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■会場 記者会見室
■記録作成 メディアプロモーション課(報道係)
令和5年3月9日記者会見動画(You Tube)<外部リンク>
※ リンク先動画30:50からは同日に行われた定例記者会見の映像となります。
交通移動手段をめぐっては、高齢者や過疎地における移動手段の確保、それから都市部での日常的な渋滞、排気ガスによる環境への影響の問題等に直面をしています。特に群馬県は、1人当たりの自動車保有台数が全国トップクラスです。当然、自家用車が日常の移動手段になっていることから、こうした問題が特に県内に顕著に現れていると認識しています。自家用車の普及とともに、公共交通が衰退し、そのことがさらに自家用車に頼らざるを得ないという状況を生み出しております。
先日発表した令和4年度の「幸福度レポート」においても、6割以上の県民が群馬県の公共交通について満足していないという結果が出ています。また、鉄道やバス、タクシーなどの事業者の側でも、従業員の高齢化とか人手不足に直面しており、地域全体で持続可能な地域交通を考えていかなければなりません。群馬県では、日本最先端クラスのデジタル県を目指しておりまして、デジタル技術を活用して、地域課題を解決する取り組みを推進しています。本日説明させていただく群馬版MaaSについても、まさにデジタル技術を活用した地域課題解決のモデルになる取り組みだと捉えています。
それでは、まず私から群馬版MaaSについてご説明をさせていただきます。この度、次世代交通システムである群馬版MaaS、「GunMaaS(グンマース)」のサービスを3月15日から開始することといたしました。前橋市では、全国でも先進的な自治体として、前橋版MaaS、「MaeMaaS(マエマース)」に取り組んでこられましたが、その実績を生かし、全県にそのサービスを拡大する、「GunMaaS」として進めていきたいと思っています。まずは前橋エリアにおいてサービスを開始し、順次県内全域への展開やサービスの拡充を図ってまいります。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、まずはMaaSについて改めてご説明させてください。スライドをご覧ください。MaaSですね。MaaSとは、モビリティ・アズ・ア・サービスの略です。直訳すると、「1つのサービスとしての移動手段」ということになります。簡単に言うと、情報通信技術を活用して、マイカー以外の移動手段をシームレスにつなぐ、これがMaaSという仕組みです。現在は鉄道とかバス、タクシーなど、それぞれの交通サービスを個別で検索し、予約したり、料金を支払っています。一方、MaaSの社会では、1つのアプリで各交通サービスの経路検索とか予約、料金の支払いが一括してできるような流れになります。
前橋市では、令和元年度に国交省などが推進するMaaSの実証実験に、いち早く着手し、「MaeMaaS」の運用を開始しています。自動運転バスの実験的な運行とか、24時間利用できるシェアサイクルサービス、「cogbe(コグベ)」を展開し、自家用車に頼らない移動を推進しています。昨年、河野太郎デジタル担当大臣、西村康稔経済産業大臣が来県した際も、前橋市のMaaSやマイナンバーカードを活用した「マイタク」などを視察していただきました。この視察には山本市長にも同行していただきました。こうした前橋市の取り組みを、この2人の大臣は高く、先進的な事例として評価をしていただいたということで、群馬県としては、こうした取り組みをさらに高度化しながら、県内に広く横展開していくことが大事だと考えています。
それでは、「GunMaaS」について説明したいと思います。次のスライドをご覧ください。「GunMaaS」のサービスに関するスライドです。「GunMaaS」は県内へのMaaS普及を加速させるために、すでにサービスを開始している、さっきご紹介した「MaeMaaS」のサービスを継承、高度化したものになります。県内への展開が進めば、例えば経路検索において、これまでは他の市町村とか他社の交通は別々に調べてたわけですが、「GunMaaS」を使えば、スマートフォン1台で目的地までの経路検索が簡単にできるようになるということです。その他、「GunMaaS」が提供するサービスはスライドに記載されているのとおりですけども、タクシーやデマンド交通の予約、決済が可能だということのほか、3私鉄に限定をされておりますけども、スマホ認証によって乗車決済ができる仕組みになっています。そして「GunMaaS」の一番の特徴が、マイナンバーカードや交通系のICカードと連携していることです。MaaSは一般的に経路検索、予約、決済をする仕組みですけれども、マイナンバーカードなどの個人情報と連携させることで、利用者に合わせた最適な情報提供や割引サービスを受けることが可能になります。
