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■会場 記者会見室
■記録作成 メディアプロモーション課(報道係)
令和5年3月16日記者会見動画(You Tube)<外部リンク>
それでは、群馬県と高崎市の合同記者会見を始めさせていただきます。本日は、高崎市が取り組もうとしている「堤ヶ岡飛行場跡地の活用構想」について、県としても、実現に向けて共同で取り組んでいきたいと考えておりまして、富岡市長に来ていただいて、合同記者会見の形をとらせていただきました。記者の皆さまには、お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。
これまでも様々な場所で申し上げてまいりましたが、群馬県は「日本最先端クラスのデジタル県」を目指しておりまして、デジタル技術を活用して地域問題を解決する様々な取り組みを推進してまいりました。そして来月にはいよいよ、「G7群馬高崎デジタル・技術大臣会合」が、群馬県で初めて開催されます。デジタル分野において、群馬県が世界各国から注目される機会になります。
群馬県には自動車産業をはじめとする様々な分野のものづくり企業が立地しておりまして、県の経済を牽引しています。製造業は群馬県の誇りであり、今後も県の産業にとって大きな強みだと考えています。
一方で、県の経済を取り巻く状況は日々大きく変化しておりまして、産業の競争力強化においても、デジタル化が重要なキーワードとなっています。群馬県のものづくり産業の強みが最先端のデジタル技術と結びつき、より付加価値のついた産業に発展できるよう、高付加価値型企業の誘致を進めたいという思いは、県も市町村も共通のものだと考えています。
そうした中、高崎市の方から、県央地域の優良地である「堤ヶ岡飛行場跡地」の開発構想について提案があり、県と高崎市で議論を重ねた結果、デジタルを活用した最先端のまちづくりを共同で進めていくことについて意見が一致いたしました。本日は、その内容について発表させていただきます。それでは、富岡市長の方から、よろしくお願いいたします。
(高崎市長)
高崎市長の富岡でございます。どうぞよろしくお願いします。
今日お話するのは、堤ヶ岡飛行場跡地を活用して、群馬県経済の飛躍的発展に向けて、群馬・高崎でシリコンバレーを超える街をつくっていこうという構想でございます。
この度、高崎市の群馬地域、この飛行場跡地につきまして、世界トップレベルのスマートシティを目指した新しいまちづくりを進めるということを決定いたしました。キーワードは、「デジタル」、それから「グリーン」「クリエイティブ」ということでございます。「デジタル」を軸にしまして、「グリーン」と「クリエイティブ」という観点でも最先端のモデルを実践させ、「シリコンバレーを超えるような街」を目指したいと思っております。順を追って、ご説明申し上げます。
堤ヶ岡飛行場跡地ということですけど、どこにあるかといいますと、群馬県の県央にありまして、西毛広域幹線道路と高崎渋川線バイパスが交差しているところになります。イオンモール高崎という大きな商業エリアがありますが、ここにあります。西毛広域幹線道路は、もう少しで完全開通いたしますけど、今かなり進んでおります。
これ全体は、問題の今回の土地でございますけど、93ヘクタール、93万平方メートルでございます。
関越自動車道前橋ICからのアクセスがいいんです。一番近いのは前橋ICになります。それから、駒寄のスマートICが大型車が通れるようになりましたので、非常に便のいいところでございます。両方からのアクセスが大変よいところとなっています。
そしてまた、この地区は平たんな土地でございますし、河川による浸水の想定が極めて少ないエリアで、ハザード地区に指定されているところがひとつもない場所でございます。レジリエンスという観点からも非常に魅力的な土地です。要するに、まとまっているということと、一定の方針によりまして、土地の利用計画が立てられる、バラバラの土地じゃない、まとまりのある土地だということです。それから、危険水域といいますか、そういう防災上の問題がある土地ではございませんので、大変使い勝手のよい、まとまりのある土地だと。これが非常にポイントでございます。
そのため近年、この地区の周辺ではいろいろな開発事業が進んでいるんですけど、この土地の利用につきましては、今までポツポツと、地元ではいろいろな意見がございましたけど、まとまりのある議論があったわけじゃないですし、一定の運動があったわけではございません。
そういうことを勘案すると、県央の最終で最高の土地だと私は思っています。
