。また、「長期にわたって群馬県で業務を拡大していくことを考えている」という江川社長の発言もあって、これも大変心強く思いました。
今後この県庁舎で、群馬県とアクセンチュアが連携をしていくことで、群馬から新しい付加価値や独自モデルを生み出せると信じています。そして、アクセンチュアと県内企業との連携。これにも大変期待をしています。
それでは会見の中身に移りたいと思います。スライドをご覧ください。本日の会見の主な項目です。
今日は、「前橋赤十字病院が災害時の航空搬送拠点に選定されたこと」、「医学分野における探知犬研究の公募」、それから、「MAITSURU(まいつる)プロジェクト」等について発表したいと思います。
まず、前橋赤十字病院が「災害時の航空搬送拠点」に選ばれましたので、このことをご報告申し上げたいと思います。
皆さんご存知のとおり、群馬県は、震度4以上の地震の発生回数、それから水害による死傷者数が関東地方で最も少ない、自然災害が少ない県と言われています。このため、仮に首都直下型地震が発生した場合には、地理的に近い群馬県が、被災患者の受け入れなど、首都圏の災害医療のバックアップ機能を果たせると考えています。こうした群馬県の強みを生かすために、昨年8月から9月にかけて、私自ら、加藤厚労大臣、それから谷内閣防災担当大臣、浜田防衛大臣を訪問し、提言を行いました。確か会見でも報告をした覚えがあります。具体的には、前橋赤十字病院を被災患者の新たな航空搬送拠点とする取り組みに対する支援を政府に要請したということです。
ということで、この度、国の中央防災会議が策定した「首都直下地震における具体的な応急対策活動に関する計画」において、前橋赤十字病院が「航空搬送拠点」に選定をされました。病院そのものが「航空搬送拠点」に選定されるのは、全国で初めてです。この件について詳しく説明させてください。スライドご覧いただきたいと思います。
「航空搬送拠点」とは、災害発生時に被災した重症患者の受け入れとか搬送を行う拠点のことです。一般的には、滑走路やヘリポートを有する空港とか自衛隊の駐屯地などが拠点となっており、群馬県内では、相馬原駐屯地が指定されているという状況です。
一方、病院を航空搬送拠点に位置付けられれば、災害が発生した際に、すぐに高度な医療に結びつけられるというメリットがあります。
今回新たに選定された前橋赤十字病院は、空港などと同様に、大型のヘリポートがあって、広域搬送訓練の実施の実績もございます。また、17カ所ある県内の災害拠点病院へ迅速に搬送することも可能となります。
先ほどご説明した自然災害の少なさに加えて、こうした前橋赤十字病院の持つポテンシャルが評価されて、今回の選定に繋がったと認識しています。そして、万が一群馬県が被災した場合には、県外へ患者を搬送する拠点にもなるということから、県民の皆さんにとっても大きなメリットがあると考えています。
これまで群馬県では、近未来構想の3つの柱の1つとして、「レジリエンスの拠点」というものを挙げてまいりました。群馬県としては、今回の選定を機に、災害医療体制をさらに強化し、首都直下地震だけではなくて、群馬県内に災害が起きた際のレジリエンスも高めていきたいと思っています。
さらに、レジリエンスの拠点を推進することによって、県内への企業誘致においても優位性が高くなります。こうした点もですね、すでに宇留賀副知事とのトップセールスで、災害の少なさみたいなものはしっかりアピールしているんですが、さらに積極的に発信していきたいと思います。
続いて、「医学分野における探知犬研究の公募」についてお知らせしたいと思います。
群馬県は、犬や猫の殺処分のない社会を目指すとともに、人とペットがパートナーとして共生する「ペットとの共生社会」を目指しています。昨年度、ペットとの共生社会に向けた有識者会議を設置し、議論を重ねてまいりました。その中で、探知犬やファシリティドッグの活用など、ペットが活躍する場を創出することが共生の推進に繋がるというご意見をいただいています。
そこで今年度は、「探知犬」に関する取り組みを進めております。これも初めてですが、この度、「医学分野における探知犬の研究」を全国から公募することといたしました。探知犬とは、すぐれた嗅覚によって様々なものを探知する犬のことです。群馬県では特に、においで病気を発見する医学分野の探知犬に着目しています。
過去の会見でもご報告をいたしましたが、昨年9月には、探知犬研究の先進地であるフィンランドのヘルシンキ大学を視察させていただきました。大学では「コロナ探知犬」や「がん探知犬」などの研究が行われています。実際にヘルシンキ空港ではコロナ探知犬が活躍したという実績もあります。フィンランドは、この探知犬を使って大きな成果を上げているということです。