次に、皆さんがイメージしやすいように実際に「GunMaaS」を使ったケースを紹介させてください。スライドをご覧ください。これが利用に関するイメージになります。例えば、出発地は群馬県庁として、目的地を前橋市内のぐんまフラワーパークとした場合を想定します。この(スライド資料の)上段が「GunMaaS」を使用したケース、下段が「GunMaaS」を使わなかった場合のケースの例です。これは従来のケースですね。「GunMaaS」を使用しないケースでは、ご覧のとおり、バス、鉄道の路線と時刻表、運行状況を自分でそれぞれ調べて、乗り継ぎ等を計画し、デマンド交通についても個別で検索、予約を行わなければなりません。市民割や年齢、各種手帳等に応じた割引を受ける場合も、その都度必要なものを見せなければいけないということになります。
一方、このスライドの上段を見てください。スライドの上段、「GunMaaS」を使用した場合では、スマホで出発地と目的地を設定いたします。地図上で目的地を選択できるので、目的地に最も近いバス停など、場所を指定することができます。経路検索においては、時間順、料金順などの複数の経路が示されるということで、最適な経路を選択できます。バスの運行状況はリアルタイムで反映されるため、遅れなども考慮した経路が表示されます。また、経路にタクシーやデマンド交通がある場合、そのまま予約をすることも可能です。加えてマイナンバーカードと交通系のICカードを連携させることで、タクシー、鉄道、デマンドバスに乗車でき、運賃の支払いもできます。市民割や年齢に応じた割引を受けることも可能になります。トータルで比較すると、出発前の経路決定の手間とか、あるいは個別の予約に要していた時間が圧縮されますので、最終的な到着時間にも差が出ることがあり得ると考えられます。以上、実際の事例を挙げてご紹介いたしました。時間、料金ともに「GunMaaS」を使用した方が利便性が高いということを分かっていただけたんじゃないかと思います。
現時点で「GunMaaS」は公共交通手段の連携が主になっていますけれども、今後、商業や福祉、教育防災などの他の分野との連携も進めていきたいと考えています。また、前橋市内だけではなくて、県内全域に展開することによって、さらなるサービスの向上にも取り組んでまいります。
それでは、今後どのように「GunMaaS」を進めていくのかをご説明させてください。次のスライドをご覧ください。今後のスケジュールに関して、少し簡潔に説明します。「GunMaaS」を県内全域に展開するにあたり、まず令和5年度は県内各地域でモデルづくりをやっていきます。都市型モデルとしては前橋市の取り組みをベースに、システムを高度化させ、山間地・観光地モデルでは、地域の課題に合わせてシステムをカスタマイズし、市町村に展開していくということになります。そして、令和7年度には、モデル地域で作り上げたものを県内全域に広げられるよう、普及促進を図ってまいります。加えて、サブスクリプション、いわゆる使い放題プランについても、令和5年度中には先行導入を開始し、令和7年度には本格導入する計画です。以上のように、本格導入となる令和7年度までの残り2年間に国の支援なども活用しながら、様々な試行を行っていきたいと考えています。最終的には「GunMaaS」が軌道に乗って、行政が補助しなくても自立したサービスとして実装できるように取り組んでいくということです。以上、群馬版のMaaS、「GunMaaS」についてご説明いたしました。
今回社会実装させていただく「GunMaaS」は、自家用車から公共交通への転換を促すと同時に、県民の皆さまの利便性向上を図っていくものになります。これによって、群馬県の公共交通を新しく持続可能なものに展開し、公共交通の定義そのものを刷新していけると考えております。車社会と言われる群馬県だからこそ、この課題に関する課題解決のモデルを世界に打ち出していく流れを作っていく。「GunMaaS」をそのための、まさに実証実験といいますか、こういう言い方しているんですけれども、「リビングラボ」にしていきたいと考えています。今後も前橋市としっかり連携を深め、より良いサービスの提供に努めてまいります。もちろん、行政だけでやってもMaaSは上手くいきません。私自身、「GunMaaS」を県民の皆さまと一緒になって作っていくべきものだと考えています。従来の交通サービスというのは、事業者が作って、それを提供するだけの、いわば一方通行だったというふうに感じています。一方で、MaaSは最初の時点では限られた地域、限られた機能しかありません。やっぱり社会実装する中で、ユーザーとか、県民の声を聞いて、それをサービスに反映させて、より良いものにアップデートさせていくことが大事だと思っています。「GunMaaS」においても、本格導入までの2年間で県民の皆さまの声をよくお聞きして、一緒により良いものを作り上げていきたいと思います。ぜひ、県民の皆さまには、どんどんご利用いただき、多くのご意見をいただけたら幸いです。ちょっと長くなりましたが私から以上です。山本市長からもお話をいただければと思います。