93ヘクタールの中身でございますけど、このうちの66ヘクタールが農業用地でございます。66ヘクタールの農業用地のうち約4割が、耕作放棄地であったり、未利用の農地でございます。全体として(農業用地は)66万平方メートル。
それから、残りの部分はいわゆる雑種地。道路だとか、小さな運動場があったり、そういう特別な目的でなく使われている土地でございます。基本的には、全体が農業用地だと思っていただいていいかと思います。
こういう、県央の最後で最高の超優良地でございますが、このポテンシャルを最大限に引き出しまして、市の経済だけじゃなくて県の経済の飛躍的発展に資するものにしていきたい。また、それができるという確信を持って、今回スタートしていることでございます。この土地以上の土地は群馬県にはない。群馬県がワンステップ、ツーステップ上がるための、極めて有効なツールになると思っておるわけでございます。
各論に入ります。どういうポイントにするかということでございますが、目指すのは「シリコンバレーを超えるような街」ということでございます。それを実現するために、大きく3つのコンセプトを掲げたわけでございます。
「先端情報技術を有する企業等が集積する地域」「DXを活用した地域」「再生可能エネルギーを活用したサステナブルな地域」。こういうことでございます。
シリコンバレーというのは、先端情報技術を有する企業が自然発生的に集まったところです。面積は非常に大きいですけど。意図的、政策的に集積させたということではなくて、自然に大企業の情報関係の企業が集まったということでございますが、政策的に集積されておりませんから、交通だとか住環境だとか、そういうことについてはほとんど手付かずと、今いただいているいろいろな情報集めますと、そういうとこではかなり杜撰といいますか、そういうところについて十分練った地域になっているわけではございません。この点は、私どもの構想と違うところでございます。
それぞれ詳しく申し上げます。
1つ目の「先端情報技術を有する企業等が集積する地域」ということで、AIやIT関連企業など、先端情報技術を有する企業や研究機関の誘致を目指してまいりたいと思っております。先ほど知事からお話がありましたように、高崎市としても、これまで市の経済発展に大きく寄与していただきました「ものづくり企業」の強みを生かしまして、そこにデジタル技術を付加して、新たな価値を生み出していく取り組みが必要だと考えております。今回の構想ではAI系、IT系、クリエイティブ系、研究開発系などの企業を集積し、デジタルイノベーションで新たな成長産業を生み出していくと同時に、クリエイティブな産業等における新たな雇用の創出にもつなげていきたいと考えております。
今までは「ものづくり」が中心でございましたけど、それをさらにワンステップ上げまして、情報技術を活用した企業の集積、産業集積を図ってまいりたいということでございます。そうすることによって、いろいろな雇用が創出を図ってまいりたいということでございます。また同時に、そういう場所になりますと、様々な人材や資源、知見が集まってくる結果としまして、この場所でハイレベルな最先端の教育を実現していくということが期待できるわけでございます。
このような取り組みによって、群馬県や高崎市のブランド力を向上させまして、移住人口とか関係人口を増加させまして、県経済の飛躍的な発展につなげていきたいと考えているわけです。これにより、ワンステップ、ツーステップ上がった県になると私は考えております。
次の「DXを活用した地域」のイメージ図ですが、エネルギー、モビリティ、パブリックスペースなどのあらゆる面でDXを活用した、新たな社会システムを構築することを目指したいと考えております。将来的には、首都圏に居住する人の「転職なき移住」の受け皿になる、そういう場所にしていきたいと考えております。具体的には、最先端の通信環境やサテライトオフィス、コワーキングスペース等の環境整備や、ICT推進による利便性の高い住民サービスの提供、AIの活用による安心安全な住環境整備なども検討していきたいと。それを実践していきたいと考えております。
また、新たなモビリティの活用として、自動運転ロボットやドローン等による宅配サービスなどを検討してまいりたいと考えています。
例えば、この中では、MaaSの発展系だと私は思っていますけど、ロボット配送はもちろんですけど、足の確保としまして、AIによる自動運転などで、街中をグルグルと交通網のネットワークがあるようなイメージで考えていただいたらいいかと思います。MaaSをさらに発展させた形で社会を実現すると。もちろん配送などは、ドローンを使ったり、いろんなロボットが配送したりする。こういうふうにして、DXを使ったまちづくりをしていくと。こういうふうに考えているわけでございます。