そこで群馬県では、フィンランドの例を参考にしながら、医学分野の探知犬の研究を進めることといたします。今回募集する研究では、犬が嗅覚によって探知する対象として、「がん」をはじめ、「パーキンソン病」、「てんかん」、「新型コロナウイルス」など幅広い疾患を想定しています。研究期間は今年度から令和7年度末までの約3年間。研究費は1件当たり3千万円以内。採択件数は最大2件を予定しています。
公募の結果、採択された研究者は、医療機関と連携して研究を行っていただきます。探知犬は群馬県が用意いたします。県内の犬の訓練所が訓練や飼育のサポートを行うという仕組みです。
さらに今後、探知犬研究の最前線で活躍されている、ヘルシンキ大学のアンナ客員教授を群馬県にお招きし、研究内容についての助言をいただくことも検討しています。
研究の募集期間は、本日から7月28日金曜日までです。詳しくはこのスライド記載のQRコードから群馬県の公式ホームページをご覧いただきたいと思います。多くの研究者の皆さんからの積極的なご応募をお待ちしています。
医学分野における探知犬の研究事例は、日本ではまだ少ない状況にあります。今回公募する研究によって、新たな成果や知見が得られ、世界の様々な場面で探知犬が活躍するという流れを生み出すことを期待しています。
続いて、「MAITSURUプロジェクト」についてもご報告したいと思います。スライドをご覧ください。
群馬県では今年度、女性の就労支援とIT人材育成を組み合わせた事業、「MAITSURUプロジェクト」を推進しています。
これは、昨年度実施した若手職員による政策プレゼンで提案された内容を事業化したものです。この政策プレゼン、皆さんご存知だと思うんですけど、前の知事の時からやっていたらしいんですが、我々これ、相当真剣にやっていまして、2人の副知事とか外部のアドバイザーみたいな方々も入れて、場合によっては1日5時間から6時間ずっと議論しながら、実際この若手の職員との意見交換の中で、こうして採用されたプロジェクトがどんどん出てきているということも、ぜひ皆さん頭に置いておいていただければと思います。
今回のプロジェクトは、男性との賃金格差とか非正規雇用の割合の高さなど、女性が抱える就労問題とIT人材不足という2つの問題を解決することを目的としています。IT人材育成のための講座とか、受講者と県内企業とのマッチングを行うとか、デジタル技術を活用できる女性人材の育成から就労までを一体的に応援するというのが、MAITSURUプロジェクトです。
そして、プロジェクトの一環としてまずは、デジタル分野への興味を持ってもらうために、今般イベントを開催することといたしました。イベント名は「WOMAN DIGITAL WORK EXPO(ウーマン・デジタル・ワーク・エキスポ)」です。
このイベントは、お子さんがいる女性向けのサービスを展開する、株式会社Timers(タイマーズ)と群馬県が連携して開催をいたします。ウェブデザインなどの仕事に興味がある女性の皆さんに、デジタルの仕事に触れていただく機会を設けたいと思います。
イベントでは、画像編集ソフトを使ったウェブデザインの仕事の体験会とか、キャリア相談会を開催いたします。加えて、これらを通して実際の仕事に興味を持った方は、株式会社Timersが運営するスクールに、割引価格で参加することも可能です。
イベントの開催場所は6月17日土曜日がイオンモール太田、それから、7月1日がイオンモール高崎ということで、ちょっと字が小さいんですけど、ここ(スライド資料)に書いてあります。参加は無料です。ぜひ多くの皆さんにご参加をいただきたいと思います。
イベントについては、詳しくはスライド記載のQRコードから、公式のホームページを参照していただきたいと思います。
MAITSURUプロジェクトでは、このイベントをスタートとして、今後様々な取り組みを展開していきたいと考えています。8月には、エクセルの基礎から応用まで、実用的なデジタルスキルを学ぶことができる講座を開講いたします。加えて、企業の正規雇用を目指す方向けに、プログラミングなど専門知識を学ぶ講座の開講も予定しております。
群馬県としては、MAITSURUプロジェクトによって、女性のIT人材が増加し、IT企業などが進出しやすい環境づくりに繋がる未来を描いております。
まずは、このイベントはじめとするMAITSURUプロジェクトを着実に進めていくと同時に、今後も引き続き、女性活躍を群馬県として推進していきたいと考えています。