(前橋市長)
前橋市長でございます。私の方からは、いよいよ3月15日から前橋市民が今まで使ってきた路線バス、鉄道、そしてデマンドバス、シェアサイクル「cogbe」の交通システムを活用していた前橋MaaSが群馬県MaaSとして拡大することになったこと、とても群馬県に対して感謝をいたしております。ありがとうございます。
これに加えて、3月15日、タクシーもその枠たちの交通のネットワークの中に加わっていただくこととなりました。いろんな交通資源が1つに結ばれて、市民にとって使いやすい公共交通が生まれると思っています。決済の仕組みをSuicaと連携する、あるいはSuicaの中に入れたマイナンバー情報によって、障害者割引だとか、あるいは妊婦さん割引だとか、あるいは市民割引であるとかが使えるようにもなる、とても優れた交通の仕組みだと思っています。
あわせて、たくさんの人たちが自家用車ではなくて、自分の車を捨ててMaaSによって動けるようになれば、お店の人たちも今まで用意していた駐車場が1台か2台使わなくなるかもしれません。その分、駐車場コストが減った分、どうか市民サービスに振り分けていただければ、MaaSで来るとソフトクリームがひと巻き増えているみたいな、そんな楽しい買い物もできるようにしてまいれればと思っております。
群馬県全体に広げていただいたこと、前橋市としても大変感謝をしております。また、その役を担いますように取り組んでまいります。どうぞよろしくお願いいたします。知事ありがとうございます。
(知事)
山本市長ありがとうございました。山本市長とのフォトセッションを行いたいと思います。
※フォトセッション
(知事)
せっかく市長にもお越しいただいてますので、MaaSに関する質問があれば、一旦受けさせていただきたいと思います。事前に、記者の皆さんにはレクをさせていただいておりますが、ここで何かご質問があればお受けしたいと思います。
●GunMaaSに関する質疑応答
(記者)
まず「GunMaaS」を導入することによって、地方の鉄道とかバスの路線が結構苦しい状況にある中で、存続に対する期待みたいなことをお聞かせ願えますでしょうか。
(知事)
公共交通は、今記者さんもご指摘になったように、かなり厳しい状況にあるんですけれども、何か個別の産業に絞って、いろいろ何か支援をすると言っても、なかなか難しい状況があるので、これから高齢化が進むと、なかなか自家用車で移動できない時代になってくるという大きな流れの中で、こうしてMaaSとして、しっかりとした仕組みを作ることによって、先ほど山本市長からもお話しましたタクシーもあるんですけれども、こうした公共交通全体の底上げを図っていくことは、とても大事かなと思っています。やっぱりもう1回言いますけども、個々の産業について、しっかり支援をしていくことも、もちろん一つの視点なんですけども。もう1回言いますが、公共交通全体の底上げを図っていくのが、やはりよりベターなやり方だと思っています。
(記者)
山本市長に伺いたいんですが、令和元年から始めて、現状で3,490人の会員登録数があるとお伺いしていますが、この4年ほどやってきたところの評価をお聞かせ願いますでしょうか。
(前橋市長)
たくさんの方々が使っていただいています。中には、「免許を返しちゃったので、今まで近所のスーパーで買い物してたけれども、久しぶりに街中の馴染みのお茶屋さんに買い物に来た」という声があったよと、そのお店から言われました。
やっぱりMaaSによって便利になれば、市民のいろいろな動きが始まるんだなあって思います。そういう意味で、社会自体の形も変わっていけばいいなと思います。
(記者)
これまでやられていた中で、こういうことが課題だったかなあというのがあれば教えていただけますか。
(前橋市長)
やっぱりシニアの方々には、携帯、スマホというデバイスを操作するということが課題感があったと思います。また、Cogbe(こぐべ)というシェアサイクルはクレジットカードの決済なので、逆に言えば、高校生や中学生はクレジットカードを持っていないので決済ができなかった。
高齢者と若者それぞれに課題があったので、それらも含めて、今回Suicaとの一体化ができることによって、本当に便利になるなと思っております。Suicaさえあれば、マイナンバーカードを家に置いといても、それで割引もできるし、もしかしてお店によっては、何かサービスがあるのかもしれません。いろいろな企画ができるんだろうと思います。