特に、交通手段ということでございますが、本地区は周辺に駅がないわけでございまして、今、交通手段は自動車とバスに依存してるわけでございますが、こういう状況をむしろ逆手にとりまして、今、県で取り組んでいただいていますMaaSの社会実装を取り入れることで、課題解決の先進地にしていきたいと考えています。もうこれは実践。実験じゃなくて実践で、街(の不利な点)を、そういう手法を使ってカバーして、全体を網羅していきたいと考えているわけでございます。
次の「再生可能エネルギー活用をしましたサステナブルな地域」でございますが、エネルギーの需要側と供給側を一体的にとらえたエネルギーの需給システムの構築を目指したいと考えています。
これは山本知事が大変やっていただいていますけど、地区内に建設されるすべての建物において再生可能エネルギーの地産地消を実現していくというのはもちろんでございますが、エネルギー活用の面でも最先端のモデルを提示したいと考えております。
これはどういうことかと言いますと、例えば、普通の家や企業の上で太陽光などで発電した場合に、それをただ流すというのではなくて、AIあるいはデジタルを使いまして、それをコントロールして、それぞれの利用者の方につなげていくと。そういうことで無駄なことがないようにして、再生可能エネルギーのうまい循環を図っていくことができると思っています。
これは実はシリコンバレーにはないんだと私は思っています。シリコンバレーではそういうところでやってないということで、こういう点でサステナブルな地域社会を作っていこうと思っております。
この3つの要素を総合的に組み合わせまして、将来的には公民学の連携によって、新たなサービスや付加価値を創出する地域を目指す。その上で社会のDX化、脱炭素化をリードするようなイノベーション・エコシステムを構築し、世界に向けて発信したいと考えているわけでございます。
こういう考え方で、この地域を作ってまいりたいと考えております。こうすることによって、間違いなく、群馬県は全国の先端をいった、特色のある取り組みがなされる地域になると思っております。群馬県の一層のステップアップと魅力の向上が図られると思っていますし、地域社会のいろいろな課題の解決を、DX等を活用した課題の解決につなげられると思って、これをスタートしようと考えているとこでございます。私の説明は以上でございます。
(知事)
富岡市長、ありがとうございました。
今、高崎市の富岡市長からご説明のあったとおり、この県央地域に残された最後の優良地とも言うべき、この「堤ヶ岡飛行場跡地」を、先ほど市長もおっしゃったように、「シリコンバレーを超える街」に変えていきたいと思います。公民学の連携によって、新たなサービスや付加価値を創出する地域、これも先ほど富岡市長からご説明していただきましたが、こういう地域を目指していくということです。
そして、DXの面でも、脱炭素の面でも、世界に例のない近未来的なまちにしていくという富岡市長のダイナミックな構想に、知事である私も大変共感しています。
この場所が、群馬県が打ち出している2040年のビジョンを象徴するような街になること。そして、「デジタル」「グリーン」「クリエイティブ」の3要素がダイナミックに連動して、地域課題解決の先端を行く、「リビングラボ」とよく言いますけども、まさに世界的な実証実験場的な、群馬オリジナル、群馬ユニークな街となることを期待をしています。
スライドをご覧ください。今後の取り組みについて、ご説明させていただきたいと思います。
当面の取り組みは、スライド記載の3点です。本日の発表を皮切りに、まず、県と市の連携を強化し、活動を活発化させていきたいと考えています。
まず1点目。基本構想策定に向けた共同戦略会議(仮称)を、群馬県と高崎市の合同で早期に設置し、調査研究を進めさせていただきます。
また2点目。先進地事例調査として、富岡市長と一緒に、アメリカのシリコンバレーを視察する機会を設けたいと考えています。加えて、知事の地域外交とかトップセールスなど、あらゆる機会を活用して、欧州なども視察させていただこうと考えています。
3点目の「高付加価値型産業の誘致」ですね。これに関しては、来月、「G7群馬高崎デジタル・技術大臣会合」が開催されます。海外から多くの要人とか関係企業が集まりますので、こうした機会も最大限に活用して、トップセールスを行ってまいりたいと考えています。加えて、知事による外資系企業への直接のプレゼンテーションとか、東京事務所を中心とした国内外の優良企業へのアプローチを通じて、積極的にこの構想をPRしてまいりたいと考えています。
次のスライドをご覧ください。今後のスケジュールです。もう少し長期的な見通しについてもご報告をしたいと思います。