最後に「直滑降ストリーム」についてのお知らせです。スライドをご覧ください。今週のゲストは、先週に引き続き、前橋出身で、医師・タレントとして活躍されているしゅんしゅんクリニックPさんです。今回は、研修の期間を終えた後、タレントを目指そうと思ったきっかけとか、テレビ番組出演時のエピソードとか、医師とタレントの活動の両立などについて伺いました。また、ぐんま特使になっていただきましたが、しゅんしゅんクリニックPさんが今後どんなふうに群馬県をアピールしていくかについても、いろいろお話を伺っています。本日、19時からYouTubeのtsulunosチャンネルで配信いたします。ぜひ大勢の皆さんにご覧をいただきたいと思います。
はい、私からは以上です。皆さんからご質問があれば。
●医学分野における探知犬研究公募について
(記者)
まず、探知犬についてなんですけれども、改めてですね、群馬県として、こうした事業、昨年のトップ外交の成果が一つ動き出すということだと思うんですが、改めてその意義についてですね、ちょっと教えていただきたいんですけど。
(知事)
群馬県は、先ほども申し上げたとおり、「ペットとの共生」というものに力を入れているんですけれども、よりペットと共生する社会を作っていくためには、こういう探知犬とかファシリティドッグみたいな、こういう存在にもっともっと身近に活躍してもらうということがすごい大事だと思っています。そういう活動をすることによって、より幅広い意味で、本当に人間とペットとの共生という社会の姿を描けていけるんじゃないかなと思っています。
特にこの探知犬の研究、まだまだ日本では多く行われていませんけれども、群馬県が先進的にやることによって、この犬の能力を人間のために生かしていくと。過去に1度ここで会見をした時に、ちょっとゴジラの話をしましたけれども、もう映画のゴジラの話は二度としませんが、やっぱり自然の力で何かいろんなことを抑えていくというのは非常に利にかなっている気がするし、今回唐木健康福祉部長が随分頑張っていただいてですね、しっかりとしたプログラムを作ってもらったので、ぜひ群馬県からですね、探知犬を育てて、まさにペットとの共生というコンセプトをここから全国に、本当の意味で発信していきたいなと思っています。唐木部長何かありますか。探知犬(について)頑張ってくれたから少し話をしてください。
(健康福祉部長)
先ほど記者レクでも説明させていただきましたけれども、まさに知事が今おっしゃったとおり、ペットとの共生というものをより進化させていくために、この医学探知犬の研究を進めていきたいと思っております。
(記者)
そのペットとの共生というところなんですけれども、知事が描かれてるイメージなんですけども、例えばペットなので、各家庭でこういう探知犬がいて、自分の病気を発見してもらうとか、例えば自分の家で探知犬を育てて、何らかの公共施設等でこういったような、自分のペットが活躍できるような場を作るのか、そういったような出口のイメージですよね。今回、研究がスタートする段階で、どういう可能性があるのかというのを含めて研究されると思うんですけれども、知事としてはどんなイメージなんでしょうか。
(知事)
それは多分いろんな形が考えられると思うんですけれども、例えば、家で一緒にいる犬が探知犬になって、何か家族の病気を診るみたいなところまでは、まだ今のところ考えていないんですけれども。少なくともペットとの共生社会の構築というのは、例えば、子犬の訓練みたいなものも大事じゃないですか。例えば、アメリカなんかでは、高級レストランでも、ペットと一緒に結構みんな入れるのは、県議会の一般質問で出ていましたけれど、犬の社会化みたいのが進んでいるわけですよね。しっかりとした訓練を施されているから、公園に行っても安心だし、一緒にいろんな施設に行っても、きちっと振る舞うということで、そういうことも含めて、ペットとの共生社会というのを作っていったらいいんじゃないかと思います。
ですから、探知犬は、今記者さんがおっしゃったように、いろんな形が考えられますけれども、とりあえず、医学の分野で役に立つ、そういう犬を育てるということはとても大事だと思います。医療機関で、これ(探知犬)が活躍できるようになるのか、あるいはもうちょっと違う形でというのは、これからよく考えていきたいと思いますが、とりあえず、ほとんどこれ本気でやっている県はありませんから、群馬県から探知犬をぜひ育てていきたいと。育てていくプロセスも公開していくので、そういうのもすごくいい影響を与えると思うんですね。
●新型コロナ5類移行後の状況について
(記者)