(記者)
とりあえずの目標みたいな、数字的に登録者が何人とか、何人に利用してもらいたいとか将来的にこれぐらいにしたいとかがあれば。
(知事)
とりあえず今日は仕組みをお話したので、細かい目標については、これからよく検討していきたいと思っています。大きな流れとしては、先ほどお示ししたようなプランで、まずは実施して、それから普及させるということ。この流れを作っていきたいと思います。
(記者)
車の免許を返した高齢の方などを対象にサービスを展開することに加えて、スマホを使ってて、公共交通を利用したいということで言うと、県外からの観光客の中高年とか若者とかも、ターゲットになり得ると思うんですけど、そういう人たちは住民ではないので市民割とかは受けられないわけですが、何かそういう人たちが使いやすいものみたいな想定はあるのでしょうか。
(知事)
県土整備部の方からお話して、その後コメントしたいと思います。どうぞ。
(県土整備部長)
県外の方は、割引を受けられませんが、検索についてはかなり一体的に検索できますし、今回タクシーも取り込めるということで、一体的な検索との移動が可能になることから、かなり利便性が上がるということを県外の方にはPRしていきたいと考えてございます。
(記者)
本質から外れるんですけれども、アルファベットで「GunMaaS」の表記ということで、群馬県とMaaSの造語だと思うんですけど、カタカナでも場合によって表記されて、グンマースとなった場合、よくネット上で、ちょっと揶揄する表現として使われたりもすると思うんですけど、勇気を持って踏み入れるべき土地と言いますか、何かそういうネット上で揶揄されている表現を逆手に取ってアピールしたいみたいな考えが、もしあったら。
(知事)
グンマーっていう表現ですか。
(記者)
そうですね、グンマー。
(知事)
それは別に、全然気にしていません。ネット上で揶揄される、結構グンマーとか言ってグンマー帝国とか言われていますけれども、まさに群馬県は、もう非常に懐を広く見ていますので、そういうことも全部、群馬県をアピールするためのいい材料に使えばいいと思っているので。なんか「GunMaaS」で、グンマーって言われるんだったら、それで広まるんだったら、そっちの方がいいぐらいだと思ってます。そこでネガティブな影響があるとは考えていません。
●NIPPON ACADEMYの学費問題に関する調査の現状について
(記者)
MaaSとは関係ないんですけれども、市長もいるのでせっかくなので、NIPPON ACADEMYの関係で、先週、知事は調査するというお話をされてました。それについて、現状どうなっているかを伺いたいのと、市長としては、どう受け止めていらっしゃるかについて伺えればと思います。
(知事)
これについては、先週も申し上げましたけれども、まだ県の方で調査中です。まず、しっかり事実関係を把握するために、アカデミー側と前橋市、それから留学生の皆さん、生徒の皆さん、そこのところに、今調査を行っているところです。まだ調査が完了していないという状況です。
(記者)
市長からも一言いただければ。
(前橋市長)
県の結果を受けまして、また知事さんと相談させていただきます。
(知事)
最後に申し上げると、市長が今日来ていただいたんですけれども、これはぜひ記者の皆さんにも聞いていただきたいと思うんですけど、昨年11月、12月に河野太郎デジタル大臣と西村経済産業大臣に、続けて来県していただきました。主に前橋を視察していただいたんですよね。今までこういうことはなかなかなかったんだけど、やっぱり山本市長も頑張っておりますが、今、前橋の民間主導の街づくりも非常に注目されてますし、県都前橋が、デジタルの先進地域として非常に注目をされていると。やっぱり大臣が2人、このMaeMaaSみたいな、マイタクみたいな仕組みを視察に来ることは今までなかったので、ここのところ、かなり県都前橋がいろんな意味で注目されてまして、もうご存知のとおり、デロイトトーマツの一つの本部が来たりとか、アクセンチュアみたいな世界的な企業が今度は県庁の中に入ったりして、非常に今、前橋が元気になってきているという流れがあります。そうした中で、知事と、県都である前橋の市長がこうして協力して物事を推進できるというのは、とっても群馬県の強みだというふうに思っております。
この仕組みを、もう一回言いますが、全国でも非常に注目されているリビングラボなので、ぜひ記者の皆さんには大きく報道していただけるとありがたいと。せっかく市長も来ていただいたので、そのことだけ申し上げて、前橋市長との合同会見を終わりたいと思います。市長どうも今日はありがとうございました。
(前橋市長)
どうぞ皆さんよろしくお願いいたします。
( 以上で終了 )
文章中の()内については、メディアプロモーション課において加筆したものです。