まずは、先ほど説明した共同戦略会議において、基本構想の策定を加速してまいります。あわせて、高崎市としても、都市計画マスタープランの見直しにすでに着手しているということですので、これを着実に進めていただくことになります。
その後、令和5年度の下期から、令和9年度まで、都市計画の関係や環境影響評価の調整・手続きを進めて、令和10年度以降に造成工事に着手することを目標にしたいと考えています。
なお、この地域は現在、広大な農地でもあります。今回の構想を実現するためには、農家の皆さんの意向の把握とか土地改良区への説明など、丁寧に地元調整を進めることが大前提となります。加えて、都市計画の変更等の手続きにあたっては、県と市が協力して進めていくことが必要です。目標ありき、工期ありきではなくて、この点は丁寧に手続きを進めさせていただきたいと考えております。
それでは最後に、先ほど富岡市長からもお話あったMaaSについて、私からちょっと補足をさせていただきます。スライドをご覧ください。
先ほどもお話のあったとおり、この地区は周辺に駅がありません。現状、交通手段は、先ほど市長からご説明があったように、自動車とバスに依存しています。こうした状況を活用して、MaaSの社会実装を進め、公共交通を持続可能なものに転換していく必要があると考えています。
先週発表いたしましたが、群馬県では現在、「GunMaaS」と銘打って、自家用車から公共交通への転換を促し、いつでも誰でも、どこへでも移動することができるMaaSの社会実装を進めています。今後は高崎市とも連携し、MaaS社会の実現に向けて取り組んでいきたいと考えております。
加えて、県庁には、皆さんご存知のとおり、官民共創スペースNETSUGENを、前橋駅にはデジタルクリエイティブの若者人材育成拠点tsukurunを、また、高崎駅の周辺には、Gメッセ群馬を整備してまいりました。高崎市役所を含めて、こういった県央地域の中核的な施設や場所と、今回の堤ヶ岡飛行場跡地がGunMaaSで結ばれると。こういった胸が躍るような近未来のイメージを私たちは描いております。
繰り返しになりますが、この堤ヶ岡飛行場跡地を、「シリコンバレーを超えるような、群馬ユニークの街」に変えていくと。社会のDX化、脱炭素化をリードし、新しい価値を世界に向けて発信していく。そのために、群馬県としても、高崎市の取り組みを全力でサポートしてまいりたいと考えています。
発表内容は以上となります。それではここで、富岡市長とのフォトセッションを行いたいと思います。
(フォトセッション)
それでは、記者の方々からご質問があれば、お受けしたいと思います。
(記者)
令和10年から造成工事ということですが、供用開始の時期はどれぐらいをイメージされているのでしょうか。
(知事)
これから全体の流れを見ながら決まっていくということですね。一応これは目安なので、こういう形で進めていくということですけれども、具体的な話は、これから共同戦略会議もできますから、その中でよく詰めていければと思います。
(記者)
スケジュールの中でアメリカ視察もありました。具体的にはどれぐらいの時期に行きたいというのはありますか。
(知事)
高崎市長のご予定もよく聞きながらと思いますが、市長も「シリコンバレーを超える地域に」という強い思いを持っていらっしゃるので、一緒にシリコンバレーを視察させていただきたいと思います。
第二次安倍内閣の内閣府特命担当大臣なったときにIT産業担当だったので、シリコンバレーには何度も行っておりますので、ぜひ今度一緒に、富岡市長とシリコンバレーに行って、最先端の今の現状をよく視察をしてまいりたいと思います。
また、これは市長と一緒に行けるかどうか分かりませんが、知事の地域外交としてヨーロッパにも行きますので、こういう機会にも、この構想を少し応援できるような情報収集ができれば、そちらの方も少し回ってみようかなと思っています。
(記者)
この地域が、前橋飛行場とか、いわゆる陸軍の設備だったということで、この地域は飛行学校があって、かつ、特攻隊もいたという歴史を見たときに、この地域がこうして近未来的に使われていくということの意義、これを知事としてどうお考えでしょうか。
(知事)
これは高崎市長の方から答えていただければと思います。
(高崎市長)
戦争の後遺症が残っている地域でございまして、今でも地元の人が、飛行場については特別な思いを持っている地域でございます。
本来だったら、次の世代を率いていただく予定の若者が、ここで亡くなる元になったわけでございますから、そういう人たちの気持ちを受け継いで、貴重な土地の利用をしていこうと地元はずっと思っていたんですけども、なかなかいい考えが出ないもんですから、ずっとそのままになっていたと。