先週も伺いましたけれども、(新型)コロナ(の5類)移行後1カ月が経ちました。改めて、現在の状況の受け止めを伺えればと思います。
(知事)
そうですね、その後も、ポストコロナ社会への移行は、順調に進んできているんじゃないかと思います。さっき、群馬県の旅館ホテル生活衛生同業組合の総代会にも行ってきたんですけれども、みんながノーマルな感じで、マスクしている方もすごく少なくて、してももちろん全然いいんですけども。全体として、そのインバウンドも戻っているという雰囲気はあったし、そういう報告もありましたので、全体としては群馬県、この5類移行後の推移は安定しているんじゃないかなと思います。
●医学分野における探知犬研究公募について
(記者)
探知犬(について)、先ほどもいろいろとご説明いただきましたけれど、改めて県民にとっての意義みたいなところはいかがでしょうか。
(知事)
まず、ペットは、もう今や家族の一員だと思うんですよね。例えば、犬とか猫とかペットとの共生というものが、いろんな意味で、その人の気持ちを癒すとかね、人生を豊かにするというだけじゃなくて、さらに病気(の発見)で活躍するとか、実はペットはいろんな貢献をしてくれる存在なんだということを、まずしっかり知ってもらうということで、さらにペットに対する愛情は深まると思うんですよね。それはとても大事なことかなと思っています。
(記者)
今の記者さんの質問に関連してなんですけれども、やっぱりまだ研究段階で、(研究期間が)3年間ということなので、すぐに県民が恩恵を受けることはできないのかなと思います。予算をつけるわけなので、事業について県民に理解してもらうとか、実際に県民にどういう恩恵があるか納得してもらうために、(県民への)発信だとかはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
(知事)
それは先ほど申し上げたとおり、これから探知犬を群馬県で育てていくので、このプロセスをしっかり公開していきたいと思うんですよね。結構みんな応援してくれると思います。もう一回言いますけれど、ペットは、本当に皆さん家族みたいに接しているし、やっぱりこれが本当にうまくいって、探知犬が医療現場で活躍するようになったら、もう素晴らしいことなので、これは多分みんなに応援してもらえるんじゃないかなと思うんですけれど、今記者さんおっしゃったように、いろんな形でこのプロセスを公開していくということが、とても大事かなと思っています。
もう一回言いますが、今(、なんとか)コロナ(を乗り)越えた(ところな)んですけれど、これから(新たな)パンデミックって、またいつ来るか分からないですよね。その時に例えば我々いろんな手段を持っていた方がいいと思いますし、こういう探知犬が将来的に役に立つような可能性だってあると思うんですよ。例えば、日本ではなかなか簡単にはできないけれど、ヘルシンキ空港では4カ月間ぐらいずっと探知犬がコロナの検査をやっていて、PCR検査よりもずっと確度が高かったんですよね。だからそういうこともよく我々学びながら、社会に役立つ探知犬を育てていきたいと思います。
(記者)
今、空港での話もありましたけれども、群馬県では具体的にどういうところで使っていきたいとか(ありますか)。
(知事)
それは、そこまでまだ育ててないから。でも、医学的な知見とかいろいろあると思うんですけれど、例えば、今すでに使われているという感じだと、大型の客船みたいに、お客さんが乗るときに、今(もやっているかは)分かりませんけれども、少し前までは探知犬を使ってチェックしていたという例もありますし、いろんな形の活用の仕方というか、貢献してもらうやり方があるんじゃないかなと思います。
(記者)
探知犬の話ですが、3年間で1億2,400万円ほどかかるという話を先ほど、(知事会見前に行われた担当部局による)レクでお伺いしたんですが、知事がよくおっしゃっているワイズスペンディングの観点から見て、1億2,400万という金額をどういうふうに判断したのかというのを少しお聞かせ願えますか。
(知事)
フィンランドでこの探知犬を見て、やっぱり可能性をすごく感じたんですよね。探知犬のことは何年か前からいろいろ材料を集めたり、いろんなドキュメンタリーを見たり、研究してきたんですけれど、実際、フィンランドに行って探知犬を視察させていただいて、これはきっといろんな意味で役に立つと判断をいたしました。このワイズスペンディングというのは費用対効果というのがあるんでね、今、皆さんが聞いているように、どういう効果がすぐに出てくるのかということはあると思うんですけど、中長期的に見ると、これはものすごく良い投資だと思っています。