ですから、この構想に対していろいろな方の意見を聞いたら、それをやってくれと。それがおそらく、亡くなっていった若者に対する思いの実現だろうと。こういうことを言う方が随分いらっしゃいますから、そういうつもりで、大事な土地だということで活用していきたいと思っています。
(知事)
付け加えることはありません。市長のおっしゃるとおりで、同じ思いを共有して、しっかり頑張っていければと思います。
(記者)
戦争に関わることとしては、今回の対象地域よりもすでに整備されている地域ですと、戦争の記憶を残すような、例えば、コンクリート基礎とかいろいろ残っているところもありますが、この飛行場跡地を整備するという中で、この戦争の記憶を残すための取り組みというか、その辺は何か構想としてありますでしょうか。
(高崎市長)
実はそういう活動が続いておりましてね、この飛行場跡地のことについて、つい1年前くらい前に映画化されたんですよ。戦時の若者がどういう過程で飛行機で飛び立ったのかちゃんと記録に残そうということで、地域住民が中心になりまして映画化されました。これはいろいろな場所で上映されていまして、こういうことを日本人は忘れていってはいけないということで思いは一致していますので、だからこそ、(飛行場跡地を)そのままにしておくのではなく、未来の日本のために、そして群馬のために、郷土のために散っていったわけですから、そういう人たちの思いを実現していくのはいいことだと思っています。
(記者)
この堤ヶ岡飛行場については、20年以上前にも県と旧群馬町が一緒に調査をして、報告書を策定して計画を練ったにも関わらず、なかなか実現まで至らなかった難しい土地だとお聞きしているんですが、その土地を開発していくにあたって最大の課題は何なのか、また、それを解決する鍵というのはどこにあるとお考えでしょうか。
(高崎市長)
よく調べていただいていますけどね、これは地元地域で、何回か、ここの土地利用について、一歩前進させたいという動きがあったんです。一応計画のようなものも作っていますけど、内容は、実現性ということについて十分点検した内容ではありませんから、実現しようがなかった。
なぜ実現しなかったかと言ったら、ここが農地だからですよ。農地の利活用を見直すということは大変なエネルギーがかかります。先ほど知事から申しましたような、ちょっとロングレンジでこの計画を進めなくてはいけないというのは、もちろん地元の方々との協議といいますか、地元の方々の理解を得るということと同時に、関係機関との調整が長く時間がかかると私は思っておりまして、今までは、検討はしたけどそこについて一切手をつけてこなかったですから、そのまま案が沈んでしまったということですね。今回はそれも、県の協力を得て、両方の手を携えてやっていきたいと思っています。手間暇はかかりますが、やっていこうと思っています。
(知事)
今のことについては、ちょっと私からも付け加えたいと思うんですが、今、高崎市長がおっしゃったように、この構想を実現していくためには、超えていかなくてはいけないハードルが結構あると思うんですよね。先ほど言ったように、いろいろな関係機関との調整、農家の皆さんとの調整も必要だということで、時間もかかると思いますし、手間もかかると思いますが、市長と協力して、県も丁寧に、努力を積み重ねていきたいと思っています。
どうしてここに来てこういう構想がまとまってきたのかと言うと、富岡市長という非常にダイナミックなリーダーが出現されて、この構想について、少し前ですが、お話をいただいて、これを進めていくためには県も相当入ってもらわないといけないと。少し時間もかかるし、いろいろハードルもあるけど、やはり未来に向けて、ここから次の世代に、本当に何て言うんでしょうか、大きな夢をもたらせるようなプロジェクトにしていきたいというお話を伺いました。
私は知事になって、毎回庁議で県庁の幹部に話していることの中に、劣化東京を作らないという主義があるんですよ。群馬県、あちこちにやっぱり、劣化東京の思考が払拭されていないわけですよ。
Gメッセ群馬も劣化東京にしてはいけませんが、劣化東京だという人もいるわけじゃないすか。だからここを、しっかりと改修して、新たな戦略のもとに、例えば、日本最大のグリーンバックを作って、映像産業を引っ張って来ようと思っているわけですよね。
富岡市長さんは、お世辞を言うわけじゃないんですけれども、これまで非常に大胆な投資を成功させてこられているわけですよね。高崎の芸術劇場は、ダイナミックな、かなり大きな投資だったんですけども、本当にいいものを作られたので、今、ミュージシャンの間では非常に評判になっているんですよね。アリーナも然りですけども、やはり、市長がこれまで、いろいろ大胆な投資を成功させてこられたということを考えると、富岡市長さんとしっかり連携すれば、もちろん県も一生懸命やりますが、もう一回言います、いろいろこれから関係機関と調整していかなくてはいけない、農家の方々のご理解もいただかなければいけないと思いますが、この構想は実現できるだろうと思いますし、このタイムテーブルに従って、やはりこういうものを目指してやって行くというところに勢いが生まれると思うので、ぜひこれは進めていきたいと思います。
今までいろんな話が出ても、やっぱりちょっとハードルがあるから全部中途半端だったとか、なかなか難しいから進まなかったところに、こういう具体的な構想を打ち出したというのは、非常に意味があると思いますので、富岡市長と知事である私とが協力をして、ぜひこのプロジェクトを実現させたいと思っています。
(記者)
知事にもう少しお聞きしたいんですけど、農地の農振除外とかいろいろ課題があると思いますが、県が入ることによって、こういう役割を果たしていく、ここがプラスだというのは・・・
(知事)
それは、先ほど申し上げたとおり、県がしっかり入っていかなければ、なかなか関係機関との調整は進んでいかないと思うんですよね。富岡市長はとてもダイナミックなリーダーなので、高崎市にも注目していますし、行政マンとしては先輩なので尊敬しているんですけども、私の強みがあるとするとね、泥臭く説得していくということだと思うんですよ。
山本県政の真髄というのは、難しい問題でもできる限り説得をして、できる限りのコンセンサスを作っていくと。例えば総合計画だったら、12カ所に全部知事が行って2時間ずつ説明するとか、未来構想フォーラムの時は高崎市長にも協力していただきましたが、すべての首長と、すべての会派の県議と、それからいわゆる各地域の自治会長とかこういう方々を集めて、全部知事が司会をして、2時間近くやって、4000人くらいの県民と話をしましたので、そういうところを県として、こういう分野の力を発揮して、しっかり市長と力を合わせて進めていければと思います。
ですから、県がしっかりと役割を果たさなければいけないのは、ここから乗り越えていかなければいけない、いろんな機関との調整だと思っています。
(高崎市長)
ちょっと補足させていただきます。今、知事さんがおっしゃったとおりなんですけど、この企業誘致は、単に企業を公募しましてどうぞというんじゃなくて、新しいコンセプトで、デジタル最先端県を狙っている、知事さんの発想による県のグレードアップ、そういう流れの中で進めていかなくてはいけないと思っています。
企業誘致でも、こういう先端分野の企業を誘致しようという時は、積み上げでいらっしゃるだけじゃ駄目なんです。やっぱりね、中央にも影響力のある、山本知事さんのような方がいる時にやらなかったらできませんよ。
ですから、こういう絶好の機会を持ちまして、しかも、群馬のグレードアップを図るためにデジタルを使ってやるということを打ち出していただいているわけだから、このチャンスを逃したら、ちょっと想像できる期間、ちょっと考えられませんね、可能性。かつて計画などいろいろ考えたりした人はいましたけどね、そういう手法、そういう方法を持っていなかったから。知事さんの元でこれは進められると、そういう確信を持ってやっているわけです。
企業誘致もトップセールスでやらなくては話になりません。トップセールスでやるのにね、ただ、大きい会社に来てくださいじゃ駄目なんです。やっぱり新しい構想、そのコンセプトの元でやっていける企業に声をかけていくんですけど、これはね、余程トップがしっかりしてないとね、トップに理念がないといけない。これは山本知事がぴったりだと思います。このチャンスを逃したら、永遠にできないと私は思っています。
(記者)
3つの基本構想の柱で、1番目の(柱)はIT企業などを誘致する、IT企業などの団地みたいなものを作るんだということは分かったんですけれども、2番目のドローンやロボットでの配送とか再エネを使った食・住の環境を整えるという趣旨かなと思ったんですけど、ということは、IT企業などの社員の住む場所を、(例えば)タワマンとかを跡地に作るということなのか、とりあえず企業だけを跡地にたくさん集積させるということなのか、ちょっとそこの確認をしたいなと思いまして。
(高崎市長)
この地域は、モビリティをちょっと考えなくちゃいけないし、そのエリアに住む人のことを考えなきゃいけないということを考えましたときに、通常の地方にありますような手法の、例えば交通手段だとか、そういうことで対応することはできない。むしろそういうときに、新しい手法を使うという、そのためにAIなどを使った自動運転とかMaaSとか、そういう手法を駆使することによって、職住近接の実現ができるし、それからいろんな問題を解決できると思っていますので、地域全体をそういうふうに組み替えていきたいと思ってます。