それから、これ本当に群馬県のまさに独自モデルとして、始めるというところにも意味があると思うし、やっぱり群馬県からこういう新しい、探知犬を育てていくということ自体がものすごく県民の皆さまにもワクワクするような感じを与えるんじゃないかなと思っているので、これしっかり進めていきたいと思います。
(記者)
可能性というのをどの辺に感じたのか、もう少し具体的に聞かせていただいてもいいですか。
(知事)
まず、当時、すごく新型コロナで苦労していたじゃないですか、PCR検査も増やせ増やせみたいに国もやっていたけどなかなか上手くいかなかったじゃないですか。その時に、ヘルシンキ空港で何カ月か実証実験をやって、3匹ぐらいの犬が何千人と人を捌くわけですよね。例えば、首の辺りをティッシュで汗をふいて、それをコップに入れるだけで、すぐ犬たちは判別すると。データを取ったら、PCR検査よりも全然確度が高かったんです。多分、医学の専門家の中ではいろんな意見があると思うんですけれど、これは面白いと思う人と、医学的にどうかという人がいると思うんですけれども、やっぱり私はものすごく大きな可能性を感じたんですよね。
特にコロナで大変だったので、ありとあらゆる知見みたいなものを集めている中で引っかかってきたんですけれども、それがプラスα、やはりペットとの共生という意味でも、ものすごく人間との絆を深める流れを作れる。そういうきっかけなんじゃないかと思っています。
(宇留賀副知事)
数字的に少し補足させていただくと、PCR検査は1回当たり数万円ぐらいのコストがかかっていて、かつ、判定の度合いは7割ぐらいしか分からないと。偽陰性・偽陽性も結構あるということに対して、ヘルシンキ空港で見たときには、もう犬がその瞬間判別していく、かつ、判定率も9割以上ということです。また、PCR検査は(結果が出るまで)半日とか数時間待たなければいけないですが、即、(結果が)出てくると。
こういったコストの部分も、実際にパンデミックみたいなことが起こった時には、犬が大量に捌いてくれて、PCR検査よりもある意味コストとして安いというところと、あと待たなくてもよいし、判定率も高い。こういったようなところで、この日本でも活用の可能性があるんじゃないかと。そういう部分に非常に可能性を感じたということを、少し数字的に補足させていただきます。
(記者)
先ほど、何回かPCR検査よりも確度が高いというお話をしていただいていて、知事会見前の記者レクだと、ヘルシンキでの空港では、PCR検査と合致率が97.7(%)というご説明をいただいていまして、実際にその知事がおっしゃるようなPCR検査を上回ったみたいな数字は他にあるのでしょうか。
(健康福祉部長)
データとしてあるのは97.7%ですが、そのPCR検査の偽陽性とか偽陰性とかというのは我々はフィンランドのデータは持っていませんでして。データはそのとおりです。なので、知事はPCR検査と同等以上という形でおっしゃられたんだと思います。
(記者)
数字はお持ちではないが、研究結果としてそういうことが出ているという話でしょうか。
(健康福祉部長)
すいません、先ほど記者レクを行いまして、その時にご紹介したのが97.7%という数字でしたので、そちらがデータになります。
(知事)
これ記者さん、例えばコロナ探知犬みたいなことというのは、日本では現実的に今難しいと思うんですよね。でも、例えばウイルスの扱いについてもすごく日本って慎重だから、将来はどうなるか分かりませんけど、我々が主に考えてるのはこういう「がん」とか、ほかにもいろんな形で「パーキンソン病」とか「てんかん」とか、こういうところはすぐ手がつけられるところだと思うので、イギリスは、特にがん探知犬すごく最先端ですから、そういうところもよく考えながらやっていきたいと思います。
(記者)
もう一つ知事にお伺いしたいのが、先ほどから各社さんの質問からも出ているように、なかなか先行する事例とか、研究、確立されたものがなく、実用化の例もないので、3年に総額1億2,400万というのが、もしかしたら上手く活用できない結果になるんじゃないかという心配から、県民から理解を得られるのかというとこも不安があるなとも思うんですけど、その辺のリスクについてはどのようにお考えでしょうか。
(知事)