ですから、例えば先ほど言ったtsukurunとか、NETSUGENだとか、そういうところと高崎市役所がすぐ連携するためには、MaaSを使う。あるいは、場合によっては、手法としてMaaSだけじゃなくて、手段としてAIを使った、電気自動車の自動運転だとか、そういうものを中に持ち込むことによって、そういうことが可能になると私は思っています。新しい職住近接、リビングラボ、そういうことをやっていこうと私は思っているんですけど、それが新しい街づくりだと思っています。
(記者)
今の(職住)近接というのは、この跡地の周辺に住むことを考えていますか、それともこの跡地内に住環境を整えることも考えているのでしょうか。
(高崎市長)
このエリアの中に、ある程度住居部分を作ることにはなると思います。ただ、それだけでは足らないので、高崎市、あるいは前橋市に近いですから、群馬県の県央部に住む方との連携のシステムをこの際新しくしていくということだと。これは実はシリコンバレーでもやってないんですよ。ですから今シリコンバレーでも、企業はトップ企業が来たけど、アメリカでも車に乗らない人っていっぱいいる。その足がないものだから、そこから離れて、足の確保できる町の方に移っていったりするという例もあるそうですけど、これはちょっと知事とチェックしてまいりたいと思っています。そういうことがないように、地域内だけの話ではありません。そんなにたくさんの住居は作らないと思っていますけど。
(記者)
(モニター資料における)スケジュールのカレンダーの書いてあるページについて、この矢印が正確には、いつを意味しているかを確認したいんですが。この令和4年度の戦略会議設置が4年度早々だとすると、今年の4月とか、丸めるのであれば、今春っていうようなことでいいのかというのと・・・。
(高崎市長)
これは、矢印が(令和)4年度から入ってすけど、5年度の当初に、速やかに設ける予定です。もうすでに打ち合わせなどは何度もやっていますから、それを会議体として持ち上げるのは、5年度の先の方だと思っています。
その先は、先ほど知事がおっしゃられましたように、丁寧な根回しをしたり、いろんな関係機関とのいろんな話し合いがありますから、ここはちょっと、矢印が左右にずれると思いますけどね。それは進めてみないと分からない。
(記者)
基本構想策定は、とりあえず令和5年度中に策定ということでいいですかね。令和5年度のいつとは、別に今は言ってないということですかね。
(高崎市長)
令和5年度中にしなければ、作業はできませんからこの後。
(記者)
先ほどのスケジュールの関連で、追加で質問です。確認ですけれども、共同戦略会議は、新年度から設置して、基本構想策を新年度中に行うということでよろしいですかね。
(高崎市長)
そのつもりです。
(記者)
シリコンバレーの視察については、来年度中とも言えない形でしょうか。
(知事)
これからよく日程調整してみたいと思います。
(記者)
先ほどのやりとりの中で、足の確保というところを高崎市長は仰ってました。シリコンバレーを超えるというふうにタイトルにもありましたけれども、超えるという部分は主にそこであるというような想定でいらっしゃいますでしょうか、お願いします。
(高崎市長)
職住近接の「住」の方がシリコンバレーは全く考えてない。自然発生で、トップ企業が集まった地域になっていますから、そういう住とかエネルギーを自分で作ってそうするとかそういうことをやっていませんし、特に住環境だとか生活環境、そういうことを考えないといけない。これが我々の構想の一番大事なことだと思っていますので、そこはちょっと違うと思う。
(記者)
高崎市の新年度予算で、この飛行場の活用についての予算を計上されているのは報道で承知しているんですけれども、県はこれに関して新年度予算を計上しているんでしょうか。事務方になりますか。
(知事)
県の方は、まだ計上していません。これからいろいろ構想を作って、何が必要かということをよく精査していきたいと思います。それから、市長の方からシリコンバレーの話があったんですけども、市長もさすがにいろいろ研究をされていると思うんですが、シリコンバレーは、もちろん一つの象徴ではあるんですけれども、やっぱりシリコンバレーの弱みみたいなものがあって、市長がおっしゃったように、シリコンバレーはシリコンバレーとして、世界各国が模範にするようなエコシステムができているんですけれども、まさに市長がおっしゃったような、いろんなところもあって、だんだん企業の一部が移っていくということが、例えばテキサスみたいなところとか、そういうところに移っていく現象もあるので、そういうのも全体見て、まさに我々がやるのは、群馬県独自、高崎独自の新しいモデルなので、シリコンバレーの良いところは取り入れて、高崎市長が言ったような足りないところは、さらに展開していくという意味で、シリコンバレーを超える地域というふうに定義しているわけです。
(記者)
土地の内訳の部分でお尋ねでして、66ヘクタールが農業用地で、残りが雑種地とおっしゃいましたかね、道路とか運動場とかというご説明だったんですけれども、グーグルマップを見たら、今だと店舗とかも入っているみたいなんですけれども、その辺は、土地の供用が始まるタイミングでまだお店が残っていたら、立ち退きをお願いするということになりますか。
(高崎市長)
この農用地全体は市街化調整区域に入っていて、市街化調整区域というのは、普通の住宅とか店はできないんですけど、例えば自分の家族、長男だとか、次男の家(を建てる)のは許容されたりする。そういうものが残っていることは事実。そこが悪いから残っているんじゃなくて、それをどかしてやるのかどうか、内容をこれから詰めたことによって、むしろ残した方がいいとか、ご協力いただいた方がいいということがあれば(立ち退きの)お願いをしますけど。ただ、そういう経緯があって残っているんですよ。
(記者)
少なくとも一般民家はないですか。
(高崎市長)
市街化調整区域ですから一般民家を作ることは(原則として)OKにならないです。
(記者)
今現在のイメージで構わないんですが、例えばこれは、デジタルにある程度特化した工業団地みたいなのを作りたいようなイメージなのか、それとも何かスマートシティみたいな実験のようなところをやって、参加する企業を集めてくるというイメージなのか、その辺をちょっとお聞かせ願えればと思います。
(高崎市長)
端的には、IT企業の箱物が並ぶということが基本にあるでしょ。それだけじゃなくて、その間にリンクさせたやり方を、例えば電気のやりとりはこうするとか、それから、例えば足の確保ということでは、お互い共通に自動運転を利用しましょうとか、MaaSを利用しましょうとか、そういうようなことをお互いに話し合って、だからNETSUGENのエリア全体がそうだったって、そういう感じですよ、私はそういうふうに思っています。だけど、箱物はそれぞれ別でしょ。あるいは一緒になるってこともある。それから今、知事がおっしゃったラボみたいないろんな人が集まる。そういうことが、おそらく共同のエリアでできたりすると思うんですけど、それは共同エリアが一つの場所にあるのか、それぞれの建物中にそういうふうな感じの運営をするのかは、これから詰めてからですね。
(記者)
要するに核になる企業があって、それでちょっと参加してもらうというよりも、多くの企業に集まってもらって、そこで協業的な動きを作ってもらうということをやりましょうというイメージでいいですかね。
(高崎市長)
それをやるという条件で入ってもらいましょうということになると思いますけどね。
先ほど市長からもお話がありましたけども、県と市がしっかり協力していくと。いろいろこれから調整は丁寧に協力してやっていきたいと思いますが、市長がおっしゃったように、先端企業を誘致してくる、引っ張ってくることについては、微力でありますけども、私も一生懸命頑張りたいと思います。今、宇留賀副知事と一緒に月に何回か、東京にずっとトップセールスに行きながら、いろいろ群馬県独自のトップセールスの形も考えているんですけれども、アメリカ商工会議所の部会でプレゼンしたり、あるいは大体G7のところの大使と会ってきたんですけれども、ここからは、いわゆる外資系の企業へのプレゼンも始めようと思っていまして、例えば今群馬県高崎市は、もうNTTの本社機能の一部機能移転で京都と高崎というぐらい注目されていますし、県庁にも、皆さんご存知のとおり、アクセンチュアを引っ張ってくるという初めての試みがありますし、デロイトトーマツも来ていますし、太田市にはミシュランも来ているので、これから宇留賀副知事の力も借り、あるいは政策アドバイザーとかいろんな方々のお力も借りながら、さらにトップセールスをやっていくんですけれども、こういう構想も、ある意味でいうと一つの目玉になるかなと思っていますので、このトップセールスの部分をしっかり知事としても、市長と協力して頑張っていきたいと思います。
よろしいでしょうか。他になければ、一旦ここで会見を閉じさせていただいて、15時からもう一度定例会見をさせていただきたいと思います。市長、本当にありがとうございました。皆さんもありがとうございました。
( 以上で終了 )
文章中の()内については、メディアプロモーション課において加筆したものです。