どんなプロジェクトもリスクがあるので、それは県民の皆さまに判断していただければいいと思うんですよね。それを言ったら、そもそも32階のtsulunosを作る時もすごく批判されたんですけど、「ほとんど使われなくなるんじゃないか」みたいな。けれども、(現状は)稼働率100%以上じゃないですか。NETSUGENの時もそうだったので、それはそもそも何かをやるにはリスクがあるわけですよね。例えば、県民広場も整備したけど、これからどういう流れになっていくかというのは、100%全部分かっているわけじゃないけれど、だけど、そのリスクというのは常にあるので、そこはできる限り県民の皆さまに説明をしていければいいと思いますし、ご理解をいただけると思います。今おっしゃったように、なぜやるのかという説明は本当に必要だと思っていますが、群馬県がこれを先進的にやるということには意味があると思っています。
(記者)
加えて最後にもう一つ、その過程も公開していきたいというお話を先ほどされていたんですけど、研究の過程というのはどういうイメージを現時点で持っていらっしゃるのか教えていただきたいです。
(知事)
過程も公開というか、探知犬はこれから育てていくわけなので、まずは多分子犬からやることになると思うんで。ですよね、唐木さん(健康福祉部長)。
(健康福祉部長)
そうです。
(知事)
だから子犬から育っていくプロセスみたいのは、やっぱりぜひ(公開したいと思います)。(そういった研究の過程も)紹介をしたいというメディアの方々もいらっしゃると思いますし、できる限り県民の皆さまに、今、研究でこんな事態になっているということは、定期的に報告してくというのがいいのかなと思っています。
(記者)
探知犬についての質問なんですが、今回研究期間3年間ということで、現時点では3年後研究を続けるかどうかというのは今のところまだ分からないかと思うんですが、赤ちゃんの犬を購入して育てていくということで、殺処分ゼロに向けて取り組んできた中で、犬の一生にも責任を持つ必要があるかと思うんですが、その辺りはどんなふうにお考えでしょうか。
(知事)
唐木さん(健康福祉部長)、どうでしょうか。
(健康福祉部長)
おっしゃられますように、犬の一生にも責任を持って育てていく必要があると思っております。3年後どうなるかということについては、先ほど記者レクでもお話させていただきましたけれども、(研究で、)どういう疾患をやるかとか、あとは、探知犬でやるのか、アラートドック的にやるのかというのでもまた変わってきますので、その採択結果とか、今後の進捗状況とかを見ながら判断していくのかなと思っております。
(知事)
探知犬について言うと、今言った、この新しい考え方でペットとの共生の中でこの探知犬の育成というのを位置付けていくということだったんですけど、もう一つは、群馬県が目指す姿として、最先端の地方行政モデルをここで作っていくと、それを発信していくということだったんですけれど、今回やっぱりいいなと思っているのは、新しい分野の研究ですよね。ここにやっぱり研究者を応募してやってもらうというのはとてもいいことだと思うんですね。新しい人材が入ってきて、この群馬県で新しい研究をすると。こういう流れをまずきっかけとして作るという意味でも、とても意義があると思っています。
それでは、県民の皆さまに最後に知事から一言お伝えしたいと思います。
今日もまた記者の皆さんからご質問出ましたけれども、5月8日以降、コロナとの闘いに一旦区切りがついて、コロナウイルスが感染法上の扱いが5類になったということで、群馬県も観光地なんかでも、もう8割9割お客さんが戻ってきたりして、にぎわいも戻ってきたりして、今のところ順調に、ノーマルと言いますか、ポストコロナの社会と言いますか、そこに向けて推移していると思います。我々もロードマップを群馬県として作っておりましたので、それを踏まえて進めているわけですけど、今のところ大きな混乱もなく、ポストコロナの社会への移行が進んでいるのかなと思っています。何かよほどのことがあった時には、しっかり対応する体制をしっかり整えつつ、ここから皆さんとしっかり力を合わせて、群馬県をもっともっと元気のある県にしていきたいと思いますし、コロナ禍ではかなりコロナ対策に力を使わざるを得なかったというか、忙殺されていた面もありますけれども、ここからは、例えば地域経済の発展とか、あるいは産業政策とか、こういうところにも今まで以上にしっかり腰を据えて取り組めるかなと思っております。
はい、ということで、今日は35分ということですけども、比較的早く終わりましたが、記者の皆さんには、最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。これで定例会見を終わりにしたいと思います。
( 以上で終了 )
文章中の()内については、メディアプロモーション課において加筆したものです。